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機動戦史ガンダムSEED 06話

Last-modified: 2017-09-30 (土) 20:01:58

 ――カグヤ島・マスドライバー発射施設――
 ――第4機動艦隊旗艦『クサナギ検抓篭供宗

 

 『クサナギ検戮蓮▲ーブが世界に誇る国営企業『モルゲンレーテ社』が、
総力を掛けて開発した新造の総合型宇宙戦戦闘艦である。

 

 最初から機動艦隊の旗艦として開発され、その戦闘能力は国際社会で流通されている通常の宇宙艦と大きく違い、
極限まで旗艦としての通信機能や艦隊間のコミュニケーション能力が追求されている。

 

 私も設計の段階で開発に関わり、実際の建設、施行までの間の1年間の間に寝食を忘れて頑張ったものです。
お蔭で髪バサバサになったり、お肌が荒れたりして大変だったし。

 

 『クサナギ検戮粒発が終了して、私の仕事もお仕舞いだと思いましたが、
1週間前に軍から社へ開発スタッフの同乗を求められ、そして、私が選ばれた訳です。

 

 実家の両親や友達にも自慢たらたらです。
 だって、あの『アーガイル司令』の副官に抜擢されたのですから。

 

 私は両親がナチュラルとコーディネイタ―なので言わば、『ハーフ』ということになる。
生粋のオーブ生まれなので差別を感じた事はない。

 

 かつてのオーブも前時代では、ナチュラルが幅を利かせていたと言うから驚きですね。
今でも、地球連合強国やプラントでは、ナチュラルとコーディネイタ―との間に垣根があるというから正直世の中て嫌なものです。

 

 両親も親戚の叔父や叔母も私の世代とは、違う価値観を持っていて、ハーフは忌み嫌われたと言いますけど。

 

 今時、オーブの公の場所でそんな事を口にしたら、精神疾患として,精神病錬に送られます。
直ぐに、村八分にされて孤立させられますのにね。

 
 

 そして、その前時代の改革者が、カガリ・ユラ・アスハ代表と言うわけです。

 

 昔からオーブの国民なら皆が憧れる若き指導者!お姫様!!
女性でありながら世界の中のオーブを確固たる地位に導いた名君!
オーブの女子ならば、みんなアスハ代表のような素敵な女性になりたいと切望したものです。

 

 そして、その側近のロンド・ミナ・サハク様。
代表首長府、通称『ホワイト・ヒル』の首席補佐官兼総合作戦本部長を務めています。
 この人もアスハ代表と並んでオーブの英雄として称えられています。

 

 元々、アマノミハシラと呼ばれる半独立国家コロニーの主権者だったが、アスハ代表の召還に応じ、
オーブ政権の中枢を担うようになったのです。
 辣腕家であり、敵に対して容赦せず、味方に対しても冷徹非情の名宰相として誉れ高く、
その生活スタイルも洗練潔白の身であり、叩いても埃一つ出ないそうです。

 

 このように今のオーブは女性代表を冠として掲げている事で、
他国から、この国プラント同様には女が支配し、幅を利かせているという陰口も叩かれているらしいけど。
全然、その内容は違うと思います。

 

 そして、今回、赴任する予定の第4機動艦隊の総司令官を務めるサイ・アーガイル司令。
私にとってアスハ代表と同様に、この人も伝説上の人物だ。

 

 かつて、代表府首席補佐官兼オーブ軍総司令官を兼ねて
皮肉か愛称なのか『異端の才人』とも呼ばれていたそうです。

 

 数々の伝説を創り上げた人物としては、制服組の間では『オーブ社会の裏切り者』として、この人の評判はとてつもなく悪く、
私も悪い噂しか聞いた事が無いのです。

 

 恩知らず!奸臣!裏切り者!などありったけの悪口を周りから聞くだけで、
実際に会ってからしか評価をする事はできないだろう――と私は思います。

 

 噂のアーガイル司令はどんな人なのでしょうね?

 
 

 「――こら、何ぼんやりしてるの」

 

 「シモンズ主任!」

 

 私がその様に物思いに耽っていると、
かつて直接の上司であったエリカ・シモンズ技術参謀主任に注意されてしまった。

 

 ――エリカ・シモンズ。

 

 少し前まで、モルゲンレーテの総裁を務めていたほどの才媛であり、
3隻同盟のあの『ラクシズ』にも関わりがあったという。剛の人だ。

 

 現在では職を辞し、予備役の方に回っていたけど今回、アーガイル司令が復帰する事に伴い、
志願して、第4艦隊の技術主任参謀へと赴任したそうだ。

 

 この人もアーガイル司令と共に戦った豪傑だ。
……やっぱり、ラクス・クラインの下で戦場を荒らし、暴れまわっていたのだろう。

 

