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機動戦士ガンダムSEED  閃光のハサウェイ 第39話

Last-modified: 2007-11-29 (木) 21:25:37

――ドォォォッン……

この辺りにいた最後の『メビウス』が四散してゆくのを感じながら、
私は部隊の集結を図っていた。

モビルアーマーの七面鳥撃ちを終えた私達は、次なる獲物を求めて、敵本隊である艦隊へと
侵攻を開始しようとしていたのだ。

ちなみに私の直接の貴下は全機、無事である。
頭のメビウス<ゼロ>を私が仕留めたのが効を生じたのだろうか?

後は右往左往の衆愚に過ぎない集団となった。残りのメビウス<ゼロ>など2機は私に粉砕され、
もう2機は部下達によって袋叩きにされた。

後は、もう撃ちたい放題の大御礼だ。
我々は、混乱し、逃げまくってる連中をガンガンと撃墜(お)としまくったのだ。

勿論、これは、混乱していた後続部隊の新人君たちに手柄を与えてやった。
――これが大人の態度なのだよ。

私の部隊の者達は、主に彼等のサポートとして、頑張ってもらった訳だ。

ここで新兵達は、かなりのスコア数を稼がせてくれた。

これが明日への自信へと繋がれるか、過剰な慢心を抱くかのどちらかになるであろう。
しかし、まぁ――ご苦労な事だ。と私は思う。

わざわざ、撃墜(おと)される為に出て来てれた訳なのだから。

まぁ、新人教育の為の糧となったのだから良しとしよう。
それと、連合の雑魚達に感謝せねばなるまい。

実戦こそ模擬訓練の何十倍もの経験になるのだからな。
結果として、モノの見事に10分も経たずにモビルアーマー部隊は全滅してしまったのだが――

そして、現在のところ、後続部隊の混乱を纏め上げ、残敵の掃討を終えた私達は、
直属の部下達を前衛にして、後衛を彼等に担当させる為の部隊編成を行っているのだ。

そうして、あらかたの部隊編成が完了した直後に、

――ピキィン……!

と脳裏を微弱な閃光が駆けた。

「――む?」

私は、顔をその感じた方向へと向ける。

――微弱な『プレッシャー』を感じたが……?これは……?

「――私を呼んでいるのか……?」

と、理解したが、この『プレッシャー』は、あまりにも……

「……弱いな」

とバッサリと切り捨てた。

今の私の『力』ならば、この程度の『プレッシャー』など100人で来ようが、
鎧袖一触で蹴散らす事が可能だ。

――それに、わざわざ、『三下』の呼び出しに、私が出向く程の事もあるまい……
――売られた喧嘩は買うが、わざわざ、『校舎裏への呼び出し』に応じるほど、気前もよくないしな。
――更に人気者の私の事だ。連合の方でも私の首を欲しがっている連中は星の数ほどいるであろう。

正直、こんな『雑魚』連中との遊び相手など、一々していられないのだ。
――まぁ、私の目の前に飛び出してきたら瞬殺してあげようか。
と無難にそう思いながら、部隊へ号令を掛ける!

「――ゆくぞ!今より敵本隊を壊滅させる!!勝利はすぐそこだ!!」

あと、一番に気を付ける事は『ガンダム』が暴れまくっている付近には、近づかない事だろう。
『彼』も、自分が『楽しんでいる』最中に、私の横槍が入る事を好まないだろうからな。

「――それと、今、敵艦隊を攻撃しているの『アレ』は、『味方』である。
  こちらから『アレ』に攻撃を仕掛けるなよ?」

大火傷するぞ、と脅しておく。私の直属の部下達は、私の命令に対して、何ら疑問を挟まないだろうが、
後続部隊の新人どもは、そうはゆいかないだろう。

案の定、口答えが返ってきた。

『それは、どういうことでしょうか?味方というと――別働隊ですか?
 ――そんな話は聞いておりませんが……?」

「――いいや。『正義の味方』だよ。横暴な『地球連合』を滅ぼす為の、な」

『は?はぁ――』

……どうやら、うるさい新人に対して教育的指導をせねばならないようだ。

「――命令だ」

と凄みを含んだ一言で黙らせる。
場が読めない馬鹿でも、流石に理解はできたようだ。

「不服か?」

『いっ、いえ……命令に従います!サー!!』

「なら、よい」
私は一つ頷くと、全機に、

「――よし!ならば、全力で前進し、立ちはだかる敵は全て殲滅せよ!!」

と命令を下す!

