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鬼ジュール_オムニバス-07

Last-modified: 2007-11-11 (日) 21:14:36

1

今日も水飲んだら寝るかな。

そう思ってシンが廊下に出た所で、ネグリジェを着たミーアが廊下で倒れているのを発見した。

「ミーア!?」

紐で吊ったネグリジェから胸の谷間見えてる!

・じゃなくて。

シンが慌てて駆け寄ると、ミーアはのろのろとシンに手を伸ばした。
その手を取り、何があったのかと顔を覗き込むと、顔が異様に赤い。

「どうした!?」
「ふぇ・・・・。のぼせた・・・ぁ・・・・」

焦点の定まらない瞳がうっすらと開いてそれだけ言ってまた辛そうに目を閉じる。
廊下に倒れていたのは少しでも上がった熱を下げようとした為らしい。
体調を崩した訳ではなかったのかと取り敢えず安堵して、しかしこんな所で寝ていたら風邪を引く。
此処は一つ抱きかかえて・・・と、格好いい事を考えてみたのだが、床に力を無くした体を抱き上げるのは容易ではない。
第一まだ15歳になったばかりのシンの体に、自分よりも身長の高い力の抜け切った女の子を抱えるだけの筋力はまだ付いておらず、仕方なくシンはミーアの脇の下に腕を潜らせて居間まで引き摺って行った。
ちょっと格好悪いと自分でも思うのだが、そんな事で凹んでいる暇は無く、上半身をソファの上に乗せると次に下半身をソファの上に上げ、スリッパは脱がした。
これでやっと息を付き、シンはずり上がったミーアのネグリジェを下に引っ張って整えた。

チョット下着見エタ。

つくづく年頃の男の子には刺激の強過ぎるエロい体である。
第一今日のネグリジェは短い。膝上だというのは元より、太腿など半分位見えている。
胸元も大きく開いていて・・・。
しつこいように思うが、寝る時にこれ位大胆な服着るなら日常着る服だってもうちょっと・・・。
いやいや、日常着る服も大胆になってしまっては下心しかない他の男に狙われるかもしれないのでそれは良くない。
自分だけが見るならまだしも。
ソファの目の前のテーブルに行儀悪く腰掛け、ミーアを見る。
こういう時は仰いだ方がいいのだろうか?
氷を額に乗せるのは風邪を引いた時か?
段々訳が分からなくなり、取り敢えずミーアの肩からずり落ちたネグリジェの紐は肩に掛ける。
照明の点いた所で見て漸く気付いたのだが、のぼせたというだけあって顔も肩も胸元も、足も真っ赤である。
一体何をしていたらこんなに真っ赤になるまで風呂に入っていられるのだろうかと思うのだが、こういう時のミーアの理由は大抵仕様もない事なのでとにかく何か扇ぐ物を探しに行こうかと考える。
自分の部屋のノートがあったか。
そう思って立ち上がろうとした時、何だか甘い匂いがした。
ミーアから?と、思いミーアの体に鼻を寄せるとやはりそのようだ。
ミーアとシンは同じシャンプーやらボディソープを使っているので、自分も似たような匂いがするのだろうかと自分の腕にも鼻を寄せてみたがなんだか少し違うように思う。
こう・・・・とにかく甘いのだ。
花の匂いというよりもお菓子の匂いに近いそれに、シンはこの匂いの正体はなんだろうともう一度ミーアの体に鼻を寄せる。
ただ鼻を寄せただけでは良く分からなくて、一番匂い立つ肩口に鼻を寄せてすんすんと鼻を鳴らすと、ミーアが「ふぁ・・・」と、声を上げた。
その声も甘くてシンはその瞬間顔をばっと上げた。

何だか、変だ。
ミーアの声が凄く、可愛い。
もっとその声が聞きたくて今度はミーアの黒髪に鼻を寄せるが、特に反応はなく、シンが惹かれたいい匂いもしなかった。
やはり首筋でなければならないのだろうかと再び鼻を肩口から首筋に寄せるとミーアが再び鳴いた。

