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ΖキャラがIN種死(仮) ◆x/lz6TqR1w 氏_第15話

Last-modified: 2008-05-25 (日) 11:26:40

『戦い、それぞれ』

 
 

 沿岸部に程近い浅瀬でアビスの猛攻に苦しむミネルバ。火器をふんだんに搭載しているアビスは奪われたMSの中でも最も火力のあるMSだった。数多の砲撃が海中からミネルバを襲う。
何とか防げているが、最も懸念すべきはカリドゥスだろう。あれをまともに受けたら、ミネルバとてたまったものではない。加えて空中からはウインダムがカトンボの如く舞っている。
 アビスを迎撃するのは、ノクティルーカ・ウィザード装備のレイとルナマリアのザク・ファントムとザク・ウォーリア。ウインダムはミネルバの弾幕で何とか凌げているが、アビスは水中から執拗に攻めてくる。
これに対応する二人は対潜爆雷や魚雷で対抗しているが、状況は芳しくなかった。相手の姿がレーダー越しでしか見られないのは、目視で相手にするよりも厄介だ。
いっその事水中に潜って直接叩こうかとも考えたが、水中戦に特化したアビス相手では機動力に翻弄されて、どちらにしろ大した効果は見込めないだろう。敵の根城を探索に出かけた4人を信じつつ、今は耐えるしかない。

 

 その4人の内の2人、エマとカツは旧知のジェリドとカクリコンのスローター・ダガーと交戦中だった。その最中でお互いの存在に気付き、ジェリドはカツの事をカミーユと勘違いして攻撃を仕掛けようとしていた。
 辛酸を散々なめさせられた屈辱は忘れていない。エリートであったジェリドが、民間人であったカミーユにいいように弄ばれたのだ。何度苦杯を味わい、そしてコケにされてきただろうか。仲間を取り戻した今でも、彼個人に対する執着心は衰えていない。

 

「逃がさんぞ、カミーユ!」
『ジェリド!?』

 

 ジェリドの咆哮を聞いたカクリコンが、目を丸くする。カミーユと言うのは確か自分からガンダムMk-兇鮹イ辰疹癪なガキだ。月面での戦いでも、大気圏突入でも手を焼かされたあのガキが目の前のMSに乗っているというのか。
 もし、彼の言っている事が本当であれば、カクリコンにも怨念返しをしなければならない理由がある。

 

「ジェリド、こいつがあのガキだというのか?」
『あっちの変形MSにはエマが乗っていた! …だとすれば、こいつはカミーユだ!』
「ん? 貴様の気持ちも分からんでもないが――」

 

 エマが居たからといって、これにカミーユが乗っているという確証にはならない。ジェリドがカミーユに拘る男だとは知っているが、それにしてはあまりにも短絡的だ。恐らく自分が死んだ後も、彼はカミーユに散々な目に遭わされていたということだろう。

 

「接触する。何はなくとも、先ずは確証を得たいところだ。ジェリドはMSのパイロットを確認しろ」
『恩に着る、カクリコン!』

 

 2機のスローター・ダガーが、カツのムラサメに襲い掛かる。向かってくる2つの黒い影が、カツの目には悪鬼が襲ってくるように見えていた。わずかにコントロール・レバーを握る腕が震えた。

 

「なっ…! エマ中尉は――!」

 

 単機でも苦戦する敵が2機に増え、カツは慌てた。自分一人では彼等の相手は無理だ。思わずエマを捜す。 すると、エマのムラサメはこちらに向かってきている最中だった。合流するにしても、敵の突撃には間に合わないだろう。このままではやられる。

 

「くそっ、何とかしなきゃ、何とか――うわっ!」

 

 必死に抵抗するようにビームを連射したが、相手は2機で襲ってきている。的を分散させられ、一気に距離を詰められてしまった。
 これまでか――カツがそう思ったとき、1機のスローター・ダガーが組み付いてきた。正面のモニターにスローター・ダガーのメインカメラが不気味に光った。黒い装甲の中から浮かぶ青い光が恐怖を煽る。
これが白いMSであったなら、幾分かはマシだっただろうか。そんな事を考えつつ、何をしてくるのか身構える。

 

「こいつら、僕を生け捕りにしようとしているのか!?」
『カミーユ! 貴様、カミーユなんだろ!?』
「何!?」

 

 接触回線から聞こえてきたジェリドの声。その声にカツは不意を突かれた。

 

『声が違う…誰だ、貴様は! カミーユを何処に隠した!』
「何を言っているんだ、お前は――カミーユだって!?」

 

 ジェリドの呼びかけに、カツは必死に状況を整理しようと試みていた。ただ、その答は単純明快。この世界の人間がカミーユの事を知っているはずが無い。ならば、この事実が示す真実は一つ。

 

『カツ、離れなさい! それに乗っているのはジェリド中尉よ!』
「エマ中尉!」

 

