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機動武闘伝ガンダムSEED D_SEED D氏_第三話(後)

Last-modified: 2007-11-10 (土) 21:14:34

アジトに連行されたシンは、拷問部屋で上半身を裸にされ、両腕から天井に吊り下げられてしまった。
「おらぁ、吐け! 何が狙いだぁ!」
周りの盗賊が鞭を振るい、痛めつけてくる。呻き声を噛み殺し、シンは耐える。
鞭という武器は素肌には厳しい。確かに剣ほど骨への圧力はないし、刀ほど鋭利でもない。
だがその分、皮膚を引き剥ぎ痛めつけるのには充分すぎる威力を持つ。
昔の刑罰に鞭打ち百回というものがあったが、柔な人間であれば本当に死んでもおかしくないのだ。

幸いシンは、『柔な人間』とは程遠かった。
簡単に音を上げないシンに、嗜虐的な笑みを浮かべ、盗賊の一人が新たな命令を出す。
「おい、水だ!」
「へい!」
冷水が顔にぶちかけられる。
戸口に隠れて見ていた少女は、小さく、申し訳なさそうに俯いた。
「どうだ、ちったぁ話す気になったか?」
顔を突きつけ、下卑た声を上げる盗賊。シンは唾を吐きかけた。
「て、てめぇ…」
「お前らに用事はない…!」
激昂する盗賊よりも、シンの声の方が勝った。地獄の底から響いてくるような声。
優位にあるはずの盗賊たちが、思わず背筋を振るわせ、後退った。
そこに――

「もういいわ」
戸口の少女をかすめ、入ってきたのは、年若い女であった。
黒い髪を短く切り、この場にそぐわぬスーツを着ている。顔にあるのは、猫がネズミをいたぶるかのような傲慢さと嗜虐性。

「その人は私に用事があってきたんでしょう?」
「へい」
盗賊たちは、大人しく…あるいは幸いとばかりに身を引く。黒髪の女は、シンを見て、背筋が冷たくなるほどの笑みを浮かべた。
シンは直感する。
「お前が…ドラゴンガンダムのフレイ=アルスターか…!」
どこまでも暗い炎を赤い瞳に宿し、呻く。
「うん?」
女は、何か疑問に思ったのか、笑みを消す。
構わずにシンは吼えた。
「こんな盗賊に成り下がって、女子供も殺して…手下を使わなければ勝負も出来ず!
 少林寺だけじゃない、お前はナチュラルの…いや! 地上人の面汚しだ! サイやカズィが嘆くわけだぜ!」
「……何言ってるの、あなた」
「せめてガンダムファイトで勝負をつけたらどうだ!」
その一声に、女は少し驚いたようだった。だがすぐさま笑みを浮かべる。
「そう。あなたもガンダムを持っているのね? なら今すぐ…片をつけてあげるっ!」
宣言し、部下の鞭を受け取ると、思い切りシンを打ち始めた。

どれほどの時間、続いただろう――
「しぶといわね…。今日はこのくらいにしておくわ。連れて行きなさい」
『へいっ!』
そんなやりとりのすぐ後に、傷だらけのシンが戸口から担ぎ出されていく。
意識が朦朧としているのか、シンの目の焦点は合っていない。
「それで? あなたは彼の連れ?」
戸口から最後に出てきた黒髪の女が、冷たい目をして少女に問いかける。
少女は瞬時に憂いを消し、薄く笑った。
「彼はガンダムファイターで、私をここまで連れてきてくれた運転手です。私の手土産、とでも思っていただければ」
「ふうん…」
女は探るような視線を向ける。少女は薄笑いを浮かべたまま、まったく動じない。
「何が目的?」
「私は料理修行中の身なんです。ここの料理人にしていただけません?」
「うら若き乙女が盗賊団に入れば何をされるか…分かってるんでしょうね?」
「黒竜団のお噂は聞いています。このご時世、強い者に従うのが賢い道でしょう」
「へえ」
女が、そっと顎のラインをなでてくる。若干不快そうに顔をしかめたが、少女は抵抗しなかった。
「いいわよ。あなた綺麗な顔してるし。好きにしなさい」
「ありがとうございます」
少女の赤い髪が跳ねるのを、シンは夢の中のことのように見ていた。

