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「連合兵戦記」7章 1 新たなる短剣

Last-modified: 2017-06-11 (日) 13:16:26

戦争はフットボールの試合ではないのだ、49対51での勝ちなど勝ちではない。
抵抗できない赤ん坊をメリケンサックをつけて殴る、それが理想的な戦争の戦い方だ。
ジョーンズ米陸軍中佐

 

12月10日 西ヨーロッパ戦線の戦況は、ザフト軍の圧倒的優勢となっていた。11月下旬にフランス州の全域を制圧したザフト軍は、南北中央の3つに部隊を分け、進軍を再開、
北部の部隊は、オランダ州とかつてのユーラシア連邦首都 ブリュッセルが存在するベルギー州の制圧を目的としていた。
北部の部隊は、12月1日に人口が開戦前の半分までに減ったブリュッセルを無血占領した。

 

中央の部隊は、ユーラシア連邦有数の兵器工場が存在し、また同時に西ヨーロッパ最大の重工業地帯が存在するドイツ州に侵攻、12月7日にフランクフルトとハンブルクを制圧、
12月14日には、一部部隊は、隣接するポーランド州近郊にまで迫った。

 

南部の部隊は、輸送機と軌道上からの降下により、補給を受けた後イタリア北部に向けて進軍を開始、11月下旬、イタリア半島南端に上陸した部隊との合流を図った。
ユーラシア連邦軍を中核とする地球連合軍は、唯一ザフト軍の迎撃を受けない爆撃機による高高度無差別爆撃、物量作戦と機甲兵部隊による遅滞戦闘を展開して、
MSを擁するザフト軍の猛威を少しでも押しとどめようとしていた。
また大西洋連邦領 グレートブリテン島とヨーロッパ大陸を繋ぐドーバー海峡横断トンネルは、
ザフト軍の侵攻を防ぐ為、トルコ州に存在したボスポラス海峡トンネルの後を追う様にして地球連合軍により爆破された。

 

ザフトは、こうして再び大陸と切り離され、孤島となったグレートブリテン島の地球連合軍の補給を遮断し、
無力化する為にボズゴロフ級潜水空母と艦載MS部隊を用いた海上封鎖作戦<オペレーション リング・オブ・アンフィスバエナ>を発動した。

 

対する地球連合軍は、封鎖を突破する為、大西洋連邦は、本土であるアメリカ西海岸と西インド諸島より護衛空母を中核とする護衛を含む輸送船団と大型輸送機の編隊を派遣した。
またレアメタル等の戦略物資や電子機器、科学者や高級将校を交換輸送する目的でこの時代では、もはや旧式化しつつあった非原子力動力型の潜水艦が少数派遣された。

 

ユーラシア連邦も西ヨーロッパの大半をザフトに制圧され、東欧戦線でも苦戦を余儀なくされている中、スカンジナビア王国領付近の都市より、艦隊と航空部隊による支援作戦を開始した。
この作戦では、再構築戦争以来、ユーラシア連邦軍が開発・配備してきた地面効果翼機も少数用いられた。地面効果翼機とは、
西暦期にソビエト連邦が開発した航空機の一種で、航空機の高速性と船舶の輸送量を両立できるという利点を有していた。

 

ユーラシア連邦は、輸送機として地面効果翼機を数百機近く保有しており、輸送作戦に活用した。これら奇怪な形状の航空機は、輸送船を上回る速度と小型船舶並みの物資搭載量
で少数ながら大西洋連邦、ユーラシア連邦間の輸送に貢献した。
高速性と迷彩塗装と相まって地面効果翼機の生残性は、通常艦艇よりも高く、整備性の問題を無視すれば、哨戒網を突破するのに有効であった。

 

第7章 新たなる短剣

 
 

その一方、通常船舶で構成される輸送船団は、ボズゴロフ級と水中モビルスーツ部隊によって打撃を受け、引き返す船団や壊滅状態に陥るものも出ていた。

 

空からの輸送ルートである輸送機部隊は、ボズゴロフ級潜水空母の艦載機であるディンやインフェストゥスの上昇限界高度よりも上の高度を飛行でき、安全に輸送が出来たが、
着陸できる滑走路が限られていた。

