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第一話「無題」

Last-modified: 2014-03-09 (日) 14:58:30

「ありがとうございました」
ここはアプリリウスにあるG.A.R.M.R&Dの支社の一室。学生時代遺伝子学の研究に没頭したであろう就活生がたったいま面接がおわり、退出していった。
ダニエル「次の学生は・・・・ええっと?」
その面接を受け持つアプリリウス支社の人事部長ダニエル・バギーは目の前におかれた予定表を見ながら分厚いファイルを手際よくめくり、資料を取り出した。
ダニエル「・・・ル・ギルバート・・・・専攻は遺伝子・・・・」
ダニエル「ふむ。なかなか優秀なようだな」
ダニエル「では次の方」
ギルバート「失礼します。」
ギルバート「ギルバート・デュランダルです。今日は私のために貴重なお時間を取っていただき、誠にありがとうございます。」
そういうとギルバートは滑らかな口調で話し始めた。
ギルバート「・・・・・チュラルとコーディネイターは・・・・・・。」
G.A.R.M.R&Dの支社。その面談室でギルバート・デュランダルはダニエルに志望動機について応えていた。その話しぶりは雄弁で、まるで政治家の演説のようだ。面接官はしばらくは資料にその内容を書き留めていったが、その下に思想家と書いたのち、彼に声をかけた。
ギルバート「・・・・の世界を変え・・・・。」
ダニエル「話の途中でわるいんだけど・・・もうそろそろこれでいいかな?」
ギルバート「・・・・・!。いやしかしまだ」
ダニエル「そういうわけにもいかないよ。まだ次の人が居るからね。結果は後日お送り致します。」
ギルバート「・・・今日は有難うございました。」
バタン
ダニエルは手元の資料に小さく×印をつけると、壁のむこうで待っているであろう就活生に声をかけた
ダニエル「次の方」
イングウェイ「失礼します!同級生Aです!よろしくお願いします!!」

 

「!・・・・(よし)」
「!・・・・(ほ)」
「!・・・・(問題なし)」
G.A.R.M.R&Dの本社の職場の社員たちはみな仕事に追われていたが、
その一人であるウィシナ・キャサーがそばを通るととなぜか一瞬身構えた。
ウィシナ「課長!資料できま・・・なんで下がるんですか?」
ダニエル「気にするな。これが資料だな?」
ダニエルは資料への視線をよどみなく動かしながら、てばやく赤ペンで修正していく。女社員の笑みが修正に比重してみるみる消えていくがおかまいなしだ。
ウィシナは重い足取りで自分の机に向かっていたが、急に立ち止った。面接官に向かって振り返ろうとしたがハイヒールのかかとをひっかける。
「はぁ〜」
「大丈夫か?ほらこれ」
一斉に漏れるため息の中、女社員のそばにいた同僚が声をかける。
助け起こされた女社員は撃った頭を押さえながら同僚から資料を受け取る。
ウィシナ「部長から電話がありました。14:00にかけてくれとのことです。」
ダニエルは右腕に付けた銀色の腕時計を見ると、もう2分過ぎていた。
彼はあわてて部長の部屋に電話をかけた。面接官は10秒もしないうちに受話器をおき、向かい側の机で仕事をしていた部下Bに声をかけた。
ダニエル「ウィルス、ちょっと」
ウィルス「何でしょうか」
ダニエル「一次面接の合格通知を送ってほしい。名前はギルバート・デュランダルだ」
ウィルスは手短に応えると、すぐに机に戻った。
ダニエル―理想主義者に務まるとは思えんが・・・―
「部長。ちょっと」
ダニエル「なんだ」
ウィシナ―・・・キャー・・・−
社員たち「はぁ〜」

 

ギルは前日と同じ部屋でG.A.R.M.R&Dの本社で主任を務めるセドリック・アンティガーと面接をしていた。
ギルバートは前と同じように情熱的に語り続けていたが、突然のはっきりとした声が彼をステージから降ろす。
ギルバート「ナチュラルとコーディ・・・・・」
セドリック「長い」
セドリック「つまり、君は地球側とプラント側との冷え切った関係を改善できるというのか」
セドリックの変わらぬ声に対し議長は少し弱弱しい口調で
ギルバート「いえ。ゼミ時代にその打開案として遺伝子データに基づいた政策を作り上げてみたのですが、ゼミの教授には笑われました。」
ギルバート「キミは世界を知らないというのです。それから教授はメンデルで成果を出していけばいずれわかるとも言いました。」
セドリック「その情報が欲しいと」
ギルバート「私は遺伝子操作による出産率低下を未然に防ぐための研究を行うことを望んできました。ただその過程で教授が指摘した私の無知を補うことができればと考えているのも事実です。」
部長は満足したように何度かうなずいた。
セドリック「もういいぞ、出ろ」
黒い長い髪を見ながら、部長は声をかけた。
セドリック「次」
イングウェイ「失礼します!イングウェイです!よろしくお願いします!!」

 
 

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