気がつけば、シンは牢屋の中にいた。三面石造り、一面木の格子。
遠くからは盗賊の歓声が聞こえてくる。
『ははは、あの姉ちゃん、確かに料理は良い腕してるぜ!』
『それになかなかの上玉じゃねぇか。なあ?』
『一人じゃ寂しいだろうしなぁ…今夜励ましに行ってやるか?』
『そりゃいい! はっはっはははは!』
「あいつら…」
傷は痛むが、大分回復している。動けないわけじゃない。
身を起こすと、靴音が響いてきた。
「お兄さん、起きてる?」
顔を上げる。あの赤い髪の少女が、格子越しに料理を持ってきていた。
「…………」
ぷい、とそっぽを向く。
「そ、そんな露骨に毛嫌いしなくたっていいじゃない。こうして料理も持ってきたんだし」
「…………」
良いにおいが鼻と腹を刺激するが、シンにはこの少女が許せなかった。
あの夕日の中、コアスプレンダーで聞いた言葉は何だったと言うのか。
そんなシンを見て、少女は空気を紛らわせようと思ったか、にっこりと笑うと、
「ごめんね? でも、これは作戦なのよ、さ・く・せ・ん♪ ほら、アジトにすんなり入れたじゃない」
「…………」
効果なし。少女は笑顔を引きつらせ、乾いた笑い声を上げた。
「あはは… 怒ってる?」
反応はない。
「そりゃそうよね…。だから、私が嘘をついてないって証拠に…牢屋の鍵、開けちゃう」
軽薄な調子は信用できなかったが、少女は料理の皿を地面に置くと、本当に牢屋の鍵を外した。
がちゃり、と小さな音を立て、扉が開かれる。
「スプレンダーは正門脇の倉庫の中よ。後は自由にして、お兄さん」
シンは驚いたように少女を見た。少女は相変わらず、にっこり笑っている。
信用して良いのだろうか?
しかし、ここで牢屋に篭っていても、どうにもならない。
(出られるなら出るか…)
問題が起こったら、起こったときのことである。
そっとシンは扉をくぐり、牢屋から出た。
「うっふふふ…」
「?」
訝しげに少女を見る。すると――

「脱走よぉーッ!!」
あろうことか、少女は大声を上げながら、走り去っていく!
「な、何て奴だあのアマ!」
追いかけるが、追いつかない。足が速すぎる。
「くそ、何者だアイツ…ん?」
ふと目に入ってきたのは牢番をしていたはずの盗賊だ。頭にたんこぶを作り、気絶して壁によりかかっている。
「アイツがやったのか!?」
しかし考えている暇はない。何よりさっさとコアスプレンダーを取り戻さなくては。
シンは少女の追跡を諦め、教えられた倉庫へと駆け出した。
その情報すら嘘ではないかとは思わなかった。基本的に人を疑う性格ではないのだ。単純とも言う。

脱走の知らせに、砦は一気に騒ぎになった。
「逃げたわ! あいつが逃げた〜っ!」
赤い髪の少女が、叫びながら走っていく。
「シン=アスカが逃げ出したわよぉっ!!」
料理にがっついていた盗賊、寝こけていた盗賊、カードに夢中になっていた盗賊……
全員が全員驚き、慌てて走り出す。
それはあの頭目、黒髪の女も同じだ。
「腐ってもファイターということ…!? 彼にスプレンダーを渡さないで!」
命令を出し、自身はドラゴンガンダムへ向かう。
だが、そこには先客が待ち構えていた。誰あろう、あの赤い髪の少女だ。
「何をしているの! 料理人であろうと、黒竜団の一員なら、シン=アスカを…」
「誰がアンタ達の一員ですって?」
冷たく言い放ち、少女は地を蹴った。ばねを使い、体をかがめ、右で不意を突かれた女の腹を抉る。
女の足が宙に浮いた。小さく声にならない声を吐き出す。そのまま、女は力なく、仰向けに崩れ落ちた。
「あ…あなた…」
「まだ意識があるのね。意外にしぶといじゃない、黒竜団頭目・マティス」
女が残る力を振り絞って顔を起こし、少女の顔を見る。少女はあの薄笑いではなく、真剣な怒りを浮かべていた。
女――マティスは思い知る。この少女はただの料理人でもなければ、部下の慰み者でもない、と。
「ガンダムファイト国際条約第四条。
 『ファイターは己のガンダムを責任持って守り抜くこと』。
 私のガンダムを随分といいように使ってくれたじゃない? たかが盗賊風情が!」
少女がとどめの拳を額に入れる。マティスは完全に気絶した。
「この私を部下の玩具にさせようなんて。分不相応もいいところよ」
少女は吐き捨て、ついに取り戻した己のガンダムへと向かっていった。

