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第38話〜だってテスト機だもん?〜

Last-modified: 2013-04-22 (月) 23:56:35

「それでは、ザフトが核を使えば、Nジャマー・キャンセラーの設計図、渡してもらえるんですか?」
「使い方によりますが、ザフトが核による一方的な虐殺を始め、オーブでは対処しきれない場合は
 そうなります。ザフトには核を使えば渡すと伝えてあります」
「なるほど……それなら結構です。これではザフトも使えないでしょう。信じましょう」
「あ、はい」
……あれ? 意外と物分りが良い。ついにオーブに来たブルーコスモスの盟主、ムルタ・アズラエル。
でも、予想に反して、Nジャマー・キャンセラーの件はあっさりと了承。
「それで、エネルギーに関してですが、原子力発電所の製作を手伝いましょうか?」
「え? それは…」
「正直、欲しいんですよ。エネルギーが……でも、オーブだって、戦後のこと考えたら無闇に建設なんて
 出来ないでしょ? 使わない発電所が多すぎてもねぇ?」
「は、はい。その通りですが……」
「ですから、こっちで作ります。ご安心なさい。Nジャマー・キャンセラーをつける段階になったら、
 ちゃんと引渡しをしますから。その代わり運営は責任持って下さいね。多めに作ると思いますけど」
「それは勿論……って、あの?」
「何です?」
「その、非常にご好意はありがたいです。本当に助かります」
「気になさらないで下さい。こっちもエネルギーが欲しいだけですから」
「……あの、思い切って訪ねますが、戦争の終結には…」
「まあ、いずれは止めないといけませんね……ですが、今は困ります」
「ですが、戦争さえ終ればエネルギーは!」
「アスハ代表の考えは理解できますよ。確かにエネルギー不足の解消は魅力的です。
 でもね……この後は?」
「……後?」
「ええ。ここで終れば、停戦じゃ無く、敗戦ですよ。ザフトに好き勝手されて、エネルギーが欲しくて、
 月が干上がるから戦争を続けられない。そういう事でしょ?」
「いえ! 違います!」
「違いませんよ。アスハ代表が、どうお思いになっても、コーディネイター、特にパトリック辺りは
 どう考えます?」
「そ、それは……」
「プラントは勝利したと報じるでしょうね」
まあ、たしかにプラント側は勝ったと思うよね……うん。反論の余地なし。
「困るでしょ? そうなって御覧なさい。もう世間じゃ、やはりコーディネイターは優秀で、
 ナチュラルは劣ってるって騒ぐ連中がわんさか出ますよ。ザラ派は益々ナチュラルを見下し、
 逆にクライン派は息を潜めるなんてことに」
「そんなことは……」
「どうです? 元ザフトの将軍としては?」
「……反論出来ませんな」
「バルトフェルド!」
「代表、ここでウソを言ってもしょうがないでしょう? アズラエル理事の予測は正しいですよ」
「でしょ? ですから、こちらとしてはザフトには少し痛い目に合って貰わないとね。少なくとも
 戦争をしたことを後悔するくらいには」
「後悔って……」
「勝ち目が無い戦争をしてしまったと、世間が認める程度には力を見せ付けないとね……もうすぐ、
 戦力は整いますよ。月が干上がる前に、全てのマスドライバーを取り返す事だって不可能じゃ無い。
 これからザフトは思い知りますよ。数の暴力と、野蛮だと見下していたナチュラルの底力を。
 そして、時代の変革……人の可能性をね」
「人の可能性?」
「ナチュラルだって捨てたもんじゃ無いって事です。それじゃあ、この辺で失礼しますよ」
なんだか、大物ぶって去って行く……生意気な。
「なんか、予想と違ったな」
アズラエルを見送った後、カガリが呆然と呟く。
「確かに変です。以前はもっと……」
ウナトさんまで首を傾げる。だよね。僕も会った事は無いけど、この人って頭がおかしい人って
イメージなんだけど……何があったんだろ?

