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キラ様第13話

Last-modified: 2009-10-31 (土) 16:25:26

「テメェ・・・やってくれるじゃねーかコラ・・」
俺はムウに一言言った、ムウは何の事だと言っている。どうやらまだこの状況に気が
付いていないらしい。こうなってしまうと、神の意思は関係無く、自爆は免れる事は出来ないだろう。
「おいおい、何なんだよこの音は?一体どうしちまったんだよ?」
何も知らないムウがうるさく問いたずねてくる、いい気なモンだな。このままジンと
共に貴様はここで散ってくれ・・・。俺はコクピットから出る為にシートベルトを外そうとした
その時バクゥが一機、イーゲルンシュテルンの弾幕を掻い潜り、こちらへ猛スピードで特攻を仕掛けてきた。
マズイ・・・。とっさに狙撃銃を捨て、腰の重斬刀を抜いたが、それより早くバクゥの頭部左右に
展開していたビームサーベルがジンの右腕を切り裂く。宙に舞うジンの右腕、だが本来なら右腕に留まらず
今ので機体ごと真っ二つだろう。この俺が・・・、ジンとはいえ反撃も出来無いとは・・・。
俺は段々と怒りが込み上げてきた。
「・・・・これが補正無しなら終わりだったって・・・・そう言いたいのかよ!アンタはっ!!」
その時、頭の中で何かが弾ける感じがした、何だか頭の中がとてもスッキリした様な感じが・・・。
もしかしてこれって種割れじゃねぇ!?よっしゃ種割れゲット!!ウハァ!
俺は童貞を捨てた高校生の如く一人で喜んでいた、そこへすかさず、先ほどのバクゥが再び
襲ってきた。バクゥは飛び上がると上空からジンへ対して体当たりを食らわせて来た。
そのままバクゥに馬乗りにされ倒れるジン、種割れしたはいいが何も出来無い・・・・クソ!
残った左腕でバクゥの頭部を何度も殴りつけたがビクともしない、バクゥはコクピットを
光る一つ目でギロリと睨み付ける。ヤベェぞ、このままだとミューディになっちまう、どうする?
ピンチにも関わらず俺は冷静にこの状況の打開策を考えて見る。フト、今俺達が居る位置が丁度
カタパルトの進路上である事に気がつくと、俺はすぐさま格納庫へ通信を入れた。
「ソードストライカーをすぐに射出しろ!早くっ!!」
今の打開策はこれしかない・・・・。うまくいけよ・・。命令を出した数秒後にソード
ストライカーが勢い良く射出されてきた。相変わらず仕事が早いぜマードック。射出された
ソードストライカーの先端、対艦刀部分がバクゥに勢い良く突き刺さり、その勢いで
バクゥは串刺しになったまま吹き飛んでいった。ハハハ、見たか・・・。その光景を
見ていた別のバクゥがこちらへ襲い来る。俺は残ったジンの左腕で瞬時にバクゥから対艦刀を
引き抜きそれを構えた。先ほどのバクゥと同じ、高速ですれ違い様にビームサーベルでの
攻撃をする気なのだろう、だが今度は相手の動きが良く見えるぜ・・・。シュベルトゲベールを
振り上げ、それを思いっきり振り下ろした。正面のターゲットに対する攻撃オプションの無い
バクゥは成す術無く振り下ろされたシュベルトゲベールを背部にモロに受け、轟沈した。

 

