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新機動戦記ガンダム A's Destiny_第04話

Last-modified: 2007-11-14 (水) 21:15:29
 

 AM7:00、八神家。

 

「あ、おはようヒイロ。」
「おはよう。」

 

 ヒイロは最初ヴィータに起こされてからは毎日自分で起きるようにしていた。
 毎朝のしかかられていては身がもたないからだ。

 

 八神家では毎朝同じことが繰り返されている。
 はやて達が作った朝食を食べた後、はやては学校へ、シグナムは道場へ、
というようにそれぞれの場所へ行く。
 ヒイロはと言うと、はやくこの町を覚えられるように町内を散策したり、
図書館へ行ってこの世界の情勢を調べたりしている。

 

「うちは今日終業式やから、いつもより早よ帰ってくんで」
「じゃあお昼ごはん作って待ってますね」

 

 はやての言葉にシャマルはにこやかに返事を返す。
 はやては今日終業式らしい。つまり明日からは春休みということだ。

 

 ちなみに今日はヴィータとザフィーラと一緒に散歩に行く約束だ。
 無口で無愛想とは言え、それなりになじんでいるのだ。

 
 

「おい、行くぞヒイロ!」
「ああ。」

 

 ヴィータはヒイロとザフィーラと共に家を出る。このヒイロを連れた散歩も、
実はヴィータがヒイロともっと親しくなろうと誘ったのである。

 

 だが、ヒイロから会話を切り出す事は少なく、ザフィーラもどちらかというと無口キャラだ。
 明るいキャラはヴィータだけなので、ヴィータが話のネタを振らなければならない。
 おそらく1番疲れる役だろう。

 

「あ、そういやヒイロ、この町のこともう覚えたのか?」
「……」
「そ、そうか!じゃああたしが案内してやるよ!」
「……感謝する。」

 

 実はヒイロは既に海鳴市の徒歩で行ける範囲の地形は覚えていたが、
せっかくヴィータが案内してくれるというのでお言葉に甘えることにした。

 

 数分後

 

「……で、こっちのスーパーはよくシャマル達が買い物にくるんだ」
「……」

 

 ヴィータは後悔していた。このメンバーで外出するのは間違いだと。
 ヒイロはたまに質問してくるが、ザフィーラに至ってはさっきからほとんど口を開いていない。
 次からははやてかシグナム達も一緒がいいな、と思うヴィータであった。

 
 
 

 なのはの通う私立聖祥大附属小学校。

 

 いつものメンバーであるはやて・なのは・フェイト・アリサ・すずかで話をしていた。
 今は異世界からきたヒイロとシンの話題でもちきりだ。

 

「ふぅん。異世界のロボットのパイロットかぁ。ちょっと会ってみたいわね」

 

 アリサが言う。

 

「じゃあ、今日で学校も終わりだし、ヒイロくんとシンくんを呼んでみたらいいんじゃない?」

 

とすずか。

 

「いいね、それ!じゃあ帰ったら翠屋で集合でいいわね?」

 

 と再びアリサ。

 

「私はいいよ〜。お母さん達も多分いいって言うと思うし。」
「……私はいいけど、シンいいって言うかな……?」
「う〜ん……うちのヒイロもそういうのあんま好きそうちゃうしなぁ……」

 

 なのははそれでいいようだが、フェイトとはやては微妙だ。
 何せシンやヒイロはあまりそういうパーティー向けでは無いのだ。
 シンはまだしも特にヒイロは。

 

「じゃあ、フェイトとはやては帰ったらちゃんとシンとヒイロって人を連れてくるように!いいわね?」

 

「わかった。うち帰ったらヒイロに聞いてみるわぁ」
「うん、私もシンに聞いてみるよ。」
「じゃあ決まりね!」

 

 アリサが話をまとめる。すごく楽しそうだ。フェイトとはやてもアリサの案に了解する。

 

 だが、どうせならシグナム達や恭也達も皆揃った方がいいとのことで、
夕方頃に集合することになった。

 

 そしてはやて達は家路についていた。
 すると、前から男が歩いてくる。

 

「なんか怪しいね……あの人。」
「なんかドロボウみたいな恰好してるね。」
「うん……でもまぁ人はみかけによらへんからなぁ」
 なのはとフェイト、はやての三人は歩きながら話していた。
 その男の雰囲気は明らかに普通では無かった。
 真っ黒なコートに真っ黒なキャップを深くかぶっている。
 髪の毛は三つ編みで肩まで、伸びている。