 「――今、おかしな事考えてなかった?」

 

 「いいえ何も」

 

 「そう?ならいいけど」

 

 ――危ない。危ない。大戦を生き抜いた英雄の勘はあなどれないわ。
私みたいなか弱い女の子がいるべき場所じゃないかも。
と思っていると、

 

 「緊張してるの?」

 

 とシモンズ主任が私に話し掛けてきた。
どうやら先程の話題を意図的に流そうとしているらしい。

 

「ええ!そりゃもう!」

 

 私は、それに合わせる。でもアーガイル司令の事は確かに気になるのだ。

 
 

 「アーガイル司令のことね?」

 

 私の思考を読取るかのようにシモンズ主任は先取りを掛けてくる。
超能力者か?この人?仕方が無く私は、それに応じて、

 

 「その……シモンズ主任はアーガイル司令の事を良くご存知なんですよね?」

 

 と敢えて話題を振る事にした。

 

 「ええ。よく知ってるわ……彼がいなければ今の『オーブ』は存在していなかったのだから……」

 

 と遠い目をする主任。人に歴史在りと言うけど。

 

 「でも……制服組の間からはすんごい評判が悪いですよね?何でですか?」

 

 私もここまで司令が身内かっら嫌われる理由は知らない。

 

 「……ええ。機会があったら話してあげるわね」

 

 主任は言葉を濁した。
――シモンズ主任。アーガイル司令。

 

 既に歴史上の偉人列伝に載っても決しておかしくない人達。
そんな人たちと自分が、一緒に居る事が凄く不思議なのだ。

 

 気を取り直して私は、シモンズ主任に対して、

 

 「……ぺーぺーの私には、アーガイル司令は『統一戦没』の英雄としか知らない雲の上の人ですから!」

 

 ――オーブ首長国連合が誇る若き『天才用兵家』。
 ――嘗ての代表首長府のトップ。
 これだけでも、結婚願望の女性を釘付けにするだろう。
 それに……

 

 「――それに……写真でも見たんですけど……司令、ハンサムですよね?」

 

 アイドルのおっ駆け根性の丸出しで私は付け加えた。
無論、シモンズ主任は私の反応に呆れている。

 
 

 「……飄々とした風貌にだまされないようにね?――彼はあれで恐ろしいほどのリアリストでドライな人よ……」

 

 「……やっぱ怖い人なんですか?」

 

 「そうよ。油断してたら、一瞬で食べられちゃうんだから?」

 

 と笑いを含んだ答えが返って来た。
……?冗談なのかな?よくわからない。

 

 それとも……?

 

 「え?――もしかして……節操なしなんですか?司令」

 

 「まさか!……あれほど貞操概念が固い男も珍しいわ。でも……あれほどの男……
  その気になれば、選り取り見取りでなのにね……」

 

 「……へ?」

 

 私は間抜けな返答をしてしまった。

 

丁度そこで、背後で艦橋入り口のドアの開閉音が響き渡る。
艦隊総司令部であるこの艦橋には、限られた人物しかその入り口を、通過する事はできない。

 

 「――やれやれ、わざわざ艦を降ろすかね?」

 

 物憂げな声が私の耳に入る。
ややハスキーで良く通る声だ。
その声は、若さとそして、その逆に人生の年暦を感じさせるような、渋さをも何所と含んでいる。

 

 艦橋に入ってきたその人物は、濃いブラウンの色のやや長めの髪をオールバックにして後に流し、
その顔には、やや薄めのグラス型のバイザーが掛けている。

 

 鋭さと深い色の眼差しが、ハッキリとこちらから、視認できるレベルの濃さのバイザーだ。

 
 

 オーブ宇宙軍の正式な制服を着用し、その上に肩からサーコートかマントのようなコートを羽織り、
将校が纏うようなマントの代わりとして着用している。

 

 背は結構高くて、恐らくは180cmやや越える程度はあるのではと思われる。
その人物は、私達の方に湯ゆっくりした歩調で近づいてくるのだ。

 

 私はその人物の前に一歩踏み出すと、

 

 「あっ、あの……はじめまして、アーガイル総司令……ですよね]

 

 うわっ!やっぱハンサム!と思う。
司令は、ナチュラルだというけど。顔造型はいい!