 

滑走路を必要としない垂直離着陸機もあるにはあったが、数が限られていたのである。
同様に長距離滑走路を必要とする爆撃機部隊の存在もあり、軍の基地はパンク寸前であった。

 

また民間の空港もエープリルフール・クライシス当日の時の航空事故でその多くが未だに使用不能に陥っていた。

 

太平洋と北海をのたうつ双頭の海蛇は、地球連合軍の血と鉄を呑み込みつつあった。

 
 

大西洋連邦領 グリーンランド ヘブンズベース基地 

 

現在、グリーンランドは、4月1日にザフトが引き起こしたNJ災害の影響で、最大の都市 ヌークを初めとする都市の
都市機能やインフラは完全に停止し、民間人の殆どは、餓死、凍死するか
地球連合軍の手によってエネルギー事情と生存環境がマシな北米へ避難していた。

 

現在、この地にいるのは、野生動物を除けば、地球連合軍の軍人か彼らの活動に関わる職業に従事している軍属の民間人のみであった。
そして前者のかなりの割合が、西ヨーロッパ戦線より敗走してきた地球連合軍が占めていた。

 

港湾には、ダニロフ級やタラワ級強襲揚陸艦を初めとする軍艦が停泊していた。
浅く白い雪の積もる海岸の高台に一人の軍服姿の男がいた。

 

彼、旧第22機甲兵中隊指揮官 ハンス・ブラウン少佐は、海岸近くの崖に座っていた。

 

海岸には、テトラポットに似た奇怪なコンクリートの構造物がいくつも置かれている。それらの、一見すると現代アートの作品の様なコンクリートの塊は、
対戦車障害物、対モビルスーツ障害物という正式名称が与えられていた。

 

ヘブンズベース基地の防衛部隊は、この基地を攻略する為にザフトが上陸作戦を展開した際、
これらの障害物を海岸に多数配置してザフト側の車両やモビルスーツの上陸を遅滞、阻止し、
海岸で動きを止めた所を後方に展開する砲兵陣地や航空部隊、水上艦隊による支援砲撃で叩く予定であった。

 

だが、モビルスーツの進撃を阻止するのに有効な障害物の配置、形状は、
未だに研究中で、前線では従来の障害物を設置することしか出来なかった。

 

その男は、虚ろな目で、それらの奇怪なコンクリートの構造物が林立する寒々しい砂浜を見下ろしていた。
だが、彼は、視線の先にあるもの等、意識の埒外に置いていた。

 

彼が考えていたのは、ヨーロッパでの撤退戦の記憶、その最終段階で、
彼と彼の部下達を完膚なきまでに打ちのめしたシグーのことである。
あの戦闘から既に1か月以上が経過し、その後も彼と彼の指揮した第22機甲兵中隊は、西ヨーロッパ戦線において激闘を繰り広げてきた。

 

マース川の戦い…産卵期の鮭さながらに海から川を遡上してきた小型兵員輸送潜水艦に搭載された特殊部隊と護衛機のジン・ワスプから後方の補給所を防衛した。
アントワープ近郊の撤退戦、あの時は、戦車部隊と共に避難民の盾となって戦う羽目になった。

 

そして、イギリスへの撤退、輸送機部隊を護衛する戦闘機部隊は、数的にも、質的にも不十分で、
輸送機はザフトのディンやインフェストゥスを避けるために低空飛行するか、高高度飛行するかのどちらかしかなかった。

 

更に目的地に着いた後も安全ではなく、沿岸の飛行場は、
ザフト潜水艦隊のミサイルと艦載機による攻撃の危険性があった。

 

………これだけの激闘を経験した後の今でさえ、彼の心には、
あのシグーとの遭遇戦のことが、白い壁に染みついたタールの様に強く残っていた。

 

いかなる作戦も、共に戦ってきた戦友たちとの連携も、あのシグーのパイロットには通じなかった……あの死神は、今もヨーロッパの戦場で地球連合兵士の命を吸っているのだろう。
奴を倒す術等もはや存在していないのかもしれない…

