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キラ様第14話

Last-modified: 2009-10-31 (土) 23:56:12

どこまでも砂の海原、ここに居ると世界が砂で埋まってしまった様な、そんな錯覚すら
覚える。俺は地平線の彼方を眺めていた、この砂漠のどこかに俺の愛機ストライクは居る。
そうだ、ストライクはきっと俺の助けを待っているはずだ。何故なら奴の主人は他でも無い
この俺なのだから。まぁフリーダム手に入っちゃったらもう用済みなんだけど・・・・
それでも、必ず探し出してやる待ってろよ、ストライク!!

レセップスの中で待つ事10数分、ようやくアークエンジェルがたどり着いた。先ほどから少し
砂嵐が酷くなりつつある。レセップスの格納庫内にあったゴーグルを拝借し、俺はアークエンジェルへ
向かった。左の足先、つまり左舷カタパルトから艦内に入ると、格納庫の中では武装した兵士が
ジープに乗り込んでいた。その中にはサイやミリアリアの姿もあった、どうやらアークエンジェルは
よほど人手不足らしい、しかしこの子達にこんなあぶない物を渡しちゃいけないでしょ・・・。
俺は二人に近づき、素早く銃を取り上げた。ミリアリアが「あうー、あうー」と言いながら
返せと言っている。誰が返すか・・・。取り上げた銃器類を近くの兵士Aに渡した。
「こいつらに武器渡すなよ・・・・死にたいのか?」
「いえ、何せ人手不足なので兵の数は多い方がいいかと思いまして・・・」
「こいつらが武装すればアークエンジェルの人手がさらに減る羽目になるぞ・・・」
兵士Aは俺の説教を聞きながらも、俺から手渡された武器類を見て少し疑問の声をあげた。
「・・・・・あれ?あいつらには手榴弾も渡したはずなんだけど・・・・・」
何だと!?んな危険なモン渡すな、三回位死ぬ羽目になるぞ!!俺はサイとミリアリアを
ジープから降ろした、サイのズボンの両ポケットが異様に膨らんでいる。勃起にしては
デカすぎだよね?サイのポケットからは手榴弾3つが出てきた、それも兵士Aに返してやる。
フト見るとサイ達が乗っていたジープにもう一人変な格好の奴が乗っている。マスクにゴーグル
ヘルメットどこからどうみてもダースベイダーです、本当にありがとうございました。
「シュコー、あ、キラ様、シュコー、ご苦労様です」
「お前ら3人は行かなくていいよ・・・・代わりに・・・」
俺がそう言いかけた時、アークエンジェルの周りにジープが数台集まってきた。レジスタンスか・・。
俺はサイとミリアリアをベイダー卿に任せ、強そうな兵士数名を引き連れて外へ出た。
「やぁやぁ皆さん、地球軍第八艦隊所属、アークエンジェル艦長キラ・ヤマトです」
俺が名乗り出ると、レジスタンスの一人が口を開いた。
「あれー?第8艦隊ってのは全滅したんじゃなかったっけ?」
「あ?テメーもゼンメツさせたろかこのガキャ」
俺がそう言ってメンチを切るとその少年は黙りこんだ、その代わりにリーダーらしき男が
前に出る。

 