『『うぉぉぉぉぉ!!!』』

戦士達は一斉に、野生の雄叫びを上げる!
闘争本能とも言うべき物を刺激された彼等は、
既に獲物を狩る残忍な狩人の瞳をしていることであろう

部隊は、私のジン・ハイマニューバを先頭とし、通称、魚鱗(ぎょりん)の隊形となった。

中心が前方に張り出し両翼が後退した形へと整えられ、
一辺が長く、二辺が短い二等辺三角形型とし、部隊はこの形へと変わるのだ。

これによって、多くの兵達は散らばらずに、その局部の戦闘へと参加し、
また一部隊が壊滅しても次の部隊がすぐに繰り出せるために消耗戦にも強いのである。

特に味方が、敵より少数兵力の場合正面突破に有効であるのだ。
精鋭は多いが兵数が不足する我が軍にとって、もっとも合った合理的な戦法であろう。

ただしこれは、背後からの攻撃に弱く、複数の敵に囲まれた状態の時には死地となるのだ。

ちなみに、これは『彼』の『ライブラリー』から借りて、官舎や艦内で読み耽った、
『東アジア共和国』の一部であり、かつての『サムライ島』の歴史上の人物である『シ○ゲ○・タ○ダ』と
呼ばれた偉大な『サムライ貴族』の史書小説を参考にしているのだった。

――『サムライ物語』に最近、完璧に嵌った自分であった。

ついでに、『ソン○』という大昔の『東アジア共和国』にあたる地域の
古典軍事書も同時に勧められたので、一気に読破していた。

これは、『彼』もこよなく愛読しており、大分前に、ギルバートに無理矢理に読ませていたところを、
私も丁度、そこに居合わせたのが、これを読む切っ掛けだった。
そして、私も一緒になって読んでみたのだ。これがまた興味深く、おもしろかったのだ。
――何だかんだ言いながらも、私達は全13章の全てを網羅してしまった。

結論として、

――幾百年、幾千年経て、生活の場が地球から宇宙へと移り変わっても、人の営みは何ら変わらない――

という事だった。

そして、私と言えば『ソン○』に繰り返し頷く部分が多々有り、
しかも、それらが現代戦闘へと応用できる事を発見したのだ。

そう、『モビルスーツ』と『ニュートロンジャマー』の登場は、時代を一気に古代観の戦争へと引き戻していった――
今は、特に『個人の武勇』がまたもや重要視される時代になった訳である。

簡単に言えば技量の高い『パイロット』が一人いるだけで、部隊の士気を大幅に上げる事が可能なのだ。
逆に、その『パイロット』が倒されれば、幾ら集団でいようが、部隊は衆愚となり、散華してしまう。

――パイロットとして有能であり、尚且つ、指揮官としても高い能力を持つ者こそが『戦場の覇者』となる時代が舞い戻って来たのだ。
そう、例えば、私や『彼』のように。

そして、この『○ンシ』をMSの戦略戦術に有効に活用した人間は、この世界の歴史上で、私が初めてである!と自負できる!
いずれ本まとめ上げて本として出版するつもりだ。
『MSと○○シ』というタイトルにでもしようか?