第38話〜〜だってテスト機だもん?

「ようこそ。ルナマリア・ホークです」
「ニコル・アマルフィです」
「ディアッカ・エルスマン」
「……イザーク・ジュールだ。聞きたいことがある」
「何でしょう?」
「何故、俺達にテストパイロットなどをやらせる? 今がどんな状況か分かってるのか!?」
だよね。うん。私もそう思うな。でも本当の事を言うわけにはいかないし……
「イザーク、落ち着いて!」
「そうだぜ。それに新型って言えば、高性能なんだろ? 上手く行けば実戦に引っ張っていける。
 お前にはデュエルがあるだろうが、俺達はな」
「それにデュエルだって、随分とダメージが溜まってる筈です。ここらで乗り換えた方が良いですよ」
「だったら、他の奴にテストをやらせてから持って来い!」
「え、え〜と……そう言われましても……」
……まあ、我が侭ぽいけど、正論ではある。困ったな……
「何だ!?」
……そうだ!
「もし、嫌だと言うのであれば仕方がありません。他のパイロットを探します」
「そうしろ! 全く、いつ連合の反撃があるか分からんと言うのに……」
「申し訳ありませんでした。私も、ある人物に紹介されて、深く考えずに上層部に依頼してしまいました。
 反省します」
「まあ、良い。どうやら馬鹿は貴様でなく、その人物らしいな。まったく、誰なんだ? その馬鹿は?」
「ラクス様です」
「……………にゃんだと?」
噛んでる。噛んでますよ。イザークさん。
「私、ラクスさんと親しくしていて……」
「おお! そう言えば、何処かで見たことがあると思ったらパンツ娘?」
うわ! 傷付いた! せっかく忘れかけてたのに!
「ディ、ディアッカ……その呼び方は……」
「おお、ワリイな。でも、なるほどな。それで親しいんだ?」
「いえ。それ以前からお付き合いさせてもらってます。それで今回の件をラクス様に相談したところ
 イザークさんの名前が……」
「お、俺のにゃまえが!?」
「はい。凄く頼りになる男性だと……そう言って推薦されたのですが」
「本当か!?」
ゴメンナサイ! ウソです!
「ええ。そう言ってましたが……本人が嫌なら仕方がありません。ラクス様には…」
「待て! やるぞ! テストパイロットだろうが、実験体だろうが何だってする!」
「イザーク……」
「貴方って人は……」
「よろしいのですか?」
「任せろ!」
本当にゴメンナサイ。でも、その内シホさんを呼びますから、それまで淡い夢に縋っていて下さい。
……むしろ悪い夢?
「では、MSのところへ案内します」
気を取り直して、MSのところへ向かう。
「なあ、、ところで何でミニスカなんだ?」
「似合うでしょ?」
「そういう問題じゃ無いと思いますが?」
「何か問題あります?」
「いや。問題ない♪」
さすがディアッカさん。話が分かる。
「さて、着きました。説明します」
変な会話をしてるうちに目的地に到着。早速説明開始。
「基本的に、ジャスティスの装備の運用テストと同時に、その装備に特化したMSが、どれほどの
 性能を持つか、実戦で使えるかのテストになります」
「たしか、目的別の装備に固定したら、換装するよりも、性能が上がるのではないか?……ですよね?」
「はい。そこでゲイツをベースにしてるんですが……まず、ニコルさんに任せたいのがこれです。
 基本は火器運用試験型と同装備ですが、ファトゥムの翼にビームブレードが追加で装備されてます」
「へ〜、ビームライフルにレールガン、ファトゥムのビーム砲と2本のビームサーベル。バランスが
 良いですね」
「ええ、それにファトゥムの操作で残りの2機の援護も期待されてます。特にディアッカさんの機体は
 大気圏内じゃ飛べませんから」
「状況によっては、僕が地上で援護、ディアッカに空中戦をさせるんですね?」
「まあ、その辺の運用は任せますけど」
「わかりました」
「次にディアッカさんの機体ですが、基本的にジャスティスのバスターパック。名前の通りバスターと
 同じ武装です。使いやすいでしょ?」
「ああ。連結も出来るんだな?」
「はい。ただ、本家のバスターと違って両方ともビーム砲です。収束砲と拡散砲。そして火器運用型は
 フリーダムと同様、サイドアーマーに折りたたみ式のレールガンが付いてるんですが、この機体だと
 背中のビーム砲の動きに干渉してしまいますから、肩部に移動しています。ですから、腰のサイドアーマー
 は、小型スラスターのみ。
 代わりに肩のアーマーを大型化してスラスターも大きくしました。それにレールガンの威力も
 折りたたみ式のクスィフィアスより威力があります」
「随分と支援に特化したな」
「ちょっと違いますね。支援なんて威力じゃありません。殲滅用MSです。全ての武装がバスターより
 2ランクほど上の威力だと思ってください。おまけに速射性も上です」
口笛を吹いて感嘆する。まあ気に入ってくれたみたい。
「そして、イザークさんには、コレ。背部はジャスティスのフォースパックを装備しています」
「その羽はエールに似ているが?」
「もっと優れものですよ。宇宙空間での運動性も高い上に、大気圏内で単独飛行が出来ます」
「ほう……」
「それ以外の特徴として、ジャスティスのソードパックのテストも兼ねてるので、大型ビームソードを
 翼の下に付けてます。それにアンチビームシールドを肩に直接付けてます。
 副腕で保持してますから、かなり広い稼動範囲があり、しかも攻撃の際に干渉しません。両手に
 武器を保持したまま咄嗟のガードに対応できます」
「良いじゃないか。それにビームライフルとサイドアーマーのレールガンで中距離にも対応してるか。
 問題ないな」
「でも、これって全機、PS装甲ですよね?」
「はい。そうですよ」
「凄いな。これならすぐに実戦に出せるんじゃねえか?」
「いや……それよりバッテリー、持つんですか?」
「………テスト機ですから」
「「「待て!」」」
うわ! 息ピッタリ! でも、本当の事は言えないし……これって、ラクス様が言うにはザフト反攻の
切り札にするらしいし……