 思ったとおりだ。エマと共に考え、懸念していたかつての憶測が現実のものとなってしまったのだ。目の前に出てきたのは、ティターンズのメンバーで何度も戦いを繰り広げた宿敵とも言える相手。

 

『その声は、フォン・ブラウンでちょっかい出してきたガキ!』
「くっ…離れろぉ!」

 

 当てが外れたジェリドは舌打ちをして、一瞬だけ気を抜いてしまう。その隙を突き、カツは思い切ってバルカンを発射した。ゼロ距離からの攻撃に、ジェリドのスローター・ダガーが悲鳴を上げる。

 

「貴様!」
『何をしている、ジェリド!』

 

 ジェリド機が頭部カメラから煙を噴いて、カツのムラサメから引き剥がされる。そこにMA形態のエマ機がミサイルを撃ち込んできた。それを庇う為にカクリコンのスローター・ダガーがシールドを構えて間に入り、エマの攻撃を防ぐ。

 

「くそぉ…メインカメラが――!」
『ミネルバに仕掛けたガキも攻めあぐねているようだ。ここは残存戦力に任せて大佐と合流する。付いて来られるな、ジェリド!』
「済まない、カクリコン…」

 

 ジェリドの目を失った事で状況を不利だと判断したカクリコンは、ネオの元への後退を指示する。一度彼と合流し、態勢を整える為だ。

 

 スローター・ダガーが去っていく。何とか急場を凌げたカツはコントロール・レバーから手を離し、安堵していた。そこへ、エマのムラサメが心配して近寄ってくる。

 

『大丈夫、カツ?』
「はい、何とか…でも、エマ中尉、あいつ等はティターンズの――」
『悪い予感が現実になってしまったようね。確かに、あなたの言うとおり、ミネルバに乗って正解だったかもしれないわ』

 

 エマの言葉にカツは考える。だとすれば、シロッコが居るかもしれないとの予測が現実味を帯びてくる。カミーユがこちらの世界に飛ばされてきたという事は、彼が相討ちでシロッコを倒した可能性が高い。
カミーユが死んだなどと言う事が確定したわけではないが、彼なら自分の命に代えてもシロッコを倒そうとしただろう。

 

「あのジェリドって言う人、カミーユの事を探しているみたいでした」
『ジェリド…カミーユに対して根に持っていたんだもの。私が居るのを知って、カツの事をカミーユと勘違いしていたみたいね』
「こっちに来てまでそんな事を考えているなんて…」

 

 しかし、自分も人の事は言えないかもしれない。もし本当にシロッコも居るのなら、彼に対してジェリドと同じ気持ちを持つかもしれない。自分が誤ってサラを殺してしまったのは、シロッコを倒す為だった。その責任をシロッコに転嫁していたのは否めない。

 

『きっと、他にも飛ばされてきてるティターンズのメンバーが居るはずよ。何としてでも彼等を止めなければ――』
「そうですね…ん?」

 

 カツが返事をすると、レーダーに大きな反応が映っているのを見つけた。この反応の大きさからすれば、もしかしたらそれが連合の秘密基地なのかもしれない。

 

「中尉、レーダーに反応がありました! きっと、これが連合の秘密基地ですよ!」
『え…? 本当だわ、艦長の推測が当ったようね』
「行きましょう、エマ中尉。ここを抑えれば、敵の帰る所がなくなります」
『了解』

 

 2機はMA形態に変形し、反応のあった地点へ進路をとる。

 
 

 その頃、カオス・ガイアと交戦を続けるシンとアスランは、乱入してきたネオのウインダムに手を焼かされていた。その見た目から、紫の専用のカラーリングを見て即座にエース機だと分かった。
動きもさることながら、損傷したカオスを庇いながらの戦いには目を見張るものがある。
 対してこちらはアスランが奮戦してはいるが、シンのインパルスが片腕を損傷して不利な状況にある。加えて2対3の状況では数的にも厳しい。

 

「隊長、このままじゃ――」
『シンは前に出るな! ここは俺が食い止める!』

 

 カオスは先程のアスランの攻撃で飛行できなくなってしまったのか、ガイアと連携して地上からアスランを狙い撃ちしている。エース機のウインダムはその援護を受けてアスランのセイバーと互角以上の戦いを繰り広げていた。
そんな中でシンはアスランを援護する為に、地上のカオスとガイアに牽制のビームを撃つ事しか出来ていない。
 アスランもコックピットの中で、今自分に出来る全ての技術を総動員して、必死に砲撃の中でネオのウインダムを相手にしている。

 

『隊長!』
「まだブランクが――エマとカツが敵の本営を見つけると信じて待つんだ! ここでこいつ等を引き付けておけば、ミネルバはレイとルナマリアが何とかしてくれる!」
『でも、それじゃあ隊長が――』
「俺だって伊達にあの戦争を戦ったわけじゃない!」