ちょっと面白い。

再びミーアの肩口に鼻を寄せ、今度は顎の所を鼻先で突付くとミーアは逃れるように身を捩る。

「シ・・・ン?」
「何?」
「くすぐっ・・・たぁい」
「ん、何かミーアいい匂いするから。風呂で何か食べた?」
「食べない・・・よぉっ。・・ねぇ、おみず・・・・」

水が欲しいと懇願する声に、シンは直ぐに応えようとして一度は顔を上げたが、直ぐにミーアを見下ろした。
こういう表現は適切ではないと思うのだが、ミーアが、食べたい。
甘い匂いの美味しそうな姿を手に入れて、閉じ込めたくて、味わいたい。

「キス、させてくれたら持ってくる」

言ってる自分の顔も熱くなる。
きっと今ならミーアと同じ位顔が赤くなっていると思う。
ミーアはよく分からないとばかりに一度眉を寄せ、「ん・・・?」と、目を開けようとして。
目を開けられるよりも前に、それが了承の言葉だと取ったシンがミーアに口付けた。
キスの方法なんて初めてだから良くわからなくて。
テレビを見ていると押し付けているように見えるが、それも少し違うような気がする。
だからこそシンはミーアの唇の柔らかさが分かるような、触れるだけの優しいキスをした。

ミーアが目を開けた時にはシンは台所に向かっていた為、ミーアはシンの姿を捕らえる事が出来ず。

「シン・・・・?」

今、何か触れたような気がするのは気のせいだろうかと、ミーアはのろのろと自分の唇に触れたが、結局分からずもう一度目を閉じた。

<終>

先日のぼせたミーアからいい匂いがすると発見したシンは、よくミーアに鼻を近付けるようになった。
ミーアはのぼせた間の事は殆ど記憶になく、シンがミーアの匂いを嗅ぐようになった事をただ不思議に思っていた。
最初は「やめなさい」と、お姉さんらしく注意していたのだが、「いい匂いがするから」と言われてしまうとちょっと悪い気はしない。
結局は「犬が鼻を寄せてくるのと一緒かな?」と、相変わらず不思議な解釈をしたミーアはシンの行為を放って置く事にした。
時々本当に犬のように「よしよしよしよし」と、シンの頭を撫でて鼻をくっつけると、シンがそれを狙って唇を突き出してくる。
ミーアはそれを上手に引いて避けると「本当の犬みたい」と、けたけたと笑う。
全く持ってシンを犬扱いしているミーアにシンは安堵するものの、正直男としては微妙だ。
必要以上に警戒されるよりは随分とましだが。

「でも匂いとかする?」

自分では分からない匂いに、ミーアは肩に鼻をくっつけたり腕に鼻を当てたりする。
しかし風呂から上がったばかりであればともかく、もう昼間であればそれも分からない。
全然匂いとかしないなぁと首を傾げるミーアに、シンはやはり肩口に鼻を寄せると確認する。
「する。花みたいというよりお菓子みたいな甘くていい匂い。美味そう」
「たっ!食べられないからね!」
「食えそうだよ?」
逃げられないようにミーアの腰を抱き寄せ、ソファの上でミーアの肩口をぺろんっと舐めると、ミーアが「ひゃぁっ・・ん!」と、小さく叫んで飛び退るとソファの上に倒れた。
「弱点?」
「弱点。だから禁止っ」
自分の声に驚き、真っ赤になったミーアの体を挟んで見下ろすような格好になった事でシンも胸が高鳴る。

襲ってるみたいだ。

そんな風に考えれば一気に脳内が痺れて来てくらくらする。
これ以上触れてみたくてミーアに「俺も匂いする?」と、尋ねると、ミーアはそのままの状態で首を傾げると、シンの肩に手を回して引き寄せるとシンの肩口に鼻を寄せた。
思いっきり合意を得たような気分になるシンは再び自分もミーアの肩口に鼻を寄せ、再び舐め上げる。
今度は先程のように舌先でくすぐる程度ではなく、ねっとりと、沢山。

「やぁっ・・・こら、シン!禁止だってばぁっ!あたしが分かんないでしょ!」
「いいよ、分かんなくて。俺が分かればいいから」

自分で引き寄せた肩を今度は押すが、引き寄せた時には簡単に寄って来た肩は、押してもびくともしない。
体格差は殆ど無いと思っていたのだがそれはミーアの勝手な思い込みで。
シンも男であればミーアよりかは力はある。
しかし全く恐怖を感じないのは相手がシンだからか、それともミーアの警戒心が底なしに薄いのか。

