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もしもアーサーがミネルバの艦長だったら_第12話

Last-modified: 2007-11-06 (火) 17:02:53

〜ディオキア付近、連合軍基地〜

インド洋からディオキアへとやってきたファントムペイン部隊だったが、
珍しく少しの休暇が与えられ、ネオやステラ達に自由時間が与えられた。

「えー・・・というわけだから、おまえ達も自由に行動して来ていいぞ。」
ネオの言葉にスティングとアウルは喜んだ。

「やったぜ!街に買い物でも行こうぜスティング!」
「おうよ。ステラはどうする?」
「・・・1人で散歩でもして来る・・・。」
「そっか、あんまり遠くには行くなよ。」
「・・・分かった。」
3人は私服に着替え、そえぞれ車と徒歩で基地から出かけて行った。

基地から出たステラは、近くの海岸沿いの道路を歩きながら海を見ていた。
「いい風・・・。」

歩きながら、空を飛ぶカモメを眺めていたステラは、岸壁の道路から
突き出している崖を見つけた。・・・あそこならもっとカモメさんがよく見えて、
潮風も気持ちいいかも・・・。そう考えたステラはガードレールをこえて、崖に降りた。

〜一方、ザフト軍基地〜

ザフトの方でも、久しぶりに休みが与えられた。
議長との会談の後、自由時間となり、ミネルバのクルーも街へと繰り出して行った。
ホーク姉妹は街へ洋服を買いに、ハイネとレイはMSの整備状況を確認しに行き、
アーサーは艦長室へと閉じこもった。

「よし・・・!久しぶりの自由時間だ!積みゲーを今のうちにやっちゃうか!」
・・・エロゲパーティの始まりだった。

そんな中、シンは1人で海岸沿いにバイクでツーリングにでも行く事にした。
「適当な所でも走ってくるか・・・他にやりたい事もないし・・・。」
アーサーに出かける事を伝え、シンはバイクに乗って基地を出て行った。

「〜♪〜♪」

鼻歌を歌いながら崖の上で踊るステラ。気持ちよさそうな風が吹き抜けていく。
飛ぶカモメを見ながら、もう少し崖の先に足を踏み出した時だった。

ガラッ・・・

「え・・・?」
突然、ステラが立っていた部分の岩場が崩れ、ステラはバランスを失った。

一方、バイクで海岸沿いを走っていたシンは、視線の先に人影を見つけた。
「・・・?人?」
少しスピードを落とすと、その人物の姿が目に入った。
「女の子・・・?なんでこんなところに。」

その女の子は何やら歌いながら回っていた。
「なんだろう・・・変な子かな。」
その時、その少女の立っていた足場が崩れた。
「あっ!」

「きゃあああぁああ!」
ステラは崩れた岩場もろとも、海に落下してしまった。
「大変だ!!」

シンは急いでバイクを降りると、ガードレールを飛び越え、崖に下りた。
崖の端から下を見ると、海面に頭を出して必死に助けを求める少女の姿が見えた。
「くそっ・・・!助けを呼びに行ってる時間なんてないか・・・!」

「待ってろ!今助ける!」
シンは覚悟を決め、一気に崖下の海へと飛び降りた。

そのころ、ミネルバの艦長室ではアーサーが2本目のエロゲをクリアしたところだった。
「・・・これは感動物だったなあ・・・ツンデレヒロイン攻略には苦労したぜ・・・。」
シンの状況も知らず、1人エロゲパーティを続行するアーサーであった。

「はぁはぁっ!おい!大丈夫か!!」
「う、うん!」

シンは海に飛び降りると、すぐにステラに駆け寄り、
体を抱きしめた。

「おい、泳げるか!とりあえず、あそこに見える洞窟まで泳ぐんだ!」
「わ、分かった。」
シンとステラは崖下に見つけた隙間にある洞窟目掛けて泳ぎだした。

「はぁ・・・はぁ・・・くそっ・・・。」
「ふう・・・あ・・・あの・・・。」
「体は怪我がないみたいだな。びっくりしたよ・・・突然落ちるんだもの。」
「た、助けてくれて・・・ありがと。」
「え・・・あ、ああ。と、当然のことをしたまでだよ。・・・えと・・・君、名前は?」

「ステラ・・・。」
「ステラっていうのか。俺はシン、シン・アスカって言うんだ。」
「シン・・・。」
「うっ、全身びしょぬれだ・・・。とりあえず、服を乾かさなきゃ・・・。」
「服・・・脱ぐの?」
「え?ああ、俺は脱ぐけど、君は・・・ってちょ!ちょっと!」

