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ウルトラマンデスティニー_第23話

Last-modified: 2007-11-17 (土) 04:04:22

尖兵怪獣ギャンザー、クレア星雲人ソル 登場









─宇宙─



「メーデーメーデー!」「グアアアア!こ、このザ・短命と呼ばれたこの俺が」

ハサミのような手から発射された光弾がイーグルのエンジンを直撃する。見慣れた光景だ。

「なんなのこいつ!何もないところから現れたわよ!?」「敵であることは確かだ、撃て!」

怪獣の腕を攻撃する二機。レイの砲撃は怪獣の手首に命中、左手を焼き千切ることに成功した。次はルナだが・・・

「ごめん、外したみたい」

ここ一番で外す才能が発動、ビームは宇宙の暗闇に吸い込まれていった。それを見た怪獣は右手をルナ機に向けた。

「キュルルルル」

人間で言えば顔の部分にある黄色い球体が点滅する。そしてその腕先から光弾が発射された。

「シェアーッ!」

その時怪獣の前に割ってはいる光。ウルトラマンだ。光は光弾を跳ね返して怪獣に命中させる。戦いが始まった。





「お姉ちゃん達、無事かなあ。シンとハイネは駄目だろうけど」

アスランの操縦するイーグルSの中で、メイリンは心配そうに黒い宇宙を見上げた。

「君も大丈夫か?もしかすると宇宙人の治療をすることになるかもしれないぞ」

「私だってミネルバ隊の一員ですよ?・・・あっ、見えた!」

メイリンの視線の先には、宇宙を漂うカプセルがあった。SOS信号が発信されているそれが今回の任務の目的だ。





「ハッ!ツェイ!」

怪獣が発射する光弾を拳で叩き落とす。しかし怪獣は腕だけでなく頭部の球体からも光弾を撃ち、手数を増やす。

「!ッウア!?」

いきなり増えた光弾を捌けず胸に食らってしまう。更に鞭のようなものがインパルスの胴に巻きついた。

「ギュルルルルウン」

怪獣の左手首から触手が伸び、締めつけてきたのだ。締める力は強くないものの動きは制限されてしまう。

「ウルトラマンが捕まえられた!?」

(くそっ、捕まえたのは、こっちだあーっ!)

