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機動戦士ガンダムSEED 閃光のハサウェイ 外伝3話

Last-modified: 2007-11-29 (木) 21:51:18

――強襲揚陸型MS運用母艦<ミネルバ>――AM:5:00

――パチリ!

と、目が開く。
どんな時間に眠ろうと、俺の生物時計は、この時間にアラームを鳴らすのだ。

そして、即座に意識は寝起きから、通常の状態の意識へと覚醒する。
無論即座に出撃が可能である。

――『常時戦場』

これは、俺の座右の銘である。
そして、兄とも師とも俺自身が思っている尊敬すべき人物の受け売りでもある。

俺は、向かい側の隣で寝ている『相棒』を起こさないように気配を上手く消しながら、
そろそろとベットから足を出す。
手早く、軍指定のトレーニングウェアに着替えると、常に枕元に置いてある、長い包みに入った『もの』を取り出す。
そして洗面所で顔を洗うと、トレーニングルームへと真っ直ぐ足を向ける。

艦内は、流石にまだ静かである。当直の人間以外はまだ夢の中であろう。
戦闘時でもないのに、こんな時間帯に起きている人間は少ないはずだ。
だからこそだが……

俺はトレーニングルームに到着すると、持ってきた包みを開き、丁寧に『もの』取り出すと鞘から引き抜く。
取り出したきた『もの』は俗に言う『サムライ・ソード』と呼ばれるものである。
これも『あの人』から頂いたものだ。

渡される時に、『あの人』も俺と先祖が『同郷』だということを聞いて、俺は更に親しみを覚えたものだった。

鞘から出た白刃は、一瞬、ギラリと刹那の輝きを放つ。一点の曇りの無い刀身だ。
その神々しい刃の輝きは、一つの芸術品に匹敵するであろう。

古来、刀とは所有者の心を映す鏡だったという。
この俺の『愛刀』の刃は澄み切っている。今の俺に何の迷いもない証であろう。

俺は『愛刀』を携えトレーニングルームの中央へと進むと、意識を集中し、『八双の構え』を取る。
これは、一八〇度方向に視野と行動範囲が開けるのだ。

そして、『大上段』へと、大きく刀を振りかぶる!

「はぁぁぁぁーー!!」

腹の奥底の丹田から吹き出る『気』と共に、裂帛の気合が、俺の口から飛び出す!

――ブゥゥゥッン!!

俺の正面にある空気が、音を立てて斬り裂かれる。
そして、白刃はピタリと一点へ止まる。

「おぉぉっ……!」

『気』を丹田に蓄え、再び裂帛の気合を上げら後に、また同じ動作を繰り返す。

――20分後

――ブォン!ブォン!!ブォン!!!

「――九百二十三!九百二十四!!九百二十五!!!」

俺は一心に素振りを、規則正しく繰り返す。振る刀の重さが心地よい。
全身から汗が噴き出し、筋肉がリズムカルに程よく酷使される。

最初の頃は、素振りがろくに振れないばかりか、刀に振り回され、しかも翌日には、
全身地獄の筋肉痛と全身の骨が軋みまくり、ベットの上から起き上がれない事に悩まされたものだった。

そして、今握っている刀は業物であるが、正確には『キ○カネ』と呼ばれる名刀の模造品でもある。
この刀の由来は、『サムライ島』に伝わる夭折した伝説の天才剣士が愛用していたものだと言う。

だが、現代の今に、流石にそれ自体が存在するはずが無い、これは、それに肖って命名された刀である。
そして、その気になれば、鋼鉄の板すら両断できる。そう『ガンダリウム合金』で出来た一品なのだ。

「――千!!!」

俺は日課の朝の素振りを終える。
そして、汗を流す為に浴びる為にシャワー室へと向おうとトレーニングルームから出ようとすると、
丁度、その扉が開き、外から誰かが入ってくる。

「――今日も、出て行くことに気がつかないとは……不覚だ」

長めの金髪をはためかせて、俺の『相棒』がトレーニングルームに入って来た。
俺が気配を消しながら出てゆくことに、気が付かないのを屈辱と思っているらしいのだ。

「気にするな。俺は気にしていない」

「……」

俺がそう言うと、『相棒』が首を傾げる。

「どうした?」

「いや……何かデジャヴを……既視感を感じただけだ」

そう言いながら、『相棒』も包みから刀を取り出す。そして、

「一手、お手合わせ願おう」

と言う。

『手合わせ』と言っても真剣勝負ではなく、予め決められた動作をする『稽古』のようなものである。
互いの動作を取り決めた『決闘』のようなものだ。

本気で闘えば、逆にどちらも動かずに一時間、二時間は平気で過ぎ、
どちらかが一瞬動いた時に、生死を賭けた勝負は決まる。

『相棒』の持つ『サムライ・ソード』の名は『○ネサダ』と呼ばれる、やはり名刀の模造品である。
これも『ガンダリウム合金』で出来ている。互いに滅多な事では刃こぼれしないのだ。

俺は、『平手突きの構え』を取り、『相棒』は『八双の構え』になる。

「いくぞ!」

「こい――」

先に俺が動く!!稲妻のような突きを繰り出す!

俺の必殺の一撃であり、俺が得意とするMSの近接戦闘にも多く使用している。
この技で俺は、多くの敵のMSやMAを地獄へと送り込んでいったのだ。

――ズギュュ―ン!!

空気が裂ける様な、俺の閃光の一撃に対して、相棒は紙一重でそれをかわし、流れるように前へと出る!

――ズシャァァァッ!!

そして同時に、『相棒』は抜き打ちで、下からすくい上げるように、
凄まじい一撃を俺の胴体目掛けて、横一文字へと一閃する!

空間が裂けた様な感覚を感じる!俺は咄嗟に刀身を斜め下に向けて、防ごうとする。
カキーン!と互いの刀から鋭くぶつかる音が響き渡る。

――同時に、お互いの口元に笑みがこぼれた。

また、一旦離れて距離を取る。そして先程と同様に、ぶつかり合う!

それを、10数分繰り返していると、何時の間にか側に観客がいる事に気が付いた。

赤毛のショートヘアで髪の毛が一本だけピーンと立っている少女と、
その少女に顔が似ている赤毛のツインテールの少女。

自称『美人姉妹』に『稽古』を覗かれている事に気が付いた俺たちは、
互いに一旦離れると、『稽古』をやめる事にした。

「ええ〜?もう終わりなの〜?」

興奮し顔を紅潮させているツインテールの少女が、甘い声で残念そうに言う。

「ぬぬ、また腕を上げたな!おぬしら……!と言ってあげようかしら?」

これは、明るく笑いながらの赤毛のショートヘアの少女の方である。

「二人とも、黙って見ているなんて人が悪いな――」

と苦笑しながら俺は言う。彼女達姉妹とも長い付き合いになるのだから。
だが、『相棒』の方は全く態度を変えずに、

「二人とも訓練か?」

と生真面目に聞いてくる。ショートヘアの少女は、首をすくめながら、

「まさか!『覗き』に決まってるじゃないの!若手超人気のトップ『エース』二人の秘密の特訓が見たい!とこの子が……」

「お姉ちゃん!!」

と姉妹がじゃれ合っている見ながら、俺たちの早朝の日課は終了するのであった。

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