 

「少佐殿!少佐殿!」背後からの彼を呼ぶ声が、彼を現実へと引き戻した。

 
 

「テイラー三等兵か。どうした?」ハンスは、振り返ると、声の主である若い褐色肌の兵士に言った。
「ロジャース少将殿が、お呼びです。」
サミー・テイラー三等兵は、開戦後に志願した大西洋連邦出身の兵士で、この戦争が始まる前は、ニューヨークでアフリカの民族料理店の皿洗いをしていた。

 

「…わかった(部隊の再編成に関する事だろうか…)」ハンスは立ち上がると、その場を立ち去った。

 

10分後、テイラー三等兵に案内されたハンスは、ロジャース少将のいる部屋の扉の前に立っていた。

 

「少佐殿のみを入れる様に言われています。」
「わかったテイラー三等兵、案内ごくろうだった。
ハンス・ブラウン少佐、到着しました。」
「入っていいぞ」

 

部屋には、家具の類は殆ど無く、木製の机と椅子が置かれているだけであった。
ハンスの目の前の机には、濃い金髪の頭髪を角刈りにした長身の初老の男が立っていた。

 

この部屋の主であるクレイトン・ロジャース少将は、大西洋連邦が介入した数々の武力紛争にも参加した歴戦の将校だった。

 

「よく来てくれた。ハンス・ブラウン少佐。単刀直入に話すことになるが、貴官には、大西洋連邦が開発を進めている
狄景軸鎰瓩了邯撹隊の指揮官の任に就いてもらう」
ハンスの目の前に座る白い軍服の将官は、狄景軸鎰瓩箸いΩ豢腓魘調して言った。

 

「新兵器でありますか?それは、どのような?」ハンスは一瞬呆気に取られ、新兵器について尋ねた。
新型のパワードスーツかモビルアーマーだろうか?まあ機甲兵の1指揮官に過ぎない自分が任されるような新兵器等碌なものではないな…
とハンスは、心の中で思った。

 

機甲兵…パワードスーツは、今でこそザフト軍のモビルスーツの活躍によってその存在が一気にクローズアップされているが、
それ以前はモビルアーマー、装甲車両に機動性、火力、装甲が劣っている上、コスト面では、従来の機械化歩兵に劣るという、
猜睚爾茲蠅皀泪鍬瓩癖鴫覆噺做されていた。

 

「…これから分かる。私が案内する。付いて来い。
決して貴官を失望させることはないと約束できる。」
「はっ」
その後、ロジャース中将とハンスは、部屋を立ち去った。

 

硝子片の様に透明で白い雪が容赦なく降り積もる中、防寒服を着用した2人の軍人は、目的の場所へと歩んでいった。
基地施設の中心部に近いその地区には、四角形の格納庫が、いくつも林立していた。

 

だが、それら格納庫の多くの中には、本来存在している筈の大砲や戦闘機や戦車といった兵器の姿は、全くない。
これら空っぽの格納庫には、戦力が実際よりも多いと見せかけ、ザフトにここへの侵攻を躊躇させる目的があった。

 

集団墓地の墓標の様な格納庫の羅列を超え、2人は、目的地についた。

 
 

2人がたどり着いたのは、格納庫の一つであった。車両の通行用と思われる入口には、閉ざされた鉄扉が鈍色に光っていた。
格納庫の扉の左右には、ゴライアス装甲服を着用した機甲兵が20mmチェーンガンを持って立っていた。

 

「!!(機甲兵!一体何があるっていうんだ?)」それを見たハンスは思わず驚愕し、眼を瞠った。
周囲に機甲兵が配置されるというのは、核弾頭並みの警備の厳重さである。

 

呆然とする彼を尻目にロジャースは、ポケットから銀色に光る物体を取り出す。それは、カードキーであった。
ロジャースは、右眼をドアのモニターに近付け、網膜認証を解除した。
次に右手の薬指をモニター横の指紋認証装置に押し付け、そしてドアに開いた小さな穴にカードキーを差し込む。
幾重にも張り巡らされたセキュリティが解除され、鋼鉄製のドアが開いた。

