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キラ+SフリーダムVSミュウツー

Last-modified: 2014-03-10 (月) 15:37:12

C.E.68某日

コロニー・メンデル

「それにしてもいつぶりかしら?貴方とこうして、お話できるなんて」

カツラ・グレン、彼女は自室にある者を招いていた。

ギルバート・デュランダル、元メンデルの研究員だった男だ。

その傍らには、金髪の少年がいた。彼の名はレイ・ザ・バレル。

「ナチュラルとコーディネイターの対立は年々酷くなるばかり……ヒビキ博士夫妻という惜しい方達も亡くしたわ」

寂しげに笑いながら、カツラはそう話す。

「でも貴方、今は最高評議会にいるのでしょう?忙しいのではなくて?」

上目遣いで、少し悪戯っぽく訊いてみる。

デュランダルは、はぐらかすようにこう返した。

「君こそ、呼んでくれたいうことは……例のあれはまだ続けているのかい?」

「あら、興味がある?やっぱり、元研究家としては」

デュランダルに問い対するカツラの答えはYES。

カツラはまた、上目遣いでデュランダルに訊いてみた。

黙っているが、デュランダルの答えもYESのようだ。

レイを置いて、二人は部屋を出る。

向かう先は、カツラのラボである。

「アプリリウスに展示されてるあれは偽物。それはご存知の通り」



「ジョージ・グレンの孫である君だ、簡単にはいかなかったが研究するといって化石を持ち帰った」

「スポンサーの出してくれた研究資金は、スポンサーと一緒にもう無くなってしまったけど」

通路を歩きながら、そんな会話が続く。

カツラとデュランダルは、研究員でも高い地位の者しか出入りができない区域にやってくる。

カードリーダーを通し、網膜スキャン。

そうしてやっと、かたく閉ざされた扉が開く。

「これが……あのエヴィデンス01だというのかね」

部屋に入るなり目に映ったそのものに、デュランダルはそんな第一声を発した。

「進化、そう言うには少し大げさかもしれないけれど、あのクジラのような形態はこの形態のその後なのよ」

培養槽の中には、一体の生物がいた。

明らかに人に近い形状をしており、クジラとはかけはなれている。

「この子はエヴィデンス01の遺伝子データを解析して創造した、いわばクローン」

試験体。そういうことかと、デュランダルは心の中で納得した。

「エヴィデンス01は宇宙を旅し、途中星にもとまるでしょう。様々な形態に進化してあらゆる環境に適応する……」

あくまでそれはカツラの推測であり、事実かは定かではない。





ただ、木星圏で発見されたエヴィデンス01の化石のような羽のあるクジラの姿は、そこにはない。

「この人型に近い形態は、惑星内の環境に適応している形態ということね」

培養漕越しに、彼女はそれを撫でた。

まるで、我が子をあやす母親のように。

「ミュウツー……いえ、エヴィデンス02と言うべきかしら」

「終わらない世界の救世主(Messiah of Endless World)……その二世と呼びたいのかね」

Messiah of Endless Worldとは、カツラがデュランダルなどの仲間内に話したエヴィデンス01のキャッチフレーズのようなもの。

それの頭文字を取りMEW……ミュウと、カツラは呼んでいた。

「エヴィデンス01……ミュウが母というのなら、ミュウツーはその子供ですもの」

未だ眠り続けるミュウツーを見つめながら、カツラは言った。

「ミュウは、私達に希望をもたらした。この戦いばかりの終わりの無い世界に一筋の光を見せてくれた」

エヴィデンス01は地球外生物の存在証拠。

カツラはそれに、人の新たなる可能性を見出した。

人にはまだ先がある。外宇宙、その先にはミュウツーのような存在が、まだいるのだろうかと。





「火星圏にだってもう人は暮らしているのよ。ナチュラルだってコーディネイターだって必ず……」

話している最中、警報が鳴り響いた。

「エリア21にて火災発生!エリア21にて火災発生!」

アナウンスを聞いた、カツラの顔色が曇る。

「デュランダル君!この子を……ミュウツーを!!」

カツラは、培養漕の排水を始めだす。

しばらくして排水が完了すると、培養漕からミュウツーを取り出し、脱いだ白衣に包み込んだ。

「この子もミュウから作られたクローンのようなもの……貴方になら預けられるわ」

カツラは、デュランダルの事情を知っていた。

だからこそ、デュランダルを招いたのだ。

ジョージ・グレンの死後、ジョージ・グレンの存在は一気に人々に忘れ去られた。

孫だからという、そんな七光りももう薄れ、ついていたスポンサーも手を引いていった。

もう残された道は、過去の友人ぐらいしかなかったのだ。

「だがカツラ、君は!?」

「私にはやるべきことがあるの。必ず、迎えにきます」

ミュウツーをデュランダルに託すと、カツラは部屋を飛び出していった。

デュランダルは、カツラの自室に置いてきたレイのことを思いだしハッとなる。





この日、コロニー・メンデルはバイオハザードが発生した。

多数の死者を出し、後に処理が行われるまで閉鎖に追いやられた。

デュランダルとレイ、そしてミュウツーは無事脱出することができたが……

カツラの行方は、定かではない。









園の全ての樹から採って食べなさい。

ただし、善悪の知識の樹からは決して食べてはならない。

食べると必ず死んでしまう。

だがやがて、共に創られた野の生き物のうちで、一番賢い蛇がこう言ったという。

『決して死ぬことはない。それを食べると目が開け、神と同じく善悪を知る者となる。そのことを神は知っているのだ』と。

そうして始まりの人は、その実を食べたのだという。









それから数年の時が経過した。

人類は戦争をしていた。

この日、ひとつの機動要塞が、陥落しようとしている。

その機動要塞の名はメサイア。

ギルバート・デュランダルは、デスティニープランを掲げ、反旗を翻した。

ザフトはオーブを中心とした部隊と戦い、双方は倒れていった。

メサイア、中央コンピュータールーム。

そこには、ひとつの生きる証があった。

彼の名はミュウツー。

力を有する存在である。

彼は目覚めようとしていた。





「ううぅ……うぅ……」

(レイ、私と共に学び、生きた子……何を泣いている)

「やあ、タリア……撃ったのは君か?」

(ギル、私を育ててくれた父のような存在。何故痛み苦しむ)

「子供がいるの。男の子よ。いつか会ってやってねって」

(子供?子供がいるのに、死ぬのか)

「……お……かあ……さん……」

(おかあさん……母……)