「こらー。あたしは食べ物じゃないんだからね!」
「美味そうだから」
「食べれません!」
「食えるよ」

言葉の間にもミーアはシンの舌で身を捩り、体を跳ね上げ声を震わせる。
その度に匂い立つミーアだけの匂いにシンは目の前がちかちかと視界まで狂ってしまう。
逃さないように彼女の体に自分の体を押し付けるようにして体重を掛けると、ミーアは更に声を上げた。
ミーアに触れたくて仕方なくて。
腰を固定するように掴むと、その細さにシンは眩暈すらする。

ミーアの体の細さなどもう十分に知っていると思っていたのに。
いつもと状況の違う中で触れるミーアの細さに熱が全身を巡る。

欲しくて。もっと、欲しくて。
首筋を舐めるだけでは収まらなくなったシンが、ミーアに口付けようとしたその時・・・・。

「これ以上やったら今日はご飯一緒に食べないんだからね!」

シンの舌と手に顔を真っ赤にして涙さえ浮かべていたミーアが叫んだ。

は!?
ご飯と比べられるような内容か!?

と、シンは呆気に取られたのだが、見下ろしたミーアはかなり本気のようである。
なのでシンも真剣に、今ミーアに手を出してしまうか、今日のご飯を別々に摂るかを考えてみる。

手を出す→自分も初めてなので失敗する可能性大→それに幻滅される(かも?)→自分もそれなりに傷付いた上にご飯は一人。→その後ちょっと気まずい。
手を出さない→ミーアに謝る。上手くいけば誤魔化せる?→手は出さなくてももうちょっと甘える位なら出来そう(ミーアだから)→ご飯は一緒。→通常通り。

目の前に美味しそうな体がある。
美味しそうな匂いがして、涙で潤んだ蒼い瞳に少し息が上がって開いた唇がある。

本当に本当に美味そうなんだけど・・・・!

シンは眉間に皺を寄せて瞼をぎゅっと閉じると手をきつく握り締めてからミーアの上に全体重を乗せた。

「シン〜〜〜?」
「・・・・しない。一緒に飯食う」

拷問だ。
拷問だ。
拷問だ。
ミーアの馬鹿。
ミーアの阿呆。
ミーアの鈍感。
ミーアの・・・・・・・・・・・・・・・いや、俺の意気地無し。

「シン?」
「俺、いっつもミーアのお願いばっかり聞いてる気がするんですケドー?」

ミーアは数少ない俺のお願いを聞いてくれてないばかりなんだけど。

二人で寝るには狭いソファに二人で寝ている。
いつまでもミーアを下に敷くのは可哀想なので体勢を変えて自分の体の上にミーアを乗せる。
ただ、こうすると直ぐに逃げられそうなので腰にはしっかりと手を回すと、自分の体重を掛けるのは嫌なのか、ソファに手を着いてシンを見下ろすミーアが困った顔を見せた。

「えっと、それじゃあ今日はシンの大好物ばっかり作ろう!ね?」

ソンナモノヨリ俺ハミーアガ食ベタイデス。

と言ってはまた警戒されるかもしれないのでぐっと我慢して。
自分の頑張りに涙すら出そうだとシンは深く溜息を吐いて目を閉じた。

いや、彼氏でも無いのに手を出そうとしてる時点で怒られて当然か。

・・・・・・・ミーアの事好きなのかな?俺。

地球の友人に言えば「遅い!」と、馬鹿にされそうだったが、この時になってやっとシンはミーアに対しての想いがどんなものであるのか考え始めた。

<終>

2

なんだかシンがおかしい。

元々淋しがりな所があるのを隠している所があったが、それとも少し違った感じで落ち込んでいる。
朝ご飯はいつもシンが作っているところを頑張って朝起きて作って上げても・・・反応が薄い。
目が合ったかと思えば直ぐにむすっとして目を逸らす。
それなのにずっと傍には居て、くっついて来て、買い物も相変わらず一緒にするし毎日のようにバイト先までお迎えに来る。
嫌われた訳ではなさそうなのだが、突然余所余所しくなった理由が分からない。
ミーアは今も食器を洗っているというのに腰を抱いてくっついているシンの様子に困惑気味に眉を寄せた。

