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キラ様第11話

Last-modified: 2009-10-31 (土) 16:21:59

眼前では地球軍のメビウスや小型戦艦が面白い様にジンに潰されていく、・・・一方的だ
これはもう戦闘じゃ無く殺戮ゲームの様相を醸し出している。ならばやっぱりここは
ローエングリンしかないじゃないか。しかしチャンドラは俺の再三に渡る命令を拒み
ナタルへ指示を仰いだ。
「バ、バジルール少尉・・・ど、どうすれば・・・」
「バカ野郎!早く撃てや!責任はラミアス艦長がとってくださるはずだ!心配すんな!」
俺とチャンドラのやりとりを見かねたナタルは突然指示をだした。
「スレッジハマー照準、敵モビルスーツ!」
「おい!勝手に命令すんなカス!」
しかしチャンドラは頷くとジンに向けストレンジハマーを発射した。5発撃ちだされた
ミサイルの内、一発が腹部へ命中し、ジンは木っ端微塵になった。俺は何も言わず立ち上がり
チャンドラへ近づくと胸倉を掴み頭突きを軽く喰らわせた、もちろん軽く。壊れた眼鏡
が宙を舞いチャンドラが頭を押さえながら悶絶している。
「誰がミサイル撃てって言った!あ?ブチ殺すぞ!!」
ブリッジ内が静まり返る、彼らからすれば、外にはザフト、中には俺で逃げ場の無い状況、まさに
地獄といった所だろう。俺はナタルを睨み付けた。ナタルは俺の気迫に一瞬怯んだが
また強気の姿勢を崩して居ないようで、俺へ対して負けずに睨み返してくる、生意気な。
「何だその目は!その態度は!それが上官に対する態度か!?」
俺の発言に対してもナタルは凛とした姿勢を崩さずに俺を睨んでいる。その時トノムラが叫んだ。
「セレウコス、カサンドロス轟沈!」
俺が外の様子を見ると戦闘開始からまだ数分しか経って居ないにも関わらずもう戦艦の数が
当初の半分位に減っていた、ここでもたもたしているのはあんまり良くないな、バジ子の処遇は
また後だ、とりあえず逃げよう。俺はトノムラに指示を出した。
「おい、通信をハルバートンの艦に繋げ」
ブリッジ中央のメインモニターにミネラオスのハルバートンの顔が映し出された。
受話器を持ったハルバートンが答える。
「なんだ?・・・ヤマト大尉?ラミアス艦長はどうした?」
「ラミアス艦長は負傷しまして、代理で自分が艦長をやらさせてもらってます、許可を下さい」
「負傷だと?まぁいい、分かった。・・・それで用件はそれだけでは無いだろうな?」
「アークエンジェルはこのまま艦隊から離脱してこのまま地球に降下しちゃおうかと
思ってるんでそれの許可も下さい」
「なんだと!?」
「あいつらの狙いは俺らだと思うんで、俺らが居なくなれば第八艦隊も全滅せずに済むかな〜
何て思ったんですけどね?」

 

「キミは無茶な事を考えるな、いいだろう。アークエンジェルは直ちに降下準備に入れ
限界点まではきっちり送ってやる。送り狼は、1機も通さんぞ!」
「ありがとうございます、ではお願いしますね」
ミネラオスとの通信を切ると俺はナタルを見た、ハルバートンがあっさり代理艦長のポジションを
自分ではなく俺へ託した事で相当不服そうなのが見て分かる。
「聞いたよね?俺が今から正式に艦長だから、おい!降下準備開始しろ、変なゼリーみたいなの出せ!」
俺が好き勝手命令するのに対してナタルはもう逆らう権限も無くなり、黙って俺を見ている。
唐突にナタルが俺へ対して問いただしてきた。
「・・・・、ストライクはどうなさる・・おつもりですか・・・?」
「あ、そういえば忘れてたぜ、アンカーとか無いの?」
「ありますが・・・・」
見るとストライクはアークエンジェルからかなり離れていっていた。あらら、アンカーの
射程外かよ・・・。
「仕方ない、俺がジンで出て回収してくるよ」
「危険です!アークエンジェルもストライクももう地球降下シークエンスフェイズ2に入っています!」
「馬鹿野郎!今さっき命令したばっかりなのに何でもうそんなに進んでるんだよ!」
「・・・・・・・・・・」
トノムラは俯き黙り込んでいる、まぁ面倒な展開はチャチャッと進行が種クオリティー、仕方が無い。
それにストライクは確か単独で大気圏降下出来たはずだ、だから機体の方は無問題、問題は中身だ。
「大気圏降下限界点まで、あと4分、融除剤ジェル、展開用意!」
「ストライクと通信を繋げ」
俺がそう命令すると、ブリッジの正面画面にストライクのコクピットが映し出された。
「フレイがんばってるか?今から大気圏降下するから準備しろ」
「何か、苦しくなってきたわ・・・それに暑い・・・助けて、助けて、誰か!!」
「お〜い、しっかりしろ〜、とりあえずストライクの説明書を取り出して突入の仕方を見ろ」
「ううぅぅうう・・・」
俺とフレイのやりとりへ名無し通信兵Aが割って入る様な感じで報告を入れてきた。
「修正軌道、降下角、6,1、シータ、プラス3、降下シークエンス、チェック終了
システム、オールグリーン」
準備完了の報告を聞き、俺はフレイとの通信を一旦終了し、ハルバートンへ通信を入れた。
「じゃあ閣下、行ってきますね」
「うむ。アークエンジェル、降下開始!」
「降下開始!機関40%、微速前進、4秒後に姿勢制御」