これで3機殺った・・・。後、2機か。しかし時間が無い、チラリとモニターを見ると
残り時間は60秒を切っていた。そろそろ頃合か・・・・。脱出しようとシートベルトを外した瞬間
いきなり俺は後ろから肩をガッと掴まれた。
「おいおい、どうしたんだよ?便所か?少し位がまんしろよ?」
どうやらムウはまだこの状況に気が付いていない様だった。俺はこのアラート音とモニターの
カウントは何だと思う?と尋ねて見た。ムウは「はて?」と目を閉じ考え込んだ。まるで
一休さんの様な考え方をしている。ポクポクポク・・・・チーン。ムウは閉じた目をカッと
見開くと瞬時にシートベルトを外し、コクピットのハッチを開くボタンを必死に探していた。
「クソ!ヤバイぞ坊主!!この機体は・・・・・自爆する!!!」
・・・・・ええ、そうなんですよ。もう、あえて何も語りません。でも、だから困ってるんですよね
って今はそれどころじゃ無い。残り時間は30秒を切った、俺はコクピットのハッチを開けた。
飛び降りても下は砂地だ、怪我をする事は無いだろう・・・。そこへ三時方向よりバクゥが接近
してきた。流石にヤベェ、どうする?回避?防御?反撃?・・・・いや。俺はアークエンジェルへ
通信を入れた。
「ゴットフリート照準!!目標・・・・俺のジンだ!!撃て!何も聞かず撃て!いいな!!」
俺はそう叫びながら、そのままジンから飛び降りた。上手く着地出来ずにそのまま砂地に叩き
つけられる、さほど痛くは無かった。それと同時にアークエンジェルより放たれたゴットフリートが
ジンを貫き、その先に居たバクゥをも貫いた。ジンの陰になり射線が見えず、しかもジンへ向け直進していた
バクゥは回避も出来ず、正面に大きな風穴を開けられ、爆発した。それと同時にジンも爆発を起こした。
俺の周りに焼けた鉄の破片が降り注ぐ。助かった・・・・。俺はため息をついた。
立ち上がり、アークエンジェルを見る。戦闘で気が付かぬ内にアークエンジェルから遠ざかっていたんだな。
距離は大体500m位か・・・・。急がねば、俺はアークエンジェルへ向けて走り出した。バクゥは
少なくとも後一機どこかに居る。今来られるとまずい・・・。そんな事を考えながら砂地を走っていた
俺は何かに躓き転んだ。何だこれは・・・?俺は振り返りその障害物を睨みつけた、それはムウだった。
ムウはむくりと立ち上がると、冷静に体についた砂を手で払っている。こいつ・・・生きてたのか・・。
しかし時間が無い、俺は前を向き再び走り出した。そうするとムウが何も言わず無言で後ろから
付いてくる。奇妙な男二人のマラソン大会、何とかアークエンジェルまで辿り付いたが砂地での
ランニングは想像以上に体力を消耗する、俺は少し疲れた。一方のムウは息も切らさず何も言わずに
そのまま格納庫のトイレへ早足に直進していった。奴は自分の場所へ還っていったか・・・。俺はそのまま
ブリッジへ直行した。廊下を走っていると艦が酷く揺れている事に気が付いた。バクゥは後一機のはず
MS一機の火力でこの揺れはおかしいぞ・・・?ブリッジに着くと全員が幽霊を見た様な目で俺を見た。
「い、生きていらしたんですか・・・?」
「当たり前だろ!自殺したかと思ったか?それより何だこの揺れは?」
「南西、20劼涼賄世療┫呂らの艦砲射撃です」

 