首を締められながら、腕をクロスしてスパークさせる。そこから発射された青白い光線は見事に怪獣に命中した。

「よし、最後だ!」

怪獣の伸びた触手をイーグルが撃ち切る。怪獣の体がグラリと傾き、活動を停止した。頭部の点滅も止まっている。

『こちらアスラン。カプセル回収に成功した』

「こっちも終わったところだ。今から合流・・・!?」

突如怪獣の顔にある球体が光り始めた。まだ生きているのか?そう思いウルトラマンが近づいたその時。

「まずい!逃げろウルトラマン!」

強い光を放ち、怪獣が大爆発した。その規模は大きく、近くにいたウルトラマンを飲み込んでいき・・・







─OMNIメディカルコロニー─



急激に進歩する宇宙開発に伴い、OMNIは医療・研究目的のコロニーを開発した。ここはその一つである。

最新の医療設備は勿論のこと、様々な研究が進められており宇宙人やその技術についても分析が行われている。







─病室─



「くそ、痛いなまだ」

コロニー内の病院に運ばれたシンはギプスで太くなった足を見て顔を歪めた。横にはルナマリアが立っている。

「まさかあの怪獣の爆発に巻き込まれるなんてね。運がないと思って諦めたら?」

「全治三週間だぞ?折角ガロワから戻ってきたのにいきなりこれはないよ・・・」

「割り切れよ。でないと今度こそ死ぬぜ?」

横のベッドで寝ているハイネが口を挟む。お前が言うなと思うシンとルナマリア。その時病室のドアが開かれた。

「待たせた。今タリア艦長と連絡を取ってきたところだ」「大丈夫か二人とも?」

「レイ、アスラン。どうだって?」

「結論から言うと、シンとハイネだけでなく俺たちもこのコロニーにしばらく残ることになった」

「ミネルバはまだ修理が終わっていない。イーグルも減りこれでは戦力にならないという判断だな」

「じゃあ休めるってこと?艦長も気が利くわね〜」

任務から解放されたと喜ぶルナマリア。しかしレイはそれを断ち切り言った。

「ただし、保護した宇宙人の扱いは俺たちに任せるという条件付きだ。残念だったな」

ガクリと沈むルナマリア。その時アスランがその場にメイリンがいないことに気付いた。

「あの子ならずっと宇宙人のところよ。美形だかなんだか知らないけどちょっと入れ込みすぎだわ」

「その宇宙人だが先程治療室へ移されたという報告が入った。見に行くのもいいだろう」







─特殊治療室─



「すいません、あの、彼は・・・」

治療室の中に入ったメイリンは、ベッドの側にいる医師に尋ねかけた。

「少し衰弱していたようです。命に別状はなさそうですが意識が戻る気配はありませんね・・・では」

そう言うと医師は厳重なロックのかかったドアから出て行った。この場にはあまりいたくないといったふうだ。

「怖がることないのに・・・ちょっと失礼だよね」

そう言いながらベッドの横のドアに座るメイリン。四方を囲む監視カメラに気付き溜息を吐いた。

「こんなに見られてちゃ気持ちよく起きれないわよ・・・ねえ、貴方は何処から来たの?名前は?」

ベッドの上に横たわる宇宙人に話しかけるメイリン。シン達はその様子をマジックミラーの外から見ていた。

「驚いたな、地球人と何ら変わらない姿だとは」

「カプセルを回収した直後は俺も吃驚したよ・・・検査の結果身体構造も人間と同じらしい」

「嘘だろ・・・宇宙人とかいうのは間違いじゃないのか?」

杖をつきながらシンが言う。視線は宇宙人に釘付けだ。

「彼の乗っていた宇宙船は現行技術で作られたものだった。しかしその形状は特殊でどこにも登録されていない」

「あの突然現れた怪獣のことも気になる。メイリンには早く怪獣の分析作業に戻って欲しいところだが・・・ん?」

メイリンの様子が変わった。急に立ち上がり、ナースコールを押している。シン達は治療室へ急いで駆け込んだ。

「どうしたメイリン!?」

「皆!彼が・・・今、眼を開けて言葉を」

メイリンに言われて宇宙人を見る。彼らの前で、宇宙人は口を開いた。

「・・・僕の名前は・・・ソル」







─取調室─



用意された部屋の中、ルナマリアはソルと名乗る宇宙人と机を挟んで向き合っていた。

「貴方の名前は?」

「・・・この星の言葉に直すなら、ソル。ソル・リューネ・ランジュです」

「ソル、貴方は何処から来たの?」

「クレア星雲です。この太陽系には惑星調査の目的で来ました」

「本当に?じゃあ何故貴方は私達と同じ姿で同じ言葉を使えるの?」

