Top > 新機動戦記ガンダム A's Destiny_第10話
HTML convert time to 0.009 sec.


新機動戦記ガンダム A's Destiny_第10話

Last-modified: 2007-11-14 (水) 23:53:32
 

「……今日はヒイロ遅いなぁ」
「あいつが寝坊なんてめずらしいこともあるんだな」
 今日も穏やかな朝日がリビングに差し込む。聞こえるのはテレビの音とはやて達の声。
「誰か起こしに行ったってくれへん?」
「じゃああたしが……」
「俺が行くよ!!」
 ヒイロを起こしに行く役目を引き受けようとしたヴィータだったが、デュオに遮られる。
 ヴィータに任せたら朝からキツい起こし方をされるのは目に見えていたからだ。
「なんだよデュオ?珍しいな……」
「まぁたまには俺が行こうと思ってな!ヴィータはゆっくりテレビでも見てろよ」
「あ、あぁ。わかった」
 上手いことヴィータを口車に乗せ、リビングのソファに座らせたデュオは
鼻歌を歌いながら階段へと向かう。
 だがそんなデュオの足を止めるかのように、デュオはむんずと肩を掴まれる。
「……へ?」
「私が行こう。」
 何事かと振り向くデュオ。
 肩を掴んでいたのは自分よりも身長が高いポニーテールの女性、シグナムだった。
 デュオはシグナムを見上げるように「……はい。」といいヴィータと同じようにソファに腰掛ける。
(ヒイロ・ユイ……)
 シグナムは黙って階段を上がって行く。

 
 

「ヒイロ、入るぞ?」
 シグナムはヒイロの部屋のドアをノックする。返事は返ってこない。
 シグナムはそのままドアを開けた。

 
 

『お兄ちゃん、迷子なの?』
 ヒイロは聞こえる声に目を覚ます。そこにいるのは一人の少女と一匹の子犬だ。
『……そうだな。オレは生まれてからずっと迷子なんだよ……』
『ふーん。かわいそうなのね。私はね、迷子じゃないのよ。
 メリーのおさんぽしてるの♪』
『……そうか。よかったな、メリー』
 ヒイロは微笑みながらメリーと呼ばれた子犬の頭を撫でる。メリーも嬉しそうにしている。
『うん。だからおにいちゃんも元気出してね♪』
 少女もまたにこやかに言う。平和な日常といった感じだろうか。見ていてほほえましい光景だ。
 こんな平和がいつまでも続けばいい。そう思っていた。
 だがそんな思いも虚しく、ヒイロの願いは吹き飛ぶ事になる。

 

 爆発する工場。炎上する街。ヒイロの仕掛けた爆薬が爆発したのだ。
 炎は瞬く間に広がり、工場のMSを焼く。
 今回も「任務完了」のはずだった。だがヒイロの表情は暗い。
『……オレの……オレのミスだ……』
 ヒイロは一面焼け野原となった町に一人佇む。
 ヒイロの仕掛けた爆弾の誘爆が、民間施設にまで広がったのだ。
 そして今ヒイロの目の前に横たわっているのは一匹の子犬。いや、正確には子犬だったモノ−メリーだ−。
『…………』
 ヒイロは悲しげな面持ちでメリーを抱き抱え、歩き出す。指には一輪の花を持って……

 
 

「−ヒイロ…!起きろ、ヒイロ!」
「……ん。シグナム……?」
 ヒイロはようやく目を覚ます。目の前で自分の顔を覗き込んでいるのはシグナムだ。
 どうやらシグナムに起こされたらしい。
「ようやく起きたか。悪い夢でも見てたのか?」
「……いや」
「そうか?うなされていたぞ?」
「…………」
「言いたくないなら構わんが、あまり主に心配をかけさせるなよ」
「……あぁ。わかっている」
「…………主から聞いたが、お前の世界で何やら大変な事がおころうとしているらしいな」
「オペレーション・メテオのことか」
 ヒイロの返事を見たシグナムは本題へと移る。
「いつの間に話したんだ」と思うヒイロだったがわざわざ聞くまでもない。

 