デュランダル、レイ、タリアの上に、瓦礫が崩れた。

しかし、三人は無傷だった。

三人を包むように、あらゆるものを阻害する空間が広がっている。

「ミュウツー……」

「ギル、死んではいけない」

ミュウツーは、とても知能が高い生物だった。

人語を話し、人の行為を理解し、また自分が人間とは違う存在であることもわかった。

「ギルは私とレイの父。親が死んだら子は悲しむ、だから死ぬのはいけないことだ」

デュランダルとタリアを見て、ミュウツーはそう言った。

「私は行く。ギルとレイを苦しめる奴等を倒す」

そう言うと、三人を包み込んだまま、ミュウツーはメサイアの壁を突き進んでいく。

分厚い壁も、巻き上がる炎も、ミュウツー達を包むバリアーには通じない。

メサイアを突破すると、ミュウツーはある場所へと向かう。





月、ミネルバである。

「あそこには、レイ達を想う者達がいる」

シン、ルナマリア、アーサー……

ミュウツーにはそれがわかった。

デュランダル達を確認したのか、ミネルバは格納庫のハッチを開いた。

ミュウツーは、格納庫に降り立った。

ハッチが閉まり、エアロックがかかると、デュランダル達の元にアーサー達クルーがやってきた。

「フォンドゥヴァオゥ!!かかかかか、艦長!?それに議長とレイまで……えぇーっ?」

アーサーはかなり混乱している。

そんなアーサーを無視して、ミュウツーはデュランダルとレイを見た。

「ギル、レイ、ここでさよならだ」

ミュウツーの言葉に、レイは未だ瞳に涙を浮かべて

「死なないで」

嗚咽混じりに、なんとか発した言葉が、それだった。

「わかっている。もう泣かないでくれ、レイ」

ミュウツーはそう返す。

深手を追いながらもデュランダルは皆を退避させようと指示をした。

皆がいなくなると、またハッチが開く。

ミュウツーは、ミネルバを飛び出した。



「メサイア付近に突如として高熱源反応!!」

ミリアリアが叫んだ。

「ライブラリ照合無し!なんだこれは……小さすぎる」

報告の途中でチャンドラが驚いたように声を上げた。





戦闘は終わったはずだった。

エターナルの呼びかけで、付近の宙域の戦闘は収まったはずである。

反応を確認したその物体は、月方向に消えていった。

「あれは何……?モビルスーツなの?」

「わかりません、ただ反応の値が尋常ではありませんでした」

マリューの疑問に答えるチャンドラだが、その会話だけではあれはなんなのか、攻撃していいのかさえもわからなかった。

しかし、悩んでいる暇はなかった。

「先程の反応を再検出!こちらに転進してきます!」

チャンドラが叫ぶ。

「光学映像、出ます!」

続けてミリアリアが言うと、モニターに映像が映し出される。

ブリッジ中が唖然となった。

2メートルほどだろうか、とても小さな人型の物体がモビルスーツど同等のスピードで移動してきているのだ。

「目標に高エネルギー反応!」

「なんですって!?」

アークエンジェルに接近しながら、ミュウツーは突き出した手の先に光を収束させていく。

そしてその光は、星屑のようになり、加速をつけてアークエンジェルに向かった。

「回避!取り舵ッ!」

「やってます!!」

必死にノイマンが操縦桿を倒している。

だが、スピードスターはアークエンジェルの艦尾に命中。





艦が激しく揺れ、ブリッジはガタガタと音を立てた。

「艦尾被弾!航行に支障!!」

チャンドラが叫ぶ。

「アークエンジェルはさがれ!俺が行く!」

「ムウ!」

アークエンジェルの後方から、アカツキが姿を現した。

アカツキはそのまま、ミュウツーに向けビーム砲塔を射出する。

「的が小さかろうがッ!」

オールレンジから放たれる多数のビームがミュウツーを襲った。

だが……

「目標付近の空間に相転移反応を確認!アカツキのビームを完全に防ぎました!」

解析結果を告げるチャンドラ。

「まさか……バリアーとでもいうの!?」

驚愕するマリューが声を上げた。

ビーム砲塔は、依然ミュウツーを狙っている。

しかし、下手に撃ったところでビームを防がれるのはわかりきっている。

ムウは、この上なく緊張していていた。緊張、いやこれは一種の恐怖なのかもしれない。

それを感じているのか、ミュウツーは睨むようにアカツキを見た。

その途端アカツキは、否、ムウの体は硬直して動かなくなる。

金縛りにあったような感覚に、ムウの心は震え上がった。

「……やめ……ろ……」

なんとか口を動かして発した言葉。

ムウは、ミュウツーが何をするのかわかっていた。





全てのビーム砲塔の銃口が、ミュウツーの念力により、アカツキに向く。

ムウは、死ぬことを覚悟した。

「このぉぉぉぉぉ!!」

叫びと共に、複数のビームがビーム砲塔を撃ち落とす。

インフィニットジャスティスとストライクフリーダムのビームライフルから発射されたものだった。