突然ステラは服を脱ぎ出しはじめた。
慌てて後ろを向くシン。

「服・・・濡れたから乾かす・・・。」
「だ、だからっていきなり・・・!」
「シンも、早く脱がないと風邪・・・引く。」
「あ、ああ。今脱ぐから・・・。」

シンとステラは脱いだ服を岩場に置いた。

「ええと・・・とりあえず火をつけて暖めよう。そこの木の棒が良さそうかな・・・。」
シンは洞窟内に落ちていた木を集め、原始的な方法で火をおこした。

「ふう・・・。」
「あったかい・・・。」
それぞれ、下着だけになった2人は背中合わせで座りあった。

「そろそろ服も乾いたみたいだね、行こうか・・・。」
「・・・うん。」

焚き火で十分あったまったシンとステラは、乾いた服を着て洞窟から出た。
「よっと・・・ここをなんとか登っていけば上に出られるかな・・・。」
登れそうな岩場をつたい、2人は上の道路へと降り立った。
既に辺りは暗くなっていて、日が落ちていた。

「まいったな・・・。もうこんな時間か・・・。そういえばステラは
 どこから来ていたんだい?家は?」
そう尋ねたシンの耳に、車の音が聞こえてきた。

「・・・おぅ〜い、ステラー!」
視線を向けると、道路の向こうから1台のオープンカーがこちらに走ってきた。

「え・・・?」
その車は走ってくると、シン達の前に急停車した。
「やっと見つけたぜ・・・。こんなとこで何してたんだよステラ。」
「まったくだよ。早く帰んないとネオに叱られちまうぜ?」

「アウル、スティング・・・。」
「え、ステラの知り合い?・・・よかったね、迎えが来て。」

「ん?ステラ、なんだこいつは。」
「シンっていうの・・・。私、崖の上で踊ってら海に落ちちゃって・・・。
 それをシンが助けてくれたの・・・。今までは濡れた服を乾かしてた・・・。」
「あー・・・なんつーかドジだなお前も・・・。ええと、ステラを助けてくれてありがとうな。」
「い、いえ、俺もあの時は必死でしたから・・・。」

「ステラ、早く乗れよ。もう行くぜ?」
「うん・・・。」
スティングに急かされ、ステラは車の後部座席に乗った。

「じゃあね、ステラ。もう会えるかどうか分かんないけど・・・元気で。」
「うん・・・シンも。」
「兄ちゃんも気をつけて帰れよ。・・・それとも途中まで乗せてってやろうか?道は?」
「あ、いえ、自分はバイクがあるんで・・・。」
「そっか、分かった。・・・じゃあな。」
暗い海岸沿いの道路をステラ達を乗せた車は走り去って行った。

「ステラか・・・。可愛い子だったな。おっと、そろそろ自分も戻らないと!」
シンは急いでバイクにまたがり、基地へ向けて走り出した。

そして、シンが帰ってこない事を心配するミネルバクルーを尻目に、
そんな事情も知らないアーサーはまだ艦長室でエロゲをしていた。
「ふう・・・5本目クリア・・・。さすがに目が疲れてきたな、今日はそろそろ終わりにしよう・・・。」
PCの電源を落としたアーサーは、後片付けをするとベッドに寝転がった。

〜オーブ国防本部、司令室〜

「なんですって?艦隊を遠征派遣させる!?」
トダカ一佐は大声を張り上げた。

国防本部の司令室には、彼だけでなく他の将官や部下の
アマギ一尉らも集まり、ユウナの話を聞いていた所だった。
「ああ、そんなに驚かないでくれよ。・・・一応もう決まってしまった事なんだ。」

「もう連合と同盟を組んでしまった以上、なんとなく予想はできていた事ですが、
 これは連合軍からの命令なのですか?」
「ああ、ジブリール殿から直々の命令だよ、オーブ海軍にも、ザフトの新鋭戦艦
 追撃のために艦隊を派遣してほしいそうだ。」
「しかし新造空母まで投入するとは・・・。」
「仕方ないさ・・・。我が国としても、少数の艦を派遣するだけで連合に不信感を
 与えるわけにもいかないしね。」