「シン。濡れちゃうよ?」
「いい」

あんまり良い状態ではないシンの思いつめた様子にミーアは溜息を吐いて荒い物の途中だが水を止めた。
「ミーア?」
シンもそれに気付いて声を掛けると、ミーアは自分を抱いているシンの手を取って居間に向かった。
「ちょっと座ってて」
と、ソファに腰掛けさせて自室に戻ると真っ白で大きなウサギのぬいぐるみを持ってくる。
それをシンに渡すと「洗い物終わるまでそれ抱き締めててね!」と、台所に戻って行く。
シンはそのウサギを一度は抱き締めて感触を味わったが、直ぐにウサギを隣に置いて台所に向かい、ミーアの体を抱き締める。

「んもう〜〜〜!!」

いい加減片付かないとミーアは困ったように声を上げ、背後のシンを振り返る。
「終わんないでしょ!」
「待ってる」
「だから、終わんないんだってばぁ!」
「・・・じゃあ、頬にキスしてくれたら居間で待ってる」

最近、こういうおねだりも増えて来たような気がする。
本当にシンはどうしちゃったんだろう?

出会った頃からは考えられないようなシンの姿に、ミーアはどきどきと胸を大きく跳ね上げて頬を染めた。
ミーアは弱い物やら、小さい物やら、可愛い物に弱かった。
そんなミーアには今のシンは弱くて可愛い物と認識されて目に映る。

正直とっても可愛い。

ミーアは洗い物用のゴム手袋を外すとシンの腕の中で体を反転させて「目、閉じて」と、頬を染めて上目遣いに言う。
それに対してシンは「ヤダ」と、短く返すので、ミーアは諦めてふっと掠めるようなキスをした。
頬にキス位であればちょっとした挨拶のようなものだ。
しかし幼い頃から家族の居なかったミーアにはこの行為は少し恥ずかしい物だから、ミーアは唇を離した後シンの顔を見る事が出来ずに再び反転して洗い物を再開しようとする。
シンは慣れない手つきでそんなミーアの髪を分けて首筋に口付けると約束通り居間に戻った。
不意に触れたシンの唇の感触に力が抜けてしまったミーアは、俯いて真っ赤になった顔を隠して必死に腰に力を入れた。

最近のシンってちょっとえっちかも・・・・・。

まさか自分に好意を寄せているとは思わず、ミーアは「シンが可愛いからどきどきしちゃうのかなぁ?」と、シンの行為に動揺する自分がえっちなのかもしれないと、気を引き締める為にぺちぺちと頬を軽く叩いた。
洗い物が終わると、シンは居間のソファの上に座ってウサギのぬいぐるみを抱き締めていたが、ミーアの姿が見えるとぬいぐるみは目の前のテーブルに置いてミーアの腕を取って引き寄せた。
ミーアも引き寄せられるままに隣に腰掛けると、シンがミーアを押し倒してその上に乗ってきた。
以前は恥ずかしくて仕方なかった行為も慣れとは恐ろしい物で、そうされるのが当然だと思い始めていた。
自然とミーアの手がシンの背に回る。
そうすると、安心したようにシンがふっと息を吐いてミーアに体重を掛けて来るのだ。
そんな様子を見せられてはミーアも不安になってシンの背に回した手でシンを強く抱き締めた。
シンにとっては大した圧迫感ではなかったが、ミーアから抱き締めてくれる機会は少ない。
どうしたのだろうかとシンが僅かに顔を上げるとミーアの方からシンの顔を覗き込んで来た。

「最近のシン、変だよ?」
「別に・・・」
「何かあったの?話してご覧なさいよ」
「何でもない」
「何でも無いじゃないでしょ?辛い事思い出したんなら溜め込んでても仕方ないし。不安があっても隠しててもいい事ないよ?」

シンの辛いの全部あたしが食べちゃうから。

人懐っこくて温かいミーアの微笑みにシンはくにゃりと顔を歪めて改めてミーアを抱き締めた。
シンにはこの微笑みが自分に向けられている事が嬉しい。
馬鹿みたいにお人好しで、自分だって家族が居なくて沢山苦労して来ていたというのにそんな姿は決してシンには見せなくて。
バイト先で嫌な事があってもそんなのをシンに零した事も一度もない。
シンがたまたま聞いて知っていても、だ。
それでもシンの前では「今日も大好きな歌でお仕事出来ました♪感謝感謝だね♪明日も頑張らなくちゃ!」と、笑うのだ。
そんなミーアに自分の弱い部分を見せるのは正直好きじゃない。
ミーアだってそんな姿シンには見せないのに、自分だけ見せるのは、嫌だ。

