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スタートレックヴォイジャー in Gundam SEED_第10話

Last-modified: 2012-06-24 (日) 17:23:59

第10話「焦りと困惑と」

 

 虚空に浮かぶ2つの船体に陽光が降り注ぐ。
 旧世紀には、この太陽の光すらも宇宙空間では殺人的な力を持っていた。
 日射しに含まれる有害な紫外線は勿論、太陽風として注がれる様々な放射線や、
電磁波の影響から人類は無傷ではいられなかった。
 故に月へ行くことですら、地球上で浴びる放射線許容量を軽く飛び越えることを
覚悟しなくてはならない有り様だった。
 それでも人類は困難を乗り越え、宇宙を新たな生活空間として獲得する。

 

「ランデブーポイントに到達しました」
「アーサー、スクリーンへ」
「はい」

 

 彼女の命令で前方スクリーンが宇宙の映像から切り替わる。
 そこには一人の少年の姿が見える。

 

「ナスカ級キグナス艦長、タリア・グラディスです。本日よりザラ隊へ合流します」
「ザラ隊隊長、アスラン・ザラです。貴艦の本隊への合流を歓迎します」
「本艦には本国よりの緊急補給物資を満載しています。まずはそれらの編成をしましょう」
「わかりました。では、私がそちらへ向かいましょう。後ほど」

 

 簡単な挨拶の後、スクリーンがオフされた。
 ナスカ級キグナスの艦長であるタリア・グラディスは、
髪をショートボブに揃えた理知的な女性士官だ。
 有能な士官ではあるが、それ故に軍内部には敵も多い。
 彼女自身は意に介さない方だが、立場上の障害になる事も多く、
このC.E.の時代に入った現在でも女性という立場はなかなか難しい。
 今回の派遣先も、そうした意味合いも含めてなかなか悩ましい任務だった。

 

「あれがアスラン・ザラですかぁ…若いですねぇ」

 

 彼女に質問したのは彼の副官のアーサーだ。
 彼は見た目は優男風だが、これでいて気弱で真面目という意外性を持つ男だ。
 アーサー自身も他の部隊でよりは、彼女の元で頭角を現したと言えるので、彼女への忠誠心は高い。
 彼女からすれば扱い易くて手堅い彼を気に入って使っている。
 何より反抗的ではないし、取っ付き易いキャラクターが持ち味だ。

 

「そうね。でも彼、本日付けでフェイスだそうよ」
「え、フェイス!?」

 

 フェイス(FAITH)とは、ZAFT内部で独自に判断して行動する権利持つ、
少数のエリートにのみ与えられる称号だ。
 フェイスはプラント国防委員会直属の特務隊となっており、
国家元首に相当する最高評議会議長または国防委員長が任命する権利をもつ。

 

「……あの隊は特別よ。本国の最高幹部の子息で編成されたトップエリート集団。
 これがどういう事か、わかるわね?」
「……コーディネイターの中のコーディネイター……ですか?」
「……えぇ。そして、最高の厄介……もとい、いつか国を動かすことになる存在よ。
 じゃ、アーサー、後は頼むわね」
「はい、艦長」

 

 グラディスは副官に任せて艦橋を出てった。

 
 

 艦長日誌
 私達はついに中継点であるユニウス7のデブリ帯へ到達した。
 ここには最も不足した水を始めとした様々な「物資」が散乱している。
 ラミアス大尉はまだ本調子ではないことから、この補給の采配はバジルール少尉に引き続き任せた。
 私はその際に避難民にも積極的に手伝ってもらう様提案し、
我々のシャトルも使用して大型のゴミもリサイクル利用のために収集した。

 

「…ハンセンさん、これって、ジンだろ?しかも、これ3体分はありますぜ?」

 

 ハンガーに積み込まれた巨大な廃棄物を前に、マードック軍曹が腕組みして尋ねた。
 尋ねられた方は涼しい顔で当然の様に語る。

 

