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シン死亡エンド 手紙

Last-modified: 2014-03-10 (月) 15:39:19

「お姉ちゃん!」



メイリンがその場所に来た時、すでにシンとルナマリアは処刑されていた。

二人はメサイア攻防戦までのザフト軍の責任をクライン派の政府に問われ、

処刑されたのである。













クライン派はそれまでの戦いの象徴であるミネルバの中心人物と思われた

シンとルナマリアを処刑することで、戦いの責任を取らせようとした。

ミネルバのクルーである、艦長、そしてレイはメサイア攻防戦で行方不明のままであった。

二人はおそらく亡くなったと思われていた。

副艦長であるアーサーは、すでに責任を問われて処刑されていた。

今日はシンとルナマリアが処刑された日だったのである。

もちろん二人以外、ミネルバのクルー以外の者で、

クライン派によって戦いの責任を問われた者もいた。

そうした者の中で主だった者と判断された者はすでに処刑されていた。

たとえクライン派が二人の処刑を中止しようとしても、

それは世論に押されて無理だったかもしれない。

議長がミネルバを宣伝の材料に使用していたことが、かえって二人に凶となったのだ。

二人は同じ棺に入れられ、宇宙に向けて打ち出されようとしていた。

宇宙葬である。





「お姉ちゃん! ごめん! 私、最期なのにどうしても見ることができなかった!」



「あの、すいません。そろそろ棺を射出したいのですが」

と、ザフト軍の兵士は言った。



「……すいません。身内の者です。もう少し話をさせてください」



「しかし……」



「上の方には許可をもらっています。お願いします。もう少し話をさせてください」



メイリンは相手が了解のジェスチャーをしたことを見届けてから、姉に声をかけた。



「お姉ちゃん。いなくなった今、わかるの。お姉ちゃんに逝ってほしくなかったって。

お姉ちゃんがモビルスーツのパイロットで、

私がそのサポートしてたあの時までは一緒にいたのに。

子どもの時からずっといたのに……。

お姉ちゃんと一緒にいた頃が懐かしい……。何で!? どうしてこうなっちゃったのよ!」

そう言い終えると彼女は涙が止まらなくなり、涙が止まるまでしばらく泣き続けた。



「シン。何でお姉ちゃんを私から奪ったの!? 何でよ!?」

そこでメイリンは一旦話すことを止めると、またすぐに話し出した。



「私、シンに殺されかかった時、すっごく怖かった!

そして今、お姉ちゃんを一緒に連れてっちゃった!

なのに何で今……、シンに死んでほしくなかったと思えるのよ!? 何で!?」

そこまで言い終えると、メイリンはまた泣き始めた。

名もなきザフト兵は彼女に声をかけた。



「あの、手紙を残していますが」



「……手紙ですか?」



「処刑された女の遺書ということになるのですかね。

妹に渡してくれと。あなたですよね。どうぞ」



彼は遺書を渡すため、彼女に近づいた。

その時、名もなきザフト兵は見たのだ。彼女がわらいながら泣いているのを。

名もなきザフト兵は彼女に聞いた。



「なぜ、笑いながら泣いているのですか?」



「さあ、なぜなんでしょう。

人間って本当に悲しい時は……、笑えるんですかね?

それとも、二人が亡くなってうれしいのかも……。やったって。

あなたはどちらだと思いますか?」



逆に彼は彼女にそう問いかけられた。

そのようなことをいわれても、名もなきザフト兵には答えようがなかった。

それに彼は、今日初めて彼女に会ったばかりだった。

彼には彼女がどういう人間かわからなかった。

さらにいえば彼は、亡くなった二人にも今日初めて会った。

彼女たちの間にどのようなことがあったのかもわからなかった。

彼女は彼が返事をする前に話をしだした。



「それとも自分で自分をあざわらって……?

私が後悔しているから? 殺したいと思うほど、憎かったことを?

そうではなくて、姉が処刑されることを止められなかった無力感から

自分を……?」



「さあ、私にはわかりません。あなたは自分のことをどう思うのですか?」



メイリンはそれを聞いて、つぶやくように言った。



「でも私のことはもう、どうでもいいんです。

大事なことは、亡くなったということ……。

死んだらどうしようもない……。私……」



宇宙葬が終了した数時間後、やっとメイリンは自室に戻った。

遺書を読む気になるまでに数時間かかったのである。

それまでメイリンは、クライン派として、ラクスの側近として仕事をこなした。

それまで遺書を読む気にはならなかったが、遺書を捨てる気にもならなかった。



「お姉ちゃん……」



そう言いながらメイリンは手紙を読み始めた。

手紙は姉が拘束されている日々に少しずつ書いたもので

何十枚もの紙に書かれており、複数の封筒に入ったものであった。





内容はお世話になった人によろしくということから始まって、

彼女の姉が考えた様々なことが妹あてに書かれていた。

メイリンは手紙を最初の日付がある紙から数枚読んだ。

そして姉が最期に考えたことを早く知りたいと思ったので、

最期の日付から数日前のところから読むことにした。

ちょうどそこの紙には次のように書かれていた。




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処刑される日を結婚した日って書類上でできないかな? 確かにプラントは子どもができないと結婚させてもらえない国よ。 でもその理由は出生率の低下によるもの。
どうせ殺されるんだから出生率関係ない。 だから結婚する時に出生率をどうこう言われることはない。 だったら書類の上だけでも結婚した形にできないかな?
他の人から見れば、悪行の限りをつくした夫婦って見られるかもしれない。 私たちが今どう見られているかわかるから。
何十年後、何百年後に歴史の上で、私のことが悪く言われるかもしれない。 だけど、そうしたいから。 私は、どういわれてもいいから。



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メイリンは最後の日付がある紙を見た。

そこにはこう書かれていた。




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プラントが良くなればそれに越したことはないけれど、 もし仮にプラントが戦争になった時、メイリンだけは逃げてほしい。そう思うの。
メサイア攻防戦の時、妹があっちにいることがはっきりとわかった。 それで戦場で迷いが出たと思う。 最初は戦っていたはずなのに、気がついたらシンを止めていたから。
あの時インパルスは動くことができたから、そのまま逃げることはできたはず。 なのにそうしなかったのはメイリンが向こうにいたからかもね。
あなたの考えていることや立場、そういうことも私は色々と考えた。 私もメイリンに会いたいと思っていたから。
だけどそのせいでかえって死ぬ人が出てきた。その中に私も含まれてた。そして…。 私があなたに対して持っている感情は複雑で、
あの時メイリンがミネルバにいたらであるとか、 もし私に妹がいなかったらとか今も考えている。 なぜ私が処刑されるのか、助けてくれないのかとうらんでる気持ちもある。
彼のことも。 けれど結局結論としてはあなたが無事にいてほしいと思う。 だからもしものことがあれば、あなたにはプラントを離れてほしい。
普通に生活して幸せになってほしい。 もう私が守ることができないから。私がそばにいることができないから。





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「お姉ちゃん、私のことをそうやって考えてたんだ……。

私……、私……。でも、もう遅い。もう遅いのよ!」

メイリンはわらいながら大声を立てて泣いた。