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機動海賊ONE PIECE Destiny 601氏_第33話

Last-modified: 2012-08-07 (火) 18:04:32

「あたしはあたしよ!! ローレライ、ミーアよ!!!」

 昂然と顔をあげて言い放つミーアの声に、その場の誰もがあっけに取られていた。
 そして、その中で一番早く立ち直ったのは、ミスター6だった。

「この……アマぁぁぁああああ!!!」

 その周囲では、事態を察知したのか、反乱軍に擬装したビリオンズたちが集まって
きていた。

「おい手前ぇら! あの女を狙え!!」
「ええっ?! で、でもアイツは」
「かまわねえ! アイツは裏切り者だ! バロックワークスを裏切った!!」

 ミスター6の怒声に、立ち上がったビリオンズたちは戸惑いつつも銃をかかげ、そ
の銃口をミーアに定めようとした。
 だが。

「元々疑いようのないことだったが、自己申告してくれるとはありがたい」

 そういう、冷徹な声が、彼らを振り向かせた。

「なっ……かっ海軍?!」
「ナタルさん?!」

 彼らの立つのとは別の建物の屋上に、バジルール・ナタル率いるドミニオン隊が、
そろってその銃口をビリオンズたちとミスター6に向けていた。

−−−−−

 ゾロとミスター1、ナミとミス・ダブルフィンガー、サンジとミスター2、ウソッ
プ、チョッパーとミスター4ペア、めいめいがめいめいの戦いに、決着をつけようと
しているその頃、王宮にたどり着いたビビはクロコダイルと対峙し、その冷酷さを、
改めて認識させられていた。
 広場全てを巻き込んだ爆破――王国の者はおろか、彼の部下までも巻き添えにした
大破壊を引き起こそうと言うその計画に、怒りを覚えるよりも、むしろ悔しさを感じ
ていた。
 お前に国は救えない――そう嘲笑う言葉に、悔し涙がこぼれる。
 そして、そのままビビは、クロコダイル自身の手によって王宮の城壁から遥か下方
の地面に向けて落とされ――かかった所、ついに駆けつけたペルーとルフィによって、
救出された。
−−−−−

 一方――

 ナタル率いるドミニオン隊は、いつの間にかミスター6以下バロックワークスのメ
ンバーを、三方から取り囲むように配置されていた。正面の部隊はナタル、右はフレ
イ、左はキャノン中尉が、各々指揮を執っていた。
 そして、唯一開いた後方には。

「シン君……と、ローレライ、ミーア嬢、だったな」
「ナタルさん、この人は」
「おいコラ手前ぇら」
「解っている……そもそも、彼女に対しては手配書がないからな。君とは違って」
「え? じゃあ、賞金掛かってないんだ」
「だからおい、手前ぇら!」
「少なくとも、今この時点ではな。どだい、ローレライについてはその正体すら解っ
ていなかったぐらいだ」
「無視してんじゃねぇぇぇぇぇええええっ!!!」

 しばし、ミスター6たちの存在を失念したかのように言葉を交わすナタルとシンに、
ミスター6は怒声を張り上げた。その次の瞬間、ナタルとシンの視線が交錯する。

「剃!!」
「撃ぇっ!!」

 シンはミーアを抱えて空中に飛び、ナタルは右手を振り下ろして自分の直卒の隊に
発砲を命じた。
 間合いを外された形となったミスター6たちは、そのほとんどが銃撃を受けて倒れ
伏した。
 ミーアを抱えたシンはキャノン中尉の脇に現れ、そこにミーアを降ろした。

「む」
「あ」

 しばし、シンとキャノンの視線が交わる。

「あの、こないだはどうも……すんませんした」
「いや……まあ、君も義侠心から為したことだ。とやかくは言わん。それに、あれは
主にフレイ伍長が悪い」
「ぐお……こ……このクソがぁぁぁああっ!!」
ミスター6はトロンボーンを構えようとした――が

