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〜ジオン公国の光芒〜_CSA ◆NXh03Plp3g氏_第11話

Last-modified: 2007-11-30 (金) 18:54:15

「すっ、すみませんっ、こんなにボロボロにしちゃってっ……」
 ぺこぺこと申し訳なさそうに頭を下げるクレハ。
 キャットウォークから見える、ハンガーのゲルググ・ハウントは、ストライカーパックを外した状態にされている。
 シールド、それに左二の腕と胴体正面の装甲は、ストライクフリーダムのクスフィアス3による弾痕が、無数に残っている。
「なーに、いいってことよー、どうせモジュール装甲なんだし、中身がやられてなきゃ取り替えるだけさね」
 クレハより一回り半は年上そうな、ナチュラル、明らかに日系モンゴロイドの整備員は、パームトップ端末を手に、苦笑気味に言う。
「それに、ストライクフリーダムとやり合って被弾して、帰還した機体ってのは、ある意味貴重だよ」
「え?」
 整備員の言葉に、クレハはキョトン、として、小首をかしげた。
「装甲の設計のフィードバックになるからねぇ。次世代機のために……」
「次世代機ですか!? もう?」
 整備員がそう笑いながらクレハ機を見て言うと、クレハは驚いたように聞き返した。
「戦時のモビルスーツは、半年も経っちゃったらロートルだよ。敵さんだって、手をこまねいている筈ないしね」
「ふぇ」
 そう聞かされて、クレハも自機のゲルググ・ハウントを見る。
「まぁTPRFで今やってるやつだと、ネモの後継機は1機種だから決まりとして、コイツの次はまぁ、
 TPRF-2のゲルググ・ハイマニューバで決まりかな。まだ仮称だが……」
「なんだ、結局ゲルググなんですね」
 クスクスと笑うクレハ。しかし、整備員は身を乗り出すようにして、ガハハと笑い声を上げる。
「バカ言っちゃいけねぇよ。ただでさえモビルスーツってのは可動部の多い機械なんだ、
 フルモデルチェンジじゃなくても、全身モデファイとソフトのアップデートで1世代分はパワーアップできる」
「そうなんですか」
 クレハは少し驚いたかのように目を円くして、言った。
「おおい!」
 整備員が悦に入って、更に薀蓄を披露しようとした時、別の整備員がキャットウォークの階段を上がってきた。
「ここのハンガーの機体は?」
 シルバーブロンド、コーディネィターの整備員に訊ねられ、クレハと話していた整備員 は少し戸惑った様子を見せた。
「ハウントが1、イェーガーが1、それにアスカ中佐のインパルスIIだ」
「そうか、サンキュー」
 踵を返しかけた銀髪の整備員を、先ほどからいた整備員が止める。
「おい、待てよ。一体どういうことだ」
「まだ調べてる最中だからわからんが、どうも3機、足りないんだ!」
 銀髪の整備員はそう言うと、今度こそ慌てて走り去っていった。
「なんだって!?」
 モンゴロイドの整備員、そしてクレハの顔にも、驚愕の色が浮かんだ。

機動戦士ガンダムSEED
 逆襲のシン 〜ジオン公国の光芒〜

 PHASE-11

 C.E.77、10月。
 直接の国営から、株式会社としての国策会社となったモルゲンレーテ社に、突然、TOBが仕掛けられた。
 仕掛け主はメサイア戦役後に設立されたファンド企業だったが、問題はその額だった。
 市場相場価格の230%。
 どのような企業防護策も通用しない、とんでもない価格である。
 ファンド企業の背後に外資、そして更にその先に外国政府の存在を疑ったオーブ政府は、調査を開始した。
 結果、最終的にプラント政府に行き着く、トンネル会社だった。
「おい、ラクス、モルゲンレーテの株がプラント出資の会社に買収されている。これはどういうことだ?」
 カガリは早速、電話会談でラクスに問いただした。
『こちらから、オーブの一助になれば、と思いましただけですわ』
 モニターの中の歌姫は、慈悲溢れる満面の笑顔を浮かべながら、そう答えた。
『調べさせていただきましたけれど、モルゲンレーテの出資状況、現在の有力株主は
 オーブの政府関係者を除きますと、旧連合、それも多くは大西洋連邦の投資家でしょう?』
「うん、まぁ、それは私も気にしていたんだ」
 特に、大西洋連邦にはヤキン・ドゥーエ戦役後のオーブの復興、モルゲンレーテの再建 を援助された事もあり、
その“感情的対価”として株主の利益、配当を求める声が大きく、株主総会で度々問題になっていた。
『ですから、そう言った方々の株式をプラントが引き受けてしまえば、カガリさんたちはそんな心配をする事もないでしょう?』
「まぁ、そうだな」
 この頃、国家運営は子供のママゴトではないと理解しつつあったカガリだが、それでも、ラクスやキラに関しては、
個人的な信頼で、プラントとオーブの関係も維持していけると思っていた。