 

 端正な顔立ちに鋭い眼差し、口元は引き締まり、風格が溢れている。
伊達に、全軍の総司令長官を務めたのではないのだろう。

 

 コーディネイトで創られた顔ではないので不自然さが無い。
私のモロ好みだ。顔は……

 

 しどろもどろと私は自分の名前を言い終え、モルゲンレーテから出向の身であること。
そして、自分の出身地に学歴、好みまで一気に語ってしまった……

 

 「……これから副官を務めますのでよろしくお願い致します!」

 

 最初は、私のまくしたつ弁舌に唖然とした司令は、その都度、頷き、
そして、私が自分の名前を言うと一瞬、奇妙な表情をした。 
驚くような、懐かしがるような感じだ。

 

 全て吐露し、まくしたて終ると……アーガイル司令は私を暫く凝視する。

 
 

 「あの……?何か?」

 

 心配になってきてしまった。まずかったかな?
ちょっと馴れ馴れしかったかもしれない。

 

 シモンズ主任はアーガイル司令は怖い人と聞いたのだけど……
でも私は優しいそうな人に思えるけど。
だが、その期待も一瞬で崩れる。彼の口元が酷く歪む。

 

――笑われた

 

 「ブッ!……ああ、いや、こちらこそよろしく頼むよ……お嬢さん」

 

 私はムッとする。表面上には出さないように成功はするが、 
どうやら司令に呆れられてしまった……だけのようだ。
その側から、

 

 「――お久しぶりねサイ」

 

 とシモンズ主任が司令に自然に挨拶をしてくる。

 

 「おひさしぶりですな――シモンズ主任。まだ現役の軍人でしたか?」

 

 と笑いを含んで司令の声がする。

 

 お子さんも大きくなったんでしょう?と話を続ける。
旦那さんがよく復帰を許しましたね?とも
モルゲンレーテの総裁をした人が艦隊参謀ですか?と

 

 シモンズ主任と司令は仲良しのようだ。

 

 「――そう、エリカ・シモンズ技術主任参謀としてね。
  貴方が復帰すると聞いたから、予備役からの召集に応じたのよ」

 

 「そいつはお気の毒に――」

 

 と司令はおもしろがっている。

 

 もう、別の意味での二人の世界を創っている。
流石、歴戦の勇士。

 
 

 いつまでも、無視されるのも癪だったので。
そこでコホン!と私は咳払いして二人の注目を集める事に成功した。
そして、

 

 「ええと――司令には現在の戦況解説の為の圧縮学習を……受けて……」

 

 と私が言おうとすると、司令はそれを遮ぎって、

 

 「――大丈夫。記憶力は小学生の高学年並にあるよ」

 

 「……ええと。それでは?」

 

 「ああ。ざっとレクチャーしてくれるだけでいい……えーと、お嬢さん?」

 

 と、のたまってくれた。
 私はその司令の態度に一部にピキン!と来る。

 

 「――では最初に私の名前を覚えてください。司令!!」

 

 と強調し、無理やりでも覚えさせようと自分の名前を強く司令に語る。

 

 「……オーケー。君とは上手くやっていけそうだよ」

 

 と私を幼子のように揶揄しながら宥める。この点が大人との差なのだろうか?
私は、些か気分を害しながらも、忠実に副官の任務に果たそうとする。

 

 「……では、発射カウントダウンに入りますので、司令。号令を」

 

 「よし。全艦発進……!」

 

 『――了解。全艦発進。これより本艦は打ち上げシークエンスに入ります。総員……』

 
 

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 ――C・E83年……『メサイア戦没』から始まった大西洋連邦やユーラシア諸国。

 

 更には『ラクス・クライン』に対する抵抗勢力との泥沼の消耗戦によって
壊滅したはずのプラントの『ラクス軍』機動部隊は再び活動を開始した。

 

 一時期、エターナルも撃沈され、ストライクフリーダムや∞ジャスティスなどの
スーパーMS達も活躍も空しく、『ラクシズ』の機動部隊は、活動不能となる程のダメージを受けた。
盲目の忠誠を示す『ラクシズ』の兵士達と言えども、もはやこれ以上の地球各地の紛争に首を突っ込む余裕を失っていた。

 

 そう、ニュートロン・ジャマー・キャンセラーの更なる発達はMSを時代の寵児から叩き落し、只の艦船の艦載兵装へと立場を転落させていたのだ。

 

――ここ10年でMSが戦争の中心となった花形の時代は終わりを告げた。

 

 もはや、1機や2機のMSが戦局を左右する時代は『夢』となり、過ぎ去った過去となったのだ――

 

 機動戦力の壊滅により『ラクシズ』は宇宙に撤退。
プラントへと逃げ帰り再び沈黙をする事となった。

 

 そして時は流れ……『ラクシズ』は大規模な機動部隊を編成、再び地球圏に舞い戻ってきたのだ。
『地球浄化計画』という突拍子の無い痴人の妄想を掲げながら。

 

 そして『ヘリオポリス供戮隆挈遒蓮◆愧狼緇化計画』に於ける『ラクシズ』の地球侵攻への第一歩であろう。
先手を取られたこちら側としては、それを迎え撃ち、『ラクシズ』を叩き潰す。

 

 ――そう、それが俺に与えられた今の仕事……義務と言う訳なのだ。

 
 
 

続く

 
 

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