「そうだ。かなりの損傷はしているが、使えるだろう」
「え、これを直すんですか?」
「そうだ。……いや、直すというのは違うな。新しく作ると言った方が良いか」
「3体もですか?」
「いや、まず作るのは1体分だ。残りは分解して予備のパーツとする」
「はぁ〜」
「不満か?」
「いや、不満とかは無いが、出来るのかい?」
「問題は無い。設計はある。これだ」

 

 セブンは手に持っていたパッドをマードックへ見せた。
 彼はその設計図を暫く黙々と見ていた。
 その視線はまるでパッドに釘付けにでもなったかの様に微動だにしない。
 そんな彼の姿に他の整備士チームの一同も、興味を持って彼のもとに集まり横からパッドを覗く。
 そして、彼同様に彼らも釘付けになった。

 

「………ハンセンさん」
「何だ?」
「これ、……真面目に作れるんですかい?」
「ん、問題無い。お前達の”高度な”技術力と、私の知識が有れば可能だ。違うか?」
「そ……うかい?……いや、そうだな!
 お嬢さんがそんなに仰るんなら、お、俺達も頑張らなくちゃぁ、なぁ〜?お前ら?」
「お、おす!!!」

 

 メカニック一同、スタイル抜群の彼女に「高度な技術力」と褒められて満更でもない様だった。
 しかし、一つ疑問が残った。

 

「あのぉ、一つ聞きてぇんだが、こいつを作って、そのぉ……一体誰が乗るんだい?」
「ん、それには私が乗ろう」
「えぇええええええええええええええええ!!?!」

 

 一同がざわめく。
 彼らの女神が戦うという話だけでも驚ける内容だが、
そもそも彼女がモビルスーツを扱えるのかどうかすら怪しい話だ。

 

「……なんだ。驚く事は無い。私が乗るのだ。お前達には期待しているぞ」
「え、いや、ちょっと、そんな、勝手にいいんですかい!?」

 

 マードック自身、仮に開発が許可されるとしても、彼女の搭乗許可が降りるとは思えなかった。
 しかし、彼らの不安を他所に、彼女は全く意に介さず涼しい顔だ。

 

「許可はジェインウェイ社長が取ってくれる。
 仮に私が乗らずとも、これを作ることによる戦力の増強は望ましい。違うか?」
「は、はぁ」
「整備の合間で良い。私も協力する。一緒に作ろうではないか」
「ま、まぁ、良いですぜ」

 

 表面的には上の判断がどうなるか怖々であったが、
内心は彼らの中にもこの新型を作ってみたいという闘志が湧いていた。
 というのも、セブンの見せた設計図はそれだけ「難解」な構造を採用した設計だったのだ。
 それもこれまで見た事も無い様な仕様で、全てが初めてだが挑戦する魅力を感じる何かがそこにあった。
 技術者としては、これを作るのは十分に手応えのある良い冒険と言えた。

 
 

 ZAFT軍ナスカ級キグナスの格納庫では、
2機のブルーとダークグリーンに塗られた機体の姿があった。

 

「これは…新型のシグー…ですか?」

 

 アスランが見たのはブルーに塗られた機体の方だ。
 どちらもデザインはこれまでのものとは違うものだ。

 

「いいえ、ZGMF-600-NX-V1 GuAIZ Assaultよ」
「NXナンバーということは、試作機。ゲイツアサルト?」
「そう。これはその先行試作型の一つよ。
 送られてきたGAT-Xシリーズのデータを参考に、
急遽高機動戦闘能力を高めた高出力エンジンを装備し、
 ビーム武装を本軍では初めて装備する機体よ。」

 

 機体の印象はこれまでのジンやシグーとは違ってスマートになっていた。
 刺々しいものはなく、そうした装飾的なものを付ける余裕が無かったのか、
 モノアイのフェイス部分を除けば、どちらかというと連合の新型に近いデザインをしている。

 

「ビーム兵器。……バッテリーの持ちは大丈夫なんですか?」
「心配ないわ……と軽く言える内容なら良いけど、使ってみなければ分からないわね。
 しかも、今のところ残念ながらこの機体は量産計画が無いの。
 だから予備パーツも少量しか無いのを留意して。これはイザーク・ジュールに配備されるわ」

