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第03話〜こうなったら八つ当たり!〜

Last-modified: 2011-12-05 (月) 01:27:34

GAT-X105ストライク。10年以上前に製作された旧式のMS。
そのせいか? いまいち動きが悪い。
でも試作機とは言え、今は最新のMSだし、まして相手はシグー。
「そんな攻撃に当たるか!」
シグーが放ってくる重突撃機銃を回避しつつ間合いを詰める。
まあ、当たっても良いんだけどさ、つーかアークエンジェルの面々も見てるし、
ちょっとくらいは当たった方が良いとは思うんだ。
こう何てゆーか変に警戒されても困るし。
でもね……つい避けちゃうんだよな。て、ゆーかさ……
「捉えた!」
自分でも分かるが、こう俺はノリノリだった。体が若いと心も若返るらしい。
本当は30台のオッサンなんだけどね。
そして、ロケットアンカーの間合いに入ったからパンツァーアイゼンを使って
シグーの重突撃機銃を奪うとシュベルトゲベールを振りかぶる。
向うも武器を重斬刀に持ち換えるが……
「遅い!」
俺はシュベルトゲベールを一閃させシグーの右腕を斬り裂いた。
「この動き! なんなんだ! 貴様は!?」
シグーから驚愕の声が聞こえるが、そんなのは無視。コイツとは話をしたく無かった。
もう一閃させて左腕を斬り飛ばす。
するとシグーは撤退を行う。
「逃がすか!」
俺はビームブーメラン、マイダスメッサーを取り出す。
白いシグーのパイロット。多分、アイツがクルーゼだろう。
世界の破滅を目論んだ男。そして……
「認めるかよ!」
レイと同じ存在。
バカを言え! レイは未来を望んでいた。俺に未来を託したんだ。それが同じなんて…
「冗談じゃ無い!」
俺は悪霊を切り裂く気持でマイダスメッサーを投げる。
奴の存在を認める気は無かった。
俺はマイダスメッサーがシグーの身体に突き刺さるのを……
「……あれ?」
あさっての方向に飛んで行くマイダスメッサー……誰だよ武器の調整したの? 
「俺です」
自分で自分に突っ込むと、これからのイベントを考えて溜息を吐く。

第3話〜〜こうなったら八つ当たり!

「両親はナチュラルってことか。…いや、悪かったなぁ。とんだ騒ぎにしちまって。
 俺はただ聞きたかっただけなんだよね」
頭をかきながら、本気で申し訳無さそうに謝罪するフラガ。
今の俺は唇を噛み、拳を震わせながら怒りに耐えていた。
ソードパックの調整をしている最中に現れた交戦中のMSとMA。
コロニー内に入ってきたアークエンジェル。
そんなドタバタした状況でクルーゼが乗るシグーを撃破した後は当然アークエンジェルに
収容されたんだけど……そこで俺は会った。
ネオ…いや、ムウ・ラ・フラガに。
冷静でいられるかとか考えてたんだけど、いきなりのフラガの発言に自体は動転。
コーディネーターと分かった俺は銃を向けられたり、
マリューが諌めたり、トール達が俺のために憤慨してくれたり……
まあ、それが今の状況なわけなんだけど、ある意味助かった。
「本当にすまなかった……こんなつもりじゃ無かったんだ。ここに来るまでの道中、これのパイロットに
 なるはずだった連中の、シミュレーションをけっこう見てきたが……」
フラガが誠意を込めて謝罪を続ける。
そして、不用意な発言をした理由を教える。
彼が、こうやって謝罪しているのは今の俺を見ての事だろう。
怒りとか悲しみとか、そんな感情がごちゃごちゃしてて、
自分でも何が何だか……コイツは、俺を気遣ってくれてるんだ。
自分が余計な事を言った所為で俺に辛い思いをさせてしまったって……でもさ、違うんだよ。
「まあ、なんだ。今回はお前さんに足助けられたな。感謝してるよ。それと少し休んだ方が良いだろ。
 良いよな?」
フラガは俺がショックを受けてる状況だから休ませようと気遣い、マリュー達に確認を取る。
確認ってより、頼んでる感じだな。
「え、ええ。そうですね。キラくん。疲れてるだろうから少し休みなさい」
「は、はい」
俺は声を絞り出すように返事すると、休める場所に案内されて、そこで眠りについた。