「またアダルトゲームにつられたのではありませんか?」
突然トダカが言った。
「え?ええ、その・・・いや全然そんな事はないぞ!」
「はあ・・・。」

「と、とりあえずだ。遠征艦隊は空母タケミカズチを旗艦として、イージス艦を後は
 6〜7隻程度派遣する事になる。タケミカズチの艦長はトダカ一佐、あなたに頼むよ。」
「・・・分かりました。」
「あと、僕も一緒に行く事にしたから、よろしく。」
「え?ユウナ殿もですか?」
「ああ、連れ去られたカガリの行方も気になるけど、ミネルバの戦いぶりをこの目で
 見てみたくてね(・・・アーサー君は果たして元気にしているかな?)。」
「・・・了解しました。」
「よし、早速出港準備だ。」

数時間後、オーブの軍港から空母を含む遠征艦隊が出港していった。

〜オーブ市街、安アパート〜

「くそっ!また不採用か!」
アパートの一室でアスランはたった今届いた不採用通知を
壁に投げつけていた。

ボディーガードを解雇された後、残っていた金で彼はアパートの部屋を
借りて、毎日オーブ総合職業安定所へ顔を出していた。
求人雑誌なども大量に持ち込み、部屋の中は雑誌と履歴書などで
あふれていた。

「あーもう!どうして採用してくれないんだ!」
アスランはテーブルを叩くと、そばにあった野菜ジュースを飲み始めた。
「はあ・・・食費と光熱費もばかになんないや。」

アパートの部屋には、家具屋で買った安テーブルと小さな冷蔵庫、テレビ、
戸棚などを置いていたが、風呂はなく、毎日銭湯通いだった。
「それにしても暑いな・・・やっぱり冷房買えばよかったかな。」
うちわで扇ぎながら、アスランはまた履歴書を書き始めた。

「あー・・・暑い・・・ええと・・・志望動機・・・あ、くそっ!もう証明写真がないじゃないか!」
アスランは財布を開くと中を確かめた。
「この際もうスピード写真でいいかな・・・いっそのことプリクラでも・・・。」

テレビをつけると、ニュースでオーブの艦隊が遠征出発する様子が流れていた。
レポーターが軍港で、出港していくオーブの艦隊の様子を伝えている。
「オーブ軍が遠征するのか・・・。行き先はどこだろう・・・。
 ・・・っと、そんな事より、そろそろ夕飯の材料でも買いにいかなきゃ。」

アスランは財布を掴むとサンダルを履いてアパートの部屋を出て行った。

〜アークエンジェル、ブリッジ〜

ブリッジではラクスやカガリ達が今後の事を話していた。

「なあ、ラクス、そろそろ私をオーブへ返してくれないか?
 お金の方も当分は心配がなさそうだし、頼むよ。」
「そうですわね・・・。資金も一応十分になりましたし、これ以上
 カガリさんにも迷惑はかけられませんものね・・・。」
「そっか、助かる。」

「マリューさん、キラも別にかまいませんわよね?」
「ええ、私は別に。カガリさんもオーブが心配でしょうしね。」
「ラクスの好きにすればいいさ。カガリも災難だったよね。」

「すいませんカガリさん、色々と迷惑をかけてしまって。」
「ああ、もういいよ。すんだ事をいってもしょうがないし。」

「で、ラクス、それでどうするんだい?ここからじゃオーブはかなり遠いけど。」
「先ほどニュースで、オーブの艦隊が遠征派遣をしたというのを見ましたわ。
 どうやら・・・ザフト軍の新型戦艦を追撃するために派遣されたらしいですわ。」
「なんだって?オーブ軍が派遣?」
カガリが驚いたように言った。

「いや、連合と同盟を結んでいるのだから、それは当然予想できた事か・・・。
 それにしても・・・確か新型戦艦、ミネルバってのはディオキアにいるんだろう?」
「ええ、それも前、入港したとニュースで言ってましたわね。」
「だとすると、ミネルバは迎撃のために出港する可能性が高いな。」
「ええ、ここからですと・・・そうですわね、オーブ艦隊と鉢合わせしそうなのは、
 ダーダネルス海峡辺り・・・でしょうか。」
「じゃあそこへ行けば艦隊に会えるんだな!?」
「ええ・・・恐らく。カガリさんはとりあえず、そこでオーブの艦隊へ帰ればよろしいですわ。
 たぶん、オーブの方々も、カガリさんを見れば戦闘をやめて下さるでしょう。」

「ああ、それで私はオーブに戻る事にするよ。」
「では、ダーダネルス海峡へ向けて行きましょう!」

アークエンジェルは一路、海峡を目指した。

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