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「連合兵戦記(仮)」5

Last-modified: 2014-03-14 (金) 12:44:22

6月2日 ザフトは、膠着状態に陥りつつあった月のグリマルディ戦線に決定打を与えるべく
地球連合軍の補給拠点の一つであった宇宙採掘基地 エンデュミニオン・クレーター基地に侵攻を開始した。

 

ザフト軍は、勝利を確実なものとするため、先の世界樹攻防戦で戦果を挙げ、
ネビュラ勲章をプラント最高評議会より授与されたラウ・ル・クルーゼやヒルダ小隊等の
精鋭と当時、生産されたばかりであったシグーやまだ試作段階にあったジンの高機動改良型である
ジン・ハイマニューバ等の最新鋭機、バルルス改特火重粒子砲等の新兵器を多数投入した。

 

このバルルス改特火重粒子砲は、宇宙艦艇用の大口径ビームカノンとMS用の予備バッテリーパック
を改造したカートリッジを組み合わせた火器で、破壊力の面では当時
ザフトが保有するMS携行火器では、最も威力のあるものであった。

 

その為、史上初のMS用ビーム兵器だとプラント側は宣伝していたが、
実態は、バッテリーと砲身の排熱問題で数発しか撃てない上、取り回しの面でも
重突撃機銃に比べ大幅に劣っていた。

 

更に地球や月等有重力下で装備した場合、機動性の低下がみられる等、まだまだ改良すべき点
が多々存在していた。

 

対する地球連合側は、ユーラシア連邦軍を主力とする第3艦隊とプトレマイオス基地より
増派された第5艦隊と第6艦隊の残余を含む大西洋連邦の精鋭 第7艦隊で編成されていた。

 

またニュートロンジャマー下での主力となる機動兵器の面では、一部が世界樹攻防戦
第1次ヤキン・ドゥーエ攻防戦に参加し、グリマルディ戦線でも
戦果を挙げていた精鋭MA部隊 メビウス・ゼロ隊が投入された。

 

メビウス・ゼロは、大西洋連邦軍が開発し、地球連合軍の主力モビルアーマー
であるメビウスの試作機として開発された機体であった。

 

この機体は、モビルアーマー以前のかつてファースト・コーディネイター 
ジョージ・グレンが大西洋連邦軍人だった頃に搭乗した
試作宇宙戦闘機の影響を強く受けており、機首のみを分離して大気圏突入可能である点や
制式採用機のメビウスと異なりメインスラスターの方向転換ではなく補助バーニア噴射により
方向転換を行う等技術的には、メビウスよりも1世代ほど旧式の機体であった。

 

そしてこの機体の最大の特徴は、機体の胴体部に4基装備された有線式オールレンジ攻撃兵器
「ガンバレル」であった。

 

「ガンバレル」は、推進器と内蔵されたリニアガンで構成され、攻撃時は、本体より
射出され、有線誘導による遠隔操作によって本体火器の射程圏外の敵機の撃墜を目的として
開発された兵装である。

 

この「ガンバレル」は、敵機の予想しえない方向から攻撃可能で、有線制御である為
ニュートロンジャマーによる電波障害下の戦場で唯一モビルアーマーが運用可能な
誘導兵器でもあった。

 

その為、メビウス・ゼロは、モビルスーツを保有しない地球連合軍の中で唯一ザフト
軍の保有するモビルスーツに対抗可能な機体であった。

 

しかし、この有線攻撃兵器「ガンバレル」は、使用者に高度な空間認識能力が
要求されるのみならず、パイロットは、本体であるメビウス・ゼロの操縦も同時に
行わなければならない為、メビウス・ゼロは、3個小隊15機のみしか存在なかったのであった。

 

なおメビウス・ゼロがその優れたスペックを持ちながら主力モビルアーマーの
地位を射止めなかったのも人員確保の面が主な原因であった。

 

エンデュミニオン基地を巡る戦闘は、まず本隊に先行して出撃した仮設輸送艦より発艦したスナイパーライフル装備の
ジン長距離強行偵察複座型で構成される特殊偵察隊と迎撃に出動したメビウス隊との戦闘によって
その火ぶたが切って落とされた。

 

この偵察隊は、エンデュミニオン基地を取り巻く様に設置された監視衛星の破壊を目的とした
部隊であった。
彼らの攻撃目標である監視衛星群は、エンデュミニオン基地の防衛システムの索敵システムとしての
役割をもっており、これを破壊することは、基地制圧の陸戦隊を乗せたシャトルや仮設輸送艦を
エンデュミニオン基地に輸送する為には必要不可欠なことであったのである。

 