 

 とは言うものの、アスランは防戦一方だ。ガイアのビーム砲は大した事無いが、カオスの誘導ミサイルが厄介だった。
フェイズシフト装甲を持っているとはいえ、ダメージを受ければその分だけエネルギーを消耗するし、何より態勢を崩されては目の前のウインダム相手にはきつい。ナチュラルとは思えない動きをするネオのウインダムは、アスランにとっては脅威だった。
 何とかこちらから仕掛けなければこの局面は打開できそうにも無いが、アスランは何となく思い切った行動が出来ない。それは、自分がそれだけ年老いているという事なのだろうか。強敵に向かっていく情熱が足りない。
 ネオはそれを機械越しに感じ取り、冷静に周囲の位置関係を確認した。セイバーが動きに精細を欠くのであれば、役に立たないインパルスなど物の数ではない。新型と思って慎重に攻めていたが、その必要は無いと判断する。

 

「よし…スティング、ステラ! 敵は防戦一方だ。この辺で一気に決めたいところだが、行けるか?」
『行けるも行けないも無いんだろ? だったら、やってやるよ』
『行ける』
「よぉし…」

 

 ネオの問い掛けに二人が応えた。ネオは口元に笑みを浮かべ、セイバーを牽制する。

 

「スティングは援護、私が新型の動きを止める。ステラが止めを刺すんだ」
『飛べないならしょうがねぇか…しくじるんじゃねぇぞ、ステラ!』
『スティングじゃないから、やってみせる』
『んだとぉッ!?』
「喧嘩すんなって! ほら、掛るぞ!」

 

 仲良き事は美しきかな。スティングとステラの口喧嘩を聞いてネオは思う。嗜めつつも、ウインダムをセイバーに向けた。ガイアはMA形態で森の中を高台に向かってひた走る。
 地上からカオスがセイバーに向けて砲撃を続ける。対するアスランはウインダムの動きを注視しつつも鮮やかにかわし続ける。シンはそれを見て、ウインダムに牽制を掛ける事しか出来なかった。シールドを失っていては、たった一発のビームが致命傷になりかねない。

 

「――? ガイアが消えた…何処に?」

 

 ふと、シンはガイアが消えた事に気付いた。レーダーに反応は残っているが、現場から遠ざかっていっている。こちらが防戦一方である以上、撤退する理由は無いはずだ。怪訝に思いつつも、アスランに注進する。

 

「何かするつもりなのか? 隊長、ガイアがここから離脱していきますよ!」
『ガイア? ――クッ!』

 

 シンはアスランに呼びかけるものの、彼はそれどころではない。カオスからの猛攻と、ウインダムの執拗な攻めがセイバーを自由にさせてくれない。
 ネオはその様子を眺め、セイバーの動きが制限されつつあるのを確信する。今なら捕まえる事が出来るだろう。インパルスも、相変わらず遠くからセイバーを援護しているだけだ。

 

「よし! スティングはインパルスの抑えに移れ! 私はこのまま新型を捕獲する!」
『りょーかい』

 

 ガイアは既に高台に上り、ネオがセイバーを捕まえるのを待っている状態にある。今が絶好の時、これ以上待たせれば、ガイアの存在に気付いたインパルスがちょっかいを出すかもしれない。
ここで決められれば、セイバーを落とす事が出来る。その後は、半壊したインパルスをじっくり料理してやればいい。
 ネオはウインダムをセイバーに突撃させる。アスランも抵抗を試みるが、多少の焦りもあるのか命中精度がすこぶる悪い。曖昧な照準でフォルティス・ビームをウインダムに向けて放つが、掠りもしなかった。
そのままウインダムはセイバーを回りこむ様に旋回を掛け、後ろから組み付いた。

 

『な、何だこいつ!?』
「隊長!」

 

 カオスと交戦しつつもセイバーがウインダムに羽交い絞めされているのを見たシン。思わず叫んだ。
 そして、ガイアが高台からセイバーに飛びかかろうと態勢を整えているのを見つけた。先程その場を離れて行ったのは、このためだったのか。

 

「隊長をやるつもりなのか? これは――ぐぅ!」

 

 視線を外していた隙に、カオスがビームサーベルでインパルスに切り掛かってくる。カオスは牽制に弾を使いすぎたのか既に残弾が尽きかけていた。機動兵装ポッドを破壊され、飛べなくなったカオスが、走ってこちらに向かってくる。
 勿論、スティングも何の考えも無しに襲い掛かったわけではない。こうして格闘戦に持ち込めば、インパルスの動きを封じることもできる。そうとなれば、セイバーをやれる確立は飛躍的に高くなるはずだ。
後はネオとステラのコンビがセイバーを撃墜し、インパルスを始末するだけ。
 しかし、それが彼の判断ミスだった。格闘戦に特化したシンのパイロットとしての特性を、彼は知らない。