一方、シンは向かってくる盗賊を薙ぎ倒しながら、ようやくスプレンダーへと辿り着いていた。
あの鎖分銅が厄介かと思っていたが、統率も取れていない連中では話にならなかった。
混乱があっては実力が出せないという好例であろう。
シンはコアスプレンダーのキーを確認し、プログラムを再起動させる。これで主導権はシンに戻った。
「後はフレイ=アルスターを探して…!」
『その必要はないわ、お兄さん!』
あの少女の声が響く。それと同時に、重低音と地面の振動。
顔を上げれば、ドラゴンガンダムが動き出していた。先程の声はドラゴンガンダムから聞こえたのだ。
「な…どういうことだ!?」
『やっと私も自分のガンダムを取り戻せたってこと!』
「自分のガンダム…それじゃあ君が!」
『その、通りっ!』
ドラゴンガンダムが跳躍し、宙返りをして荒地に着地。ぴっ、と構えを取る。
『私が本物のフレイ=アルスターよ! あの女はマティスっていう、ただの盗賊の頭目!』
美貌の少女、フレイ=アルスターは高らかに宣言した。

村を襲っていたときのあの鈍重な動きとは比べ物にならない。確かに、こんな生き生きとした動きは
ガンダムファイターでなければ出来ないだろう。しかしあの絶世とも言える美貌が、ナチュラルのものであるとは……。

いや、そもそも。

「なんでそんなことになったんだよ!? ガンダムファイト国際条約第四条はどうした!?」
『事故よ! 私とガンダムが別々の場所に落ちちゃったの! 急いで取りに行ったけど、
 もうそのときはマティスに拾われてて、利用されて』
「それで今度は俺を利用したってワケか」
『ごめんね? でも、嬉しかったのは本当よ』
「フッ…」
シンは思わず笑みを浮かべた。
腹が立つのは確かだが、あの非道を行ったのが地上の期待を背負ったガンダムファイターではないというのは、純粋に嬉しかった。
それに、あの夕日の会話も……。
「借りは全部ファイトで返してやるさ! 嫌とは言わないだろうな!?」
『当然! さあ、始めましょ!』
凛とした声。
シンは笑顔で右手を高々と掲げる。そう、やはりファイトはこうでなくてはいけない!
「出ろぉぉぉっ! ガンダァァァムッ!!」
パチィィィン!
小気味いい指の音が響くと同時、コアスプレンダーが空へと舞い上がり、
どこからともなく現れた二機の飛行物体と高速変形合体!
白い巨人、インパルスガンダムが荒地に降り立った!

「ファイトの前に一つ聞きたい」
『何?』
「君、自分がコーディネイターみたいなことを言ってなかったか?」
『あれは一般論! 誰も私を見てナチュラルだと思わないんだもの。ちょっとくらい引っ掛けたくなるじゃない』
「……君って人は!」
シンは半ば呆れた。どうやら、この性格は素のものらしい。道のど真ん中で寝ていたのも、
自分に拾わせるためではなく、ただ単に眠かったからなのではないだろうか。
思えば、例え彼女がサイやカズィと繋がっていたとしても、自分が地上の道を通ることは予測できない。
(少林寺のお嬢様、か)
苦笑する。さぞかしサイやカズィも苦労していることだろう。