 

ドアの向こう側…格納庫内部の大半は、電力節約の為、闇が支配していた。
ロジャースは、その暗闇の中へと入って行った。セキュリティの厳重さに戸惑いつつもハンスは、その後に続く。
非常灯だけが点灯した格納庫の中は、他の格納庫と同様に空っぽだった。
だが、その奥には、地下へと続く階段があった。

 

ロジャースとハンスは、その階段を静かに降りていった。
階段の足元には、照明が付けられ、それが唯一の光源だった。

 

やがて階段が途切れ、2人の前に鋼鉄の扉が姿を現した。

 

ハンスの前に立つ白い軍服の将官は、右手で扉脇のテンキーにパスワードを入力していった。

 

パスワードの入力が完了し、警備システムを統括するコンピュータが承認すると同時に鋼鉄の扉が開いた。

 

「ここに狄景軸鎰瓩ある」

 

ロジャースが静かにそう言い終えると、照明が、地下格納庫を照らした。

 

暗闇の中に暫くいたことでそれになれてしまっていたハンスは一瞬照明の眩しさに目が眩んだ。
やがて、視力が回復すると、彼は、驚愕した…目の前に立つ狄景軸鎰瓩了僂法

 
 

「見給え、ハンス少佐」
「…これは!」

 

そこにあったのは、鋼鉄で出来た巨人、人間が技術の粋を集めて作り上げた機動兵器………
現在、地球圏最強の兵器である人型機動兵器 モビルスーツであった。
そしてそれは、今までハンスとその部下達を苦しめてきたいずれの機種とも違う形状をしていた。

 

ザフトの主力MS ジンとは異なり、頭部のセンサーは、魔眼のようなモノアイではなく、
北アフリカ方面のユーラシア連邦軍の兵士が着用している防塵バイザーに似た形状をしていた。
さらにそのボディは、ジンより、幾分かスマートで人間に近い外見をしていた。
そしてその手には、アサルトライフルを巨大化させた様な火器を握られていた。

 

「…モビルスーツ?!」それは、誘導兵器と物量に支えられた世界のパワーバランスを一変させ、
宇宙戦艦による大艦巨砲主義を粉砕した兵器、人類史上初のコーディネイター国家 プラントの軍事組織 ザフトのみが運用し、
その開発、生産能力を有しているとされている人型機動兵器であった。

 

そして今の地球連合に所属する兵員が士官学校を首席卒業した歴戦の老将軍から、開戦後に召集された若い新兵に至るまで実用化、戦力化を望んでいる兵器であった。

 

「驚いたかね…正式名称は、グラディウスという。ローマ軍団が用いた接近戦用の剣の名前だ。現在月基地と、とあるコロニーで開発中の別のタイプと共に戦力化が進められている。
この機体は、量産化も視野に入れている機体だ。」
「……!」
大西洋連邦……いや地球連合は、来たるべき反撃の日に向けて早くも
量産も視野に入れたモビルスーツ開発を推進し、戦力の再編を進めている……あの戦い以来、久しく失われかけていた闘志が蘇り、己の身体が奮い立つのを彼は感じた。

 
 

それを見たロジャースは、満足げに笑みを浮かべた。

 

「武装は、頭部イーゲルシュテルンとビームライフル、ビームサーベル………まず、
イーゲルシュテルン…これは、近接防御兵器として海軍の艦艇や宇宙艦艇に採用されているタイプと同一のものだ。
ジンの装甲を打ち破るのは困難だが、牽制には使える。次のビームライフルは、現在開発途中だが、
完成すれば現状存在する全てのザフトモビルスーツを破壊することが可能だ。」
「ビーム…ですか」

 

MS用のビーム兵器は、既にザフトのバルルス改特火重粒子砲が存在していたが、
実用性では稼働時間や冷却等の問題があり、更に地上では、重量増加と大気で威力が減衰するという問題から殆ど使用されていなかった。

 

