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クルーゼ生存_第20話

Last-modified: 2013-12-22 (日) 02:21:13

 ミネルバはアレッシィ、レイ、ルナマリア、イザークの四機のモビルスーツを射出する
と、空中から敵を攻撃する態勢に入った。マハムール基地の地上艦からも、バクゥ、カズ
ウート、ジンオーカーが出撃する。
 敵基地からはダガーL部隊が迎撃にでてきた。
 そしてミネルバが陽電子砲発射準備に入るのに気づいた連合軍は、噂のモビルアーマー
を前面に出した来た。それはカーペンタリア戦で使われたものとはまた別のモビルアーマ
ーで、大型昆虫の背中にダガーLの上半身を埋め込んだような奇妙な形をしている。
「てぇー」
 グラディス艦長の命令の元、ザフトではタンホイザーと呼ぶ陽電子砲が発射された。
 ユニウス7すら砕くことのできる陽電子砲だが、リフレクターをそなえた敵モビルアー
マーはひょうひょうと無事だった。
「わかっていたこととはいえ、不愉快だわね」
 艦長の声にブリッジの全員が首肯する。
「モビルスーツ隊に作戦成功の是非がかかっているわけだけど、あっちの陽電子砲がミネ
ルバに直撃すれば、この船は沈むのだから、全員、敵砲台に集中!」
「はい!」
 モビルスーツ隊同士の戦闘は、ザフト側に有利に進んでいた。敵モビルアーマーは基地
を守る盾としての役目が大きいのであって、攻撃力はダガーLより上という程度のものだ
った。アレッシィとレイは空中から、ルナマリアとイザークは地上からダガーLを狙って
は落としていった。この橋頭堡には陽電子砲と陽電子リフレクターを持ったモビルアーマ
ーがあるので、新型のウィンダムの配備は後回しにされているのだろう。とはいえ、やは
り陽電子砲があるのは恐怖だ。ミネルバを標的をして敵砲台が動くと、ダガーLがさっと
射線を開けた。
「ミネルバの回避はミネルバに任せろ。モビルスーツパイロットは一機でも敵を減らせ」 アレッシィの命令により、回避運動を取るダガーLが次々と落とされていく。
(そろそろシンに出てきてもらいたいものだが)
 アレッシィが時計を見ると、インパルスとの合流予定時間まであと40秒だった。
(ならば、ミネルバは自力で回避してもらわねばな)
 敵陽電子砲、ローエングリンが真っ赤な火を噴いた。しかしミネルバは射線を予測して
いたようで、撃たれる一瞬前にぐんと沈み込んで砲撃をかわした。
 とはいえすぐに二発目のチャージに入ったようだ。計算では、チャージ完了よりインパ
ルスが行動を出てくるほうが早い。

 
 

 必死で坑道内を飛んでいたシンは、岩にふさがれた出口をようやっと見つけ出した。そ
こにミサイルをぶちこみ、そのまま外に出る。すばやく合体シークエンスを終わらせてみ
ると、確かに眼下に敵砲台があった。
(あれを壊さないと!)
 砲台の警備役の対空砲から、ミサイルが飛ぶ。その対空砲を破壊し、防御用のダガーL
をビームライフルで破壊する。
 下から奇妙な形のモビルアーマーが上昇してくる。
 あっと思った瞬間、レイの声が無線に入った。
「こいつは俺にまかせろ。お前は作戦通り敵砲台を潰せ!」
「わかった!」
 インパルスの急襲に恐怖を感じたのだろう。敵はチャージ中の陽電子砲を下げ始めた。
シンは抵抗するダガーLを倒しながら、砲台に迫る。しかし、このままでは砲台は下がり、
シャッターが閉じてしまう。
 エネルギーの尽きたライフルを捨て、ナイフで手近のダガーLを切り裂くと、そのまま
砲台のシャッターに投げ入れた。そして止めとばかりにバルカンをお見舞いする。
 シャッターの下から激しい爆発が起こった。チャージされていた陽電子が対消滅を起こ
し、爆発したのだ。その威力は、基地全体を誘爆させるに足るものだった。
(あのモビルアーマーは!?)
 シンが下に目をやると、レイのセイバーが接近戦に強い機体性能を生かして、モビルア
ーマーのダガーLの部分を切り裂き、そこから強烈なビームを食らわして、仕留めること
に成功していた。
(やった!)
 陽電子砲と基地、陽電子リフレクターを持つモビルアーマー、すべての破壊に成功した。
まだ残っている敵モビルスーツが数機あったが、降伏信号を発信し始めていた。
「作戦終了。各機、母艦に帰還せよ。捕虜はフレミング隊長にお任せしたいが、それでよ
ろしいか?」
「了解しました」
 ガルナハン・ローエングリンゲート攻略戦はザフトとガルナハンのレジスタンスの勝利
に終わった。

 
 

「やったな!」
 ミネルバに戻ったパイロット達はいつものように無事を確かめ合った。そしてその輪に
初めてイザークが入ってきたのにシンたちは驚いたが、彼を仲間として受け入れた。イザ
ークのスラッシュザクファントムは空から攻撃してくるダガーLを正確に射撃して落とす
ことで、戦いを有利に進めるのに十分な役目を果たしたからだ。
 そして整備士たちに、自分の機体が受けた被害やこの気候でのセッティングがどうだっ
たかを伝える。これは期待を成熟させていく上で、とても大事な仕事だった。パイロット
の腕の中には、いかに上手く自分の機体を管理し、状況に合わせたセッティングをするか
も含まれていた。エイブス班長から『アレッシィ隊長はお前らの半分の時間で二倍の情報
をこっちに伝えるぞ』と言われたのは、カーペンタリア戦のあとだった。
 そのあとパイロットルームに集合して、口頭で今日の戦闘の報告を隊長にした。
 ミネルバはガルナハンの街の近くに留まっている。さっそく火力プラントからバッテリ
ーに電気を充電してもらうことになったらしい。

「今日はみなよくやってくれた。ガルナハンの街に帰ったミス・アルメダから、君たちパイロットを今日の殊勲者として食事に招待したいという話が来ている。希望者は武装し、ザフトの軍人としての節度を守り、禁酒するなら、行ってもよい。希望するものは?」
 面白そうだと思ったので、シンが手を上げた。そしてルナマリアとレイも。イザークはまったく興味がない様子だった。
「シン・アスカ、レイ・ザ・バレル、ルナマリア・ホーク、外出許可を出すので各自コンピュータからわたしに申請書を提出するように。イザーク・ジュール、君は私と交代でスタンバイに入れ。君は明日は全休だ」
「はいっ!」
 シンはガルナハンの街がどんなところか、楽しみでならなかった。

 

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