 

 イザークには機体が無い状況のため、補充自体は素直に喜びたいところだ。
 装備内容については連合のデュエルに近い様だ。近接戦闘を意識した装備目録が目につく。

 

「そして、こちらはZGMF-600-NX-V2 GuAIZ Stealth」
「ゲイツステルス?」

 

 グラディスが指差して示したのは、黒に近いダークグリーンに塗られた機体の方だ。
 こちらのデザインは先程のブルーと比べれば、これまでの機体に近しい姿をしている様に思える。

 

「えぇ、連合のミラージュコロイドのデータを参考に散布システムを搭載したステルス機よ。
 こちらはニコル・アマルフィのブリッツの代替機として配備されます。
 基本性能はこちらが今後量産される正式型番ZGMF-600 GuAIZの素体として採用されるけど、
 ミラージュコロイドはこの機体のみのオプションだそうよ」

 

 アスランは彼女の話に内心驚いていた。まだシグーの配備ですら全体に行き渡っていない段階で、
このゲイツという機体を開発途上の段階ながら急遽仕上げてきたのだ。

 

「……プロトタイプを更に改造して配備……ということは、本国も相当焦っているんですね」
「……そう考えて良いわね。クルーゼの送ったデータは驚愕に値したと思うわ。
 あの彼が敗退し、しかも切れ者と評判の彼が判断ミスを犯して逃がした。
 ……首脳部がこれで焦らなかったら変なくらいよ。
 あ、そうそう、彼、降格は免れたそうよ。暫く謹慎だけど」
「そうですか。……良かった」

 

 グラディスは彼の心から安堵する様を不思議に思っていた。
 軍内外の評判はともかくとして、彼女自身としての彼への評価はそう高くない。
 どちらかといえば苦手な部類だ。あの嫌味ったらしい性格がもう少し明るければあるいは。
 いやいや、それ以前にあの仮面姿自体が怪しくて近寄りたくない。

 

「そんなに良い隊長だった?」
「えぇ、的確に物事を判断される方だと思います」

 

 彼の反応に、同性の年下には優しいのかも?……とあっさり納得することにした。

 

「……そうね。あと補充機だけど、シグーのアサルトシュラウド追加タイプがあるわ」

 

 補充機にシグーのASが追加されると聞いて、いよいよ彼の中でも本国の焦りが確信になった。
 シグーのASはまだ隊長機にしか採用されていない。シグー自体の数が絶対的に足りないのだ。
 そのシグーのしかもカスタム機をこちらに回すのだ。なかなかの緊急事態と言える。

 

「オロールにはシグーのカスタム機ですか。……本気度が違いますね。
 グラディス艦長はGAT-XのOSについてはどう思われます?」

 

 彼女は腕組みして片手で頬杖をつきながら考え込む様な姿勢になった。
 彼女自身、その内容に悩まされたのだ。

 

「……ここへ来るまでに資料を見せてもらったけど、あれは一体何?
 およそ私達の知っている方法で思いついたものじゃないわ。
 あまりに突飛過ぎて、どこから手を付けていいのかサッパリ分からないもの。
 クルーゼが報告書に『次元が違う』と書いたそうだけど、私も同感よ。
 でも、もの凄い高性能振りね。使いこなせれば相当のシステムだわ」
「はい、私もそう思います」

 

 アスランの相槌に、グラディスは思わず溜息をついた。

 

「……敵を褒めても仕方ないけど、
いくら高度な技能を持つコーディネイターと言っても、ただの人ね。
 人1人の限界は超えたとしても、多数の知恵には抗えない。
 私達の敵は、私達自身の驕りかも知れないわね。」

 