 

 一方でネオはセイバーに止めの一撃をステラに掛けさせようとしていた。ギリギリまでセイバーを拘束し、そこへガイアのビームブレイドを叩き込んで真っ二つにするつもりだ。

 

「今だステラ! 思いっきり飛び込んで来い!」
『うぇーいッ!』

 

 ガイアが高台から飛び上がり、背部の姿勢制御ウイングのエッジ部分からビーム刃が形成される。

 

「な、何っ!?」

 

 コックピットの中、正面から飛び向かって来るガイアの姿に、アスランは驚いた。それと同時に恐怖を感じる。このままでは間違いなくコックピットを両断され、自分は死ぬ。
 ふと、ザフトに復隊すると伝えた時のバルトフェルドの台詞が頭の中を過ぎった。戦場で死ぬ事は考えていないのか――今、自分は死にそうになっている。

 

(カガリを遺して、俺はこんなに早く死ぬというのか?)

 

 こんなことなら、デュランダルに唆(そそのか)されてザフトに戻るべきではなかったのかもしれない。しかし、いくら後悔したところで既に後の祭り。体中から力が抜けていくのが分かった。
 ガイアのビームブレイドはガイアの装備の中では最も威力のある武器だ。それを直撃すれば、いくら頑丈に作られているコックピットでも、容易く切り裂かれてしまうだろう。絶体絶命のアスラン。
 抵抗する様子の無いセイバーを見て、ネオは確信した。このパイロットは既に諦めている。

 

「タイミング良好! さらばだ、新型!」

 

 ガイアの突撃にあわせて、ネオはウインダムをセイバーから引き離す。そこへ一撃必殺の下にガイアが突進をしてくる。これで、セイバーの全てが終わるはずだった。アスラン自身も、そう思っていた。
 が、しかしネオが見たのはセイバーが真っ二つになる光景ではなく、意外な敵からの妨害だった。

 

「やらせるかよ!」
「何だと!?」

 

 突如脇から出現したのはインパルス。セイバーに突撃するガイアのビームブレイドを、ビームサーベルで根元から切り飛ばした。ビームブレイドを失ったガイアは態勢を崩し、そのままセイバーとすれ違って地上に着地した。ステラはコックピットで舌打ちをする。

 

「インパルスだと? スティングは!?」
『わ、悪りぃ、ネオ。やられちまった……』

 

 通信回線で伝えるスティング。カオスの様子に目を向けると、右腕を切断されたカオスが横たわっていた。

 

「な…何があったんだ――?」

 

 ネオにはどうしてカオスがやられ、インパルスが間に入ってこられたのか分からない。いくら損傷したカオスでも、片腕を失っているインパルスとなら互角に戦えたはずだ。
それで無くともインパルスのパイロットの技量がそれ程高くない事は、先程の戦いから推測できた事。それならば、インパルスのパイロットが実力を隠していたのか、それとも自分の目測が誤っていたのか。
 インパルスはこちらを睨みつけたまま抗戦の意志を見せ付けている。我侭な子供の素振りを見せるあの機体のパイロットが、能ある鷹であるとは思いたくない。

 

「シ、シン――!」

 

 目の前に現れたインパルスを見て、アスランは目を丸くしていた。シンはカオスの足止めで動けなかったはずである。そのカオスに目を向けると、損傷してフラフラの状態のカオスが何とか機体を起こしている所だった。

 

「誰だろうが関係ない…俺の目の前で誰かが死ぬのはもうたくさんだ!」

 

 シンのトラウマだった。目の前で無残に家族を失った彼にしてみれば、いくら気に入らないアスランであっても、見過ごす事ができなかった。
 少し前、シンはガイアの動きに気付き、ビームサーベルで切り掛かってくるカオスの懐に思い切って踏み込んだ。普通、シールドが無ければ相手との距離を離し、防戦に徹するのがセオリーだが、シンは逆に飛び込んで行ったのだ。
それが功を奏したのか、不意を突かれたスティングはシンの行動に面食らい、右腕を切り飛ばされてしまった。
 そこからは無我夢中だった。頭の中がクリアになり、ザムザザーを葬った時と同じ感覚になった。そのまま急いで飛び上がり、ガイアの攻撃を阻止したのだ。

 

「帰れよ、お前等! こんな所で襲ってきやがって、ふざけんなよ!」

 

 理不尽な事を叫ぶシン。しかし、アスランの危機にキレたシンは感情が抑制できない状態になっていた。シールドを失っている事も忘れ、ビームサーベルをかざしてウインダムに躍り掛かる。

 

「こ、こいつ――!」
『ネオ!』

 

 ステラが叫ぶ。インパルスの思い切った攻撃にネオは意表を突かれ、ビームサーベルを弾き飛ばされてしまう。

 

