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機動戦士ガンダムSEED  閃光のハサウェイ 第26話

Last-modified: 2007-11-29 (木) 21:17:45

C・E70年6月2日 10:19

――アガメムノン級戦艦『ジョージ・ブッシュ』艦内――

ビー!ビ―!!ビー!!!ビー!!!!ビー!!!!!

『敵機浸入を確認! 第一級戦闘態勢へ!! 緊急即応態勢レベル4(ファイナル)に移行せよ! 繰り返す!……』

「クソっ! こんな時にかよ!!」

第二次警戒態勢の宿直から解放され、やっとベットで一人寂しく仮眠を取ろうとした矢先にこれだ!
オレは、夢の世界に羽ばたく寸前で慌てて飛び起き、パイロットスーツに着替え、ヘルメットを抱えるとMA搭載ドックに向かって走り出していた。

艦内のあちこちで、狂ったように戦闘員及び艦のクルーが走り回っている。
さっきから、テールランプと警戒音が鳴りっぱなしだ。
遂に、この『エンディミオン・クレーター』にある資源供給基地を攻略する為にザフト軍は全面攻勢を開始してきたのだ。

オレは丁度、自分の近くをすり抜け様とした、顔見知りの下士官の男をひっ捕まえると状況を知る為に問い詰めた。

「おい! 戦況はどうなってるんだ!」

「今、急いでるんだ!!」

「いいから! 早く話せよ!」

慌て、動転していた相手もオレが誰かと確認すると、多少ホッとしたのかしどろもどろと、喋り出した。

「こ、これはフラガ中尉! 失礼しました!」

「いいよ。で? 戦況は!?」

「そ、それが……最初に迎撃に出た基地警護の『ミストラル』32機が僅か5分で全滅したとか……それで
 現在、うち(第3艦隊所属)の戦艦『クリントン』と『レーガン』所属のMA部隊が迎撃に出撃したとかで……」

基地警護の『ミストラル』30機以上が僅か十数分の内に壊滅……だと?
オレは一瞬、背筋が凍えた。

――『ミストラル』とは2門の機関砲と作業用アームを装備した連合軍の汎用MAであり、
現在、『メビウス』が主力になってからは殆ど使用されていない。
だが、生産数が多かったために、今は、『メビウス』に配置転換できなかった部署や主に基地警備用に廻されているのだ。

機体そのものはMAというより武装した船外作業艇で、開発段階では戦闘用として開発されたものではない……が
それなりの戦闘力があるはずだった。それが、こんな短期間で30数機が全滅だと?

……しかも、今まさに出撃したMA部隊も半数近くが既に撃墜されたとのことらしい。
なら……

「なんだとぉ? 敵さんはそんな大部隊なのかよ!」

「そ、それがわずか20機に満たないMSとかなんとか、だそうで……」

「なにぃ……? はっきりしろ!!」

「うわぁぁぁ……中尉!? 通信妨害が激しくて詳細がまだなんですよ!!」

一体、どういうことなんだよ?!
いくら新型機動兵器の『MS』とはいえ、こんな短時間で『メビウス』を含めたMA部隊の半数以上が壊滅だぁ?
オレがその使えない野郎を締め上げて、場所もわきまえず考えに浸っていると、

「兄貴!!」

「隊長!!」

お馴染み『クリムゾン』小隊の面子二人が駆けて来る。こいつ等もパイロットスーツに着替えている。

「ケイン! ラッセル!!」

オレは彼等を確認すると、今まで締め上げていた奴を解放した。
奴は慌てて、オレ達に敬礼をすると、一目散に逃げ出していった。

「兄貴! こんなとこで何やってやがる!! 早く行こうぜ!」

「ケインの言う通りです。隊長、我々も早く行きましょう」

二人は戦闘前の緊張感からか、かなり真剣な口調でオレを促す。
そうだ。四の五の言ってられるか!

「よっしゃぁ! 行くぞ野郎ども!!」

「おおっ!!」

「はい!!」

オレ達3人は気合を入れなおすと、まっしぐらにMA搭載ドックへと駆け出していった。

――『ジョージ・ブッシュ』MA搭載ドック――

オレ達が『搭載ドック』内に駆け込むと、ずらりと並んだ『メビウス』の内の何機かが発進態勢に入っていた。
案の定、周りは整備員やパイロットでワンサカ混雑してやがる。

「中尉! スタンバってますよ! いつでもいけます!!」

「サンキュ!!」

オレのメビウス<ゼロ>整備担当である整備班のオヤジが声をかけて来た。
<ゼロ>のコックピットに乗り込みながら礼を言う。

オレはコックピットに乗り込み、すぐさま計器に火を入れる。
機体チェック!オール・グリーン!OKだ!オヤジ!相変わらず良い腕だぜ!