 TOBの結果、プラント系ファンドは議決権ベースで40%の株式を買い占めた。しかし、それでもオーブ政府と
有力氏族の持つそれのほうが多かった為、むしろモルゲンレーテの 運営は以前よりスムースになり、従業員の賃金も向上した。
 ────やっぱり、ラクスはオーブのことを気にかけてくれている。
 この時、カガリは心底感謝した。もともと、単独で連合と渡り合うプラントに比べれば、オーブは小国なのだ。
 積極的に保護してもらえるのはありがたい。
 得がたい友人を得たのだと、カガリは感謝していた。
 プラントの計らいだと言うことが判ると、当初は外国政府の動きに警戒していた、ソガらの官僚も一様に楽観論に傾いた。
 ソガはこの時、正規のオーブ軍総司令官将軍になっていた。
 ただ、極少数派だったが、プラントを危険視する声もあった。その最先鋒が、当時財務局事務長官だったタロウ・マチムラだ。
「プラントとは言え、外国勢力であることには変わりません。外国政府が関わる単独の企業が株式を独占するのは、
 有事となればモルゲンレーテを不安定にします」
 マチムラは自ら代表執務室に乗り込み、こう説いたのだった。
「ラクスがオーブの損になるようなことをするはずがない! それに、プラントにはキラだっているんだ!」
 それに対するカガリの答えは、まず、こうだった。
「それに、有事と言うが、貴様はプラントとオーブの間で戦争が起こるとでも言うのか?ラクスやキラ達がオーブに攻めてくる?」
「可能性はゼロとは言えません」
 険しい顔で、マチムラは答えた。
「話になりませんな」
 当時の代表補佐官だったテツヤ・ドイは、鼻で笑うようにすると、カガリに同調した。
「貴官はリスク・マネジメントについてよくご存じないようだ。よろしいか? プラントと戦争になるリスクと、
 旧連合勢力がオーブにダメージを与えようとするリスクと、どちらが高いと思うのかね。君は」
「代表!」
 高飛車に言い下ろすドイの言葉を無視し、マチムラはカガリに詰め寄る。
「代表、国家間は個人の友好関係とは違うのです!」
「お取引願え」
 ドアのところで待機していたSPが、マチムラの両肩を抱え上げ、外に連れ出す。
「代表、必ず後悔する事になりますぞ、代表ー!!」
 マチムラの声は、やがて締まる扉に遮られた。
「やれやれ、無能官僚には頭の固いものが多くて困りますな、カガリ様」
「ふぅ」
 ニヤニヤ笑いで言うドイに、カガリは疲れたようなため息で答えた。