「行くわよ、シン=アスカ! ガンダムファイトォォ!」
「レディ……」
『ゴォォォ――――ッ!!』
インパルスが突進する。ドラゴンもまた。

シンが拳を繰り出す。動き一つで避け、ドラゴンが脇を駆け抜けざまに蹴りを放つ。
それを素早くガードし、後ろに飛ぶインパルス。追いすがるドラゴン。
拳と拳の連打がぶつかる。
「やるな、フレイ! ナチュラルとはいえっ、これならっ! 少林寺再興を託されるのも分かる!」
「ナチュラルの意地ってものが、あるのよっ! いくら世話になったお兄さんでもっ! 容赦しないわよ!」
「望む…ところだぁっ!」
力をこめ、ドラゴンガンダムの拳を弾き返す。そのまま下がったドラゴンの腕が、伸びた。
「何っ!?」
右腕が伸びる、伸びる、伸びる。一体ドラゴンガンダムの細身のどこに、こんなリーチが内蔵されているというのか。
竜を模したドラゴンガンダムの右手の牙が、インパルスの首を狙う!
シンは咄嗟に下からドラゴンの右腕を突き上げた。竜の牙はインパルスに届くことなく、戻っていく。
右腕を追ってドラゴンガンダム本体に目を戻せば、左手に数本の棒を握っている。
嫌な感じがした。
「右腕は陽動か!?」
シンが気付いたときはもう遅い。
「回りなさい、フェイロン・フラッグ!」
左手の棒を地に突き立てる。棒が地を走り、インパルスを取り囲み、一斉にビームフラッグを展開した!

たかが目くらまし、と侮るなかれ。
旗に自分の身を隠し、太刀筋を見えなくさせ、防御を難しくさせる。また、旗の中のどこに自分がいるかも隠せる。
相手が偽の旗を突き破ってくれば、別の旗で待ち構えておいて横から突き刺せる。
囲まれた側にすれば、もちろん旗の下を見れば敵の足元が見える。だが下ばかり見ていては、相手の攻撃に無防備になる。
それに戦闘中には、つい目の前に――同じ視点の光景に反応してしまうのだ。旗の揺らぎは、
一瞬の動きに対応しなければいけない戦士にとって厄介な代物である。
対人戦、それも一対一では、旗は効果的な戦法なのだ。

アカデミーで習った知識を思い出し、シンは舌打ちした。
「一対一の一騎打ちで効果的…だったらガンダムファイトに使わない手はないってことか!」
虚の中に実あり、ただし虚がいくつあるかは分からない。現実に、こんな数本のビームフラッグでこの己が撹乱されている。
その上フレイが素早いのだ。あの足の速さは気のせいではなかった。
そこかと思えば残像、そちらと思えば虚しく旗を凪ぐ。
(こっちよ…こっち…)
嘲るような少女の声が聞こえてくるような気がした。あの薄笑いが目に浮かぶ。
このままでは埒が明かない。シンは動きを止め、目を閉じる。
今だけは、心に盛る炎も鎮めてしまいたい。
周囲は無音…闇の中でシンは、静かに…ただ静かにと念じる。
光が閃く。

――あはははははっ! 観念しなさいっ!

攻撃的な意志が、実際の打撃よりも早くシンを打つ!
「そこかぁぁぁっ!」
かっと目を見開き、シンは右手を光らせ、頭上へと繰り出した!
ドラゴンの顔を、輝く右手、パルマフィオキーナが鷲掴みにする!
「う…嘘ぉっ!?」
驚くフレイ。
ドラゴンガンダムはフェイロンフラッグの一本をビームサーベルのようにして、急降下攻撃をかけていたのだ。
腕を引き、力を込めて確実に仕留めようとしていたのが仇になった。
先にインパルスの右手、パルマフィオキーナの方が、ドラゴンに届いたのだ。
そのままシンはスラスターを吹かせ、ドラゴンガンダムを岩場に叩きつけた。

「虚の中にいようと、実際に攻撃しようとすれば実にならざるを得ない… 旗の撹乱は、受身には弱いっ!」
シンが勝ち誇ったように叫ぶ。敵の策を破ったことで気分が高揚しているのだ。
「四年後は飛び道具を用意してくるんだな! 少林寺の誇りがそれを許すなら、だが!」
「く…!」
「とどめだ! フレイ=アルスター!」
シンは右手に力を込め――