「俺達は明けの砂漠だ。俺はサイーブ・アシュマン、地球軍の新型特装艦アークエンジェルだろ?
クルーゼ隊に追われて、地球へ逃げてきた・・・。さてと、お互い何者だか分かってめでたしっ
てとこだがな、こっちとしちゃぁ、そんな厄の種に降ってこられてビックリしてんだ。こんな
とこに降りちまったのは事故なんだろうが、あんた達がこれからどうするつもりなのか、
そいつを聞きたいと思ってね」
一方的なサイーブの問いかけに対し、俺は考える事無く答えた。
「実は俺達、砂漠にちょっと落し物しちゃってね。あんた達拾わなかった?MSなんだけど」
「それはザフトのMSか?」
「いや、地球軍製の新型機なんだけどね。白と青の」
「俺達は知らないな」
やはりこいつらは拾ってはいないみたいだな、じゃあやっぱりザフトの手に渡ったか・・・。
さっさと取り返さないとな。
「じゃあとりあえずMS探しがてらザフトぶっ殺そうか、協力してくれるよな?」
「へ!話そうってんなら、まずは手榴弾を収めてくれ」
はい?手榴弾?何言ってんだこいつ・・?こっちは銃すら構えていない・・・・・。
と俺が後ろを向くと、サイがプルプルしながら手榴弾の安全ピンを抜こうとしている、
まだ隠し持ってやがったか!サイが安全ピンを引き抜くと、手榴弾のレバーがクルクルと勢い良く
飛んで行き、上部から黒い煙が出てきた、そしてサイは目を見開き「ああああああ!!!!!!」
と叫ぶとそれを俺達の居る方へ投げつけてきた。
「やべぇ!!伏せろ!!」
俺はそう叫びながらとっさにジープの陰に隠れた、それと同時に辺りに轟音と爆風が吹き荒れる。
砂煙が辺りを激しく渦巻き、前が見えない。砂漠で手榴弾を使う場合は後々の事も考えた方が
いいみたいだな・・・。近くで聞き覚えのある声がする。
「アフメド・・・!!しっかりしろ!アフメド!」
「カガリ・・・俺・・・お前・・うっ・・・・」
「アフメド・・アフメド・・・うう・・アフメドぉぉぉ!!!」
それはカガリだった、いやぁ〜こんな所で再開できて嬉しいよカガリ、カガリ、カガリィ〜。
俺はカガリの背中に抱きつき、胸を揉んでみた。
「ぇえぇい!!離せこのバカっ!」
カガリは俺に肘鉄を食らわせてきた、突然の事で流石の俺も回避できず、もろにそれを
貰ってしまった。
「糞ゴリラ、何しやがる!!」
「貴様こそ何だ!?」
「俺はお前の・・・・・・いや、何でも無い。それより俺の事、覚えてないかな?」
「・・・・・知らない・・・」

 

あの時殴りまくったから記憶が飛んだのか?こいつは元々オツムの弱い奴だからな
しかし・・・。俺は辺りの状況を見てみた、俺が連れてきた地球軍兵士は皆、体がバラバラに
吹き飛んでいる。レジスタンスの連中も何人かくたばった様だ。サイの奴ヒデェ事しやがる
ラディンみたいな野郎だ・・・。サイーブが起き上がり、俺の所へ近づいてきた。
「これがアンタ達の返答かい?」
「・・・いや、勘違いするな。あれは多分、歓迎用のクラッカーと手榴弾を間違ったんだ
・・・よくある事だ」
「・・・・・・・・・」
「いやぁ、こっちの兵士もみんな死んじゃったし、痛み分けって事で・・・・」
俺達が話していると半泣きのカガリが割って入ってきた。
「なんだと貴様!見ろ!みんな必死で戦った・・・戦ってるんだ!
大事な人や大事なものを守るために必死でな!」
俺は意味不明な事を叫ぶうるさいゴリラを黙らせるのと、先ほどの肘鉄の仕返しも兼ねてカガリの
こめかみ部分をぶん殴った。メリメリという音と共にカガリはその場で回転し、そのまま倒れた。
そして俺は倒れたカガリに言い放った。
「気持ちだけで・・・・一体何が守れるっていうんだ!」

その後、レセップスからラゴゥとジンを接収し、艦は完全に破壊した。倒したバクゥも一応
回収し、俺達はサイーブの案内の元、レジスタンスの基地へ招かれた、まるで手榴弾の件は
無かったかの様な雰囲気だ。いや・・・・無かったんだろう。そうだよ、誰かが死んでも
5分後にはそいつの事なんか綺麗さっぱり忘れてるのが種クオリティーだし、また適当な時に誰かの
回想シーンで出れたらイイネ。レジスタンスは早速アークエンジェルの修理と補給を行ってくれた。
現状、今の俺達の目標地点はアラスカだ。しかしそこにたどり着くには、太平洋に出なければならない
それにはバナディーヤのザフト軍基地を通過する必要があるらしい。基地攻略・・・。ただ陥落を
目標とするならローエングリンを乱射すればカタは付くが、ストライクの件はどうする?恐らく
バナディーヤにあるはずだ。現状の戦力で、基地に乗り込んで、ストライク取り返して、基地潰して
ハイサヨナラはとても厳しい。俺はアークエンジェルの格納庫で整備されているラゴゥを眺めながら
そんな事を考えていた。鹵獲機体の整備が一通り終わり、マードックが話しかけて来た。
「旦那、終わりやしたぜ。ジンと複座の四つ足はすぐにでも使えやすが・・・・」
マードックはちらりとバクゥを見た。
「損傷が少なかった2機を見たんですが、一機は右前足が折れてて高速戦闘には使いモンになりませんわ
普通に移動するだけなら足三本でもイケるみたいですが、それともう一機は背中の武装が修復不可能で
フレームもひん曲がってる様ですわ。こっちも戦闘は厳しいかと・・・」