 彼女の言葉は彼も感じていた。
 ナチュラルと侮っていた連合に、こうもあっさりとテクノロジーレベルで抜かれたのである。
 一匹の鼠では歯が立たずとも、複数の鼠ならば一匹の猫は負けてしまう。
 猫も猫同士が連携すれば良いのだが、猫は群れる動物ではない。
コーディネイターはいわば猫なのだ。
 一人一人の能力は高いが、個人主義が強過ぎて協力することが下手だ。
現在の軍部は勿論、最高評議会さえまとまりが有るとは言えない。
 それでも何とか保ってきたのは、その強力な個性があらゆる分野で力を振るえたからだ。
だが、個性ある個人も複数の凡人を相手に勝ち続けるのは難しい。
 ……この一件がたまたま生じた幸運程度のものならば良いが。

 

「……とりあえず補充目録はこの他、我々の隊にあるジン・ハイマニューバが3機。
 いずれも高機動戦闘を得意とする機体よ」
「……次の戦いで、奴らに勝たなくてはいけませんね」
「そうね。進路は月の第八艦隊でしょう。
 先に先行するためにナスカ級の足が選ばれたと思うわ。急ぎましょう」

 

 二人はその後も部隊の調整を話し合い、今後の行動計画を練った。

 
 

 私はシャトルアーチャーに乗って、ユニウス7周辺の貴重な物質の収集に当たっていた。
 破壊されたコロニーの残骸であるこのデブリには希少金属類が多数含まれており、
その中には彼らには「まだ」扱えない物質も少なからず含まれている。
 水の確保は民間人達に任せ、私はトゥヴォックと共に遠くのデブリの収集を彼らに申し出た。
 彼らは心配してくれたが、私達の出動を快く受け入れてくれた。

 

「艦長、ポイント231、マーク4に微量ですがダイリチウム反応があります」
「まだ彼らには扱えないけど、いずれこれを扱う日が来るのよね」

 

 トゥヴォックの示した『ダイリチウム』とは、我々のワープドライブの燃料として利用している物質だ。
 ダイリチウムを生成した結晶を利用し、ワープドライブのプラズマを発生させ推力を生み出している。
 故に、この物質の存在が我々の時代のテクノロジーへのキーポイントと言える。

 

「……はい。しかし、我々がこれを収集したところで、大きな変化は無いでしょう」
「そうね。では、回収しましょう。フェイザー、スタンバイ」

 

 私はコンソールに触れ、フェイザーのターゲットをセットした。
 トゥヴォックがビームを照射する。前方の岩塊が細かく破砕された。

 

「トラクタビーム、照射」

 

 トラクタービームとは重力ビームのことで、ビームを照射する事で指定物を牽引出来る。
 トラクタービームは爆散する岩塊の破片を一定の範囲を抜き出す様な形で抑制した。

 

「トゥヴォック、貨物室にレベル9のフォースフィールドを張ったわ。転送スタンバイ」
「ターゲットロック、転送しました。無事にダイリチウムを収集できました」

 

 これで少しは燃料補給の足しに出来る。この先何が有るか分からない。
 ヴォイジャーが使えない状況下がいつまで続くのか分からない以上、
 シャトルを動かす為にこの物質を回収しない手は無いのだ。

 

「……ところでトゥヴォック、あなたはこの世界をどう思う?
 私達の居た世界とは似ている様でかなり違う。
 あなたのバルカンも存在しないし、クリンゴンも居ない。
 一見すれば地球が小競り合いを永遠にしていても平和と言える程の安定した宇宙よ」

 

 私の質問に、彼はセンサーモニターの操作をしながら考えていた。
 その表情に変わりはない。……そもそも彼らバルカン人には感情を表す表情があまり無い種族だ。
 それは彼らが歴史的に『感情を克服』することで成立した文明であるという背景がある。
 確かに感情は人の挙動を大きく乱す原因だが、一方でそのお陰で分かり合えるとも言えるのだが。
 彼らは本来は激しい感情を持つ種族であるが故、厳しい理性によりそれを抑制している。
それでも長い付き合いになると、その内に秘められた感情を感じる事ができる。
 とはいえ、彼ら自身もそれを許す心が無ければ見る事は出来ない。
 それが許されるのは、彼が私を信頼している証だろう。
 この時の彼は、困惑の色が伺えた。
 彼は静かに普段通りの落ち着いた語りで答えた。

