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紅い死霊秘法_01

Last-modified: 2013-12-22 (日) 20:13:45

■ゲームキーパーへの情報





 シナリオ『血の怪異』に異常発生。

 紅の少女、ヒーローに敗北。

 紅の少女に4割の損傷を確認。

 紅の少女、管轄外ステージへの逃走…………成功。

 紅の少女は担当外の遊戯盤へ漂着。

 ヒーローに接触しますか?



 Yes or No



 ──────Yes



 世界の間、鏡と鏡の隙間、虚無の裏側、大いなる流れの中でゲームキーパーはヒーローに語りかけた。



「壮健そうで何よりだ、大十字九朔」



 実体化もままならぬ中、これまでと違う場所で突如語りかける聲に驚く九朔。

「神父!?

 何故こんなところで、それともここが此度のステージか」

 この実世界の間で、ゲームキーパーと接触したのは初めてだ。

 声ならぬ聲で九朔は詰問する。

「それは違う、どうやら彼女は私のゲームの外へ逃げてしまったようだ。

 本来ならばこんなことは在り得ないんだが、君から受けた損傷が彼女に多大な影響を及ぼしたようだ。自我の欠損もあり得る。

 彼女を追いかけても、君の世界の欠片は無い。

 それでも、往くかね?」

「無論だ、アナザーブラッドが瀕死だというのなら、今こそ好機。

 決着をつけ、然る後、この下らぬ遊戯を憂いなく終わらせてくれる。」



 予想通りの答えにゲームキーパーは痛ましい聲で応える。

「ううむ、困ったことだな。

 あの宇宙は私以外のゲームキーパーが管轄している。私が手を出すことは出来ない。

 つまり君たちのゲームが、私の預かり知らぬ場所で終わってしまう可能性がある。

 考えを改める気はないかね?」

「くどい」

 きっぱりとした返答に、ますます唸るゲームキーパー。

「やはりか、まあゲームを持ちかけたのは私だ。プレイヤーの意思に従おう。

 だが君の、君たちの行き着く先は私の予測外だ。そこのゲームキーパーが私のように優しいとは限らない。気をつけて征ってくれたまえ。

 もしも君が志半ばで倒れるようならば───」

「くどいと言ったぞ、神父!」

「これは失礼、では武運を祈っているよ騎士殿。

 誰に祈るかは難しい問題だがね、ふふはははははははは」

 耳障りな聲は去り、九朔はアナザーブラッドの追撃に集中した。

 

 誘導されない世界移動の為、通常よりも手間がかかった様に感じる。

 大抵アナザーブラッドが出現し、数日以内に九朔も実体化するのが常であったが、今回は勝手が違うようだ。最悪の場合数ヶ月、数年のずれも覚悟しなければならない。

 前世界で九朔はついにアナザーブラッドに痛撃を与えた。大玉の直撃を受けた奴は、いつもとは異なり血飛沫にはならず、幾つかの断章に別たれながらも最後の力で世界を超えた。

 自ら動き回れるだけの体力は残っていまい。本体を見つけその存在を滅するか取り込めば、悪を為す自分の可能性などという悪夢を、総ての宇宙から消し去れる筈だ。

 九朔は自身が勝利へ近づいていることを確信しながら、次なる世界へ堕ちて行った……



続く



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