戦後オーブに行った時の事だった。
アスランが俺に会ってほしい人がいるって言うから……
何でも2人きりで会いたいらしく、アスランは場所だけ伝えると
最後まで何か言いたそうにしながら去っていった。
その態度に疑問を感じはしたが、アスランの挙動不審は珍しいことじゃ無いし、
今更俺をどうにかするとも考えられなかった。
まあ、この時の俺は例え殺し屋が待ってても仕方ない。
死んで当然の人間だと思っていた。
そして、俺は待ち合わせの場所へと向かった。オーブのとある海岸。海が綺麗な場所だった。
そこにアイツは待っていた。
獅子みたいに長い髪をなびかせ、傷だらけの顔で俺に声をかけてきた。
「久しぶりだな……俺が誰だか分かるか?」
「アンタ……まさか?」
「ステラのことは……」
その先の言葉は無かった。
何か言う前に俺が殴っていたから。
でもアイツは抵抗も弁解も無く、両手を後ろに組み黙って俺を見つめてくる。
そんな態度にムカついてもう一発殴った。今度は倒れた。
だけどすぐに立ち上がると同じ体勢になる。膝に来てるんだろう足がガクガク震えている。
それでもアイツは立っていた。
俺は戸惑っていたんだろう。
しばらく黙って睨んでると、ようやくアイツが口を開いた。
「ステラの事は言い訳しない。俺が殺したも同然だ。だから気が済むまで好きなだけ殴ってくれていい!
 ……だが、命だけは勘弁してくれないか? 身勝手だとは百も承知だが俺が死ぬと悲しむ奴がいる。
 ソイツだけは……もう2度と泣かせたく無い」
本当に身勝手な言い草だ。ステラは泣く事だってもう出来ないのに。
だいたい気が済むまでって、俺が本気で殴り続ければ、すぐ死んでしまうんだぞ。
そもそも何回殴れば俺の気は済むんだ?
俺だって本当は分かってる。ステラの事はコイツの立場を考えれば仕方が無かったって。
それでも俺は憎んでいたかった。誰かの所為にしたかった。
だから、コイツがステラの事を人間だと思っていない嫌な奴だと思ってた。
いや、そうでいて欲しかったんだ。
でも違ってた。
考えてみれば当たり前だ。ネオって奴はステラが頼りにする人間だったんだから。
コイツは罪を受け入れ、いや違う。
本当はコイツも誰かに裁いて欲しかったんだ。
本心は殺されてもいいと思ってるかもしれない。
でも自分が死んだら悲しむ人がいるから、それも出来ずに苦しんで……
「なんだよ……それ……」
悪党でいてほしかった。自分に罪は無いって弁解するような下種でいてほしかった。
でも違ってた。
ネオ…ムウ・ラ・フラガは、こちらの憎悪さえ受け止めてくれやしない嫌な善人だった。
おそらくアスランにも何も言うなって釘を刺したんだろう。これは俺達2人の問題だって。
そうじゃなきゃアスランが何も言わないなんてありえないだろ?

それからアイツはステラの事を話だした。
俺の知らない事もたくさんあって、海が好きだったとか、実は観賞魚を飼ってたけど
世話は自分がやってたとか、そんな知りたかった事。
また、知りたくなかった事も教えてくれた。
スティングとアウルの事。ステラの兄貴分でステラと同じ苦しみを抱いていた。
でも、そいつらは俺が殺したんだ。そのことに関してアイツは殺さなきゃお前が殺されていた。
悪いのはあいつ等に戦わせた人間だって、それには自分も含まれるって言ってくれたけど、
俺は割り切れなかった。
それで終わり。
殴り続けることも出来なくなった俺はトボトボと帰った。
出迎えたアスランは、そんな俺を見て静かに笑った。
その後、珍しく気をきかせて俺を1人にしてくれた。
だから俺は泣いた。
もう泣くしかなかった。
あの男は俺に憎ませてくれなかった。
それまで感情のぶつけ先を怒りと憎しみしか知らなかった俺には残酷な仕打ちだった。
それどころか、意図しての事じゃ無いにしろ、いつ死んでもいいなんて考えてた俺に、
自分が死んだらルナが悲しむって気付かせてしまった。
そしてステラが産まれて俺は幸せになった。
まあ、その後、色々あったけどさ。
それから俺はアイツの事を少しずつ知る機会があった。
中でもアイツがネオになった原因とも言えるアークエンジェルを護った話は衝撃だった。
だってアイツは俺と違って大切な人を護ったんだから。
だから俺はムウ・ラ・フラガが苦手だった。
俺にとって絶対に許せない罪を持っていながら、俺以上にステラに懐かれ、
俺に出来なかった事をやりとげ、俺に憎しみ以外の道を示した。
そんなアイツの前では、俺は憎悪と感謝とが混ざった複雑な感情。
そして敗北感に苛まれるしかなかった。
そんな奴と今後どう向き合えば良いんだ? 
誰か知ってたら教えてくれよ。
「おい、キラ起きろ!」
「……え? トール?」
俺はゆっくりと目を開き周りを見渡した。そしてマリューと目が合う。
「なんか、お前に頼みがあるらしいけど……」
そうか、夢と現実逃避の時間は終わりだ。
「敵ですか?」
「え? ええ……貴方にはまたストライクに乗って欲しいの」
「わかりました」
「え! ちょっとキラ!」
トールが心配してくれる。だからこそ戦うんだ。俺は彼を死なせたくないから。
それに今はムシャクシャしてる。なんだか、久しぶりに本気で戦いたい気分だった。
それが惨めな男の八つ当たりだって事は承知してるけどさ。