シンの動きは確かにネオのウインダムを圧倒しているが、無茶苦茶な動きである事には変わりなかった。今のところその無謀な動きがネオを混乱させ、有利に働いてはいるが、いずれは返り討ちにされてしまうだろう。アスランの目にはそう見えていた。
 ただ、その一方でそんなガムシャラな動きのできるシンを羨ましく思った。自分には彼のような若さに任せた思い切った動きが出来ない。基本に忠実にMSを動かし、正確に戦う事しか出来なくなっていた。
 アスランはセイバーにビームサーベルを引き抜かせ、インパルスとウインダムが交戦する場に突撃させる。シンの中に自分が忘れてしまった情熱を見たような気がした。

 

「このッ、このぉッ!」
「チッ!」

 

 インパルスの猛攻に舌打ちするネオ。しかし、動きが出鱈目だ。わざわざ接近戦に付き合ってやる義理も無く、ネオはウインダムをインパルスから離脱させる。距離を取ってビームライフルで狙い撃ってやれば、それで終わりなのだから。
 そう思ったのも束の間、セイバーがインパルスの援護に入ってきた。セイバーはインパルスと違い、損傷を受けていない。
対するネオのウインダムも無傷だが、カオスは中破、ガイアも片翼を失い、数的有利を作りながらも形勢は一気に逆転されてしまっていた。空戦ができる機体が自分だけでは、流石に今のインパルスとセイバーを相手にするのは難しい。
 両者は睨み合う。シンとアスランはタイミングを計っていた。

 

「シン、このまま一気に決めるぞ。俺が先に仕掛けるからお前は隙を突いてあの隊長機を落とせ」
『了解!』

 

 役割は決まった。アスランが先に飛び込み、シンが止めを担当する。が、その時ミネルバからの呼び出音が聞こえてきた。こんな時になんだというのか。

 

「交戦中だ! 後にしろ!」
『す、すみません。ですが、エマさんとカツから敵基地を制圧したとの報告があったので――』
「本当か?」
『はい』

 

『隊長! 新しい敵が!』
「――ん?」

 

 シンの声と同時に新たな敵機が出現した事を告げるアラームが鳴った。モニターの中に、黒いMSが2機、映し出される。しかし、基地を制圧したという事ならば、もう数は問題ではない。恐らく基地を制圧された部隊が逃げてきたのだろう。
 その黒いMS――スローター・ダガーのジェリドとカクリコンはネオに合流して来た。ジェリド機の方は頭部カメラを損傷し、まともに動けない状態だ。

 

『済まない、大佐! ジェリドはまともに戦える状態じゃない!』

 

 カクリコンがネオに呼びかける。

 

「後手に回されているな。基地も制圧されたということらしいが――やはりミネルバ、錬度を上げてきている」

 

 こうなってしまえばもう戦っている場合ではない。一刻も早くここを去り、戦力を整えなければならないだろう。ネオは通信を母艦に繋げる。

 

「イアン、J.Pジョーンズ発進準備! 各機は私に続け! トンズラするぞ!」

 

 何とも間抜けな話だと思う。結局こちらから仕掛けておきながら、敵を一機も落とす事が出来ずに、こちらが被った被害はカオスとガイア、そしてジェリドのスローター・ダガー。
多少の損害を与えられはしただろうが、MSは直せばまた使える。ミネルバに仕掛けていたアビスも優位に戦闘を続けながらも、結局は決定打を与える事が出来なかったようだ。
 そんな間抜けを演じながらも、撤退していくファントムペインと連合軍。ネオの頭の中に、ミネルバに対する執念が更に深く刻まれた。

 

「逃がすかよ!」
『待て、シン! そんな損傷で先走るな!』
「でも――!」
『捕獲は出来なかったが、撃退できただけでも良かったとしよう。基地はエマとカツが押さえてくれた。後の事はカーペンタリアの部隊に任せるんだ』

 

 奪取されたMSの奪還は成らなかった。しかし、基地を制圧し、カオスにも損傷を与える事が出来た。これなら、スエズに辿り着くまでに、もうファントム・ペインからの襲撃を受ける事も無いだろう。
今ミネルバが受けている指令はスエズの支援。ファントム・ペインの殲滅ではない。
 ミネルバの方も多少のダメージを受けたようだが、作戦の継続には支障が無いようだ。アスランはシンをなだめて共にミネルバへと帰還する。

 
 

 ファントム・ペインの地球での母艦となるJ.Pジョーンズ。巨大な空母に戻った一同はMSから降り、ヘルメットを脱いでいた。

 

「へっ、無様だなおっさん達? 基地を奪われちゃうなんてさ」

 

 ジェリドとカクリコンが話をしていると、アウルが話しかけてきた。相変わらず舐めた口を利く小僧だと思う。

 