 

ハルバートンの降下開始の命と共にノイマンが独り言を言いながら艦体の角度を変え
アークエンジェルは地球へ降下を開始した。そこへ第八艦隊の弾幕を突破してきたバスターと
デュエルが強行してきた、二機は防衛線を張っている戦艦を次々潰しこちらへ接近してくる。
第八艦隊、ちゃんと狙えよ・・・・、しかしまずいな、ストライクは完全に無防備の状態だ・・・。
今来られると流石の負債補正でもカバーしきれないかもしれない・・・。兄貴へ頼もう。
俺は格納庫へ連絡を入れた、しかし誰も出ない。あいつらこの非常時にまだお祭り中かよ!!
どうこうしている間にバスターとデュエルはストライクを見つけるや否やいきなり攻撃を開始した。
しかし当たらない、何故か二機の攻撃は当たらない。どうやら俺の杞憂だった様だ、負債補正は
伊達じゃない!しかしこのままだとストライクとAAはどんどん距離が広がる、俺はストライクへ
通信を入れた。
「フレイがんばれ!あいつ等を殺せなんて贅沢は言わないからせめて生き残れ!」
「苦しい、熱い熱い・・・助けて・・・」
よく見るとストライクのコクピット中は気温が上昇しているのか真っ赤に染まってる。フレイの
体には大気圏突入のGと摩擦熱で相当な負担がかかってるのだろう。しかし何故ストライクのコクピットが
クラウンのザクの様な感じになっているのか俺は考えた。ガンダムが大気圏突入出来無いなんて
バカな話は無い、じゃあ何故だ?・・・・待てよ、大気圏突入は地球に対して機体の角度を直角にして
シールドを構えて降りるのがデフォだ、ストライクは今ジタバタ動いているこのままの姿勢で行くと
流石にやばいんじゃないか・・?俺の中で急に不安が芽生えてきた。
「・・・フレイ?とりあえず機体の体勢を直そうか?」
「あ、熱い、・・・熱い!熱い!・・助けて!熱い・・・」
フレイに耳にはもう俺の言葉は届いていない様で、取り乱し、ジタバタ暴れながら叫び続けている。
その拍子にフレイの被っていたヘルメットが取れ、フレイの顔を見たブリッジクルー全員は凍りついた。
コクピット内の温度上昇により髪は縮れ、顔の皮膚は爛れて水ぶくれがあちこちにできている。
どうやらコクピット内部は相当温度が上がっている様だった、しかし泣きながら助けを求めるフレイを
助ける術は無い。
「うううぁぁぁううう、熱い熱い、助けて・・・私、死にたくない・・・」
「・・・・・回線を切れ・・・・・」
俺はトノムラへ命令を出した、トノムラは一瞬躊躇したが、仕方なくストライクとの回線を切断した。
ブリッジには重たい空気が流れている、自分達がフレイを見殺しにしたという様な空気が。
「まぁあれは仕方無いでしょ!大丈夫、大丈夫!あいつはもう助からないだろうから後で何か
言われる心配は無い。それよりいいかお前ら!俺の命令を無視して勝手な行動を取った奴はああなる!」
そうだ、俺は別にフレイへ命令しては無い。
「ローラシア級、接近!」
次から次へと!だがあれの狙いはハルバートンのはずだ、それの心配もいい、それよりストライク・・。
俺の心配を他所にガモフとミネラオスはお互い至近距離から撃ち合い、双艦とも爆破した。何故
このザフト優勢の状況で特攻する必要があるのか分からないが、それより・・・。

 