 

(なんでやろ……なんとなくヒイロに雰囲気が似てる気がする……)
 はやてはその男を見てそんなことを思っていた。

 
 

 はやてはその男をしばらく見つめていた。何故かとても気になったからだ。

 

(……おっ、あの娘ずっとこっち見てるな……。いやぁ俺はモテるからなぁ)

 

 その男こそ外ならぬデュオ・マックスウェル本人である。
 はやて達はまだ彼がデュオだとは知らない。一方デュオも何か勘違いしているが……。

 

「な、なんかあの人ニヤついてるよ……」
「うん、かかわらない方が良さそうだね……。」

 

 フェイトとなのははデュオを怪しい人物だと思い込み、早歩きで立ち去る。

 

(へへっ、恥ずかしがっちゃって)
 デュオは早歩きで立ち去るなのは達を見てやはり勘違いをするのだった……。

 
 

 数分後。
 デュオは海辺に到着し、辺りを見回す。
(誰もいないよな……?よし……)
 デュオはコートの内ポケットから取り出したスイッチを押す。
 すると、海中から大きな音を立てて何かが現れる。

 

「待たせたな、相棒。」

 

 死神のようなフォルムの黒い機体。−ガンダムデスサイズヘルだ。

 

 デュオはデスサイズに乗り込み、ハイパージャマーを起動させる。
 デュオもこの世界に来てからしばらくたつが、戦争の無いこの世界でガンダムを見られるのはまずい。
 そう判断したデュオは常にデスサイズを海中に隠し、
乗る時はハイパージャマーを起動させていたのだ。
 だから時空管理局のレーダーにも引っ掛からずに、今まで過ごしてこられたのだ。
 ちなみにデュオは定期的に町に出て情報を収集している。
 だから信じたくは無いが、自分が異世界に来てしまった事も理解していた。

 

「にしても、この世界はわからねぇことだらけだ。補給しなくてもエネルギーが回復するなんてよ……
 まぁおかげでハイパージャマー使いっぱなしでも動けるんだけどな」

 

 ずっと同じ場所にガンダムを隠す訳にもいかない。デュオは再びデスサイズを移動させる。
 もちろんハイパージャマーといっても肉眼では見えてしまうため、海中でしか動けないが……。

 
 

 八神家。

 

「ただいまー。ヒイロおる?」
「おかえりなさいはやてちゃん。ヒイロくんならさっき帰ってきたわよ」
「わかった。ありがとうシャマル。」

 

 はやてはヒイロの部屋へと向かう。
 ちなみに現在八神家にはヒイロ・はやて・シャマル・ザフィーラしかいない。
 ヴィータはゲートボールをするため、再び外出してしまったのだ。

 

「ヒイロー、ちょっとええか?」
「何だ?」
「え〜と……あのな、うちの友達がヒイロに会いたいらしいねんけど、ええかな?」
「ああ、断る理由は無い。」
「うちの友達とかなのはの家族とかシンもおるちょっとしたパーティーやけど大丈夫?」
「大丈夫だ。何を心配している?」
「あ、いや……ヒイロパーティーとか苦手かな〜て思って……」
「心配するな。俺も空気は読める。」
「あはは……わかった。じゃあ夕方になったら皆で行こな!」
「了解した。」
(……ほんまに大丈夫やろか……)

 

 はやてはヒイロの了解を得ることに成功する。少し心配だが……

 

「はやてちゃん、ヒイロくん、お昼ご飯できたわよ」

 

 一階から二人を呼ぶ声が聞こえる。
 はやては「はぁ〜い」と言いながらヒイロと一緒に一階に下りていく。
 はやては今から夕方のパーティーが楽しみだった。

 
 

 その頃ハラオウン家では。

 

「ただいま〜。」
「おかえりフェイト」
「おかえり。」

 

 フェイトをシンとアルフが出迎える。やはりクロノとリンディはいない。当然といっちゃ当然だが。

 