「フン、俺達に主力の相手をさせておいて、ミネルバを落とせなかったガキがよく言えたな。それでも強化人間か?」
「…その言い方止めろよ。不愉快だ」

 

 ジェリドの言葉に眉を顰めるアウル。一緒にやって来たスティングとステラも同様だった。

 

「そうじゃないか。強化人間を強化人間と言って何が悪い?」
「てめぇ!」

 

 殴りかかろうとするアウル。しかし、それをスティングが肩を抑えて制止した。

 

「何すんだスティング! このおっさん達に、今こそ俺達の凄さって奴を見せ付けてやら無きゃならねーだろ!」
「いや、今回はイーブンだ。俺達も囮の役を全うし切れなかった。お陰でカオスがあの様だ」

 

 睨み付けるアウルに、スティングは顔でカオスを指した。右腕を失い、焼け焦げた機動兵装ポッドが痛ましい。

 

「それはスティングが勝手にやられただけだろ? 俺はちゃんとミネルバに仕掛けたぜ!」
「だが、沈められなかった。これで俺達はミネルバがスエズに入るまで指をくわえて見てなくちゃならなくなったわけだ。どの道基地を守れたとしても、カオスとガイアを修理しなきゃならないなら結果は同じだ」
「だから、それはお前等がだらしねぇからだろうが! 撤退命令さえ出なけりゃ、あんな艦沈めてた!」
「どうかな。基地を制圧した2機がミネルバに戻ってたら、お前はやられてたかもしれないぜ」
「ンな事はねぇ!」

 

「そっちのスティングとやらは良く分かってるじゃないか。それに比べ、お前は駄目だな、強化人間?」

 

 やり取りを聞いていたカクリコンが口を挟んできた。アウルはそれに対して気勢を強めていたが、スティングが体を前に出して抑えた。しかし、スティングも完全に冷静というわけではない。

 

「けどよ、おっさん達が基地を守りきれなかったのは事実だぜ。これはミネルバを落とせなかった以上に痛手だ。その辺分かってんだろうな?」
「あれはあの基地司令が間抜けだったからだ。最初から俺達を出しておけば、こんな事にはならなかった。
基地を制圧された今回の失態は全て基地司令の責任――この艦に出港準備をさせていたということは、大佐もそう思っていたということだ。そうだろ?」

 

 カクリコンが視線をアウル達の後ろから歩いてくるネオに向かって語り掛けた。それを受けたネオは一つ頷く。

 

「確かに、ジェリド達は司令の命令に従って行動したに過ぎん。上の連中がどう言うのかは知らんが、私はあの基地の責任者ではないからな」
「最初から見捨てるつもりだったのかよ?」

 

 反応したアウルがネオに問い詰める。

 

「冗談を言うな。いくら司令の命令が凡雑だったとはいえ、私もまさか基地を制圧されるとは思わなかった。完全にミネルバの戦力を測り間違えていたという事だ。その点は、私の失態だ」
「じゃあ、Gを壊した件に関しては、部隊を指揮していた大佐の責任だな?」
「そうなるな」

 

 ジェリドに言われ、ネオは苦笑いを浮かべた。部隊指揮という中間管理職の立場として、貴重品である奪取したGの内2機を損傷させた責任を取るのは自分になる。

 

「今回の件に関しては、そういうことでお互い身を引け。お前等の分まで私が怒られてやるから――」
「ネオ、怒られるの?」

 

 心配そうな目でステラがネオを見上げてくる。彼女はネオに依存している部分がある。それを手で制し、ネオは続ける。

 

「大丈夫だ。…私は自室に戻る。今回の件の報告をしなけりゃならんのでな。3人は戻ってしっかり休んでおけ。ジェリドとカクリコンも――」

 

 それだけ告げてネオはデッキを出て行った。これからお叱りが待っているわけだが、彼が心配しているのは3人の処遇についてだ。ペナルティが自分の分だけで済むのならいいが、3人が研究所に戻されるのだけは避けたい。
今も十分に兵士として使っているが、研究所に戻されれば彼等を兵器として使うだろう。聞いた話によると、エクステンデッドを使ったそういう兵器が間も無くロールアウトする予定だという。
彼等に対して情を持ってしまっているネオにとって、彼等が兵器として利用されるのは忍びない。それならまだこうして憎まれ口を利ける兵士のままであった方がマシだろう。
 ネオの後姿を見送った3人も、渋々ではあるが戻って行った。

 

「お優しい大佐様なこって。あんな強化人間にまで気を遣って」

 

 ジェリドが皮肉るように言葉を口にする。ネオの甘さに辟易していた。

 

「そんな事よりもジェリド、エマが来ていると言っていたな? と、すればエゥーゴの連中が来ている事になる」
「そうだ。誰が来ているのかは知らないが、エマやあのガキが居たという事はカミーユも来ているはずだ。必ず見つけ出して仕留めてやるぜ」