キッとした目でソルを見据えるルナマリア。ソルは眉をひそめた。

「貴方には僕に対する敵意が感じられます。何故ですか?」

「・・・なんですって?聞かれていないことは答えないで」

ルナマリアが怒り立ち上がる。その時部屋にメイリンが入ってきた。

「お姉ちゃん!」

「メイリン!どうして入ってきたの」

「どうして彼を信じてあげないの!?そんな風に彼を疑うのなら私に代わって!」

真正面から妹に反抗されて戸惑うルナマリア。追いうちをかけるように後ろのソルが言った。

「・・・僕も、彼女と話してみたい」







─病室─



「で、メイリンが取り調べすることになったのか。大丈夫か?」

「問題があればすぐに変更する。奴は武器は持っていない。もしもの時も俺たちが兵士が見張れば問題もないだろう」

今やミネルバクルーの溜まり場となったシン&ハイネの病室。その隅っこでルナマリアは一人肩を落としていた。

「どうしたんだルナマリア。いつもの君らしくないぞ?」

アスランが声をかけるも顔を向けようともしない。相当落ち込んでいるようだ。

「気になるならシンのように見に行けばいいだろう。監視は何人いても悪くない」







─特殊治療室─



治療室ではメイリンが花瓶に花を生けていた。殺風景な部屋に隔離されっぱなしでは寂しいだろうと考えたのだ。

「これは花っていう地球の植物なの。これを見てると優しい気分になれる。そんなことない?」

そう言って花瓶を机に置くメイリン。ソルは穏やかな目で花を見つめている。

「そうだね・・・うん、君の言うとおりだよ」

微笑むソルに、メイリンも微笑み返した。そこへシンが入ってくる。

「仲がいいんだな。ルナマリアが妬いてたぞ」

「シンさんもソルに何か聞きに来たんですか?」

「いや、俺は・・・その、ちょっと興味があっただけだよ。本当だって!」

杖をつきながら片手を振って潔白を主張するシン。すると意外にもソルの方から話しかけてきた。

「僕の名前はソル・リューネ・ランジュです。よろしく」

「あ、ああこっちこそ。俺はシン・アスカだ」

握手をする二人。ソルの掌は人肌の温もりを持っていた。

「・・・・・・」

ルナマリアはそれを部屋の外からやるせない気持ちで見続けていた。



しばらくの間、何事もなく時は過ぎていった。ソルはアスランやハイネ、病院にいる人々とも親しくなった。

その容姿と物腰は彼が宇宙人だという認識を、反抗の意思や力を持たないことから警戒心も和らげていった。



「ソルはどうして俺たちと同じ言葉を話せるんだ?」

ある時シンは聞いてみた。メイリンは取調べではソルが困るような質問を避けていたのだ。

「僕の喉には宇宙言語変換機が埋め込まれていて、あらゆる言語を解析、マスターできるんだ」

「凄いなそれ・・・それじゃあ地球人と同じ体なのは?」

「それは・・・僕が惑星調査員だからさ」

「え?どういうことだよ?」

「人間は違う姿をした生物を敵視するということだよ」

それ以上はまた今度、取り調べの時に話す。そう辛そうな顔で言うソルに、シンは何も言えなかった。



地球のこと、ソルのこと、ソルの来た惑星のこと。シンとメイリンはソルと様々な話をした。

『私、シャー・アスナブルが清掃しようというのだ!アフロ!』

『エコだよ、それは!』

「これは?」

「地球環境のCMだな。公害をなくなったけど、環境維持は人類の永遠の課題か」

「青い地球を守るのは怪獣退治だけじゃないってことですね。そう言えばソルを襲った怪獣は何だったの?」

「あれはギャンザー・・・僕達の母星で造られた尖兵怪獣です」

「どうしてそれがソルを?」

「僕にもよくわかりません・・・しかしあの怪獣を倒すとは地球の文明は凄いですね」

「ソルの宇宙言語変換機とかのほうが凄いよ!あんなのこの星じゃ百年かかっても作れそうにないもん」

「・・・・・・」



二週間以上経ち外出を許されるようになったソルは、メイリンとシンと一緒にコロニー内の自然公園を歩いていた。

「このコロニーってかなり自然が多いな。医療研究とか聞くとちょっと陰気なイメージがあるのに」

「だからこそ緑化に力を入れてるんですよ。もうコロニーも地球と変わりませんね〜」

青々と茂る木々の下、メイリンはコロニーの天井に映された空を見上げた。ここではほとんどが快晴だ。

「地球にはこんな自然が沢山あるのかい?」

「ええ。この前は環境問題があると言ったけど、地球は水と緑が残ってるわ。ソルの星はどうなの?」