 

あんまり嬉しい知らせじゃないなぁ・・・。俺はトボトボとブリッジへ帰った。こっちの世界に来てから
最近全然楽しくない、何かイライラするなぁ〜!!そう思っていた所へナタルが俺に話しかけてきた。
「ヤマト大尉、レジスタンスのリーダーが話があると・・」
ほほぅ、こいつは良い所へ獲物が来たな・・・。
「おいバジルール中尉!声が小さいぞ!!何言ってんだか分かんねぇよボケ!!」
「レジスタンスのリーダーが話があると言っておりました!」
「聞こえねぇって言ってんだろカスが!!」
「申し訳ありません!!」
「捻じ曲がった根性叩きなおしてやるよ!発声練習!あ!い!う!え!お!あ!お!さぁやれ!」
「・・・・・あ!い!う!え!お!あ!お!」
「声が小せぇって言ってんだろコラ!テメーは耳も聞こえねぇのか!?ああ!?」
「申し訳ありませんっ!!!」
「俺が戻ってくるまで発生練習しとけや!さぼったら懲罰房行きだ!・・・ノイマン!!」
「・・・え?、あ、はい?」
「バジルール中尉がサボらない様に見張ってろ」
俺はそう言い放ち、ブリッジを出た。ナタルをいじめるとスッキリするな。少し気分が良くなり
軽い足取りでレジスタンスの本部へ向かった。本部では対ザフト戦の作戦会議が開かれていた。
レジスタンスの話によれば、俺が撃破したザフト車両に砂漠の虎らしき人物の死体は無かったという。
黒こげ死体をどう判別したのか知らないが、奴は生きていてもおかしくは無い。奴にも少なからず
強力な負債補正があるのだから。だが、それでも奴が五体満足で居るとは思えない・・・。
どこまで無事か少し確かめたい気がするなぁ・・・、しかしどうやって・・・。ん?
そう言えば、あるじゃないか機会が、しかも虎の巣にまで招かれるという絶好の機会が。
待てよ、これは上手く行けば簡単にストライクを取り返せるかもしれないぞ。
「ちょっといいですか?」
俺がいきなり発言したので、皆が俺に注目した。
「虎を倒すいい作戦がある。しかしこれはアナタ方レジスタンスの協力が必要だ」
「どんな作戦だ?」
サイーブは案の定乗ってきた。元々現状の戦力では虎に太刀打ち出来無いこいつらにとって
藁をも掴む気持ちなのだろう。俺はみんなに作戦を説明し始めた・・・・・。

 