ただ願う。

「ミーアはずっとこの家に居る?」
「ん?・・・・・うん。引っ越す予定は無いよ。お仕事あるし」
「俺、アカデミー入ってもこの家から出て行かないから」
「でもアカデミーって寮でしょう?住んでないのに家賃払うの勿体無くない?」
「そんなのはいい。アカデミー入れたら給料出るし。家賃位痛くない」
「シンがいいならいいけど・・・」

相変わらず鈍感なミーアの惚けた返事にシンは「そうじゃなくて」と、眉を寄せて一度唇を噛む。

「だからっ。ミーアがもし引越しするって言うなら俺も付いて行く」
「はいっ!?」

この一言には鈍感なミーアと言えどその意味を察する。

こ、告白!?

突然の出来事にミーアは自分でも自覚のある小さな目を精一杯見開いて硬直する。
見上げたシンは可愛いと思う。
年下だが、一つしか違わないし将来はとても格好よくなるだろうなと今でも十分伺える。
そんな将来有望株のシンが、何故自分に!?と思うと直ぐに「それは他の女の子を見てる時間が今は無いから?」と、結論付いてしまう。
ミーアもこの16年近く生きてはいるが、男の子から告白された事など一度もない。
いつも自分から告白して、それも玉砕している身としてはシンに「本気ですか?」と、聞きたくなる。
これをチャンスと思わず「考え直したら?」と思ってしまうのはミーアの生真面目な所なのか、間が抜けている所なのか。
喉の奥が一気に干上がり、何を言っていいのかわからないミーアは真剣に自分を見下ろすシンの深紅の瞳に心臓が締め付けられるような苦しさを感じる。
「冗談ばっかり」とか「嬉しいなぁ、ありがとう」と、冗談めかして言えるような雰囲気ではない。
ただうろたえているミーアの様子にシンは一度目を閉じてから再び体重をかけるようにして抱き締めた。

「ミーアの馬鹿」
「はいっ!?な、何よぉ!」
「嫌ならさっさと言えよな!」
「嫌じゃないんだけど!」

怒ったシンの叫びについ反射的にミーアも答えて「良かったの!?」と、内心で確認してしまう。
シンもまたミーアの返事に少し、照れる。・・・・嬉しい。
体を起こしてミーアを見下ろすと、真っ赤になった彼女はシンとは目を合わせないようにそっぽを向こうとするので、その顔を両手で挟んで自分の方に向ける。
首まで真っ赤に染まったミーアの動揺した姿が酷く扇情的で、可愛い。

「一緒に居るのはミーアがいい」

縋るように言うシンの姿がまるで家族を求めているようで、ミーアはシンの告白は、きっと家族の居ない寂しさからの物だろうと判断する。

シンにとっては告白だったのだが。

一人勝手に勘違いしちゃって恥ずかしいなぁ、あたし。

ミーアは自分の勘違い(では無かったのだが)に一人恥ずかしそうに照れると、シンの頭をぐりぐりと強く撫でた。
「いいよ。シンのお家はあたしがちゃんと守ってるから。帰ってくる所は此処だよ」
にっこりと軽快に笑うミーアの姿に、それまで良かった雰囲気が一転した事にシンも気付いた。

え?ちょ・・・今雰囲気良くなかった?
もう少しでキスとか出来そうじゃなかった!?

「じゃああたしはシンのお姉ちゃんかな!」

シンの焦りとは別にミーアは一人納得して「いつも通り」に戻って行っている。
告白も何だか別の方向に取られたようだし・・・・・。
シンは深い溜息と共に全体重をミーアに掛けた。

「シン!重いよぉっ!」
「・・・・・・お休み」
「シン〜〜〜!?」

わざと寝息を立てて。
ミーアの甘い匂いに鼻を寄せて抱き締めて寝た振りをする。
ちょうど自分の胸に当たるミーアの胸が思いっきり潰れているのが分かる。
でも、今は不貞腐れているから知るもんかと、シンはそのままがっちりミーアを抱き締めたまま本当に眠りについた。

<終>

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