「ねぇシン、ちょっと話があるんだけど、いい?」
「あぁ、何だよ?」
「うん、実はね、私の友達がシンを招いてパーティーしたいらしいんだけど……」
「へぇ、そりゃ是非行ってみたいね。何のパーティーなんだ?」
「パーティーっていうか、シンやヒイロがせっかくこっちの世界に来たから、自己紹介も兼ねてるんだ」
「ふぅん。わかった!俺も行くよ。」
「うん、ありがとう。」

 

 フェイトは意外にもあっさり了解を得られた事にすこし驚いていた。
 最初のシンはもっと感じが悪かったからだ。

 
 

「なぁフェイト。夕方までどうせヒマだからアースラに行きたいんだけどいいかな?」
「え?別にいいけど……何しにいくの?」
「ちょっとデスティニーの様子を見に行きたいんだ。ちょっと整備もしたいし。」
「うん、そういうことなら。私とアルフもヒマだから、一緒に行くよ。」

 

 こうしてシン、フェイト、アルフは夕方までアースラで過ごす事になった。

 
 

 アースラ内。

 

「クロノ君、またなのはちゃん達の世界で例の反応があったよ?」
 オペレーターのエイミィが言う。

 

「で、また消えたのか?」
「うん……。最近多いよね……一瞬だけレーダーに反応するけどすぐ消えちゃう。
 すごい強力なジャミングだよ」
「ああ。しかもあのウイングゼロに似た反応っていうのが気になるな」

 

 その反応がウイングゼロ、つまりヒイロのガンダムと似た反応だというのだ。

 

「案外この反応の正体、他のガンダム……だっけ?だったりして」
「その可能性もあるな。引き続き調査を続けてくれ」
「りょーかいっ!」

 

 クロノは謎の反応について引き続き調査を続けるようエイミィに依頼する。エイミィは明るく返事を返す。

 

 と、その時。
 シンとフェイトが現れる。

 

「どうしたんだ、フェイト」
「シンがデスティニーの様子を見たいんだって」
「そうか。様子を見るだけなら構わないが、くれぐれも余計なことはしないでくれよ」

 

 クロノがシンに言う。シンはクロノと同じ部屋で生活しているが、やはりあまり好きにはなれない。
「言われなくてもわかってるよ!」

 

 シンはクロノにそう言いドックに向かう。フェイトもシンについていこうとするが、
 シンの歩く速度が早いため、フェイトは小走り気味でついていかなければならない。

 
 

 アースラ内、ドック。

 

 シンは今デスティニーのコックピットに座っている。
 フェイトとアルフはコックピット前のリフトに立ってシンを見ている。

 

 デスティニーのOSが立ち上がる。
『Generation Unsubdue Nuclear Drive Assault Module……』

 

「ガンダム……か。何なんだろうな、一体……」

 

 デスティニーのモニターにうつる文字を見てシンは呟く。
 ヒイロは「ガンダムは平和の為に戦い戦争を終結に導いた」って言っていた気がする。
 でもヒイロの世界ではまた戦争が起ころうとしている……

 

(じゃあガンダムは何の為に戦ったって言うんだよ……所詮兵器は兵器じゃないか……)

 

 シンはまた悩み始めていた。平和の為に戦うって言ったって兵器は兵器だ。
 こんなものがあるからまた戦争が起こるんだ。

 

「……むずかしいことはよくわかんないけど、
 前にヒイロは『ガンダムは自由を愛する人々の象徴』って言ってた気がする」

 

 と、フェイト。シンはいつの間にそんな話してたんだよ、と思うがそこはあえてつっこまない。

 

「そんなこといったって……所詮、兵器は兵器さ。人を殺す為だけに存在する。このデスティニーだって……」
「そんな……そんな言い方、ひどいと思う」
「……え?」
「デスティニーは今までシンを守って戦ってくれたんだよね?
 それなのに、そんな考え方じゃ、デスティニーも可哀相だと思う」
「……。」

 

 フェイトはシンに自分の考えを伝える。
 フェイトは偶然にも自分の名前と同じ意味の名を冠するデスティニーの気持ちが、
ほんの少しだがわかる気がした。

 

(兵器が可哀相だって……?そんなバカな話……)

 

 シンの心にフェイトの言葉は届かなかったが、フェイトの表情を見ればそんなことは言えなかった。
「自由を愛する人々の象徴……ガンダムか……。」

 

 シンはふとデスティニーの隣のウイングゼロに目をやる……。

 
 

 PM5:00、翠屋。

 