逆に、ギルバートの方はと言えば、私とは違い『ソン○』の特長である、その戦術運用方法よりも、
戦略全般の法則に心を動かされたようだ。

――特に、その全般的特徴でもある、3ヶ条を繰り返し彼は口ずさんでいた。

1)非好戦的であること……戦争を簡単に起こすことや、長期戦による国力消耗を戒める。
2)現実主義に立脚していること……緻密な観察眼に基づいて、戦争の様々な様相を区別し、それに対応した行動を行うこと。
3)戦争における主導性を重視すること……等

『元々、私は技術畑の人間なので、勧められた時に、これは所詮は『古書』じゃないか?と思い、
 馬鹿にしていたのだが……無理にでも読まされた甲斐はあったね』

『――これは戦略戦術の真理であると同時に、世の理(ことわり)の真理でもある。
 ――これ等の事を本質的に、理解出来ない輩が、何と世の中多い事か……』

ギルバートは、これを自分の生涯の訓戒とする事に決めたようだ。

私は正直言って、政治にはそれ程、興味は無い。
生粋の戦う側の人間だと思っているので、闘いが無くなってしまうのは困るかもしれないのだ。

それを話すと、彼等は笑って『当分、その心配はない』と太鼓判を押してくれるのだった……が。

「ゆくぞぉぉ!!」

『『オォォォォォォ!!!!』』

ハイマニューバを先頭にして、『ジン』達が一斉にメインバーニアを噴かす!
一気に加速すると、敵艦隊の本隊へと進路を向けるのだった。

加速を繰り返す、私のハイマニューバだが、全速で行けば部隊の連中を大きく引き離してしまう為に、
全力速度の4分の2程度のパワーに抑えねばならない。それは仕方がない事なのだが、

前方に光点が見えてきた、点滅するのは撃沈された艦影なのだろうか?
そして、遠くで巨大な火柱が上がっているもよく分かる。
私は思わず、ニヤリとする。もはや作戦の成功は疑い様の無い事だ。

――後は、『落ち武者狩り』の段階へと突入するであろう。
残敵を狩りつつ、『ガンダム』の邪魔をしない事に専念するとしようか……

そう思いつつ、正面モニターから目を離さずにいたら、こちらの加速によって、
彼方の光点が見る見るうちに輪郭がはっきりとしてくる。

ハイマニューバの右腕を正面を20度程、傾き上げて、JDP2-MMX22 試製27mm機甲突撃銃を撃つ!撃つ!

――ドドドドッ!ドドッ!

突撃銃の攻撃を正面から浴びたモビルアーマー『メビウス』は、瞬時に蜂の巣となった。
前方機体フレームが歪みながら、粉々に砕け散り、火の玉へと変化する。

それと、同時に後方でを縦列に並んでいた列機達から、M68 キャットゥス500mm無反動砲が放たれる。

――ドォォン!ッドゴォォ!

バズーカ型の砲身から放たれる軌跡は狙い誤らず、モビルアーマーの群れへと直撃する。
あっという間に3機が瓦礫の欠片となって四散していった。

戦法としては先陣の私が敵陣を斬り破り、そして後方からの援護射撃によって壊乱させるというオーソドックスな戦法である。

今まで、個人個人がバラバラに戦っていた為に、モビルスーツはその能力の半分も発揮できなかった。
モビルスーツの強みは、固定武装では無く、多くの多用する武装をその都度、使い分けが出来て、
集団での前衛と後衛の陣形を瞬時に構築出来る所に強みがあるのだ。

それに気が付かずに、個々で戦わせるなど阿呆の局地である。

――こうして私は、『MS運用戦術理論』の第一人者として、数多くある肩書きの内の一つが加わる事となる。
そして、後世の歴史にその輝かしい名を残す事となるのだ。

そうこうしている内にも、私が率いる部隊は、敵の中衛のモビルアーマー部隊の掃討戦へと移ろうとしていた。

――――ピキィン……!

と、またもや、脳裏を微弱な『プレッシャー』を感じた。
そう、先程の奇妙な感覚が、私を襲ってきたのだ。

その直後に、メビウス<ゼロ>が3機が、私の『感知範囲内』の中へと入ってきた。

――私は、舌なめずりをする。
ようこそ――歓迎してやろう。

「――出てこなければ、死なずにすんだものを……」

と、言葉のシリアスさとは裏腹に、何故か私はウキウキとしていたのだ。

――獲物は3匹か。即座に、瞬殺決定だな。

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