だが、真空の宇宙空間では、レールガンやミサイルを上回る威力を持つ必殺の威力を誇る兵器として宇宙艦艇や宇宙要塞を初めとする
宇宙兵器での主力兵装の地位を確立していた。
欠点としては、実用的な威力のビームを生み出す電力が必要であること、
ビームの高熱に耐えられる砲身、ビームの熱を即座に冷却する為の冷却装置が必要なため、レールガンやミサイル等の実弾兵器と異なり、複雑化、大型化するという点がある。
ちなみに地球連合軍も、モビルアーマーへの搭載も一部の試験機レベルながら成功していた。
この様にこれまでは、ビーム兵器は、機動兵器に搭載する様な兵器ではないと見做されていたのである。

 

…そうこれまでは……

 
 

「そうだ。威力は戦艦の艦砲には流石に劣るが、現状のザフトのモビルスーツを一撃で撃破可能だ。これのエネルギーは、
機体のジェネレーターから直接供給される。」
「一撃で…」
ハンスは、噛み締める様に言った。
その脳裏をよぎるのは、これまでの苦闘の記憶…機甲歩兵部隊と砲兵、歩兵を用いた攪乱戦法、モビルスーツを撃破する為、重砲弾や対戦車地雷を複数重ねたトラップ…設置中には、危険があり、予想進路上にトラップを設置する等完全に運頼みのものまであった。
だが、目の前のMSの主兵装は、一撃でザフト側のMSを破壊することが可能な威力を有している。

 

これが、量産され、前線に纏まった数で配備されたら……連合は、この戦争に勝利できる。
あの死神を、仲間を殺したシグーのパイロットを倒すことができる!

 

期待感に胸を膨らませるハンスをよそに傍らに立つ白い軍服の将官は、説明を続ける。

 

「最後の兵装は、ビームサーベル 威力の面では最大の武装だ。だが、近接戦闘にしか使えない。
…ハンス少佐には、このグラディウスで編成される試験部隊の指揮官の任についてもらう。
貴官は、優れた部隊指揮官であると同時に機甲歩兵だ。パワードスーツの拡大型であるモビルスーツの操縦にも直ぐに適応できる筈だと、本国の技術士官達も期待している。
現在、モビルスーツを乗りこなせるのは、あの空の化け物共と同じ、遺伝子操作を受けたコーディネイターか、
それに匹敵する身体能力を持つ者達だけという状況なのは知っているな」

 
 

「はい、ですが、私に操縦できる能力が備わっているでしょうか?」
そう言ったハンスは、興奮する脳髄に氷塊を押し当てられた様な錯覚を感じた。

 

モビルスーツは、コーディネイターしか乗りこなせない…それは、このCE70年の常識である。
地球連合軍のモビルスーツ開発と実戦投入の最大の課題だった。

 

ハンスは、自身が優れた機甲歩兵であると自負していた。
だが、生身の能力がコーディネイター並みであるとは考えていなかった。

 

「貴官の懸念も解る。全軍の兵士にコーディネイター並みの身体能力を求めるのは、不可能だ。
このグラディウスは、試験段階だが、いずれ正式採用される機体は、ナチュラルでも操縦できる操縦性を有しているという前提だ。
君には、それを開発する為にこのグラディウスに搭乗し、機体の改善の為に戦ってほしい。
グラディウスの操縦性改善の為に技術者達も奮闘している。
貴官も、現状モビルスーツを持たないままでは、敵に勝つことはできないと解っている筈だ。
そして、祖国の為、地球の為、市民の為に戦う覚悟を持っている筈だ。」
「はっ」
ハンスは、敬礼した。

 

それは、新兵だった頃、教官と背後にはためく祖国の国旗に返した敬礼と同じものであった。
少将も敬礼を返した。

 

直後、2人は、格納庫を去った。

 

「(格納庫の機体が、実は、強化プラスチックで作ったレプリカだということを少佐に言うのを忘れてしまったな…)」
ふと、ロジャース少将は、ハンスに言うべきことを忘れていたことを思い出した。

 

新たなる希望が、静かに胎動を始めていた。

 
 

「連合兵戦記」6章 4  「連合兵戦記」間章 ドラゴンレディ 地球連合戦略爆撃隊

 
 

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