 

 掌と拳を突き合わせ、意気込むジェリド。カクリコンに誘われて再び軍人として連合軍に入ったが、何処か物足りなさを感じていた。コーディネイターとナチュラルの私怨関係には興味ないが、再び宿敵に巡り会えるのかと思うと俄然やる気が出る。

 

「まだ何処に居るのか分かっちゃ居ないんだぜ?」
「見つかるさ。俺はアイツを倒すまでは先に進めやしないんだ。必ず見つけ出して仕留めてみせる」

 

 復讐の為にカミーユを追い続けたジェリド。最後までそれは果たせず、こうして別の世界で死んでいった仲間とも再会できたが、それでも彼の中でカミーユの存在が壁として立ちはだかっていた。
そのコンプレックスを取り除き、ジェリドが先に進める様になるにはカミーユを倒すしかない。それは、ジェリドの意地でもあった。

 
 

 エマとカツが秘密基地を押さえたことにより、それを伝えたカーペンタリア基地から直ぐに引継ぎの部隊が駆けつけてきた。その部隊に後を任せ、ミネルバはインド洋をスエズに向かって航行を再開する。
MSデッキでは出撃した各MSのパイロットたちが帰還し、それぞれメカニックに整備を任せ、休養に入った。

 

 そんな中、アスランはヨウランにミネルバを案内された折に見つけた甲板に出ていた。潮風を受け、ここならリフレッシュにも丁度いい場所であると思って押さえていたのだ。
尤も、エマも同じ事を考えていたようで、出撃前にルナマリアと話していたのもここだ。目立つ場所なのか、アスランだけの場所にはなりそうも無い。

 

 今日が終わる。アスランは水平線に浮かぶ夕日を眺めて気持ちを落ち着けていた。

 

「隊長」

 

 そこへやって来たのはシン。アスランは警戒する。先程の戦闘で何か彼に気に触る事を言ったのだろうか。いつもの調子なら、ここから彼の憎まれ口を聞かされる羽目になるだろう。
せめてこの場所でだけではそんな事を聞きたくなかったが、彼が来てしまったのでは仕様がない。また新しい場所を探さなければならないだろう。

 

「何だ、シン?」

 

 努めて平然とした様子で応えるアスラン。出来るだけ波風を立てないように、穏やかに話しかけた。ところが、シンの様子がいつもと違う。何処か気恥ずかしそうに視線を泳がせ、落ち着きが無い。

 

「どうした? 何か用があってここに来たんじゃないのか?」
「その……」

 

 しどろもどろ、言葉に詰まるシン。どうも愚痴を零しに来たわけではないようだ。それだけでも、アスランにとってはありがたいことだ。思わず溜飲を下げる。
 シンは後頭部を掻き毟(むし)り、首を傾げて舌打ちする。何がそんなに気に入らないのだ、とアスランは内心でシンを小馬鹿にした。

 

「今日の戦闘…少しあなたのことを見直しました」
「あ…? 何が――」
「俺なんかよりも、ずっとかMSの操縦に長けている」

 

 思わぬシンの言葉にアスランは目を丸くした。よもやこのような言葉が彼の口から出てくるとは思わなかったからだ。意外と素直な所もあるんだな、と思いアスランは表情を和らげた。

 

「いや…昔取った杵柄さ。それに、セイバーは俺に合っている。相性が良かったんだな。…お前とインパルスと同じさ」
「いえ、さっきはっきりと分かりました。損傷した俺を庇いながら戦っている隊長を見て、俺はまだあなたの域に達していないと思いました」
「買い被り過ぎだ。俺はお前のように思い切った戦いが出来ない。所詮は、一度現役を退いた老兵さ」
「…そうでしょうか」

 

 アスランの自嘲にシンは表情を曇らせる。謙遜するのはアスランの人柄だろうが、ここは素直に自分の賛辞を受けて欲しかった。普段こういうことを言い慣れていないシンだからこそ、たまに見せる素直な賛辞を率直に受けて欲しかったのかもしれない。
 アスランは続ける。

 

「俺も今日ハッキリとしたことがある。お前は俺の持っていない資質を持っている。それは、戦士として成長する為に必要な、力への貪欲さだ」
「力への貪欲さ?」
「そうだ。その貪欲さがあれば、お前は必ず強くなれる。俺なんかよりも遥かにな」
「俺が隊長よりも……」

 

 アスランは思う。シンはこれから先、自分よりも優れたMSパイロットになるだろうと。それは自分には持ち得ない彼独自の情熱ゆえだ。その情熱は、きっとシンを素晴らしい兵士へと導くだろう。言ってしまえば、最強と謳われたキラ以上の素材に成長するかもしれない。
 アスランはそんなシンの中に眠る資質を羨ましく思いながらも、それを導ける自分を喜ばしく思った。今、自分は確かに老け込んでいる。
しかし、こうしてシンと関りあいながら先に進んでいく事で、彼の情熱を受けて、もしかしたら自分も情熱を持てるようになるかもしれない。それは、老いた自分の若返りに他ならない事で、若干18にして感じた自分の老いを認めたくなかったことにも繋がる。