「昨日から主の様子が少しばかりおかしかったからな。恐らくその話を聞いてからだろう」
「……そうか。それはすまないことをした」
 ヒイロが謝る必要も無いのだが、何故か謝ってしまう。
 シグナム側もそう言われればこれ以上言う事も無くなる。
「……とにかく、あまり主に心配をかけさせないで欲しい。
 昨日の事は仕方ないかもしれんが、それでも主の暗い顔は見てられん」
「わかった。気をつけよう」
 ヒイロもそう言ったところで、下からはやての声が聞こえる。
『ヒイロ、シグナム!ごはんできとるよー』
「……私が言いたいのはそれだけだ。さぁ、下に降りようか」
 そう言ってシグナムはヒイロの部屋を出ていく。ヒイロも黙ってその後を追うのだった。

 
 

「なんやどないしたんヒイロ?そんな暗い顔して」
 みんなで一緒に朝食を摂っている最中、はやての声が聞こえる。
 よく見ればシグナムも「わかっているな?」というような表情でヒイロを見ている。
「いや、暗い顔などしていない。強いて言うならさっき少し嫌な夢を見たせいだろう」
「そうなん?ならええけど」
「そうそう!だいたいコイツなんて常に暗い顔してんだからいちいち気にしてちゃ身がもたないぜ?」
 デュオが明るい表情で言う。まあいつも通りだ。
「そうだよはやて。コイツの言う通りだ」
 そう言いながらヴィータはデュオの皿へと箸を伸ばす。が、すぐにデュオの箸に阻まれる。
「……ッ!」
「へへっ何回も同じ手は食わないぜ?」
 まぁそう何回も同じ手にやられるデュオでは無いということか。
 それでもこの世界に来てからというもの、
ACにいた頃にも増して貧乏くじを引かされている気がするが……
 そんなこんなでいつも通りの穏やかな時間が過ぎていくのだった。

 
 

 数分後。

 

「ごめん、うち今日ちょっと外でお昼ごはん食べてくるな〜」
「え!?じゃあ俺達の昼飯どうすんだよ?」
「え〜と、作っていくからチンして食べてぇな。レンジの使い方とかはシャマルいるし、大丈夫やと思うから」
 はやてはそう言いながら出かける準備をしている。
 久々になのはやアリサ達と一緒にお昼ごはんでも、となったらしい。
 ちなみに言うとシグナムとヴィータはお弁当、ザフィーラは留守番だ。
 そうなると家に残るのはヒイロ、デュオ、シャマル、ザフィーラの四人となる。
(このメンバーじゃまたすんげぇヒマだろうなぁ……どうすっか……)
 デュオはヒイロとシャマルを見て思う。ザフィーラはあえて見ないが。
 デュオは一人「はぁ〜」とため息をつく。
 ヒイロとシャマルは二人共マイペースな人だから気にしてないようだが。

 

「じゃあ、お留守番頼むで〜。言ってきま〜す」
 そうこうしてる内にはやてとヴィータが行ってしまう。
「はいよ〜」
「言ってらっしゃ〜い」
「……」
 三人は各々の返事を返し、テレビを見始める。
 と、言っても春休みの午前中はドラマの再放送がやってるとかでシャマルがテレビを独占しているが。
 ヒイロとデュオも一緒に見てはいるが正直面白くない。
「なぁシャマル」
「へ?どうしたの、デュオくん?」
「面白いか……?」
 返事を返すシャマルに、今度はヒイロが質問する。
「え……面白くないの?」
「…………」
 質問したはずが逆に質問され二人は黙ってしまうのだった。

 
 

「あ、はやてちゃん!」
「なのは、フェイト!」
 はやてが集合場所に到着した時、すでになのはとフェイトが到着していた。
 ……それともう一人、横にシンがいる。
「アレ?シンもおるん?」
「うん。私が出かけるとシン、一人になっちゃうからね」
「あぁ。ただでさえヒマなのに家で一人ぼっちじゃすることなくて死にそうだからさ」
「あはは、そりゃそうやな」
 はやてはシンの言葉に笑いながら返すが、
よく考えたら異世界から来た者にとってはこの世界の日常はやはりヒマなのだろう。
 はやては「ヒイロ達もそうなんやろか?」と思う。
(もしそうなんやったらなんか暇潰し用意せななぁ)
 と、そんなことを考えている内にアリサとすずかも到着する。
 ここから先はシン視点でお送りしよう。

 
 
 

