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「連合兵戦記(仮)」2章 10

Last-modified: 2015-06-26 (金) 14:01:23

「ウェル!」
バルクは、天高く立ち上る黒煙を見据え、叫んだ。
バルクは、今この都市に立っているザフト兵は自分だけであることを強制的に認識させられた。
そして彼には部下の死を悼む暇すら与えられることは無かった。
彼のジンの四方のビルから対戦車ミサイルが放たれた。

 

ミサイルは、固体燃料の白煙を引いてバルクのジンに襲い掛かる。
バルクのジンは、重突撃機銃で迎撃する。
旧式の戦車砲に匹敵する威力を持つ砲弾が次々と吐き出される。

 

76mm弾は、空中を飛ぶミサイルを次々と撃墜した。
発射されたミサイルが空しく砕けていく光景に周囲に潜伏する地球連合兵達は歯噛みした。

 

最後のミサイルが撃墜されたのと時を同じくして、周囲の廃墟の間からゴライアスが数機出現した。
バルクのジンを包囲する格好で各方向から出現したゴライアスは、土煙を巻き上げて突撃した。

 

指揮官であるハンスの着用するゴライアスは、ローラーダッシュを活用して接近すると胸部めがけて
右手に保持したグレネードランチャーを放った。

 

他のゴライアスもそれに続く。

 

一斉にグレネードが四方からジンに向かって撃ち込まれる。
グレネード弾が次々と着弾し、ジンのコックピットを揺さぶった。

 

戦車やモビルアーマーのリニアガンにも耐えるジンにとってそれらの攻撃は大した威力ではなかった。
しかし、その頭脳と中枢神経に相当する存在であるパイロット・・・バルク・ラースンに対しては衝撃を与えることが可能だった。

 

無論転倒や墜落時も考慮されているジンのコックピットの衝撃吸収機能はパイロットを気絶させるほどの衝撃を
パイロットに伝えることは無かった。

 

だが、それでもパイロットにダメージを与える程度には衝撃が伝達されていた。

 
 

コックピットに鳴り響く警報音にかまわず彼は、ジンを前進させた。
ゴライアス部隊は次々とローラーダッシュを活用して後退する。

 

「こいつ!」

 

バルクのジンが足元を駆け巡る金属の小人を射殺すべく重突撃機銃を向ける。
その銃口の先には、ハンスのゴライアスがいた。

 

これは偶然ではなく、ハンドサインや発光信号で他のゴライアスに指示を出すハンスの機体を
指揮官機であるとバルクが見抜いていたからである。

 

76mm弾は、歩兵の携行火器にも耐える軽量装甲を纏った人工筋肉駆動の小人を吹き飛ばすには十分な威力を秘めていた。
だが、重突撃機銃が火を噴くよりも早く、遠方のビルから放たれた20mm弾が、重突撃機銃の弾倉を貫いた。

 
 

別の地点に移動していた狙撃兵 アンジェリカが20mm対物ライフルによって狙撃を行ったのである。
即座にバルクのジンは重突撃機銃を手放す。
弾薬が誘爆した重突撃機銃が爆発する。

 

「ライフルが!」
唯一の火器である重突撃機銃を失ったバルクは、ジンの腰部の重斬刀を抜いた。
重斬刀は、モビルスーツサイズの実体剣であり、
その威力はモビルアーマーや戦車の装甲を切り裂く程であった。
ただし近接戦闘用の武器である為、射程という点では、徒手空拳と変わらないものであった。

 

眼の前に立つ大男の名を持つ小人を切り倒すべく、巨大な長剣を握った単眼の魔神が疾駆する。

 

対する小人・・・・ハンスのゴライアスは動かない。
まるで恐怖にすくみ上ったかのようであった。

 

ハンスのゴライアスの目の前に重斬刀を振り上げたジンが現れる。
従来の陸戦兵器の常識からかけ離れたモビルスーツの高機動性のなせる業である。

 

「仕留めた!」

 

この瞬間、バルクは勝利を確信していた。

 
 

だが、突如、バルクのジンの足元・・・・地面が崩壊した。

 
 

再構築戦争後、大西洋連邦やユーラシア連邦等の各国がテロや戦争に見舞われた都市の復興、改築に際して重視したのは、
市民を避難できる空間の確保であった。

 
 

これは、再構築戦争末期、カシミール地方での核攻撃の影響である。
後に最後の核と呼ばれたこれによって西暦のソ連崩壊後は一時期SF小説の中の出来事のように語られていた核攻撃の危機が
現実化したことで各国は主要都市に核攻撃への耐性、市民が避難できる空間の確保を重要視したのである。

 

そしてCE71年時点、核シェルターとして転用できる地下鉄や地下施設など
・・・・・各国の多くの都市には、広大な地下空間が存在していた。

 
 

ハンスは、これら地下空間を敵の空爆に耐える退避壕として利用するだけでなく、
ザフト軍に対する攻撃手段として利用することを編み出したのである。

 
 

都市の地下空間の中で老朽化が進んでいる箇所を選び出し、其処が一定重量を超えると崩落する様に工兵部隊によって工作を施していた。
それでも落とし穴へと改造されたその地面は、人間や自動車が上に乗っても耐えられたが、
主力戦車を上回るモビルスーツ ジンの重量が耐えられるはずがなかった。

 

コンクリートの地面を踏み抜いたジンは、地下空間へと落下していった。

 

「しまったあ!」

 

落下の衝撃に揺れるジンのコックピットにバルクの絶叫が木霊した。
そしてその底には、対陸戦モビルアーマー用の大型地雷が仕掛けられていた。

 
 

ジンの巨大な足が、埋設された地雷を踏み抜いた次の瞬間、穿たれた大穴から眩いオレンジの爆炎が吹き上がった。

 
 

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