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機動戦士ガンダムSEED  閃光のハサウェイ 第23話

Last-modified: 2007-11-29 (木) 21:15:53

C・E70年6月1日

――アガメムノン級戦艦『ジョージ・ブッシュ』艦内――

廊下を歩きながら、すれ違う、むさ苦しい野郎どもに軽く手を上げながら挨拶する。

オレの名はムウ・ラ・フラガ。

母国、『大西洋連邦』でも指折りの資産家アル・ダ・フラガ(糞野郎)の長男として上流階級の家に生まれ、何人もの執事を抱えた豪邸に住むなど,物質面では不自由なく育ったいいとこ?の『若様』だった。

だが、幼少のオレは両親の教育方針の違いから、糞オヤジから嫌悪され、暗い少年時代を過ごした……らしい。
オレは、おふくろの方針で使用人の子供達と分け隔てなく遊んでおり、ついぞ寂しいとは思ったことは無い。
逆に、糞オヤジの事なんぞに関わらなかったおかげで、オレはそこで明朗な美少年に育ったのだ。

12歳の時に火災で、糞オヤジはおっ死に、ついでに家も失った。
糞オヤジの事は正直、どうでもよかったし、別に悲しいとも何とも思わなかった。
オレも、糞オヤジ同様に、お互いを嫌悪していたのだろうな。

んで、その後はお決まりの展開だ。
ハイエナのような親族が糞オヤジの遺産に群がり、毟り取り、あっという間に貧乏な小公子になったというわけ。
だが、おふくろとオレが成人するまでの間の、金ぐらいは何とか有ったのでオレは立派に育った。

……それが今は、何の因果か、地球連合宇宙軍第3艦隊に所属している『モビルアーマー』のパイロット。階級は中尉だ。
ほんと、運命てわからんね。

ついでに言うと、バツキンのハンサムで、超ナイスガイでもあるオレは、現在、巨乳で美人の彼女を募集中でもある。

そんなオレだが……朝っぱらから、気分がすこぶる悪い。

無論、優しい『彼女』がベットの隣に寝ていてオレを優しく起こしてくれないというのもあるのだが……
実は単に虫の居所が悪いのだ。朝っぱらから嫌な予感がビンビンしやがる。

まぁ、確かに実際のオレを溺愛してくれるそんな都合の良い生身の女はいない。今は……
やっぱ、彼女にするなら美人の巨乳だね。貧乳はお断り。

しかし、オレは今、自分の『生死』を預けている『彼女』がいるんだ。
今は、そいつのご機嫌を取らなくてはならない。

だから、気分が悪いのに、朝っぱらからこんなとこを、ほっつき歩いている。
でなくては、月都市コペルニクスまでナンパにでも行っているさ。

オレは『彼女』の待っているであろう、艦下部にある『搭載ドック』へと脚をのばした。

――『ジョージ・ブッシュ』MA搭載ドック――

オレが『モビルアーマー』がずらりと並ぶ『搭載ドック』到着すると、
見知った連中の顔を見つけた。

「お、お前らも来ていたのかよ?」

「あれ? 兄貴もっすか?」

「おはようございます。隊長」

ラテン系アメリカンとイギリス系ジェントルメンのように対照的な二人だ。
オレも挨拶を返す。

「うーーす、ケイン、ラッセル。どうだい? 調子は」

「まずまずっすね」

「万全です」

『ケイン・バーナード』と『ラッセル・クローレス』

オレが隊長でもある『クリムゾン小隊』に所属する連中だ。階級はどちらも少尉。
部下というよりも、半ば友人の様につるんでる連中だ。

ケインは、オレより薄い金髪に、常にニヤケ気味の表情をする自称二枚目を気取る三枚目だ。

実力はあるのだが、ここぞという時に弱いタイプの奴だ。
以前、オレが『世界樹攻防戦』のときに助けて以来、こいつはオレを兄貴、兄貴と慕う。
そんな関係でオレが自分の小隊に引っ張り込んだ。

ラッセルの奴は、こいつも『世界樹攻防戦』の時に知り合った。
濃いブラウンの髪に眼鏡をかけてる秀才タイプだ。
沈着冷静で、参謀タイプの為か理論で物事を詰めるので行動が一歩、やや遅くなる傾向がある。

こいつの部隊がこいつを残して全滅した時に、右応左応しているところを、丁度通りかかったオレが、こいつを拾った訳だ。おかげでラッセルは生き延びられた。
それ以来、その事を恩義に感じ、オレを慕ってくれるようになったのだ。

んで、小隊に引っ張り込んだ。
オレも単細胞だからこいつの冷静な判断力には正直、助かるのだ。

こいつら2人とは、戦争が始まってから結構な時間を共にしてきた部下というよりも仲間だ。
今も、オレたち3人はチームを組んで戦っている。

馬鹿だが人が良いケイン。
秀才だが意外に人情味があるラッセル。
それとナイスガイのオレ。

――最高のチームだ。

「なぁ、ラッセル? 今度、合コンでもやんね? コペルニクスで知りあった彼女がよ。今度『友達』を紹介してくれるってさ。
  彼女のいない寂しいお前に丁度いいかもよ?」

「――だが断る。それにケイン、お前――その彼女の『恋人』を紹介されると俺は見たぞ。
 どうせ『良いお友達でいましょう』という、いつものパターンで玉砕だ」

「なんですとーーーー!」

オレは腹を抱えて笑った。そう、いつもの光景だ。
このお笑いコンビのケイン、ラッセルは性格が対照的なので仲が悪くに思われるが、このように意外と良いコンビだ。
いつも接着剤のように引っ付いている。お互い、性格が違いすぎるからだろう。
だからこそ、仲が良くなったのだ。そこにオレが入り込み更に馬鹿をやっている。

世界樹から先、無敵のトリオとしてバキバキに鳴らしているわけだ。

どうやら、奴等は自分たちの『彼女』のチェックは済んだようだし。
ならば、オレも……な?

