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第2話_「平和の国へ」

Last-modified: 2014-03-31 (月) 09:49:54
 
 

サイド7宙域を航行するエゥーゴの旗艦《アーガマ》ーーー
アナハイム・エレクトロニクスがエゥーゴの為に建造した
アーガマ級強襲機動巡洋艦のタイシップである。

 

その《アーガマ》に自らも乗艦しているブレックス准将は、
ハルバートン准将の情報からティターンズが
新型ガンダムの開発をしていた事を知った。
そしてティターンズが拠点としているサイド7・グリーンノア2にて
ティターンズの新型モビルスーツ・《ガンダムMk-II》を奪取する為の作戦を決行

 

紆余曲折はあったものの、アーガマ隊は無事に
《ガンダムMk-II》の奪取に成功し、グリーンノア2を離れていた。

 

「クワトロ大尉、《アーガマ》はどこへ向かってるんです?」

 

アーガマに設けられた回転式の居住ブロックにある食堂で
《アーガマ》のパイロット達は食事を摂っている
その大人たちに混じっている青い髪の少年、
カミーユ・ビダンは向かいに座る金髪のサングラスをかけた男、
クワトロ・バジーナ大尉に《アーガマ》の向かっている場所を聞いた

 

「ヘリオポリスだ。
君はグリーンノアに住んでいたならどういう所か分かるだろう?」
「ええ…分かりますけど。
どうしてそんなところへ向かっているんですか?
早くサイド7から離れた方が良いと思いますけど…」

 

クワトロは隠す事もなく淡々とカミーユの問いかけに応じる。
そんなカミーユはクワトロから目的地を聞いて率直な疑問を投げかける。

 

追手であるティターンズを振り切る為にもカミーユの言うように、
一刻も早くティターンズの拠点があるサイド7から離れる必要があった

 

しかし、《アーガマ》の向かう先はオーブ首長国という
連邦政府すらも介入する事が許されない中立国コロニーである

 

「そこにエゥーゴへ新たに参加してくれる連邦の部隊がいる。
ヘリオポリスに入り、彼らと合流する。」
「中立国に連邦の部隊?一体なんで…」

 

クワトロはさらりととんでもない事を言っているが、
カミーユ自身もそれは分かっていた。
さらに疑問を抱きクワトロに聞くと
色々とカミーユに情報が入ってきた。
カミーユがクワトロから聞いた事は、

 

ヘリオポリスにいる連邦軍部隊はエゥーゴへの参加を希望している。

 

中立国が連邦軍に協力しているのは彼らの部隊にのみであり、
他の連邦軍人や関係者すらも知らない極秘事項だという事。

 

そこで新造艦と新型モビルスーツが開発されていた事。

 

モビルスーツはガンダムタイプで全部で5機も開発されているという事だった。

 

クワトロから聞いた話はこの程度のもので、カミーユは驚きはしたが、何か釈然としなかったらしい。
そんなカミーユを見たクワトロ曰く

 

「灯台下暗しさ…」

 

という事らしい。
カミーユはクワトロからいきなりことわざをしたり顔で聞かされ、
これ以上聞くのはやめようと思った。
我ながら上手い事を言ったと勘違いをしているのか、
サングラスの下からもその表情を伺える程の満足そうな顔で、食事を終えたクワトロは食堂を出ていった。

 

「カミーユ、お前はまだ入りたてのルーキーだ。
知らないことがあって当たり前だ。」
「そうだな。これからその目で色々と見て行けば分かるだろうさ。」

 

同席していた《リック・ディアス》のパイロット、
アポリー・ベイ中尉やロベルト中尉は
状況が理解できていないカミーユに、そう言うとカミーユは
そんなものかと考えながら、食事に再び手をつけた。

 

「准将、もう少しでヘリオポリスに到着します。」

 

《アーガマ》のブリッジにある、
艦長席に腰かけている強面で髭面の男、
アーガマ艦長ヘンケン・ベッケナー中佐はちょうどクワトロと共にブリッジへやって来たブレックスに報告する。
ヘリオポリスはまだ肉眼では捉えられない距離だが、
光学モニターには筒状のオーソドックスなコロニーの形が確認できる場所まで来ていた。

 

「そうか。予定通りのタイミングだな。
向こうにはそろそろモビルスーツのパイロットが到着する頃だ。」
「しかし、ティターンズのお膝元のようなサイド7でよくもまぁやりますね。」

