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『ONE PIECE』VS『SEED』!! 514氏_プロローグ

Last-modified: 2013-12-24 (火) 04:07:34

 一体なんだったんだ、とその時シン・アスカは心の中で嘆息した。
 それは何か特定の事柄に対してではなく、今まで過ごしてきた自分の人生を振り返ってみてみたときに、不本意ながらも浮かんできた感想であった。
 なぜなら、彼はここ一番というときに限って、いつも無力だったからである。
 自分が守らなければならなかった(当時のシンにその意識があったかは別ではあるが)妹のマユや、自分しか守ろうとしていなかったステラ。二人のことを思い出すたび、もっと力があったならと思わずにはいられない。
 また、ザフトの一軍人としては勿論、彼女達のためにも、今度こそは確実に倒そうと誓ったフリーダムも、ふたを開けてみれば、フリーダム以前に元上司のアスラン・ザラによって逆に自分が撃墜されてしまったのである。しかも、そのせいで機体は今にも爆発寸前、システムも停止してしまい、脱出不可能なこの鉄の棺桶の中でその瞬間を待ち続けているだけという、なんとも情けない有様。
 一人で盛り上がって突っ込んで、結局何もできてやしない。
 これじゃあまるで、

「かませ犬か道化じゃないか」

 いつものシンなら、つぶやくだけでは終わらずに八つ当たりの一つもしそうなものではあるが、さすがにこんな状況ではいつもほど感情は高ぶらないらしい。それどころか、徐々に心が落ち着いていく。
 走馬灯にしてはやけに自主的な回想はまだ続いた。
 今度浮かんできたのは仲間達のことだったが、一緒に戦った人たちのことを落ち着いて思い出すに、自分にとって本当に『仲間』と呼べ、また呼んでくれるような人間がどれだけいたのだろうかという疑問も浮かんできた。アーモリーワンからずっとともに戦ってきたレイ・ザ・バレルとルナマリア・ホークの二人には、確固たる絆のようなものを感じてはいる。レイは親友であるし、ルナは恋人だった。
しかし、自分が彼らに対して、胸を張って仲間であるといえるほど何かをしていただろうか。一方的によりかかっていただけなのではなかったか。

「はあ・・・」

 ため息がひとつ漏れる。
 時間にして十秒と少し。そこでシンは多大な反省と悔恨を残しながらも、人生の総括を終えた。
 しかし、このときの彼には知るよしも無かった。ここで終わりではないことを。今までの十六年など、ほんの序章にしか思えに様な物語がいまから始まるということを。
彼の目の前には、あの『偉大なる航路』が広がっているのだ。シン・アスカの物語はようやく本番を迎えるのである。
そして、それから数秒もせぬうちに、彼を乗せたままデスティニーは爆発する。それはまるで主の新たな門出を祝うように、誇らしく宇宙に咲いたであった。

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