「んじゃ、オレも自分の『彼女』の様子でも見ますかねっ!と」

「おつかれーっす」

「ではまた、後ほど」

オレは二人にそう言い残しその場を後にした。
そして『彼女』のデート場所に足を向ける。

ドック内には連合の主力機動兵器である形式番号:TTS-MA2。
独特のフォルムを持った、地球軍の戦闘機型MA、
通称――『メビウス』がズラリと並んでいる。

地球連合軍とザフト軍の戦闘の初期から、地球連合軍宇宙軍の主力として活躍している機体だ。
機動性は良好で、直線速度なら殆どの『モビルスーツ』の追随を許さない程の能力がある。

だが……

当初の『戦車や戦艦並みの重装甲、戦闘機並みの機動性と空戦能力、接近戦での戦闘能力を持った理想の機動兵器』
と言う盛大な謳い文句の性能は、ザフトの開発した量産型モビルスーツ・ジンとの戦力比5:1と言う散々な結果が出てしまう事となった。

そこで連合は……だ。

オレは『メビウス』が並ぶ一角とは別の場所に足を向けた。
そこにあるのは……オレの現在の『彼女』――

――連合軍最強の機動兵器――形式番号:TS-MA2mod.00

通称――『メビウス<ゼロ>』――

オレンジ色に輝く鋭角なボディ。
「ガンバレル」と呼ばれる有線誘導式の攻撃端末と機首下に大型リニアガンを装備し、オールレンジでの攻撃が可能。
機体を取り囲むように配された4基の有線式砲塔(ガンバレル)は、開閉式のビーム砲2門とレーダーを装備。

有線による遠隔誘導でオールレンジ攻撃が可能だが、その扱いは困難を極め、操縦者を選ぶ機体だ。

「ガンバレル」は機体から離れた位置に射出し、予想し得ない方向から敵機に攻撃を加えるオールレンジ攻撃により、MAの弱点であった旋回性能の低さをカバーしつつ高い攻撃力を有する事となった。

またガンバレルのスラスターは、そのまま本体のブースターも兼ねており、MSを上回る圧倒的な加速性能を得ている。

但しガンバレルを扱えるのは『特殊な空間認識能力』を持つ者に限られ、軍内ではそのパイロットの存在は希有だった。
そう、オレとケイン、ラッセルをも含めても僅かに15名程度なんだ。

オレは、現在、『第15モビルアーマー中隊』であるメビウス<ゼロ>部隊『クリムゾン小隊』の隊長をやっている。

メビウス<ゼロ>部隊はNO.0〜14までの番号が振り分けられていて
機体の機首部分は隊員のヘルメットにある羽のマークと自分のナンバーを付けている。

メビウス<ゼロ>部隊の構成は以下となる。

小隊名 小隊長名 隊員のナンバー
アイスブルー ウインターズ  No.0 No.3〜6
バーリーウッド リンドグレン  No.1 No.7〜10
クリムゾン オレ(フラガ) No.2 『ケイン No.11』〜No.12〜『ラッセル No.13』〜No.14

オレを含めてこの3人と、もう後2人が『クリムゾン小隊』のメンバーだ。

――『世界樹攻防戦』が終った後にオレとケイン、ラッセルはメビウスの小隊を組んでブイブイいわせてるところに、上層部から異動命令が下った。

オレものその『特殊な空間認識能力』があると判断され、軍上層部から『メビウス<ゼロ>』のパイロットとして抜擢されたのだ。
そして、それと同時にケイン、ラッセルにも異動を命じられていたのだ。

べスト・チームとして活躍していたオレたち3人は、同時に異動を命じられ、泣く泣く別れる事となった。
浴びるように酒を飲み、盛大にお別れ会をしたオレたちは、終戦後、お互いに生きて必ず会おうと誓い、涙と共に別離した。

翌日、二日酔いに悩まされながら、新設されたメビウス<ゼロ>部隊の本部へとオレが向かうと……
そこには、オレと同様の二日酔いになったケイン、ラッセルがいて、感動の再会を果たす事となったのだ。

ハンサムなオレと馬鹿なケインと秀才ラッセル。
オレたち3人に、このイカれた能力があるのは正直驚いた。

何かの因果があるのだろうと、オレ達3人は酒の肴に大いに盛り上ったものだ。

――オレはメビウス<ゼロ>のコックピットに滑り込み、計器チェックを行う。
……おいおい!4番の『ガンバレル』の機銃角度がコンマ02ずれているぞ……

整備員に大急ぎで文句をいう。
この僅かなズレが命取りになるのだ。

今の『彼女』は、確かにじゃじゃ馬で扱いにくいのだが、そこは気に入ってはいるんだ。
だがその『彼女』の調子がこの通りご機嫌斜めだと、こういうときはろくな事が起きない。

昔、付き合った彼女ですでに経験済みだよ。

そして昨日から、首の後ろがチリチリとする。
何かよくない事が起きる前兆だろうな。

オレは自分のこの『直感』を信頼している。
だからこそ今まで、生き残ってきたんだ。

――全く、一体、何が起きるのだろうな?この『エンディミオン』によ。

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