『待たれよ!』

一度聞いたら忘れられない、あのユニゾンが響き渡る。
目だけでそちらを見れば、サイとカズィとルナマリアが来ていた。
「その勝負、引き分けとしなされ、シン=アスカ!」
「でなければ、お手前の首も落ちることになりますぞ!」
「何っ!?」
一気に冷水を浴びせられた気がした。気がつけば、ドラゴンガンダムの辮髪がインパルスの首にからみついている。
ただの飾りかと思っていたが…!
『辮髪剣って言ってね…これでも首を切り落とすくらい出来るわよ』
「フレイ…!」
送られてきた通信画面の向こうで、フレイは不敵な笑みを浮かべていた。
『お互い、これで手打ちってことにしない? お兄さん』
「……フッ」
シンは右手の光を消した。
『言い出して何だけど、その光を消した途端に、私が首をはねるとは思わないの?』
「そんな戦いで勝って、少林寺に顔向けできるか? 清々しい相手は、卑怯を嫌うもんさ」
銀髪のおかっぱ頭を思い出し、シンは笑う。
『……お見通しってわけね』
フレイも苦笑し、辮髪剣を解いた。

「よかった…もう、フレイに会ったら真っ先に殺しちゃうんじゃないかって心配したんだから」
「お前は俺をどういう風に見てるんだ!」
「狂犬」
「…………」
ルナマリアにきっぱりと言い切られ、シンは頭を抱えた。
「そう? お兄さんは優しい人よ」
「まあ年下の女の子限定で優しいのは確かね」
「だからお前は俺をどういう風に…!」
『盗賊どもは地元の警護団に任せましたでなぁっ!』
いきなり耳元でユニゾンが響く。
見れば会話に入れない二人が、並んで顔を突きつけてきていた。
「わ、分かったよ! 置いてけぼりにしちまって悪かったな」
サイとカズィは、仲良く一つ咳払いをすると、今度はいきなり土下座をした。
『シン=アスカ殿! この度は様々お世話になり申したっ!』
「あ、はあ…」
『二度とこのようなことの無きよう、我ら二人、このフレイ=アルスターにつき、
 少林寺の跡取りとして相応しいものになるよう、みっちりと修行をさせますので』
「はぁ!? ちょっと待ってよ、聞いてないわよそんなの!」
フレイが声を上げると、サイとカズィは、厳しい目をしてフレイを睨んだ。
「な…何?」
『情けなくないのかよ、君は!』
シンもルナマリアも驚いた。ユニゾンは同じだが、今まで時代がかった台詞回しだったのに!
「ガンダムを盗賊に取られて、いいように使われたんだぞ!?」
「そうそう、村の人たちひどい目にあってたんだ」
『油断してたらこうなるって分かっただろ!』
「そ、そりゃあ…そうだけど」
「お嬢様にはおつきがいるって昔から決まってるんだ。僕はついていくよ」
「ぼ、僕も、仮にも少林寺の男だし!」
『君に拒否権はないからね!』
「何よ、サイとカズィのくせに生意気言うんじゃ」
『君に拒否権はないからねっ!!』
「……はい」
畳み掛けられ、露骨に落ち込むフレイ。
それを見たシンとルナマリア、
「……何だか遊びを覚えた女の子と、その保護者みたいね」
「そうなのか?」
『というわけでしてっ!』
サイとカズィが向き直る。
「我らここにて失礼仕る、しかしながら」
「またいずこの地にか、巡り会うこともございましょう」
『いざ、さらば!』

「あの人たちも、関係なかったのね…」
ネオチャイナ一行の背中を見送りながら、ルナマリアは呟く。
「…………」
「シン?」
「いや、なんでもない。次の国に行くぞ」

   『恋人だったの。昔。一時期だけね』

フレイの言葉を記憶の隅に押し込め、シンは歩き出した。

次回予告!
ドモン「みんな、待たせたなっ!
    華麗なるガンダムファイター、レイ=ザ=バレルに戦いを挑むため、
    彼が慕うネオフランス議長をさらってしまうシン!
    怒ったレイは、ガンダムローズで颯爽と出陣!
    パリの街を舞台に、騎士道と武士道が激しくぶつかり合う!
    次回! 機動武闘伝ガンダムSEED DESTINY!
    『いざ勝負! 真紅の薔薇の貴公子』にぃ!
    レディィ… ゴォォォ――――ッ!」

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その頃のミネルバブリッジ

ナタル『(ピピッ)こちらドミニオン。ミネルバ、グラディス艦長、次の撮影日を…
    って何故誰もいないんです!?』

ナタルの声に応えるように、歓声が響いてくる。
上映会も終盤。格納庫では第四話の幕が上がっている――