 翌日、マチムラは財務局事務長官の任を解かれ、資料室参与に異動となった。
 言うまでもなく、左遷である。

 C.E.78年、10月
 プラント政府がジオン勢力の動きに注視し始めたこの頃、オーブでも変化が起きた。
 モルゲンレーテ取締役会は、突如として、5000人規模のレイ・オフ(リストラ)を実施すると発表したのである。
「ど、どういうことだ、これは!?」
 カガリは驚いて、事態を報告させた。すると、この提案を行ってゴリ押しで通したのは、例のプラント系ファンドだと言う。
 カガリは直ちに、ラクスに問いただした。
「一体どういうことなんだ、あれは!」
『モルゲンレーテの企業は、肥大化しすぎていました。このままでは、オーブにとって有益どころか、負担になるだけでしたわ』
「それは……うん」
 事実、軍需産業を中心に置くモルゲンレーテは、戦後はオーブ政府だけでは背負いかねるほど、その巨体を持て余していた。
 かといって他の事業に注力すれば、民間企業が育たず、最終的には物価が上がってしまう。
『もし失業者が増えるようでしたら、プラントが責任を持って、彼らの保護を支援いたしますわ。
 ですから、ご安心くださいませ』
「わかった。ラクス、さっきは大声を上げたりして、すまなかった」
 カガリは申し訳なさそうに、モニター越しにラクスに頭を下げた。それに対してラクスは、優しげな微笑で答えた。
『いいえ、誤解と言う物は常に付き物ですわ。お気になさらず』
 …………さらに、モルゲンレーテ取締役会は段階的な数千人規模のレイ・オフを実行した。
 その結果、解雇された約半数が失業者となった。
 プラントはラクスの言通り、彼らの保護の為、支援した。しかしその支援とは彼らに新たな職を与えるのではなく、
失職状態でも必要最低限以上の生活水準を維持する、と言う物だった。
 カガリはこれを、見返りを求めない、ラクスの友人としての厚意と受け取った。
 そして、破滅の日はやってきた。

 CE79年、1月────L1会戦勃発、プラント大敗。
 オーブ時間でその翌日、モルゲンレーテ取締役会は製造・開発部門のクローズを決定した。カガリにとっては、寝耳に水の事実だった。
「なんで、どういうことだこれは!?」
 驚いて調べさせようと、人を呼ぶが、誰も応答しない。慌てて執務室へ行くと、そこには、辞表の山が築き上げられていた。
 財務局へ直接、しかも自らの運転で車を飛ばした。そこには、日本で言うキャリア組と言える官僚たちの姿はなく、
ノンキャリア以下の事務官達が呆然と自失状態にあった。
 その彼らを叱咤してようやく調べあげると、なんと、プラント政府系企業ファンドが上場廃止ギリギリの75%弱まで株式を取得していた。
 オーブ関係は政府が直接取得している8%のみになっていた。
 カガリが部下に事欠き自分で車を運転して右往左往している間にも、プラントの動きは素早かった。
 開発部門の人材はプラントのマイウス・シティーとアーモリー・シティーの工廠開発局に転籍させられていた。
 資材はプラントも含めた海外に二束三文で叩き売られ、解雇人員の退職金に充てられた。
 夕暮れのオーブ、代表官邸の執務室に疲れきったカガリがようやく帰ってきた時には、全てが電子情報として発令された後だった。
「どういうことだよ……これは……ラクス、キラ……!!」
 椅子に力なく座り込み、脚に腕をついて俯く。
 その時。
 半開きにしたままだった扉を、コンコン、とノックする音が聞こえた。
「? 誰だ」
 縋りつくような思いさえ見せながら、カガリは顔を上げた。
「お久しぶりです、カガリ様」
 そこに現れたのは、男性並みの長身に膝上まで伸ばしたくすんだ青い髪、スレンダーの 体つき、
褐色に近い浅黒い肌の女。顔は童顔ではあるが、美女と言ってよかった。
「レナ…………」
 レナ・セイラン。ユウナ・ロマ・セイランの従叔母に当たる人物。ただし、年齢はユウナより年下だった。
 母親は第一世代のコーディネィターで、レナ自身はハーフコーディネィターと呼ばれる存在だった。
 ナチュラルとコーディネィターが共存するオーブでも、両者のコミュニティーには垣根があるのが実際だった。
 その為、ハーフは異質な存在だった。
 その為にセイランの本家からは遠ざけられていたのだが、皮肉な事に、そのおかげでメサイア戦役戦中戦後の、
言うなれば“セイラン狩り”から逃れる事が出来たのである。
 そしていまや、殺害、自殺、あるいは失踪を遂げ、散り散りとなったセイラン家の、最後の1人となっていた。

