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機動戦士ガンダムSEED  閃光のハサウェイ 第05話

Last-modified: 2007-11-29 (木) 21:04:44

ジン……この世界初の人型機動兵器である。
MS、U・Cでいう「ザク」と言うわけだ。

だが……

(メッサーはもちろんのことジェガンとも比べものにもならんな……)

低いのだ性能があまりにも……モニターも前面だけ……天周囲モニターに慣れてる身としては360度が見えないとやや心許ない。

性能は最悪であり操縦系統もあまりにも煩雑だ。だが乗りこなせないわけでもない。
俺は「ニュータイプ」なんだから。

かつてU・C世界で人類初のMS同士の戦闘を行った最強のニュータイプ戦士は初めて搭乗した「ガンダム」のコックピットの中を一目見て
直感で操縦し“ザク”を撃破したのだ。

ならば俺にも出来ない事は無いはず。
あの偉大な戦士達には及ばないかもしれない。が……C・E世界のMSだろうと乗りこなしてみせる。

「よっと!」

ビィー・ビィー
突然、警戒音と共に駆動系に警告が表示される。

(これ以上の負荷は危険か……ちっ、オートにすると性能が更に下がるからな……だがマニュアルで操作するとこれだよ)

俺の反応にマシーンが追従できないのだ。

整備士に通信を入れる。俺の動きをモニターしているはずだ。

「反応速度が鈍すぎる!! バーニアの出力や駆動系の稼働率をもっと上げられないのか!」

「ちょっと! これで最大ですよ! こんな設定で動す事自体が無茶苦茶です!!」

ハサウェイとMS整備主任との会話を聞ききながら二人の男がモニターに映る一機ジンを見る。

閃光のようにジグザクに動く機体の動きは自分の目では追いつけない……溜息を吐く。

「人類の革新……『ニュータイプ』か……凄いものだな」

傍らの仮面の男も呟く。

「私も乗りこなすのにはそれなりの時間が掛かったのだがな……」

隣の男は“ザフト軍最高のMS乗り”の一人として謳われているはずだが……その男をもってしても脅威なのだろう。
男には秘密があり、そして前提の条件としては彼と互角のはずなのだ。だが結果はこれだ、初めてジンに乗った彼がここほどまで乗りこなしている。
ザフト軍の兵士の一人が報告に来る。

「クルーゼ隊長、お言いつけの通りハイマニューバの準備ができました」

「よし出るぞ」

「本気なのか? ラウ」

「フフッ、私と互角、或いはそれ以上の実力を持つ男が目の前にいるのだよ?」

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アプリリウス市 中心部に近い歓楽街の大通りだ。人気があり人混みも多い。
多くの若い男女が様々な目的でこの地にに来るのだろう。デートスポットとしては最適だ。
俺は入院予定を一週間、繰り上げて約束通りに隣の美人とデートをしているわけだ。
彼女は嬉しそうに

「ねぇ? どこ行く? ミュージカルや映画、リサイタルホールや、先に素敵なカフェ。レストランかしら?」

俺は街に設置されている大型スクリーンに目を向けていた。
E70.5月3日 ザフト軍が地球連合軍の月基地「プトレマイオス」に進行を開始し、月の裏側にあるローレンツ・クレーターに橋頭堡となる基地の建設を開始した。
その結果、両軍はグリマルディ・クレーターを境界に月を二分し、以後小競り合いを繰り返している。

“ZAFT、月の「プトレマイオス」基地攻略を目指す、ZAFTに勝利を!!”

「……そうだよな」

「どうしたの? ハサ?」

「いや、なんかやっぱ戦争やってんだよな」

「そう……でも戦わないと……全部ナチュラルが悪いのよ! あいつらが……」

「“血のバレンタイン”……か」

「ハサ、貴方も怪我もそうじゃない……地球軍にやられたんでしょ? 先生がそう仰ってたわ」

「んっ、まぁな」

(そういうことになってるらしい……俺は地球の東アジア共和国出身のコーディネイター。
 今回、プラントの移住しようとしてた矢先に地球軍の無差別攻撃によって重傷を負ったことになっている)

この世界に来てから早一週間。今日はデートだ。
ギルバートが俺の身元引受人であり保証人だ。とりあえず住むとこも彼個人が所有するアパートメント……というよりも巨大な邸宅だ。

渡された身分証とカード。限度額を見た。ゼロが幾つも並んでいる。
「マフティー」でもこれ程の金額は直ぐには自由にできなかったぞ。

『少ないが今は我慢してくれたまえ』

聞いたところ彼は外交官でありながら製薬会社の会長も兼ねてるそうだ。莫大な利益が黙って彼の懐に転がって来るわけだ。
一般の中流家庭出身の自分には想像もつかない世界だ。

『私が凄いのではないよ。亡くなった父が開発した医薬品が特許を取り、息子の私がその恩恵を得ているにすぎない』

自前で「Ξガンダム」を秘匿し研究できる場所も持っているそうだ。

彼は世界の行く末を正しい方に導きたい。と俺に強く訴えてきた。その為に自分はこの世界やって来たのだという。
かつての赤い彗星を彷彿する人物が目の前で俺の力を欲しいと言ってくれる。
悪い気はしない。この人は俺の命の恩人だ。自分の力が必要と言ってくれる……。

『とりあえず、今は休んでくれだまえ。そして私の考えに賛同してくれたら嬉しいよハサウェイ……いや……やはり「マフティー」と呼んだ方が良いかな?』

だが、今の自分は生まれ変わったようなものだ。これから安穏と暮らしていくのも悪くはないか、とも思う。
異世界行く末なんて知ったことかよ。これ以上世界の面倒見きれるか。という気持ちも確かにどこかにあるのだ。

それより今日はヘレナとデートだ。思いっきり楽しんでこよう。
俺はこの巨大な邸宅の執事に出かける事を告げた。

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