「ここから見た地球はまるで宇宙にきらめくエメラルドのようだった・・・僕の星もきっとそうなのかもしれない」

「ソルの母星が見てみたいな・・・ソルも地球に来ればいいのよ。ソルの星と友好関係を結べばきっと来れるわ」

「そうだね・・・あの星なら、僕らも・・・」



すっかり仲良くなった三人を、ルナマリアとレイが木陰から見張っていた。

「・・・気を許しすぎだなシン・・・メイリンも近頃はまともな取調べをしていない」

「でも楽しそうね・・・メイリンなんて私以外の人には敬語使ってたのに」

「・・・・・・なんだ?アスランから通信?」









─病院─



シン達が少し歩いて病院に戻った時、ホールには小さな人だかりが出来ていた。

「なんだ?ちょっと見てくるからここにいてくれ」

杖なしで歩けるほどに回復したシンが人だかりを押しのけると、そこでは数人の人物が対峙していた。

「そんな報告はまだ受け取っていませんが」

対峙している片方はアスランとハイネだった。もう片方は三人。ブルーコスモスの軍服を着ている。

「これは命令だ。俺達に捕らえたエイリアンを引き渡せ」

三人の真ん中に立つ銀髪の男が言った。両サイドにいる女と眼鏡をかけた男もそれに続く。

「聞けば尋問は進んでないらしいじゃない?まあ経験のないあんた達じゃ仕方ないかもだけど」

「地球でやった方が早いってこと。こっちはジブリール参謀の命だぜ」

威圧的な雰囲気を振りまく三人が、シンは見ていて不快だった。つい声をあげてしまう。

「あんたら一体なんなんだよ!?ソルを勝手に引き渡せだと偉そうに!」

「何コイツ?」

露出の多い軍服を着た軽そうな女がシンを一瞥する。銀髪の男が説明口調で言った。

「シン・アスカ・・・ミネルバのパイロットで被撃墜数二位の男か」

まるで馬鹿にしたような説明に、眼鏡をかけた黒人の男が笑い転げた。

「ハハハ!なるほどそれで包帯巻いてるのか!侵略者に入れ込むより寝てた方がお似合いだぜ」

「侵略者なんかじゃありません!」

そこへ人混みの中からメイリンとソルが現れた。メイリンの顔は怒りの為か心なしか赤く染まっている。

「エイリアンの肩を持つのか?宇宙に住む者同士で仲良くなって、まるで基地外病院だなここは!」

「それは違います!」

眼鏡の男がまた笑おうとした時だった。ソルが強い口調で叫んだ。その場の空気が一瞬止まる。

「思い込まないで下さい!僕は侵略者じゃありません!」

「お前・・・!」

男の声に殺気を込もる。爆発寸前といった顔だ。しかし銀髪の男がそれを止めた。

「・・・もうやめろ。ここで騒ぎを起こすのはまずい」

周りは病院の関係者が集まっていた。その誰もが自分達に非難の視線を向けている。

「クッ」

人混みを抜け、去っていく三人。銀髪の男がソルと目を合わすことはなかった。







─病室─



「なんなんだよあいつら?いきなり来てあんな無茶こと言いやがって」

病室のベッドで寝転がりながらシンがぶつくさと文句を言う。アスランとハイネが説明をする。

「あいつらはブルーコスモスの第81独立部隊の奴らだ。真ん中の奴が隊長のスウェン・カル・バヤン」

「あとはミューディーとシャムス。地球で結構な戦果を上げてるエリートらしいぜ」

フンッと鼻で飛ばすシン。そこへレイが戻ってきた。

「正式な命令はまだのようだが、やはり俺たちの対処が甘かったようだ。総監でも抑えきれるかどうか」

「俺たちの所為だって言うのか・・・?」

「明日、正式な決定が下されるだろう。それによっては・・・」

窓から見えるコロニーの天井は夕暮れ色で塗りつぶされていた。







─特殊治療室─



「あんな人達もいるんだね・・・当然か、今まで地球を訪れた異星人は侵略を行ったんだから」

「そんなことないよ!地球人の味方をしてくれた宇宙人だっていたもの!」

「だけど僕がここで教えてもらった地球の歴史でもそんなことは珍しいことだった」

「ごめんなさい・・・でも地球人はあんな人間ばかりじゃないはずよ」

申し訳なさから謝るメイリン。ソルはじっと上を見ている。

「わかっているんだ、どんなに綺麗に見えても実際は・・・人間も、地球も同じさ」

「ソル・・・?」

「ごめん、今日はもう休みたいんだ。少し一人にして欲しい」

すごすごと部屋を出るメイリン。それを見守るルナマリアだが、妹に声をかけることは出来なかった。



その夜。ソルは姿を消した。



ソルは侵略者だったのか?ソルを探すメイリン達。

そして地球の命運をかけた戦いが始まる。







次回「星を見る者」