 

「……地球人は好戦的な種族です。しかし、理性もまたある。
 我々バルカンは、あなた方の理性と旺盛な好奇心に興味を持った。
 それが我々とあなた方との関係の始まりと言えるでしょう。
 ですが、我々が居ないあなた方に今が無いとすれば、
……この世界の彼らにあなた方と同じ進化を見る事が出来るとは思いません」

 

 我々とバルカンが出会わなかったならば、実際に地球文明は生き残れたか分からない。
 バルカンの保護が有ったからこそ、現在の我々の発展があるのだ。

 

「そうね。この世界は可能性というにはあまりに異質だわ。
 でも、私達になる可能性がゼロではない。
 その一つがシャノン・オドンネルの様な類似ね。
 だとすれば、バルカンやクリンゴンが居ないと考えるのも、
……もしかしたら間違っている可能性もあるわ」

 

 私の答えに、センサーを操作していた手が止まった。
 そして、私の方をゆっくりと振り向いた。

 

「……その可能性はあります。
 ……我々はゼフラム・コクレーンのワープサインを見て、
地球文明へのファーストコンタクトを取りました。
 であるとすれば、我々と同一……または、我々と同レベルの恒星文明が、
ヴォイジャーのワープサインを目当てに来る可能性があります」

 

 トゥヴォックは自分でそう話しながら、普段より眉間の皺の数を増やしていた。
 彼も気付いたのだ。

 

「……私もそれを考えていたの。
 差し当たって問題となるワープサインは太陽系外までしか出していないわ。
 だから系内で発生させたわけじゃないから、地球文明のものと考えるとは限らない。
 でも、我々と同レベルの恒星文明が無いと考える方が難しいことを考えれば、
 そろそろ何らかの動きが有ってもおかしくはない。少なくとも警戒はしておくべきよね」
「……はい。……さすがは艦長、私も失念していました。
 事前のスラスターでの航行は、この様な可能性もお考えになっていたのですね」
「…それは偶然よ。私はただ、系内をワープ反応で不安定化させたくなかっただけ。
 でも、そう考えると正解ではあったのよね」

 

 その時、アークエンジェルから通信が入った。
 バジルール少尉の焦りを含んだ声が聴こえる。

 

「シャトルアーチャー、聴こえますか!」
「はい、こちらシャトルアーチャー。ジェインウェイよ。何か有りました?」
「ジェインウェイさん、ご無事ですか。
 今しがた、ザフトのMSを発見してヤマト少尉が撃墜しました。
 周囲にザフトが居るかもしれません。至急戻ってください」
「わかったわ。すぐ戻ります。通信終了」

 

 私達は通信を切ると、アークエンジェルへ方向を転換した。

 

 しばらくして私達が戻ると、ハンガーでは救命ポッドの様なコンテナが置かれていた。
 バジルール少尉の話では、キラ少年がザフト機を撃墜した際に周囲で発見したものだそうだ。
 彼女は再度の拾い物に随分と気分を害しているようだったが、
少年も悪気が有ってしたわけではない。
 彼女には警戒態勢を取らせながら開封すれば良いとなだめた。
 ポッドの入り口が開かれる。そこから現れたのはピンク色の丸い玩具だ。

 

「ハロ、ハロー。ハロ、ラクス、ハロ」

 

 そして、ゆっくりと出てきたのは一人の少女だった。
 長い桃色に煌めく髪を揺らし、とても整った美しい容姿をした少女が現れた。
 およそ我々の世界でも見た事の無い様な不思議な雰囲気を持った「人間」の姿に、
私も半ば呆気にとられながら見ていた。

 

「ありがとう。御苦労様です」

 

 宙空をふわふわと漂いながら出てきた彼女を、
周りを囲むアークエンジェルのクルー達もまた、ただ呆然と見守っていた。

 
 

 ―つづく―

 
 

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