 甲高い金属音と共に、トロンボーンはミスター6の手から跳ね飛ばされた。

「なぁっ?!」
「経験者から言わせてもらうと、こういう場合、周囲が見えなくなるぐらいヒスっちゃっ
ても、良いことないのよねー」

 膝立ちにマスケットを構えたフレイが、あきれるように呟いた。

「こ……あ……」
「さて。わざわざ自分から申告してくれた以上、我々としては心おきなく君を捕縛で
きる訳だ。その点は、礼を言っておこう。ありがとう、そして――覚悟しろ」
「ふざっ……」
「けんなってのは、こっちの台詞だ」
「へ?」

 背後から聞こえたシンの声に振り向く間もなく、数十キロの鉄の塊が高速で叩きつ
けられたような衝撃がミスター6を襲う。

「タンホイザぁぁぁぁあああっっ!!!」
「ゴットフリート!!!」

 鉄塊で全身を鎧ったシンの体当たりが、炸裂する。ミスター6ごと飛ぶその先ある
のは、幾本ものスパイクを生やした壁の形を取る、ナタルの盾だった。

    ど  ん っ

 鉄の塊と化したシンの体と、軍艦の砲撃すら防ぐナタルの盾と、両者に挟まれ押し
つぶされたミスター6は、悲鳴を挙げる間もなく、その意識を手放した。

−−−−−

「少佐、この場の者は全員捕縛完了しました」
「ご苦労。さて――」

 ミスター6を撃退直後、ドミニオン隊がミスター6以下バロックワークスの構成員
たちを捕縛にかかった。
 その間、シンとミーア、ナタルはにらみ合うようにして対峙し続けていた。
「さて、シン君。そちらのミーア嬢の取り扱いなのだが」
「ナタルさん、この人は」
「解っている。私もあのレインベースの地下にいたのだぞ」

 そもそも、と。ナタルはため息のように言葉を継いだ。

「キャンベル・ミーアと言う人物に対しては、賞金が掛かってもいない。『こちら』
に来て早々賞金首となった君とは違うのだ。ローレライについては、その正体はおろ
か実在すらあやぶまれていたしな」
「何だかすっごい詭弁に聞こえますけど」

 脇からフレイが楽しげに言うのにも、ナタルはむしろ胸を張って応えた。

「そうとも。これは詭弁だ。だが、詭弁の一つも弄さずただ四角四面に行動し続けた
所で、願う正義が為せるわけでもないことぐらいは、私だって学んでいる。ならば、
詭弁ぐらいは使ってみせる」
「そういうこと、出来れば自分のいない所で言っていただきたいんですが」
「我慢しろ、中尉」
「賞金がかかっていないとしても、じゃあどうするつもりなんですか」
 シンの問いに、ナタルはふむ、と一息ついて答えた。
「まあ、彼らの犯行について、証言はしてもらいたいな。あくまでも、彼らに脅迫さ
れていた人物、という立場でだがな。その上で、彼女の過去の行動については、不問
とする。司法取引と言えばわかるか」
「ミーアさん、どうする?」
「え?」
「アンタ次第だ。アンタが嫌だと言うなら、俺が連れて逃げる。まあ、あの人らに世
話になるのも、悪いことじゃないとは思うけどね、俺は」
「私は……」
「一応警告しておくが、彼は賞金首で、海賊だ。彼と共に逃げると言うのならば、そ
の時点で君も同じ扱いとなる」
「……」
「まあ、当座我々はあの馬鹿どもを捕縛する方が優先なので、すぐにどうこうとは言
わん。急がねばならんのでな」
「急ぐ……あっ!!」

 迷いを見せていたミーアが、突然顔を挙げ悲鳴にも似た声を出した。
「な、なんだよいきなり」
「シン君! そうよ、急がないと!」
「いや、だから」
「早くしないと、広場から皆を逃がさないと!!」
「……どういうことかね、ミーア嬢」

 ナタルは、自分の予測の内最悪のケースが実現しつつあることを感じつつ、ミーア
に問うた。
 はたして、ミーアの答えは――

「ミス・オールサンデーに聞いたんです……クロコダイルは、広場に砲撃を加えるつ
もりだって!」
「砲撃?! で、でも何処から?!!」
「あそこ――! あの時計台よ!!」

To be continued...

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