 シンは後悔していた。
 今、シンはデパートに来ている。
 フェイト達が服を買いに行くのについてきたのだが、
女の子達のショッピングに付き合う事ほど退屈で肩身の狭いことは無い。
(かなりヒマだ……!)
「……あ、シン。」
 そんなシンを気遣ってかフェイトが話かけてくる。
「ごめんね、かなりヒマだと思うけど、もうすぐお昼ご飯だから」
「あぁ。わかったよ」
 余談だがこの時シンはフェイトの服が一番センスがいいと思ったらしい。

 
 

一時間後、デパート屋上。
(長かった……結構長かった……)
 ようやく服を決めたフェイト達と一緒に屋上にアイスクリームを食べに来たのだ。
「じゃあ私バニラで。シンはどうする?」
「ん〜じゃあオレンジシャーベットで」
 シンもアイスを注文し、皆が座っているベンチへと向かう。皆それぞれ違う味のようだ。

 

「さっきはごめんね、シン。ヒマだったでしょ?」
アリサがアイスを舐めながらシンに言う。
「いや、別にいいよ。気にしなくてもさ」とシン。
「ねぇねぇ、シン君が今来てる服ってもしかしてフェイトちゃんが選んだの?」
 今度はすずかだ。
「え?シンと一緒に選んだんだよ?」
「へ〜そうなんだ〜。そういえばセンスいいよね」
 今度はなのはが言う。ちなみにシンが今来てるのは上は白いパーカー、
 下はジーンズというまぁそれなりに普通なファッションだ。
「まぁな。元の世界でもこんな感じの服が多かったかな」
「へぇ〜やっぱり自分に似合う服は自分が一番よくわかってるんやね。
 うちのヒイロなんか地味で地味で……」
 はやてが笑いながら言う。どうやらヒイロはタンクトップ系の服が好きらしい。
 理由は「動きやすいから」とかだろうが。
「ヒイロか……。そういやあいつ何してんだ?」
「ヒイロはデュオ達とお留守番やよ?」
「……そっか。」
 シンは「あいつらヒマだろうな〜」とつくづく思うのだった。

 
 

一方八神家では

 

「ヒマだし、ヴィータのゲームでもするか」
「……いいだろう。」
シャマルはドラマを見終え、今は洗濯をしている。
テレビの権利を得たのをいいことに、デュオがそんな提案をする

 

ヴィータのゲームをいろいろとあさり、ヒイロは一つのゲームを手にとった。
「……ZカンタムVSカンタム……か」
「なんか俺達のガンダムに似てるな……」
「……やるぞ」
どうやらヒイロは気に入ったようだ。

 
 

 さて、一方のんびり雑談をしながらアイスを食べ終えたシンは翠屋へと向かっていた。
 このメンバーだと昼食は自然に翠屋になるのだ。

 

「シンもいるんやったらヒイロらも連れて来たら良かったかな?」
 はやてが突然シンに話し掛ける。
「へ?なんでだよ?」
「だってシン、こんな女の子の中に一人でいても退屈ちゃう?」
「まぁ……でも俺、あのヒイロって人苦手だからさ」
「え?そうなん?」
 シンの以外な言葉にはやては……いや、他の皆も「え?」という顔をする。
 まぁ今までのヒイロとシンの会話シーンを思い出せば分からないでも無いが……
「まぁ……嫌いって訳じゃ無いけど」
「(う〜ん……これは仲直り作戦が必要かな?)」
 はやてが脳内でそんなことを企てる。題して「ヒイロ・シン仲直り作戦」だ。そのまんまだが……。
 だがまぁそれはまた別のお話。

 

「あ、そういえばヒイロの他にもう一人来たんでしょ?」
「あぁ、確か……デュオ?だっけ」
 アリサの質問にシンが答える。まぁ一回戦闘しただけだからあまり覚えて無いが、
ヒイロと違い明るそうなイメージだ。
「うん、そうやよ〜」
「どんな人なの?」
 と、今度はすずかが質問する。
「まぁヒイロとは真逆かな」
 はやてがそう言い、シンとなのはも「うんうん」と頷く。
「……分かりやすい説明ね」
「そうやろ?」
 はやてはにこっと笑いながらアリサに言う。

 
 