 今ここにはなのはファミリー、はやて、ヴィータ、シャマル、ザフィーラ、アリサ、すずかが揃っている。
 ヒイロは後でシグナムと一緒に来るそうだ。
 あとはシン・フェイトが揃えばパーティー開始だ。
「まあちょっと早い進級パーティーだな」

 

 父、士郎は言う。
 士郎、桃子、恭也、シャマル、ザフィーラなどの大人組は店でパーティーの準備だ。
 なのは達はみんなが揃うまではヒマなので雑談している。

 

「なんやなのはのお兄ちゃんって雰囲気ヒイロに似とらん?」
「う〜ん……そうかな?ヒイロさんとあまり会った事無いから……」
「絶対似てるって!何でかわからんけど何か似てる!」
「へぇ。ヒイロってあんな人なんだ」
「じゃあ結構かっこいいんじゃない?」
「う〜ん……そうかなぁ……」

 

 なのは達はヒイロの話をしている。はやてが言うには恭也とヒイロの雰囲気が似ているというのだ。
 と、その時なのはの携帯にメールが入る。

 

「あ、フェイトちゃんからだ……ユーノ君とクロノ君も来れるんだって。」

 

 フェイトからのメールの内容は、ユーノとクロノも仕事を早めに終わらせて来れるようになったとのこと。
 なのは達は雑談しながら待つのだった。

 
 

 数分後。
 シン、フェイト、クロノ、ユーノ、アルフが店に到着する。

 

人数も増えてきていかにもパーティーといった感じだ。
ユーノはなのはとの久々の再開にテンション上がり気味のようだ。
まぁこの5人が来たからといってヒイロとシグナムが来るまで暇な事に変わりは無い。

 
 

 シグナムとヒイロは翠屋に向かっていた。
 シグナムは剣道が終わった後、ヒイロと合流するはずだったのだが、ヒイロが中々現れなかったのだ。

 

「すまない。道に迷った」
「……お前、方向オンチなんだな。」
「……以前、カトルにも言われた。」
「お前の仲間か?」
「ああ。今頃向こうで戦っているだろう」
「そうか。」

 

 ヒイロはACに残った仲間、カトル・ラバーバ・ウィナーを思い出す。
 俺とデュオが抜けてもカトルがちゃんとまとめてくれる。ヒイロはそう考えていた。

 

「良い仲間だったんだな。」
 シグナムはヒイロの表情からカトルという人物がいい仲間だったのだろうと悟った。

 

 数分後。

 

「あそこが翠屋だ。」
 シグナムが指を指す。ヒイロ達はようやく翠屋に到着する。
 店に入ると、ようやく全員揃ったのでヒイロとシンは自己紹介をすることに。

 

 「C・Eって世界から来たシン・アスカです。よろしくお願いします」

 

 シンの自己紹介に一同は拍手する。次はヒイロの番だ。
「デュオです。よろしく……」
「ヒイロ!自分の名前名乗り!」
「……トロワです」
「ヒイロ!」
「……ウーフェイです」
「ヒイロー!」

 

 ヒイロは他人の名前を名乗り続ける。ヒイロにとっては冗談のつもりだ。
 そしてはやてが突っ込み、何やら漫才のようになっている。
 なのは達はそれを見て笑っていた。

 

「A・Cから来たヒイロ・ユイだ」

 

 ようやく普通の自己紹介をする。一同も苦笑しつつも拍手する。

 

「さて、自己紹介も終わったところでパーティーの始まりだ」

 

 父、士郎の掛け声と共に乾杯する一同。
 パーティーが始まるが、やはりシンとヒイロは人気者で、アリサやすずかに絶えず話しかけられている。

 

「やっぱりなのはのお兄ちゃんとヒイロ似とるやろ?」
「うん……なんとなく」

 

 はやての問い掛けに答えるなのは。
 ちなみにすずかやアリサ達からしても恭也とヒイロは似ているらしい。

 
 

 シンもヒイロもそれなりにパーティーの空気になじんでいる。
 そこで士郎が

 

「せっかくだから君達の世界のこと、聞かせてくれよ」

 

とシン達に持ち掛ける。

 

「俺の世界なんて……ただ戦争してるだけですよ……」

 

 シンはパーティーの空気に合わないと判断し、その申し出を断る。 すると、美由希が

 

「じゃあ、ロボットの話だけでも聞かせてよ」

 