エターナルも合流し、一気にミュウツーを取り囲む。

「ムウさん!大丈夫ですか!?」

「なんとかな……だがこいつ、手ごわい……」

金縛りは解けたが、ムウの嫌な汗は止まらなかった。

「アークエンジェルとアカツキは後退しろ!ミサイルで弾幕を張る!」

バルフェルドが言うと同時、エターナルからミサイルが発射された。

それはそのまま、ミュウツー目がけての軌道を取る。

だがやはり、ミュウツーはそれを念力によって静止させてしまった。

念力によって操られているミサイルは、そのままエターナルへと返された。

「くっ……!!」

キラはミサイル全基をマルチロックし、すぐさまハイマットフルバーストを行った。

ミサイルはエターナルに到達することなかった。

ミュウツーがストライクフリーダムに向く。

だがその瞬間、ミュウツーの半身が分断された。





ストライクフリーダムがミサイルを落としたのと同時に、インフィニットジャスティスが放ったビームブーメランだ。

あっという間の出来事だったが、皆はミュウツーが倒されたと確信する。

だが……

「駄目だアスラン!」

キラが叫ぶ。

が、それは遅すぎた。

「うわああああ!!」

アスランが絶叫する。

ミュウツーは敗れてはいなかった。

体が真っ二つになったまま、ミラクルアイを光らせてミュウツーは刃を作りだし、インフィニットジャスティスに放つ。

サイコカッターはインフィニットジャスティスの四肢を捕らえ、インフィニットジャスティスは爆発に包まれた。

自己再生するミュウツーは、徐々に半身を元に戻していく。

最強のモビルスーツの一角であったインフィニットジャスティスがいとも簡単に撃破されてしまった。

戦場に残るのは、ストライクフリーダムのみ。

息を飲む込むキラ。

モニターに映る映像が変わったのは、その時だった。

「ここは……メンデル?」

モニターはコロニー・メンデルを映している。

月付近の宙域だったはずなのに。

その疑問は、すぐに答えとして現れた。

目の前に映るミュウツー。

そして、対峙するストライクフリーダム。





戦いが、始まろうとしていた。



ストライクフリーダムが突然消失したことを心配するより、皆はミュウツーがいなくなったことを心から安堵した。

今、あの勝てる見込みのない戦いを見た者達は恐怖と緊張から抜け出し、平和が訪れたような感覚に浸っている。

「インフィニットジャスティス、アスランは無事です……」

ダコスタが言った。言葉の節々が震えている。

ストライクフリーダムはどうなったのか。

皆がそれを思い出す中、ラクスの口が開いた。

「思い出したことがあります……」

ラクスの表情は、まるで悪夢を見たかのようになっていた。

ただごとではないと察したバルフェルドは、急いで通信をアークエンジェルやオーブ艦隊に繋がせた。

「血のバレンタインが起こるよりも前、私はカツラ・グレン博士という方にお会いしました。

グレン博士はお父様にあるものについての持論を聞かせにきていました。

その持論はまだ未発表で、もしかしたら発表はしないかもしれないと。

私は、お父様にその持論が面白いと言われて聞かせられたことを、今になって思い出したのです。

ミュウツー……いえ、エヴィデンス01の特徴と可能性について……」





ミュウツーの母体であるミュウ。つまりエヴィデンス01は、渡り鳥のような習性を持ち、群生であると私は考えている。

木星圏で発見された化石は、おそらくなんらかの原因で迷鳥になり、群れに戻れなかったエヴィデンス01なのではないかと推測される。

エヴィデンス01は二種あるいはそれ以上の形態を持ち、大気圏内や宇宙空間に適応した形態になるのではないか。

化石も、化石ではなく化石のようなものであり、プレート部分を含めてあれはなんらかの形態と考えられる。

しかし、回収されても依然として化石形態のままであることは、すでにエヴィデンス01が息絶えている証拠なのかもしれない。

ただ、エヴィデンス01はとても知能の高く、そして人智を越えた人間でいうところの超能力を持っているのではないだろうか。

化石が発見されたのは木星ではなく木星圏宙域ではあるが、宇宙空間適応形態に移行途中、なんらかのアクシデントで化石のような形態にならなくてはならなかったのではないだろうか。


だとすると、化石のような形態は、自己を護るための形態なのだろうか。

もしかすると、外敵から身を守るために戦うこともできるのはないだろうか。





木星で生息していたとすると、どのようにしてあのガス圏を突破したのかも気になる。

そもそもそんなものものともしない肉体なのか、あるいはバリアーのようなものを発生させて突破したのか。

ともかく、エヴィデンス01という存在は、我々人類を遙かに凌ぐ生物なのである。

彼等が、我々人類の脅威にならないことを願ってやまない。

(シーゲル・クラインにカツラ・グレンが話した説明の要約)