「はぁっくしょん!」
「どうしたデュオ?風邪か?」
「いや……きっと誰かが噂してんだよ。もしかしてカトル達かな?」
「フ……そうかもな」
「……ってそんなことよりヒイロ!テメェ、サイコカンタムとかずりぃだろ!」
「…………巨大MSとの戦闘も経験しておいた方がいいぞ?
 いつまたスコーピオのような敵が現れるかわからん」
 かつてビクター・ゲインツが乗りデュオ達を苦しめたMS、スコーピオ。
 確かにヒイロがいなければ倒せなかったかもしれない……
「た……確かに……。ってこりゃゲームじゃねぇか!
 どちらかと言うとこのZカンタムの方がお前のウイングに近いだろ!こっち乗れよ」
「……気が向いたらな」
「(こいつ……絶対楽しんでやがる……)」
「フッフッフッ」と笑うヒイロを見てデュオは思う。まぁなんだかんだで二人共楽しんでいるのだった。

 
 

 翠屋に到着し、席につくシン達に、桃子が「あら、いらっしゃい♪」と話し掛けてくる。
 皆も軽く「こんにちは〜」と挨拶し、各々が食べたい料理を注文する。
「−で、うちのデュオがシンにボロ負けして−」
 はやては例の模擬戦の話をしている。シンがデュオに勝利した時の話だ。
 シンも少し嬉しい。やはり褒められると素直に嬉しいのだ。
 ただ一つ引っ掛かる事があったが。
(ボロ負け……か)
(正直俺が勝ったのはギリギリだった。最後の最後にアレが来なけりゃ絶対負けてた……)
 アレ、とはSEEDのことだ。いや、もし最初からSEEDが覚醒していた場合もシンが勝てた保証は無いだろう。
 あの時のデュオは突然のSEEDに完全に油断していたからだ。

 

「へ〜じゃあシンの方が強いんだ〜」
「……まぁ、アレは相手が油断してたからな……」
「「え?」」
 一同が声を揃える。そしてフェイトが口を開く。
「うん。最後の最後で、いきなりシンの動きが変わったんだ。」
「あ〜そういえば、いきなりシャープになったよね」
 今度はなのはだ。
「確かに……あれなんやったん?なんでいきなりあんな強くなったん?」
「もしかして!本気になったらフェイスオープンして能力が跳ね上がって分身するとか!?」
「アリサちゃん……それなんてクロスボー……」
「あぁ、確かに分身はしとったなぁ」
 その場の皆がシンのSEED覚醒に興味津々だ。
 途中アリサに突っ込もうとしたすずかのセリフが掻き消されてるけど、気にしちゃいけないよ。
「うん、アレは……俺にもよくわかんないけど、たまになるんだ。
 一時的に凄い集中して、感覚がシャープになる感じかな……」
「へぇ〜なんか凄いね〜」
 なのはも感嘆の声をあげる。
 それに比べてフェイトは「はぁ〜」とため息をつく。
「どうしたの?フェイトちゃん」
「うん、何もデスティニーを壊さなくたっていいんじゃないかなって思って……」
「あ……あれは……!……悪かったよ」
「ううん、私に謝られても……じゃあ、次からはもっと大切に扱ってあげて?」
「……あぁ。気を付けるよ」
 わかったような気がしていてもSEEDを覚醒させ、集中していたシンは
デスティニーをわざと壊してしまったのだ。
「なんや、そっちも色々悩んでんねんな〜」
 そこではやてが割り込む。
「そっちもって、はやてもなんか悩んでんの?」
 とアリサが質問する。
「うん、まぁ……うちの居候はマイペースな奴ばっかりやからなぁ」
「あ〜なるほど、ちょっとわかるかも」
 ヒイロの性格を思い出したなのはが苦笑しながら言う。

 