目が輝いている。異世界のロボなんて美由希にとっては興味津々だ。
だが−

 

「デスティニーはザフトの最新機種なんだ。そう簡単に言えないよ。
 ヒイロなら教えてくれるんじゃないか?俺とは違う世界だし」
「じゃあヒイロ君!」

 

 シンはヒイロに振る。ロボット好きな美由希は今度はヒイロから聞こうとする。

 

「ガンダムは自由を愛する人々の象徴、言わば反抗の象徴だ。
 平和の為に戦い、平和を願い、そしてその翼を閉じる」
「へ、へぇ……そうなんだ」

 

 ヒイロは簡単に説明するが、美由希にはあまり意味がわからなかった。
 すると……

 

「平和の為に戦うって言ったって、所詮兵器じゃないか……」

 

シンはヒイロの言葉に反応し、ボソッと呟く。フェイトにもシンのつぶやきは聞こえ、少し表情が暗くなる。

 

「……何?」とヒイロ。

 

「自由の象徴だか何だか知らないけど、所詮兵器じゃないか。アンタのガンダムだって……」
「……」
「ホラ、やっぱり言い返せないじゃないか!
 アンタのウイングゼロだって地球の人間を殺す為に造られた兵器じゃないか!」

 

 シンの言葉に驚くなのは達。ヒイロの乗るガンダムが地球の人々を殺す為の兵器だというのだ。

 

「……その通りだ」

 

 ヒイロの言葉に一同は「え?」という顔をする。
 ヒイロならシンを悟してくれるかもと淡い期待を抱いていたフェイトも少しがっかりだ。
 シンも絶対何か言い返されると思っていた相手にあっさりと認められ、拍子抜けする。

 

「お前の言う事は正しい。機械は機械だ。」
「じゃ、じゃあ……!」
「だが機械は乗る人間によってその意味を変える。お前がそんな気持ちでアレに乗る以上、アレは兵器だ」
 シンはヒイロの言葉に最初の威勢を失う。確かにヒイロの言う通りだ。

 

(……だけど!)
「ヒイロの言う通りだよ。そんな考え方じゃデスティニーが可哀相だよ」

 

 フェイトにもう一度同じ事を言われ、シンの威勢は完全に失せる。
 正直アリサやすずかといった一般人はまったく話についていけないが、
なんとなくヒイロが正しいんだろうと言う事は感じ取れた。

 

「少し落ち着け、シンくん」
 シンは士郎になだめられる。

 

「俺も少し冷静さを欠いていた。謝罪する」

 

 ヒイロは最初から冷静だったし、自分が間違っていたとも思わないが一応謝罪はする。
 もちろん他の一同もヒイロが悪いとは思わないが……
 一度は皆テンションが下がったが、シンが言い負かされてからだんだんと元のテンションに戻っていく。

 

「やぁ、ヒイロ君」
「アンタは?」
「俺はなのはの兄の恭也だ。よろしく。何か君を見てると親近感が沸いてくるんだ」
「……俺もだ」

 

 恭也がおもむろにヒイロに話し掛ける。
 特に話しのネタがあるわけでも無いが、なんとなく話し掛けたのだ。

 

「見てみ、あの二人。やっぱ雰囲気似とるわぁ」
「うん……身長も性格も全然違うのに何でだろうね?」
「声とかかな?」

 

 ヒイロと恭也を見て話すなのは達三人。
 ちなみにアリサとすずかはシンと話している。他愛もない雑談のようだ。

 

 そしてその日は8時くらいまでパーティーを続け、
小学生もいるのでそろそろお開きにしようと士郎が言い出す。
 片付けを済ませた後、皆それぞれの家へ帰る。

 

「なぁ、フェイト。俺、間違ってたのかな……?」
「……今からでも大丈夫だよ。きっとデスティニーもわかってくれるよ」
「……あぁ」

 

(デスティニーと一緒に戦う……か。)
 シンはフェイト達の言う意味が少しわかった気がした。

 

「今のデスティニーはデバイスと似たようなモノだ。これからはもっと大切に扱ってやるんだな」
 とクロノ。

 

「言われなくてもわかってるよ!」

 

 シンはいつも通りクロノに突っ掛かる。だがいつもとは何かが違う。
 フェイトはそんなシンを見て少し安心するのであった。