「グレン博士はエヴィデンス01の研究の第一人者でした。

そして化石を解析し、新たなるエヴィデンス01であるミュウツーを産み出したいと」

「いや、産み出したのだ。彼女は」

ラクスの話に割って入るように、男の声が聞こえる。

デュランダルである。

通信を傍受したミネルバから、デュランダルは話を始める。

「彼女は、人類に希望を見せたかった。ミュウツーは、彼女にとっての希望の象徴だったのだよ」

それを自分に託してくれたというのに。

デュランダルは自嘲しながら、そう話した。



希望の象徴と、ストライクフリーダムは戦っていた。

ビームはほとんど当たらず、当たったとしてもバリアーに弾かれるか自己再生しすぐに復活する。

ドラグーンを使うか……考えている余裕はない。





キラは、SEEDを覚醒させる。

しかし、それは間違った選択かもしれなかった。

ミュウツーも自己暗示をかけ、SEEDの覚醒状態にあった。

ドラグーンが飛ぶ。

バリアーを破るほどの出力が出せるだろうか。

いや、畳みかけてバリアーを破り、再生が追いつかないぐらいのビームのシャワーを浴びせる。

それしか、ミュウツーを倒す方法がない。

あらゆる角度から放出されるドラグーンのビームは、確実にミュウツーに命中する……はずだった。

しかし、未来予知したミュウツーはドラグーンの放つビームをことごとくかわし、そこから抜け出すと一気にストライクフリーダムに迫った。

「くっ!!」

ハイマットフルバーストの態勢に入る。

吹き飛ばすしかない。

ビームと弾丸が、虹色の線を描いて飛んでいった。

ストライクフリーダムに向かって。

ミュウツーは、ストライクフリーダムのハイマットフルバーストによる攻撃を先取りした。

ストライクフリーダムが撃ったビームや弾丸は全て、ミュウツーの攻撃として放たれたのだ。

「うわぁぁぁっ!!」

避けきれず、頭部、腕部、脚部に被弾する。

それはまるで、正確にコックピットを外す自分の攻撃のように。

「何故こんなこと!」





「お前が、ギルやレイを傷付けるから」

声が返ってくる。

脳内に、ミュウツーの声が響いた。

「な…に……?」

サイコキネシスによって、思念同士での会話が行われている。

「ギルやレイだけではない。お前の力は皆を傷付ける」

「そ、そんな、馬鹿な!」

「お前の力が示している。お前を倒さねば皆が死ぬ」

ミュウツーは手をかざした。

「何故、何故戦う?お前には、真に守るべきものがないというのに」

「守るべきものがない?」

「私には見える。お前の中には家族も故郷もないというのに」

本当の家族はいない。カガリも、血は繋がっていても家族ではない。

オーブも、ヘリオポリスも、産まれた地ではないし、思い入れもなかった。

「だ、だから、どうだって言うんだ!?」

キラは叫ぶ。

「守るべきものがなくては戦ったらいけないのか!?」

「それは不自然なことだ」

デュランダルとレイの顔が浮かんだ。

「私は、私を救ってくれた者達の為に戦っている。特異の存在である私と分け隔てなく接してくれた者達のために」

「たった、それだけの為に?」

「これは生きる為の真理だ」

人間と違う自分でも、大切なものを守るためなら生きられる。





