Top > 戦後シン×ミーア_PHASE14
HTML convert time to 0.004 sec.


戦後シン×ミーア_PHASE14

Last-modified: 2008-04-27 (日) 18:41:39

好きな人と一緒に居られるという幸福を知りました。

 

彼女は強がりで。
彼女は明るくて。
彼女は優しくて。
彼女は淋しがりで。

 

何より、俺に、愛しさを思い出させてくれた。

 

父さん。
きっと、あんまり歌を聴かなかった父さんだって、ミーアの歌が好きになるよ。

 

母さん。
母さんだったら・・・・早く両想いになってきなさいって言うかな。
俺の恋人と買い物に行って、俺や父さんの悪口をこっそり言いながらカフェに行ってみ
たいって言ってたから。

 

マユ。
お前だったら、俺より先にミーアの気持ちを聞きだそうとするんだろうな。
俺だって我慢してるんだから、そんな余計な事はしなくていいんだからな。
ミーアとだったらマユは仲良くなれるだろうから俺より仲良くなるかもしれない。
それは、・・・・・・・・複雑だ。

 

久し振りに、皆に報告したいと思った。
語りかける事なんて早々無いと思ってたけど。

 

父さん。
母さん。
マユ。

 

ごめん。
今、少し、生きている事が幸せで。
今、少し、死ぬ事が怖くなって。

今は、そっちに行きたくないって思ってる。
戦ってた時には、いつ死んでもいいやって思ってたのに。
死ねば、皆に会えるって思ってたのに。

 

ミーアが傍に居ると生きる事に執着してしまう。
彼女もまた死を覚悟している事が悲しくて仕方がない。
一緒にいたい。
両思いじゃなくていいから。
両思いだったら最高だけど。

 

ミーアが生きる為に懸命に歩く練習をしているのを見ると、嬉しくて。愛しくて。
傍で応援したくなる。

 
 

ガターン!!

 

「ミーア!?」

 

端末に保存する事無く無意識に打っていた家族への手紙を消去し、シンは歩行練習中の
ミーアに駆け寄る。

 

派手にこけたらしく、打った膝を押さえて今にも倒れそうだったのでその体を支える。

 

「シンが悪いんだから」
「は?」

 

自分で歩く練習をするって、必要以上に俺の手は借りないって言ったのミーアだろ?

 

という反論の声を押さえてシンが戸惑っていると、ミーアが頬を染めてシンを見上げた。

 

「・・・凄く、優しい顔してた」
「え?」
「今。凄く優しい顔して仕事してたから、驚いたんだから!」

 

体勢を整えながら膝を擦り、シンもミーアが体勢を整えるのを手伝って、今は仕事じゃ
なかったんだけど・・・・と、それを伝えようか悩む。

 

伝えるには、少し、恥ずかしい。

 

既に消去した文章を思い出して、頬を染めたシンに、ミーアは不思議そうに見上げる。

 

「どうしたの?」
「え・・・・・あ・・・・・」

 

誤魔化すようにキスをすると、ミーアもまたシンの赤面が移ったかのように頬を染める。

 

「シンってば、キス魔?」
「いやっ。それは・・・・・」

 

戸惑っていると、ミーアがシンの胸に凭れ掛かる。

 

「シンが優しい顔してると、あたしも嬉しい。シンは、優しい顔の方が、可愛いもん」
「それは・・・あんまり嬉しくない・・・・」

 
 

ミーアの方が一つだけ年上だが、そのミーアが好きなタイプが、アスランだったとした
ら可愛いタイプと言うよりも真面目で格好いい方がいいだろう。
それに、年上風を吹かされているように思うのも。

 

いや、それはそれで可愛くていいと思うが、少しは主導権を握れるような立場に居たい。

 

「練習続けるのか?」
「もう少しこうしてていい?」

 

シンに抱き締められていると、温かくて、気持ちいいから。

 

そううっとりと目を閉じて言うミーアの表情にどきりとする。
少しミーアを抱き締めるには辛い体勢を、どっかりと床に尻を着けて暫く抱き締めたま
までも辛くない体勢に変える。

 

「少しは立てるようになったでしょ?」
「うん」

 

「頑張って歩けるようになるの。歩けるようになったら、走れるように頑張って。走れ
るようになったら踊れるように頑張るの」
「あぁ」

 

それを、見て貰いたい人が居るから。

 

「シンも、見ててね?」
「勿論」

 

じゃあと、立ち上がろうとするミーアを少しだけ助けて後は彼女が自力で立てるように
見守る。
腕の力はかなり戻ってきているため、腕の力を頼りにミーアは棒に捕まると自分の体を

 

引き上げた。
シンはその懸命な様子を座ったまま見守ると、完全に立つ事が出来たミーアを見上げて
一先ず安堵すると、自身も端末の元に戻る。

 
 

ミーアが一歩前に踏み出す。

 

「急いだら駄目だ」
「うん」

 

踏み出した足に体重をきちんとかけなければ後ろの足を前に出せない。
ゆっくりでいいからそれを体に覚えさせなければならないのだとシンが声を掛けると
ミーアは楽しそうに頷く。

 

暫くシンはミーアの様子を見守っていたが、大丈夫だと判断すると、端末に視線を落とす。

 

先程までの切なくて、そして楽しい報告はもう、ない。

 
 

後ろに隠しておいた画面を表示させ、シンは流れる情報を上から下へと次々と流し観て
いく。

 

メイリン程のハッキング能力はシンにはない。
それでも、シンにはFAITHという立場を利用して、ある程度己のIDで深い情報を
見る事は出来る。
そこから少しだけ裏情報が見れる場所まで辿り着ければ、シンにも情報を手に入れる事
が出来る。

 

シンは流れる情報を見つめながら獲物が訪れるのを息を潜めてじっと待つ獣のように険しい表情をしていた。