「フェイズ3!融除剤ジェル、展開!大気圏突入!」
ちっ、間に合わなかったか。しかしあの2機と絡み合いながら降下したら、ストライクはまず間違い
無くザフト側に回収されちまうな、仕方ない、後の事は後で考えよう、フレイは生き残れるのかなぁ・・?
ミネラオスから発進した脱出艇をデュエルが撃ち落した。しかしこればかりはいつ見ても許せんな
あのオカッパはアラスカできっちりブッ殺してやろう。
「本艦とストライク、突入角に差異!このままでは降下地点を大きくずれます!」
名無し通信兵Bが言った、それはそうだろうな。しかしどうするかな?このままストライクを無視して
アラスカへ行くか、それとも砂漠へ行くかだが・・・仕方ない、砂漠へ行くか・・。俺はノイマンへ
指示を出した。
「とりあえずストライクと同じ角度で降下しろ、降下地点の多少の距離のズレは構わない、見失うな」
「しかし!それでは艦も降下地点が!」
今まで黙っていたバジ子がここで反論してきた。
「黙れ!ストライクが無しでアラスカへ行っても門前払いさせられるぞ!大体いっつもキャンキャン
うるせーんだよ!!」
「・・・くっ・・・・」
アークエンジェルは大気圏突入へ入り、とりあえず当面の脅威は取り除かれた。しかしフレイはきっと
助からないだろうな、これから肉便器となってくれるはずだったフレイが死に俺はだんだんとムカついてきた。
考えてみればフレイとは結局一発もヤッていない。俺は艦の指揮をナタルへ任せ格納庫へ向かった。
これから当面はストライク無しの戦闘が予想される、砂漠じゃジンも使えないしスカイグラスパーの
調整をしがてら魔乳祭りの様子を見に行った。しかし格納庫を覗くと祭りは既に終わっており、整備員達は
みな各自黙々と作業をしている。俺を見つけたマードックが話しかけてきた。
「いやぁ〜キラの旦那、みんな大喜びでした、これからは旦那と呼ばせて貰いますわ」
「おお、良かったな、んで魔乳さんは?」
「部屋へ帰って行きやした」
「フラガは?」
「うっひょ〜♪とか言いながらそのまま艦長を追いかけて行きやした」
「そうか、多分魔乳は壊れたな、それでスカイグラスパーは?」
「旦那あれに乗るんですかい?俺はまたジンに乗ると思ってたんで今調整作業してますが・・」
「陸地であんな機体が役にたつかよ、でもあれも遠距離からの狙撃とかで案外使えるかもな
とりあえずスカイグラスパーの調整しておく」
「了解しやした」
俺はスカイグラスパーのコクピットに乗り込み調整作業を開始した、恐らく動かし方はエースコンバットの
エージーモード並みだろうな。スカイグラスパーの調整をしていると大気圏降下完了の放送が流れた
全然Gとか無かったな。Gどころか着地の振動すら無かったぞ?流石は種世界だ。調整も終わり、俺がブリッジへ
戻るとナタルが地図を見ながら憂鬱な表情を浮かべている。
「どうした?」
「・・・・降下予定ポイントから大きくズレた、と思っていただけであります・・」
「それが俺のせいだって言いたいのか?」
「・・・・いえ・・・別に・・

 

「そう言えばストライクは?」
「一応辺り一体に索敵をかけましたがこの辺りには無いようです・・・」
「それも俺のせいか?」
「・・・・・・・・」
「何か言えよコラ?」
「・・・いえ・・・」
「ああ!?声が小さくてよく聞こえねーぞ!根性叩きなおしてやるよ!腕立て伏せ30回だ!」
「何故自分が!?」
「命令だ、早くしろ!!50回に増やされたいか!!」
「・・・・うぅ・・」
ナタルは命令という言葉に弱いらしく、うつ伏せになるとそのまま腕立て伏せを開始した。
軍人の鑑だ、俺はがんばって腕立て伏せをしているナタルを見ながら考えた。ストライクはAAと
一緒に降下したんだからこの広い砂漠のどっかに落ちたのは確かだ、しかし無いという事は
降下地点がやっぱり微妙にズレてたんだろうな、しかしストライクは無くなりフレイは恐らく死に
ストーリーの歯車が微妙に狂いはじめて来ている・・・。どの道はやいトコ探さないと、それまでは
スカイグラスパーでがんばるしか無いか。突然横に居たチャンドラが叫びだした。
「本艦、レーザー照射されています!照合!敵照準と確認!」
来たか・・・・俺は艦長席に座ると指示を出した。
「総員!第一戦闘配備!アンチビーム爆雷装填!Nジャマー展開!ローエングリン、ゴットフリート
バリアント起動!スカイグラスパー、フラガ機発進準備!俺のジンとスカイグラスパーもスタンバイさせとけ!」
戦闘配備を知らせる警報が艦内に響き渡る、待機していたクルーが次々にブリッジへ入って来るが
そこにはやはりマリューの姿は無い。まぁいいや。じゃあストライク無しのAA戦いを奴らに
とくと見せつけてやりますか。

○つづく