命を張って、戦うことができる。

ミュウツーは両手の間にエネルギーを収束させていく。

膨大な波動の力を凝縮したエネルギーの渦が、ストライクフリーダムに向けて放たれた。

「バトンタッチ」

突然、女性の声がミュウツーとキラを包んだ。

ミュウツーの放った波動弾は、ストライクフリーダムの前面に出たある女性によって受け止められた。

「この子の力はとても大きいけれど、この子を討ったところで何もならないわ」

カツラであった。

宇宙空間に、生身の人間が漂っている。

「初めまして。やっと会えたわね、ミュウツー」

カツラはミュウツーに、優しく笑いかける。

「エヴィデンス01という地球外生命体が見つかって、地球以外にも生命体がいることがわかった」

くるくると宇宙空間を回って、まるで物語の語り部のように、カツラは話を始めた。

「それは、人と同じようなものが存在するかもしれないという可能性。

でももし、友好的な来訪者がやってきて、また人類が争いあっていたら、それはとても悲しいことだわ。

エヴィデンス01は、どんな種族でも笑いあいながら手を取り合ってほしいという、ジョージ・グレンからのメッセージだったはずなのに……」





カツラは、ミュウツーに手を差し出した。

「行きましょう」

赤ん坊をあやす母親のような暖かい言葉で、カツラは言う。

ミュウツーは、手を取った。

「そんな世界を作ってね」

ストライクフリーダム越しに、カツラはキラに微笑む。

そして、カツラとミュウツーは、飛び立つ。

「待たせてごめなさい。火星に行っていたの、もしかしたら仲間がいるかと思って」

星屑も、デブリも、カツラとミュウツーを避けるように通り過ぎていく。

「お別れをしなくて平気?」

「大丈夫だ。母親であるあなたと一緒なら。一時も離れず、幼き私の側にいてくれたこと、私は覚えている」

「でも、私はあなたがどう生きてきたのかを知らないわ。それでも、私を母親と呼んでくれるの?」

ミュウツーは頷く。

カツラは微笑んだ。

「人は変わっていくのね。私達と同じように」

遠ざかっていく地球。

「人はいつかわかり合えるはずだわ。いつかきっと、私達のように時間さえ支配することができる」

ちっぽけな地球。

ちっぽけな太陽系。

ちっぽけな銀河。

ちっぽけな宇宙。

「太陽系を離れても、私はみんなのことを見ているわ。ずっとずっと、見守っているから」



「エリア21で火災発生!職員はただちに避難せよ!」

繰り返されるアナウンス。

エリア21から避難してきた研究員をよそに、カツラはそのエリア21に向かっていた。

火災発生の現場である。とある一室。

ここもまた、閉ざされた彼女私有の部屋である。

扉は融解していた。

カツラは、火の手に構わず、部屋の中に突っ込んでいく。

部屋の中には、化石があった。

その化石は、原始の力に呼び覚まされるように、鼓動を鳴らしている。

「ミュウ!お願い、心を落ち着かせて!」

カレンは訴える。

「あなたは私達の希望なの。だから願わくばあなたの力を貸してちょうだい」

鼓動が、カツラと重なった。

広がる世界。

刻が見える。

「私とあなたは一つになるの。私もあなたも、ミュウツーの母親なのだから」