ナスカ級やローラシア級のような本格的戦闘艦を撃沈しえない攻撃でも民間機を転用した
シャトルや輸送艦を撃沈するのには十分であった。

 

直後、進軍してきたザフト軍のナスカ級、ローラシア級の艦砲射撃の掩護を受けた
ザフト軍MS部隊がエンデュミニオン基地の周囲に展開する地球連合艦隊に向かって突撃した。

 

この時、出撃したMS部隊は、少数であったが、全機精鋭とシグーやジン・ハイマニューバで構成されていた。
この部隊の目的は、対艦攻撃ではなく、対艦攻撃部隊に先行して艦艇の対空火器や自動攻撃衛星や
艦艇の護衛を務めるMA部隊の撃滅であった。

 

これは、これまでの戦訓から従来の対艦攻撃装備と通常装備の混合では、
通常機に比べて鈍重な対艦攻撃装備機は、護衛のメビウスの一撃離脱戦法で撃墜される
ことさえあった上、MAを撃墜すべき、通常装備機も行動を制限されてしまう
というケースがあった為、まず高機動の精鋭による通常装備部隊により
宇宙艦艇を護衛する連合側MA部隊を撃滅し、その後に対艦攻撃部隊を
投入するという戦術によるものであった。

 

まず、護衛機を撃破した後に対艦攻撃部隊を投入することで攻撃隊の犠牲を局限する
という戦術は、日中戦争期日本軍が行った戦闘機隊を先行させて敵戦闘機部隊を
撃滅し、制空権を確保後に爆撃隊を突入させるという制空隊の宇宙版と言えた。

 

この戦術を提案した人物は諸説あるもののプラントの公式発表では、この戦いにジン・ハイマニューバの試作機
で出撃したラウ・ル・クルーゼであったとされている。

 

先行して発進した精鋭MS部隊は、ブリーフィング通り連合艦艇の護衛MA部隊に
襲い掛かった。

 

地球連合側のMA部隊は、技量面でも性能でも一部を除き劣っていた為、
射撃演習の的の様に次々と叩き落された。

 

そして護衛機が壊滅したのを計らい、遅れて出撃した対艦攻撃部隊と通常装備部隊が
突入した。
通常装備部隊は、MAの排除を行うと共に対艦攻撃部隊の掩護の為に艦艇のセンサーや
対空火器を攻撃した。

 

これによって殆ど妨害を受けることなくD型装備のジンで構成される対艦攻撃部隊
は、地球連合艦隊に攻撃を開始した。

 

護衛機を失った地球連合艦隊にこれを阻止する力はなく、主力を担っていた第3艦隊
は瞬く間に壊滅した。

 

これをみた地球連合軍エンデュミニオン基地守備隊司令官と宇宙艦隊司令官代理(第3艦隊壊滅によって
この時点で本来の艦隊司令は全員戦死していた)は、エンデュミニオン
基地防衛が困難であることを直ちに理解すると各部隊に遅滞戦闘を命じると共に
基地の最深部に鉱山基地時代から設置されていたある装置の稼働準備を進めた。

 

エンデュミニオン基地内で恐るべき罠の準備が進められている中、
前線では、生き残った艦隊と共にメビウス・ゼロ部隊を初めとする精鋭部隊を中核に生き残っている
MA部隊が奮戦し、ザフト軍の侵攻を少しでも遅らせるべく苦闘していた。

 

だが、唯一の誘導兵器が運用可能なメビウス・ゼロと優れた空間認識能力を持つ精鋭パイロット
をもってしても戦況を好転させることは出来なかった。
長期化する戦闘によってパイロットには疲労が蓄積していた。
これは、ザフト側も同じ条件であったが、彼らは、
身体能力に優れていたコーディネイターであったことが明暗を分けた。
またメビウス・ゼロのガンバレルは運用に高度な空間認識能力を必要し、
複雑な操作行うためパイロットは、メビウスのパイロット以上に消耗が早かった。

 

メビウス・ゼロ隊は、櫛の歯が抜けるかのごとく次々と撃墜されていった。
中には補給作業中に母艦ごと撃沈されたものもいた。

 

防衛艦隊の半数以上を喪失した地球連合側は、撤退を開始した。
ザフト軍は、エンデュミニオン基地への上陸を開始、一部の勇敢なクルーが操縦する
仮設輸送艦は、ドックに強行突入したものさえいた。

 

ザフト軍は、一部の防衛部隊を基地に置き去りにして逃げ帰る地球連合艦隊を
見て嘲笑すると共に自軍の勝利を確信した。

 

そしてそれは、間もなく最悪の形で裏切られることとなった。

 