「何しに、来た?」
 カガリは、戦きながらレナに問いかける。
「お目が覚めましたか?」
「なんだと?」
 レナの静かだが、しかしハッキリした口調に、カガリは反射的に問いかえしていた。
「ラクス・クラインは自由と平和の歌姫」
「どういう……意味だ?」
 カガリは再度問いただす。
「ラクス・クライン“だけ”が、この世界に自由と平和をもたらす。そのためには全てが許される。それ以外の全ては許されない」
「…………それは!」
 反論できない。いや、反論する意図さえもてない。
 オーブのぬるま湯に使っていたとは言え、疑問に思わないことがなかったわけではない。
反自由主義というレッテルを貼られ、焼かれる国々。貧しいままの人々。餓死者と凍死者を弔う無数の列。
 それでも、ラクスは友人だから、ラクスの理想は素晴らしい物だから、オーブの理念を貫く為だから。
 そう思い、目を閉じてきたのだ。
 なによりラクス自身、その損失に心痛めていないわけではない、少なくとも今までは、カガリはそう思っていた。
 だが、いざとなればオーブさえ踏み潰す。それを知った今、友情とか信頼とか言う感情は、
レナの言葉とともに崩れ去っていた。
「レナは、逃げないのか? 他の連中は、もう出て行ったぞ」
 力なく、自嘲して笑いながら、カガリは言う。
「それとも、私を殺しに来たか?」
 レナからしてみれば、カガリはセイランを壊滅に追いやった張本人以外の何者でもないだろう。
 だが、レナはいいえ、と首を振ると、手にしていたショルダーバッグから、音楽再生用のプレーヤーを取り出した。
 小型のスピーカーが取り付けられている。
「どうするかはまだ、判断をつきかねています。代表を殺すと言う選択肢は考えておりませんでしたが。
 ですので、まずはこれを、代表に渡しに参りました」
「何……?」
 カガリは、それを受け取る。手に握ると、再生ボタンを押した。
 流れ始めたのは、音楽ではなく、独白のような台詞だ。
『……今日、父上が、また連合からねじ込まれたと言っていた……』
「この声は!!」
 驚いて、カガリは目を円くし、声を上げた。
「ユウナ!!」
 プレーヤーの中の、ユウナの独白は続く。

 ────今日、父上が、また連合にねじ込まれたと言っていた。おそらく、現状のままでは、連合と組まざるを得なくなると。
 愛しいカガリ。君のその、ウズミ様の理念を追う姿は美しい。けれどもう少しで良い、現実を見て欲しい。
 連合が本当にオーブに要求しているのは、オーブからのプラントへの難民を取り戻す事なんかじゃないって事だ。
 彼らも薄々気付いている。オーブが連合とZAFTから離反した、アークエンジェルと、エターナルを匿っていること。
 そんなことがたとえ実現したとしても、またすぐ次の言いがかりを思いつく。彼らがいる限りは。
 本当に忌々しいテロリスト達だ。あのキラ・ヤマトという奴がカガリの実の弟でさえなかったら、
 すぐにでも叩き出してやれるのに。それにアスラン・ザラ。彼さえいなければ、 君だって…………
 いや、個人的な愚痴を続けるのはやめておこう。
 僕と父上は、カガリがいない間に、連合との交渉を進める事にした。プラントには何度も批難声明を出してしまっているし、
 いまさら彼らとは組めない。連合を選ぶしかない。
 もちろん、これがカガリの、つまり、国家に対する反逆行為だということは重々承知している。
 多分セイランの一族は、オーブの裏切り者として処断されるんだろう。
 けれどやらないわけにはいかない。オーブをまた焼くわけにはいかないんだ。
 だから、最後に声だけでも残しておくよ、幼馴染のレナ。
 それから、ああ──僕の愛しいカガリ、どうか君にだけは、災厄がないことを。

 録音は、そこで途切れた。
 カガリは、急に顔が熱くなってきた。その熱は、目頭を通じて、外にこぼれだした。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ……っ!!!!」
 プレーヤーを抱きしめ、膝をつき、泣き崩れる。
「ユウナ! ユウナぁ!! 許してくれ、ユウナぁぁ!!」
 届くはずのない叫びを、何度も繰り返した。