「D装備! 正気かよ!」
出撃した俺はジンの装備を見て怒りと同時に呆れていた。
そんなものコロニーで使ったら、コロニーが壊れて……
「なるほどね。世界の滅亡を願ってたって……洒落じゃないってことかよ」
中立国の不正の証拠を掴んでおきながら、外交カードに利用せず、
わざわざ相手が敵対勢力に入る事を薦めるようなコロニーの破壊。
「中立国の存在意義を認めないって事だな」
ラウ・ル・クルーゼにとって交渉の場など不要ってことか。 
「だからって、やらせるわけには!」
アークエンジェルの守りにつくため、飛び上がったとたん俺を狙ってくるジンがいた。
「そーら、落ちろ!」
「落ちるかよ!」
俺は回避できたが、かわした砲撃がコロニーの地表を撃つ。
「このままじゃ……」
俺が目を離した一瞬の隙を突き、重斬刀でストライクに斬りつけてくる。
「チッ!」
D装備でこの動き? コイツ、速い!
「ええい! この前の借り返させてもらう!」
この前? ミゲル・アイマンか! どうりで……ん?
「イージス! アスランか!」
接近するイージスを警戒する。
そこにミゲルのジンが……
「今度の動きは迂闊だぞ! 魔弾!」
「なにぃっ!」
シュベルトゲベールを一閃させ、ジンを斬り裂いた。
最後の驚きの声は自分がナチュラル如きに敗れることへの驚愕か、
それとも俺が彼の異名を知っていることか。
どの道、彼は2度と話す事は出来ない。
そして、目の前には、おそらくはアスランが乗っているイージス……落すか?
今の俺なら、この頃のアスランを落すのは容易い。
だが、この人には色々世話に……
「キラ! キラ・ヤマト!」
「は? ちょっとアスラン?」
え〜と今は戦闘中で……
「やはりキラ…キラなのか?」
俺は先程アンタの仲間のミゲルを殺したところで……なんか思い出してきた。
ハイネとかハイネとかハイネとか……やっぱり殺しちゃお♪
そう思った瞬間、大地の崩壊が始った。
ヘリオポリスの最後だ。

「すごい……なんかヌルヌルしてきたよ」
僕が優しく揉みしだくとヌメリが出てくる。
「えへへ……でも、もうちょっと強く揉んでいいよ」
「そう? なんか壊れちゃいそうで……」
「平気だって♪」
「じゃあ、もう少し強く……うわっ、手がヌルヌルしてきた」
「お兄ちゃん、上手」
「そう?」
「じゃあ、次は塩を入れて……どうしたの?」
「いや、なんでも」
いや、別に会話の内容が淫靡だったから、もう少し楽しみたかったなんて思ってないよ。
今の僕はマユちゃんと夕飯の準備をしてる。
メニューはエビチリ。
こうやって海老を揉んでヌメリを出した後に洗い流せば海老のプリプリとした食感が増すらしい。
まあ、これからさらに手を加えるみたいだけど。
さて、本当は訓練をしなきゃいけないんだけどさ。
でもそうするとマユちゃんが1人になってしまうって問題に気付いてしまった。
こんなにお兄ちゃん子なのに可哀想だよね。
うん。そんなの酷すぎる。
だから僕は上手くマユちゃんを説得出来る方法を考えてるんだ。
でも名案が浮かばなくって……
だから残念だけど、凄く残念だけど、それまで訓練はお預け。
仕方がないよね。僕だって、やる気が無いわけじゃないんだ。
でも、可愛い妹のために僕は訓練出来ない。

仕方が無いんだよ。

続く

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