ザフト軍がエンデュミニオン基地の制圧を開始した頃、
同基地の最深部では、敷き詰められた巨大なパラボラアンテナの群れが
発動の時を待っていた。

 

ザフト軍がエンデュミニオン基地の7割を制圧したのと同時にエンデュミニオン基地
とその周囲は、エンデュミニオン基地を起点に光に包まれた。
光に呑み込まれた物体は、連合もザフトも区別なく次々と爆発していった。
そしてエンデュミニオン基地自体も砂の城の様に崩れていき、間もなく大爆発を起こして
消滅した。
効果範囲にいたザフト軍部隊は、例外なく全滅し、後に残されたのは、舞い上げられた
遺灰のようなレゴリスと真空の宇宙空間で冷却される事無く高熱を周囲に放つ
溶鉱炉から取り出されたばかりの銑鉄の如く赤熱する鉄屑のみであった。

 

辛うじて難を逃れたザフト軍部隊は、一瞬何が起こったのか理解できなかったが
、直ちに事態を理解すると敗走する地球連合艦隊の追撃を中断し、目の前で
大爆発を引き起こしたエンデュミニオン基地とその周囲に残された残骸から
生存者を探すべく、救助作業を開始した。

 

それが無駄な努力であると知らずに・・・・・

 

エンデュミニオン基地と周辺に展開するザフト軍を壊滅させたものの正体は、
最深部に存在するマイクロ波発生装置「サイクロプス」であった。

 

「サイクロプス」は元々、軍事兵器ではなく、エンデュミニオン基地がレアメタル
採掘基地であった頃、クレーター内に存在するレアメタル採掘用の機材であった。
この装置は、レアメタルを内包した氷をマイクロ波を照射することで熱で融解
させ、中に存在するレアメタルを取り出すのが本来の使用目的であった。

 

地球連合軍は、この装置を一種の自爆装置として利用したのであった。

 

またマイクロ波は、電波の一種であるためニュートロンジャマーの影響で
効果範囲が限定されてしまっていたが、皮肉なことにそれによって威力は増大されていた。

 

そしてサイクロプスの効果範囲に存在する生物は、体内にある水分が急激に加熱・沸騰させられ、更に水蒸気が全身の皮膚を突き破って爆発し、
最終的には破裂死に至らしめられる事となる。
更に、装甲が施されたモビルスーツや宇宙艦艇も内部に内蔵された弾薬や推進剤が
加熱され、誘爆することで破壊され、基地施設への効果は薄かったものの撤退に際して
地球連合軍は大量の爆薬を自爆用に各所に設置しており、これが誘爆することによって
エンデュミニオン基地空前の大爆発を引き起こしたのであった。

 

こうしてグリマルディ戦線最大の激戦となったエンデュミニオンの戦いは、終結した。
地球連合軍は、精鋭部隊のメビウス・ゼロ部隊の殆どと第3艦隊を初めとする艦隊戦力の
過半数を喪失し、防衛目標であったエンデュミニオン基地を自ら自爆させることで
失った。

 

対するザフト軍は、戦闘そのものでは、地球連合艦隊の過半数を撃滅する
など事実的な勝者と言えた。
だが、最終局面で地球連合軍が使用したサイクロプスによるエンデュミニオン基地の
自爆によってシグーやジン・ハイマニューバ等の新型機を任された
精鋭を含むMS部隊と艦艇の3割近くを喪失した。

 

この被害を受けたザフト軍は、直ちに橋頭堡となったローレンツ・クレーター基地に
撤退すると同基地を一部部隊を残して撤退した。

 

以後、月面戦線は終結し、ザフト軍は、地上のマスドライバーの制圧または破壊と
プトレマイオス基地を初めとする連合側宇宙拠点への補給阻止を目的として
作戦を進めることになる。

 

またこの戦いでジン5機を撃墜し、メビウス・ゼロ部隊唯一の生還者となった
大西洋連邦軍大尉 ムウ・ラ・フラガは、地球連合軍によって「エンデュミニオンの鷹」
と宣伝されるにいたった。

 

これには、エンデュミニオンの戦いの悲惨な敗北を糊塗するのみならず、
一部を除きザフト軍に圧倒されている地球連合の士気を鼓舞する目的があった。

 

なおこの戦いと同時にユーラシア連邦軍の宇宙要塞 アルテミス要塞に対して
ナスカ級2隻 ローラシア級2隻 仮設MS母艦3隻で構成される陽動部隊が攻撃を仕掛けている。

 

この戦闘では、ザフト軍側は、要塞駐留のユーラシア連邦艦隊に大損害を与えたものの
予め埋設された宇宙機雷と同要塞に試験的に設置された対光学物理防御システム「アルテミスの傘」
によって撃退されている。

 
 

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