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「連合兵戦記」4章 6

Last-modified: 2016-11-15 (火) 20:26:02

この時、ザフト軍に対して逆襲に出たのは、ディエゴ曹長率いるゴライアス2個小隊を主力とする機械化歩兵部隊だった。
彼らは、都市郊外へと繋がる下水道の一つから進軍してきたのであった。

 

まず陣地構築の際に用いられる瞬間硬化剤と瓦礫でコーティングすることで封鎖し、
ザフト側の歩兵部隊が侵入できない様にした。

 

そして自分達が利用する際に備え、予め内部に工兵用爆薬をセットし、
通路を開削できる様にしていた。
無論その際の爆発音は、ザフト側のセンサーにも感知された。

 

だが、近くで戦闘が行われている状況では、機械は感知しても人間の側は、
問題なし、と判断してしまっていた。

 

「野郎ども!つっこむぞ!!」
ディエゴ曹長は、ゴライアスの右手に保持した20mmチェーンガンを掃射した。

 

その攻撃は、ザフト軍のトラックの荷台に命中、直後中に搭載されていた弾薬かバッテリーが爆発し、
トラックごと周囲にいたザフト兵を吹き飛ばした。

 

「敵襲!」
ザフト歩兵部隊も自動小銃で反撃するが、それらの銃弾は、殆どが、
地球連合歩兵部隊を殺傷する前に前衛に立つ機甲兵の着用するゴライアスの装甲に弾き返された。

 

逆にゴライアスの装備する火器は、20mmチェーンガンや14.5mm重機関銃であり、機甲歩兵や装甲車にもダメージを与えることが可能な火器であった。
満足に反撃することも出来ずザフト歩兵は、鋼鉄の驟雨を受けて引き裂かれていった。

 
 

ザフトの車両部隊の周囲にいた歩兵部隊を全滅させたゴライアス6機と連合歩兵部隊は、側面を曝すザフト車両部隊に襲い掛かった。

 

「敵!どこからっ!」
メイは、突如自身がいる場所が前線となったことをまだ理解しきれていなかった。

 

「メイ!機銃を撃て!」
車長を務める長身の白人男性、レイモンド・ホワイトの命令が狭い車内に木霊する。
同時に索敵車両の隣の地面にグレネード弾が着弾し、土砂を巻き上げる。

 

恐怖に体を震わせつつもメイは、索敵車両の車体上部に装備された20mm機銃の遠隔操作用銃座に座った。
モニター上には、周囲に展開するザフト歩兵を蹴散らす、パワードスーツ ゴライアスが表示されていた。

 

照準をろくに見ずに、彼女はトリガーを引いた。

 

索敵車両が車体上面の旋回機銃を掃射した。
20mm弾の連打を受けたゴライアスは装着者ごと蜂の巣にされ、肉片と金属片を撒き散らして爆発した。

 

「やっ、やった!」
次の瞬間別のゴライアスの放ったグレネード弾が索敵車両に命中、車体側面に穴をあけた。

 

「アルベルティっ 糞宇宙人が!」
ディエゴ曹長は、戦友が砕ける瞬間を見た。

 
 

そしてそれは彼の両足がこの大陸の大地を踏みしめて以降、何度も経験したことであった。

 
 

地球連合の機甲兵と歩兵部隊の攻撃を受けて、ザフトの装甲車両部隊は、まるで的の
様に撃破されていった。
突然の予期せぬ攻撃にザフト側は、戦力差もあって効果的な反撃が出来ず、付近のザフト
部隊にモビルスーツの支援を要求し、モビルスーツが到着するのを待つことしかできなかったのである。

 

「曹長!敵が!」
ディエゴ曹長の部下の一人が、指差す。
「ちっ」
指差した方向には、ザフトのトラックがあった。
そして荷台に搭載されたカタパルト、その上には、UAV(無人航空機)が乗せられていた。
黒い鳥の様なUAVの胴体上部に搭載された樽状の物体…ジェットエンジンの後部噴射口が、
青白い炎を吹き上げているのが見えた。

 

UAVが発進しようとしていた。

 

それは、制空権を持たないこの都市の地球連合軍にとって憂慮すべき事態だった。
携帯式の対空ミサイルは、なるべくディンやげた履きのモビルスーツ用に温存しておきたかったし、
命中率の問題もあったからである。

 

「行かせん!」
ゴライアスの20mmチェーンガンがそこに浴びせられた。

 

UAVは、銃撃が降り注ぐ寸前でカタパルトから発進した…かに見えたが、数発の銃弾が、ジェットエンジンを貫いていた。
推進器を破壊されたUAVは地面に激突し、爆発した。

 

胴体に搭載されていた燃料と爆弾が炸裂する轟音と共に、弾けとんだ左右の翼がそれぞれベニヤ板の様に回転しながら、吹き飛んだ。

 
 

「ジンが接近してきます!」
「よし、ここまでだ!全員撤収!」
5機のゴライアスが、前方に向けてグレネードを一斉に発射した。

 

グレネードは地面に着弾すると同時に白い煙を撒き散らした。
煙の壁が形成され、ディエゴ以下、地球連合軍部隊の姿を追い隠した。

 

「貴様らよくも!」怒りに燃えるジンのパイロットは、白い煙の向こうへと重突撃機銃を乱射した。

 

だが、それらの攻撃は、煙の中の地球連合軍部隊を傷つけることなく、
空しく爆炎を吹き上げただけに終わった。

 

煙が晴れた後、そこに残されていたのは、燃え盛る装甲車両の残骸と、人形の様に転がる
両軍の兵士…多くがザフト側…の遺体だけだった。

 

「…」
撃破された車両からはい出た若い女性のザフト兵は、眼の前に飛び込んできた
凄惨な光景とそこからあふれ出る肉やプラスチック、金属が燃える異常な臭いに
絶句し、茫然としていた。
今までも、実戦は何度も経験した。だがそれは、狭い車内のモニターから経験していたことであり、
その全ては、自分達の勝利という結果で終るものであった…そう、これまでは…

 

彼女を含め、突然の襲撃を生き延びることが出来たザフト兵達は、同じ様な気分になっていた。

 
 

連合兵戦記 廃墟の宴 終

 
 

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