翌日、俺はバナディーヤ市外にカガリと共に居た。まずは作戦の第一段階、アンドリュー・
バルトフェルドとコンタクトを取る為だ。ここでもし奴が死んでいるなりで現れなければ
作戦は中止。そして情報漏えいを防ぐ為、この作戦内容はレジスタンスのトップ連中と俺
兄貴、マードックとノイマン達の重要クルーにしか知らせていない。もちろんカガリも
作戦内容は知らせていない、今日はただの買い物という事で外に出た。前を歩いていた
カガリが唐突に口を開いた。
「おい!何ボケッとしてる。お前は一応護衛なんだろ?」
フン、何も知らない雌ゴリラが・・・。手榴弾の件はカガリも例外では無く、と言うより
こいつは最たるもので、あれから何も言及はしてこない、もちろん俺が殴り飛ばした事も。
まるで本当に何も無かったかの様に・・。まぁこちらからすれば都合が良いのだが。買い物も
終わり俺達はオープンテラスのレストランの椅子に腰掛けた、カガリが勝手にウエイターに
オーダーをしている。さて、そろそろ来る頃か・・・?生きていれば・・・。チラリと後ろを
見ると、住人に扮したレジスタンスのメンバーが新聞を読むフリをしながらこちらを見ている。
カガリは買い物袋の中身を確かめていた。しかし遅い、虎はまだ現れないのか・・・?俺は
退屈だったのでフトあるいたずらを思いついた。この前、偶然医務室で手に入れた下剤
このゴリラに使ってみよう。テーブルの上の自分の水に素早く下剤を入れ、それを瞬時にカガリの
物と取り替える。よし、上手くいった。
「まぁ、水でも飲んで落ち着けよ」
と言うと、「あぁ」と一言言い、カガリはコップの水を全て飲み干した。ククク、馬鹿め・・・。
さて、どれ位で効き目が出てくるのかな?そしてその時の反応が楽しみだ、さて、じゃあ虎を待つか。
ウエイターが料理を運んできた。運んできた料理を見てカガリが独り言を俺に顔を見ながら言った。
「ドネルケバブさ!あー、疲れたし腹も減った。ほら、お前も食えよ。このチリソースを掛けて・・・」
そうだ、そうだ。このタイミングだ、このタイミングで出てくるんだった。ソースがどうのとか言って
出てくるんだったよな、ホラ、ゴリラがチリソースをかけようとしてるぞ?さぁ出て来い!しかし
そこに虎らしき人物は居なかった。現れない、やっぱり死んじまったのかなぁ・・?あ〜あ・・・。
俺はガッカリしながら後ろのレジスタンスに作戦中止の合図を送ろうとしたその時、俺は奇妙な
人物を目の当たりにする。全身包帯グルグル巻きのミイラ男がフラフラとおぼつかない足取りで
こちらへやってくる。顔は包帯で分からないが、目はかなりイッちゃっている、そして口元には
ヨダレを垂らしている。そのミイラ男は手にソースのボトルの様な物を持っていた。・・・まさか?
ミイラ男は俺達の席の前に立つと、突然叫びだした。
「あいや、ままmままったたたぁ!ちょ、ちょ、ちちちょっと待ったぁ!
ケケケケバブにチリソースなんんnんてナにををいってるんだぇ!このヨーグルトソースを
かかkかけるのが常識だろうがああああんんん・・・」
重度の言語障害に陥っているその男は紛れも無く砂漠の虎だ、やっぱり生きてた・・・しかし
これは本当に本物の砂漠の虎か??どっかの精神病院から脱走してきた患者じゃないのか?

 

「いいいいいや、じじょじじじじ常識というよりもももも、もっと、こうこうこううううう
んにににーそう!ヨヨヨヨーグルグルトトソースを掛けなななないなんて、こっこっこの
料理に対すすすりりりする冒涜だだだだよおもも」
「なんなんだお前は!見ず知らずの男に、私の食べ方にとやかく言われる筋合いはない!」
カガリの反応は至って冷静だった。この世界の人間はバグを起こしたキャラに冷たいな・・。
いや、過剰な反応を起こさない分、それが別の意味での暖かさなのかもしれないが・・・。
そこへ銃を乱射しながら数名の男達が叫びながらこちらへ走ってきた。
「青き正常なる世界の為にィ!!」
ブルーコスモスか、アークエンジェルが誇る無差別破壊テロリスト、サイに比べれば
何とも生易しい連中よ。包帯男が叫ぶ。
「かっかっかか構わん!わん!わん!全ててて排除しる!謝罪しる!」
それと同時に潜んでいたザフト兵による一斉放火がブルーコスモスを襲う、ザフト兵の
激しい銃撃によりブルーコスモスは全員蜂の巣になった。一人、士官らしき男が
包帯男の元へ駆け寄ってきた。
「隊長!御無事で!」
ダコスタ・・・。お前も大変だなぁ、隊長がこんなになっちゃって・・。ダコスタは
部下に隊長を勝手に出歩かせるなと叱咤していた。そりゃごもっともな話だ。
「あぁぁぁぁああああ・・・。わわわわたしははへへ兵器だ。彼のおかげげげげででなますて」
ドサクサに紛れてチリソース塗れのカガリはそれを聞いて一言言った。
「あ・・・アンドリュー・バルトフェルド・・・砂漠の・・・虎」
いや、かなり疑わしいけどな。でも生きてたみたいだな虎よ、俺は後ろのレジスタンスに
決行の合図を送った。レジスタンスはその合図を確認すると、フッと消えて行った。
この作戦は色々と準備が要るからねぇ、まぁここまでは本編通り、お楽しみはここからだ。
ストライク奪還作戦、開始!

○つづく