俺はやれやれと言いながら艦長席へ座わろうとした、そこにはナタルが座っていた。ナタルは
俺と目が合うとバツの悪そうな顔をしながら、ゆっくり立ち上がり俺に席を譲った。
「勝手に座ってんじゃねーよカス、どけや」
俺はナタルの腹に蹴りを入た、ナタルは苦しそうにその場にかがみ込んだ。俺はそれを他所に
各員に指示を出した。
「チャンドラ、艦砲の射線から発射位置を特定しろ!トノムラ、ローエングリン起動、発射準備!
ノイマン、アークエンジェルを地上50mに浮上させ位置を固定させろ!」
俺の指示でみんなせかせかと動き出した。
「敵艦位置補足、レーダーに表示します。Nジャマーの為、誤差150m!」
「ローエングリン、スタンバイ!いつでも撃てます!」
「アークエンジェル浮上完了!位置固定!」
みんなやれば出来るじゃん、俺は嬉しいよ。
「よし!アークエンジェル回等50、ローエングリン一番、二番照準、目標南東距離20凖┫艦!・・・テェー!!!」
俺の掛け声と共に二基の陽電子砲が火を吹いた、地上だろうが恐らく20劼詫効射程範囲内だろう。
「どうだ?やったか?!」
「・・・・敵艦・・・沈黙!!」
ブリッジ内に歓喜の声があがる、しかしそれは次の瞬間の激しい揺れと轟音により掻き消された。
「攻撃か!?どこからだ?」
「二時方向、バクゥです!!」
「ちっ、そういや一匹残ってたっけな・・・。迎撃、バリアント照準!」
「駄目です、浮遊している為、射角が合わせられません!ゴットフリートも同様に仕様不能」
そうか、こっちは浮いてるから振動も激しいのか・・・。火器が全く使えない、イーゲルンシュテルンも
角度的に無効だろうし、しまったな・・・。
「バクゥさらに接近!このままでは数秒後に艦底に潜られます!」
「急いで着地しろ!」
「駄目です、ローエングリンの反動に備え位置固定していた為、間に合いません!!」
クソ、真下に入られたらこちらは反撃出来ずにやられ放題だ・・・・どうするか・・。
いや、一つだけ手はあるしかしこちらの負担も・・・。まぁいいか、どうせブリッジまで被害は及ぶまい・・・。
「ノイマン!バクゥが艦の真下に入ったらエンジンを止めろ!」
「・・・え?」
「奴が下に入った!今だ!早く!!」

 

ノイマンは言われた通りに全エンジン制止の作業に入った。色々な装置のスイッチを切り
アークエンジェルのエンジン完全にストップすると、浮遊能力を失った巨大な鉄の天使はそのまま重力に従い
地上へ落下した。凄まじい振動と轟音が艦内を襲う、全く、今日はうるさく揺れる日だ。下が砂地なので
そこまでの衝撃は無かったが、俺も含め、皆シートから投げ出された。
「・・・・全員無事か?バクゥは・・・?」
起き上がったトノムラがモニターを確認している。
「敵機影ロスト・・・・敵部隊・・・完全に沈黙しました」
フゥ・・・やれやれ、これだけの小部隊叩くのに随分苦労しちまったな。辺りを見ると全員無事の
様だった。俺は艦長席に座り、備え付けの受話器で格納庫へ連絡を入れた。
「全員無事か?」
「・・・・えぇ旦那、全員無事ですわ、しかしやるなら一言言ってくれねぇと・・・」
「ワリィ、ワリィ、次は言うからよ。それよりスカイグラスパーをスタンバイさせておいてくれ」
「まだ敵が居るんですかい?」
「いや、敵の旗艦がどの位やられてるか確認に行く。ひょっとしたら生きてるかもしれないから
逃げられる前にトドメ撃つ。ランチャーストライカーを換装させておいてくれ、すぐ行く」
俺は受話器を置き、トノムラに艦内の被害状況をまとめておくよう指示を出し、ブリッジを出た。
廊下を歩いていると「シュコーシュコー」という独特な空気音と念仏が聞こえた。振り返ると
そこにはサイとミリアリア、それにカズイの三人が居た。良く見るとカズイは顔半分を覆う位の
マスクの様な装置をつけていた、背中に何やら機械を背負いそこから伸びたホースがマスクに繋がっている。
シュコーという空気音はどうやらカズイから出ている様だった。
「お前らそういえば志願したんだったな・・・」
声をかけると、カズイとサイは俺に気が付き振り返った。ミリアリアだけは反応せず、相変わらず
俯きブツブツと言っている。サイは相変わらず血走った目をカッと見開き俺を見ている。あまり目を
合わせたく無いが、良く見ると眼鏡の左レンズにヒビが入っている。先ほどの衝撃で壁に打ち付けたのか?
喋る事の出来無い二人に代わってカズイが俺に話しかけてきた。
「シュコー、あ、キラ様、シュコー、お疲れ様です、シュコー」
カズイの声は機械の音声の様な声だった、しかも喋るごとに独特の空気音が目立つ、お前は
ダースベイダーか?