 

ブレックスの言葉に頷きながら、
顎の髭を摩りながらヘンケンが皮肉っぽく言うと、すかさずクワトロが言った。

 

「灯台下暗し…か…」
「周辺にティターンズらしぎ影は見当たりません。
このままの針路でよろしいかと。」

 

クワトロはまたしても、
したり顔でキマった…と思っていたが、誰もその事に反応はなかった。
そもそも、誰もがそう思っているからだったが
クワトロはそんな事にも気付かず
ジっとモニターに映るヘリオポリスを見ていた。
そんなクワトロを尻目にモビルスーツが足りない影響で、
ブリッジ要員として座るレコア・ロンド中尉がブレックスらに報告すると、
クワトロの言葉はロウソクの火が消えるかの如くかき消された。
レコアの報告にうんと頷くと、
ブレックスとヘンケンは淡々と言葉を交わす。

 

「ハルバートンは抜け目ないヤツだ。
ティターンズごときの目を欺くのは楽なものなんだろう。」
「そう言えば、准将はハルバートン准将とお知り合いでしたね。」
「まぁな。昔からの腐れ縁というヤツだ。」

 

ブリッジに静かに立つクワトロは完全な空気になりつつあったが、
当の本人は自覚していなかったようだ。

 
 
 

サイド1(ザーン)・プラント

 

プラントーーー
サイド1に所属する120基で構成される世界一の大コロニー群で、
ジョージ・グレンの告白を発端に、
弾圧や差別から連邦政府からの独立を宣言したコーディネイターや
ハーフ・コーディネイターそして第一世代のコーディネイターを産んだ
ナチュラル(非コーディネイター)で構成される、
総人口6000万人ほどの独立コロニー国家。
サイド1・40バンチのアプリリウス市以降は特殊な構造のコロニーで、
砂時計型の特殊な形状であり、それから連なる120基ものコロニーは、
アプリリウス市にあるコロニー公社が建造した。

 

プラント・首都アプリリウス市

 

静寂の漂うプラント本部の議長室の扉が開くと、
黒いスーツを着た秘書らしき女性が議長のパトリック・ザラへ報告をする。

 

「議長、クルーゼ隊からの報告であります。」
「ン…。それで?ヘリオポリスにあったのか?」

 

議長席に座り、机のコンピューターから手を離し
背もたれに体を預けて秘書の顔をチラりと見る。

 

「は。諜報部からの情報通りとの報告がありました。」
「…分かった。下がってよい。」

 

パトリックは一言だけそう言うと、
秘書はパトリックに一礼をして議長室を後にする。
再び静寂が訪れると、僅かにギシという音がかすかにした。
パトリックは拳を強く握り締め、眉間に皺をよせて一人呟く。

 

「…オーブめ…!どういうつもりだ一体…」

 

パトリックは中立国と謳うオーブが
連邦に加担したという事実に腑が煮え繰り返るような感覚を覚えた。
しばらく、その怒りを抑えながら考えこむと、
前首長の顔が浮かんだが怒りは少しづつ納まり、
パトリックは平静を取り戻し冷静に考えた。
ヤツが影響力を保っているのならば、
オーブにも何かしらの事情があったのだろうと考えた。

 

そこへ議長室の扉がノックされ、
パトリックは入れと施すと再び議長室の扉が開かれる。

 

「失礼いたします。テネス・A・ユングであります。」
「おお、ユングか。そういえば貴様は地球へ降りるのだったな。」
「は!!」

 

議長室に入ってきた男。
テネス・A・ユングは元連邦軍所属のパイロットで、
一年戦争時における敵機の撃退数は149機の連邦軍No.1のスコアを持つ男である。
コーディネイターの顔は整った顔に美形などが多いのだが、
彼は特殊な存在で、あらゆる能力はコーディネイターでも指折りだが、
顔はナチュラルと変わらない上に頭髪はやや後退気味。
その為、学生時代から平凡な顔の影響もあってか
居場所はここでは無いと感じ、
故郷を離れ連邦軍人を目指し地球へ降りた経緯を持つ。

 

「貴様には期待している。」
「は!良い報告をご期待下さい!」

 

ユングの言葉に頼む。と言うとユングは議長室を出て行った。
彼を見送るとパトリックは一人考え込むのだった。

 
 
 

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