「それで……」
 ひとしきり泣きじゃくり、ようやく落ち着いて、右手にプレーヤーを握り締めたまま、カガリは立ち上がった。
「私はこの先、どうすれば良いんだ?」
 真だ紅い目をレナに向け、訊ねる。
「どうなさいますか? 代表」
 レナは、カガリを、カガリ様、ではなく、“代表”と呼んだ。
「このままオーブをプラントの保護国になさいますか? そうすれば、この国はウズミ様の理念通り、
 他国に攻め込むことも、他国に攻められることも、他国の争いに介入する事もありません」
「…………」
 確かにその通りだ。オーブにはマスドライバーもあるし、L1会戦の影響で、プラントを離反する地上圏の国家は相次いでいる。
 状況的に、プラントはオーブを守ろうとするはずだ。今の関係を継続するなら、国防の全てさえ、当面はプラントに委ねられるだろう。
 だが、それがオーブの理念の、本当に示す物か? 否、そもそも理念とはそんなもののためにある物か!?
『さすが、綺麗事はアスハのお家芸だな!』
 緋色の瞳の少年、今は自分と同じように青年に成長しているであろう彼の、言葉が蘇る。
 そうだ。国のために理念があるのだ、理念のために国があってはならない!
「あぁぁ……ようやく気付いた……なんて愚かだったんだ……私も、お父様も」
 レナは何も言わず、口元で薄く微笑んだ。
「だが、どうする。軍も今のままじゃ骨抜きだし、プラントに逆らうなんて、とても……」
 正面戦力は残っているが、補給が尽きればアウトだ。
「簡単です、代表。敵の敵は味方、ということです」
「ジオンと組むのか!?」
 カガリは目を円くして驚いたが、すぐに、絶望的な表情に戻る。
「いや、だめだ。ジオンとのチャンネルを開いてない。彼らだって、我々がプラントを離反するなんて考えていないだろう」
「ならば、チャンネルを作ればいいのです」
 レナは、険しい顔でカガリを見て、そう言った。
「どうやって?」
 カガリは、顔を上げて問い返す。
「居るでしょう? プラントのお目付け役様が。この騒ぎさえ、静観している」
「まさか……、レナ…………っ!?」
 カガリはまた、目を見開いた。
「彼を、アスラン・ザラを、ジオンに売ります」

 レナとカガリはしばし見詰め合い、沈黙。
 そして、カガリは短く、そしてはっきりと言った。
「判った、やろう」

 Feb・12・C.E.79──中部太平洋、公海上。
 ZAFT大統領親衛隊所属、MS搭載強襲機動巡洋艦『カルメ』。カルメ型のネームド・シップである。
 拠点制圧用に、形態としてはアークエンジェル型やミネルバ型の小型版として開発された物だ。
 その着艦デッキに、ネイビーブルーに塗装された3機のモビルスーツが収容されていく。
 ゲルググ・ハウント、ゲルググ・イェーガー、ネモ・ヴィステージ。各1機ずつ。
「首尾は上場だぜ」
 ゲルググ・ハウントから降りてきた、団子鼻の中年男は、タラップに立つなり、着ていたジオン軍のパイロットスーツを
破り捨てるように脱ぎ捨てた。
 その下は、黒が基調の、紛う事なきZAFT親衛隊制服。
「誰も気にしちゃ居なかった、さすがにヤマト閣下の影響はすげぇなぁ」
「でも、そのヤマト閣下はずいぶんボロボロにやられたようですよ」
 ジオンの最高機密の塊、3機の核融合MSを奪取した英雄達を迎えた、甲板員は呟くように言う。
「まぁ無理もねぇさ。こんな怪物とやりあわされたんじゃ、さすがのインフィニットジャスティスもストライクフリーダムも、
 1機じゃどうしようもねぇだろうよ」
「それもそうですか……」
 甲板員も、奪われてきたゲルググ・ハウントを見る。
「でも、奴らの跳梁跋扈もいいとこ今月中さね」
「ははっ、そうですね」

 ────戦雲は、いまだ晴れる事を知らない。

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