 

「お前何でそんなのつけてんの?目立とうとしてるの?」
「シュコー、いえ、これが無いと、シュコー、息がちゃんと、シュコー、出来無いんですよ、シュコー」
そういえばこいつはラクスのピンク電波にやられちまったんだったよな。ダークサイドならず
ピンクサイドへ堕ちたか、哀れな・・・。もう少しこいつらと遊んでいたいが生憎今は忙しい
それにサイの視線も嫌だしな。俺は3人と分かれ格納庫を目指した。格納庫では既にスカイグラスパーが
注文通りアグニをビシッと構えスタンバイしていた。キミらは本当に仕事が早くて助かるよ。
俺はスカイグラスパーに乗りこんだ。
「メビウス1、出るぞ!」
そう叫び、発進する。ストライクとは一味違った加速時のGがまた心地良い。じゃあひとっ飛びして
レセップスの被害状況を確認しに行きますか。見るとレーダーに3つ反応がある、しかしそれはMSでは無く
ジープだった。レジスタンスか?ゴリラも取り越し苦労だったなぁ・・・。そう言いながら識別を見ると
それはザフトのコードであった。ザフト?明けの砂漠じゃないのか?・・・・・じゃあ砂漠の虎か!
俺は高度を下げ、ジープの上空を通過した。チラッとバルトフェルドの顔が見えた、その表情にいつもの
余裕は無く、少し引きつった表情をしていた。見つけちまったモンは仕方無いよな・・・・死ね。
スカイグラスパーを旋回させ、ジープへ対して機銃掃射を行った。凄まじい砂煙が巻き上がり、ジープが
爆発し、その破片や人が燃えながら吹き飛んでいる。一旦距離置き、さらに急旋回。今ので死んだとは
思うが念の為だ、対地ミサイルを二発、燃え上がるジープへ向け放った。フォックス2であの世へ行きな。
ミサイルが燃え上がるジープへ命中し、ジープは原型を留めない位の大爆発を起こした。
「ひゃぁぁあっほぉぉぉう!!ナイスキル!ナイスキル!」
いやぁ、動け無い的を撃つのは楽しいなぁ。一瞬確認したが、あたり一面火の海だ、あれでは生存者は居まい
では、御機嫌よう。俺はこの場を後にした。しばらくするとレセップスの残骸らしき物質が見えてきた、
艦首や甲板を含め、上部半分がローエングリンで削られ無くなっている。脱出している乗務員の集団が
居たのでとりあえず機銃掃射で始末しておいた。しかし乗務員が生きてるって事はレセップスにも
無事な箇所があるって事だよな・・・?艦体下部の丸いハッチ、あれは格納庫か?あそこら辺が無事って
事は搭載機体も無事って事か?俺はアークエンジェルへ通信を入れた。
「敵旗艦完全に轟沈、この場は完全に制圧した。アークエンジェルはそのまま進路を南西20劼惻茲譟
敵艦内部を捜索する、兵士を20名、完全武装で格納庫へ集結させておけ」
俺はそう命令し、スカイグラスパーを砂地へ無理やり着地させた。アークエンジェルが来る前に先に
内部を少し見ておきたい。俺は拳銃を構え、先ほど機銃で肉塊に変わったレセップス乗務員が脱出
したのであろう小さなハッチから中へ入った。はしごを上るとそこは格納庫の中だった。
やっぱり格納庫は無事か、いいね、いいね、さて戦利品はと・・・見るとそこには砂漠戦仕様の
ジンが二機ハンガーに格納されているだけだった。そういえばバクゥは俺が皆殺しにしたんだったな・・。
クソ!またジンか!しかもグレードダウンじゃねーか・・・。俺はがっかりしながら来た道を
戻ろうとしたその時、格納庫の奥の壁がいきなり爆発し、俺は軽く吹き飛ばされた。何だ一体?
エンジン部分の爆発か?危ないから早く帰ろうと、フト爆発した方向を見て俺は足を止めた。
崩れ落ちた壁の向こうにMSがもう一機格納されていた、しかもそれはジンでは無く四足、しかも
砂漠の虎専用機、ラゴゥであった。
「こりゃまた・・・大物じゃねーか。でも・・・また複座か・・・」

○つづく