 

 シンは、少しの間何も言わずに考えていた。まさか自分にそんな才能が眠っているとは思わなかったからだ。確かにアスランが来るまでは自分は優れたMSパイロットだと思っていた。
しかし、彼の戦いぶりを見せ付けられることで、シンはちょっぴり自信を失くしていた。だが、そのアスランが自分には才能があると言ってくれているのだ。これはシンにとっては嬉しい事だった。これで、また自分に自信が持てる。

 

「俺…頑張ってみようと思います。もっと強くなって、それで戦争を早く終わらせます。こんな戦争なんか、誰かが悲しい思いをするだけですから……」
「そうだな…オーブの為にも――」

 

 視線を逸らして呟くアスラン。それを聞いたシンの表情がまた少し曇った。アスランはそれを見ると思わず顔を顰める。シンの前でオーブの名は余計だったか。

 

「オーブ……」
「済まない、シン。お前の前で今のはデリカシーが無かったな。忘れてくれ」

 

 良い雰囲気になりかけていただけに、今の失言でまたいつもの調子に戻られてしまったのでは台無しだ。アスランは必死に取り繕った。
 しかし、シンは意外なことに冷静だった。アスランの事を少しだけ尊敬し始めたからだ。

 

「いえ…でも、一つだけ教えてください」
「何だ?」

 

 ここで機嫌を損ねるわけには行かないアスランは、シンの質問には出来るだけ応えようと思っていた。それで彼の機嫌が悪くならないのなら安いものだ。

 

「何故、あなたの様な人がオーブなんです?」
「俺がオーブ――何故って……」

 

 思わぬ質問にアスランは言葉を詰まらせてしまった。このままではまずい。

 

「ユニウスが地球に落ちる時だってそうだったじゃないですか。オーブの連中は自分さえ良ければそれで良いって人でしょ? なのに、隊長はあの時自分の死も顧ずに俺達に協力してくれた。俺はともかく、タンホイザーに巻き込まれそうになったのに――」
「シン、お前はオーブの事を誤解している」

 

 シンはまだオーブの事を良く分かっていないと思った。もしくは、彼の目にはオーブという国がそのような自分勝手な姿に映っていたということだろう。その誤解は解いておかなければならない。

 

「何を誤解してるって言うんです? 俺の家族は殺されたんですよ、まだ幼かった妹だって――!」
「それは――でも、今は違う。カガリは、その過ちを繰り返したくなかったから、理念を崩してまでしてプラントと同盟を組んだんだ。俺はそんな彼女を守りたかったからオーブに居たんだ」
「でも、それは結局はザフトにオーブを守らせる為の同盟でしょ? 自分たちだけ守ってもらって、対等じゃないじゃないですか」
「だから、こうして俺達がミネルバに来た。これだけでは不満かもしれないが、カガリにとっては苦渋の決断だったんだ。俺達がミネルバに出向してくるって事はだな――」
「でも、隊長は今はザフトです。エマって人も、カツだってザフトになったんです。オーブには直接関係無いじゃないですか」
「そうだが――」

 

 シンの中でカガリに対する不満はかなり大きいのだろう。ちょっとやそっとの事では彼の心は動かせないらしい。確かに、家族を亡くしているのだから、その思いは根強いだろう。かつてその場に居た自分も責任を感じる。
 しかし、いつかは分かってくれる時が来ると思いたい。へそ曲がりな彼の中にも、先程自分に示してくれたような素直さがあるのだから。

 

「確かに、今お前に言えることは何も無い。でも、これだけは信じてくれ。オーブは…カガリは世界の平和のことを真剣に、本気で考えている。
オーブとプラントの同盟が、ただの利権関係だけのものではなく、本当に世界に平和をもたらす同盟になってくれるって事を、片隅にでいいから願っていてくれ」
「……」

 

 シンはどうしてアスランがここまでオーブに必死になれるのか、分からなかった。平気で国民を犠牲に出来る国が、どうして世界に平和をもたらすことが出来ようか。
 ただ、アスランの顔は本気そのものだ。少しだけ尊敬できる彼の言う事だから、同じく少しだけオーブの事を信じてみようかと思う。今は、彼の言うとおり、頭の片隅にでも放置しておこう。
これから先、オーブがどのような行動に出るのか分からないが、その時まで一先ず同盟国としてオーブを見てみようと思った。

 

 少し空が暗くなってきた。一日の終わりというものは、いつも寂しいものだと思う。天国で見ていてくれるであろう亡き家族に思いを馳せつつ、シンは拳を強く握り締めた。