家に帰った後、キラさんにアズラエルの事を相談された。確かに予想外の反応だな。
「ふ〜ん、アズラエルがね」
「うん。以外にあっさり認めたっていうか……でも、停戦には応じてくれない考えみたいだね」
「まあ、アイツの考えは正論さ。ここで引き下がれないってのも理解は出来る」
「でも、それで戦争が続くのは……」
「俺だって、それは不満さ。でも、この状態で停戦してもな……ブレイク・ザ・ワールドの代わりに
 どっかのプラントが核で攻撃されて戦争再開になるのがオチだろ?」
「……不満の爆発ってやつ?」
「そうさ。やられっぱなしじゃな……その辺をカガリには考えて欲しいんだが」
「難しいよね。それが一番」
そう。それが一番難しい問題。ここで停戦したところで、根本的な解決にはならない。
「何処までやっても、一緒かもしれないけど……」
「憎しみが深まるだけじゃ無いかな?」
「そうだな……」
俺に何が出来る? 分からない。今の俺は最高のコーディネイターの身体だ。それで何が…
「お兄ちゃ〜ん、キラお兄ちゃ〜ん、テレビにラクスが出てるよ」
瞬時にテレビ前に移動!
「「イエェ〜イイ♪」」
か、身体が勝手に……歌に合わせて踊りだす俺とキラさん…………
「本当に2人とも好きだね……って、元気ないね?」
「いや……」
「気にしないで……」
やはり酷くなってる。おそらくは洗脳装置で刷り込まれたラクスの魅力は一種の麻薬みたいなもの。
それゆえ、抜け切る前に激しい欲求が現れてるんだろうとは思うけど……
「馬鹿野郎……」
「本当にゴメンって」

続く

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