オレのメビウス<ゼロ>の調子は今日も御機嫌だと言いたいが……何かこう、もやぁっとした気持ちが抜けない。
気合を入れ直すためにオレは、バンっ!と両頬を叩き、愛用のヘルメットを被る。

こいつも、メビウス<ゼロ>隊に配属されてからの付き合いだ。メビウス<ゼロ>の先端と同様に付いている羽マーク柄がチャームポイントだ。
ちなみに機体の方には、オレのナンバーである『No.2』が刻まれている。

「コントロール! 戦況は!?」

ゼロのエンジンが温たまるのを待ちながら、オレは改め艦橋のオペレーターに戦況を報告させようとする。

『戦闘宙域全体にわたって、かなりの数の『ジン』が展開しています!』

……若い女のオペレーターの悲鳴のような声が返ってきたぞ……おいおい!何じゃそりゃ?

『詳細な状況は未だに不明! NJの電波妨害が激しすぎます!!』

――まったく泣けてくるね?さっきから同じ事ばっか聞いてる気がするぜ。
んとに、もう……戦況が何もわかっていないのと同じ事だ。

『出撃していた基地警護の『ミストラル』の部隊が壊滅!! も、モビルアーマー隊も……』

オペレーター娘が盛大に悲鳴を挙げている。
そんもん、さっき聞いたよ!

「……数じゃこっちの方が上だってのに、全く泣けてくるね〜
 まぁ、泣き言を言っても仕方が無い。『ガンバレル』の力を奴らに見せつけてやるとしますかッ!」

オレは、オペレーターの気分を解きほぐし、宥める為に、わざと茶化すような陽気な口調で喋った。
オペレーターの彼女もそれを見て微笑み、多少、落ち着いて来たかのようだ。
彼女は一瞬、我に返ると、

『ちゅ中尉!! し……失礼しましたぁ!』

「どういたしまして。で、いいのかい?」

『は、はい! コントロールより『クリムゾン』小隊は順次発進してくださいとのことです!!」

「よし! クリムゾン小隊、フラガ了解!!」

その横から通信が入る。

『兄貴! いつでもいけるぜ!』

『隊長、こちらも出撃準備完了です』

サブモニターに顔が映るケイン、ラッセルからも頼もしい声が返り、その後を続くように小隊の残り二人も発進準備も完了したとの報告が入る。
オレは時間が無いので簡単なブリーフィングをする。

「敵は、『MS』という新型機動兵器を主力とする部隊だ。まぁ、泣き言を言っても仕方が無いぜ。
 守りを固めて敵を基地に一歩も近寄せるな。特に、無駄に戦力を分散させるんじゃないぞ……!!」

『『了解!!!!』』

「よぉぉしゃぁ!! いくぞ! 『クリムゾン小隊』出撃だ! いいな、お前ら絶対死ぬな……」

――ピキィィィィィィィン――

突然、脳裏を閃光が駆け抜けるイメージが一瞬走った。

「――何だ、これは……?」

ふと、出撃を前にしたオレはこの時、奇妙な感覚に襲われていたのだ。
ドンパチの前で何だが不謹慎なんだが……一つは途轍もなく嫌な感覚……

……それに、もう一つこれは一体……?
――そう、それは、まるで別れた半身に出会うような――そんな感覚のような……

『隊長?』

『おいおい! 兄貴! ボケたのかよ? 気合が空回りしているぜ?』

ラッセルとケインが訝しげに聞いてくる。

二人の声にオレは正気に戻り、頭を一振りする。
そして――

「すまないな二人とも。そんじゃ改めて、行きますかッ!」

『イエス! ボス!!』

『了解です! 行きましょう隊長!』

二人らしい個性溢れた返事が、それぞれ返って来た。
それに、オレはつい笑っちまう。
お前ら、相変わらずだぜ!

ブオッ!!ドォッ!!!

オレの目を覚まさせるかのように、愛機であるメビウス<ゼロ>のメインエンジンのバーニアが火を噴く。

そのオレンジの機体が、今まさに飛び出そうとする瞬間。
先程、感じたその妙な感覚を振り切るかのように、オレは腹の底から気合をあげた!!

「ムウ・ラ・フラガ出るぞ!!」

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