 だがはやてが今1番悩んでいることは、そんなことではない。
『オペレーション・メテオ』の事だ。
「なぁ、シン。」
 また呼ばれそっちを向くと、今度ははやてに呼ばれていた。
「ん、なんだよ?」
「シンの世界にもコロニーってあるんやんな?」
「あぁ、あるけど……それがどうかしたのか?」
「もし、コロニーが地球に落ちたら……どうなるんやろか?」
 その答えは昨日ヒイロ達から聞いた。だが、何故かもう一度聞いてしまった。聞かずにはいられなかった。
 もしかしたら違う答えが返ってくるかもしれないと思ったから−
「そりゃ……大変なことになるさ。地球だって大ダメージだし、人だって何人も死ぬ……。」
 シンの表情が暗くなる。ユニウスセブンの件を思い出したのだ。
 その表情の変化ははやてにでも分かったくらいだ。
「もしかして……シンの世界でも落ちたこと、あるん?」
 シンははやての質問に
 「……まぁな」
 と返答する。
 はやても驚きの顔と悲しげな顔と……とにかく形容しがたい表情だ。
「……誰かが落とそうとしない限りまず落ちないけどな。なんでそんな質問するんだよ?」
「ん……ちょっと気になってな……。ごめんな、変なこと思い出させて」
「いや……いいよ、別に。」
 この質問のせいでシンのテンションが著しく低下したのは言うまでもない。
 ちなみにこの話がちゃんとわかるのははやてとシンのみだ。
 フェイトやなのはもなんとなく分かってはいるがそんなに詳しくは分かっていない。
 アリサとすずかに至ってはさっぱりだ。
 ただ危険そうな話をしているということだけは伝わった。

 

 その後もいろいろと雑談し、4時頃に解散することとなった。

 
 

「ただいま〜」
「おかえりなさい、はやてちゃん」
「アレ?ヒイロらは?」
「リビングでずっとゲームしてますよ」
 シャマルはにっこりと微笑みながら言う。

 

「……Zカンタムにも勝てねぇのかよ……」
「気にするな。所詮ゲームだ」
「……もしかしてこのゲーム機にもゼロシステム搭載してんじゃねぇだろうな!?」
「……バカバカしい。そんな危ないゲームがあってたまるか」
「だっておかしいじゃねぇか!なんでこんなに勝てねぇんだよ!」
「この世界に来てから調子が悪いんじゃないのか?」
「う……た、確かにそうかも……」

 

 はやてがリビングに入った時、二人はこんなやり取りをしていた。
 本当にずっとゲームをやっていたような会話だ。
「あ、あんたら……ずっとゲームしとったん?」
「おぅっ!おかえりっはやて!」
「ずっとでは無いが……」
 二人ははやてに気付き、返事を返す。
「はぁ……ゲームはちょっとずつやりなさいって、ヴィータにいつも言っとるやろ!目悪くなるよ?」
「お、おぅ。気をつけるよ」
「了解した。」
 はやての説教にデュオとヒイロは同時に返事を返す。

 

 その後「まったく……」という顔をしているはやてに突然ヒイロが話かける。
「はやて……話がある。」
「え?ヒイロから話なんて珍しいなぁ。どないしたん?」
「オペレーション・メテオの話だが……」

 

「…………?」
「はやてがオペレーション・メテオの事で悩む必要は無い。」
「……な、何言ってるんよ?うちは別に……」
「いつも近くではやてを見守ってくれている人が言っていた。昨日からはやての様子がおかしい、とな」
「…………。」
 はやては「気付かれてたんか……」と言葉を失ってしまう。
「そして『あまりはやてに心配をかけさせないでやって欲しい。』というのが彼女の願いだ。」
「……でも、そんなん心配するに決まってるやんか!
 確かにうちらの世界とは直接関係無いけど、うちの家族の世界やねんから……!」
「……大丈夫だ。俺の……俺達の世界は終わらない」
「……え?」
「A.Cには俺の仲間がいる。プリベンターの仲間がな。
 奴らがいる限りオペレーション・メテオなど実行させない」
「でも……!」
「それに……A.Cには俺が唯一世界を任せられる女がいる。その女がいる限り俺の世界は終わらない。」
 ヒイロの目付きが変わる。なんというか、信じているような、暖かい目付き、といった感じだろうか。
 そしてヒイロにそこまで言わせる女性に、はやては心辺りがある。
「……それってもしかして……リリーナさん?」
「…………。確かに今は捕われているが、あの女なら……大丈夫だ」
 ヒイロの目を見ていると、何故か本当に大丈夫なような気がするのが不思議だ。反論する気も失せてくる。
 はやては(リリーナさん、幸せ者なんやろうな)と思った。
「そっか……。」
「俺が言いたいのはそれだけだ。はやてに暗い顔は似合わない」
「……え?」
 はやてはヒイロの意外な言葉に驚く。ヒイロがそういう事を言うとは思わなかったのだ。
(ヒイロ……あんなことも言うんや……)
 だがヒイロはそれ以上何も言う事は無かったという……

 

その後、はやての悩みが少し晴れた事は言うまでもない。