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鉄《クロガネ》SEED_1-4

Last-modified: 2008-02-28 (木) 20:27:42

落ち着け……

集中しろ……

敵の動きを読め……

右腕がぶれた、ビームガン狙いか!!

その一瞬の思考の後、右腕に装備したガイアのビームライフルから閃光が迸る。
インパルスは上体を反らしビームを回避する、直後に敵機後方からミサイル!!
すぐさま間合いを取ると胸部のバルカン砲で迎撃するが、一瞬の隙を突きガイアが突進、
スラスターによりスピードの増したタックルを胴体部に食らったインパルスは衝撃に耐え切れずに吹き飛ばされた 。

 

「ぐはぁっ!!」

 

凄まじい衝撃とGに揺さぶられ意識がふき飛ばされそうになる……
が、何とか堪え体勢を立て直すとビームガンでけん制、機体を物陰に潜ませると、ふらつく視界の中各部のダメージチェックを行う 。

 

「エネルギー残量残り30パーセント」

 

流石に強い、幾ら不意を突かれたといえ守備隊を壊滅させただけのことはある。
しかも相手は三機、素性不明の助っ人がアビスを引き受けてくれたが、
それでも残った二機をこの状態で相手にするのは、『分が悪い』を通り越して『無謀』の域だ。

 

「やっぱり『シルエット』が無いと……」

 

瞬間、敵の接近を告げるアラームが鳴り響く。すかさずレーダーをチェック、気を抜き過ぎだ!!
シンは自分を叱咤する……

 

「敵は…… 上か!!」

 

咄嗟にスラスターを駆使し機体をスライドさせると、先程まで潜んでいた場所にビームサーベルを構えたガイアが着地した 。

 

「マズいっ!!」

 

インパルスはビームガンを構えるようとしたが、ガイアは既にこちらへのロックを完了していた。
コクピットハッチにライフルの銃口を向けている…… どうやらパイロットだけを焼き殺して、機体は持ち帰りたいらしい、

 

「畜生…… ここまでかよ……」

 

シンは恐怖と悔しさの入り混じった目でその銃口を見つめていた……

 

…なによ、もう諦めるわけ?アンタらしくも無い…

 

通信機から聞き覚えのある声が聞こえた。
直後に、多数のミサイルがガイアに向かって放たれ、ガイアがインパルスから飛び退っていった。

 

「苦戦しているようだな、シン、手を貸すか?」

 

インパルスの頭上を飛び越えて、白と赤のMSがガイアとカオスの前に立ちはだかる。
シンはその機体の主たちをよく知っていた。いや、わからないはずが無い!!

 

「レイ!! ルナ!!来てくれたのか!!」

 

仲間たちの援軍にシンは思わず声を上げる。

 

「あたりまえでしょ? あの程度の攻撃であたしが死ぬはず無いでしょ?」

 

ルナマリアが強気に答える

 

「その割にはシンが劣勢になっていた時にはかなり慌てていたがな」
「あ、あれは同僚としての心配よ!!」
「フッ…… そういうことにして置くか」

 

レイの補足に、ルナマリアがあわてて取り繕っている

 

「くっ… ははっ……」

 

シンはいつものやり取りに思わず苦笑を漏らす。
と、その声に気が付いたように、ルナマリアの『ザク・ウォーリア』がシンのほうを向いた 。

 

「あっ、そうそう。シン、例の『あれ』の準備が完了しているから、準備宜しくだって」

 

そう伝えるとガイアとカオスの二機に向き直り背中に装着したビーム砲を展開し腰だめに構える

 

「ドッキング中は俺達が援護する、気楽に行け」
「わかった!! 二人とも頼むぞ!!」

 

シンがインパルスを後退させるのを確認すると、それぞれ手に持った火器を迫り来る二機のG型に向けた 。
これから何が起きるのか、どうやら敵も感づき始めたようだ……
目の前のザクより奥に下がったインパルスに攻撃を集中させたいらしい 。

 

「悪いがそうはいかん……」

 

レイは静かに呟くと背部に背負ったランチャー安全ロックをはずす。

 

「来るぞ、ルナマリア!!」
「悪いけど、ここは通行止めよ!!」

 

レイとルナマリアは
シンはレーダーに目を通す、接触まであと5・4・3・2・1…… 今!!

 

「いくぞ!!」

 

スラスターと緊急用ブースターを一気に吹かし、後方から来る飛行機の様なユニット、
『シルエット』と高度を合わせ、背部から発するガイドビーコンを飛行形態の『シルエット』にむけ照射、
レーザーを受けた『シルエット』は形を変えMSのバックパックのような姿となる。
そのまま一気にドッキング……成功!!
VPSアーマーが再展開、白い外装が赤く染め上がりエネルギー残量を示すパワーゲージがレッドからグリーンへ。
兵装チェック…… 対艦刀を選択。
背中から20メートルはあろうかという巨大な鉄の塊を両手で構え、戦線に復帰するべくインパルスはその推力を全開にして跳んだ。

 

「どうやら、成功のようだな、特殊な才能も無しにマニュアルで合体させるとは…… 少佐達が目を付ける訳だ」

 

紅く染まったインパルスが巨大な剣を手に猛然と飛ぶ姿が映るモニターを見たユウキ・ジュグナンは、誰にともなく呟いた。

 

「さて、此方も手早く済ませるとしよう」

 

目の前の蒼いMSは、その装甲の特性故に外見に目立ったダメージが見受けられないが、
装甲を付けられない関節などを集中して狙った為、動作に若干のブレが見てとれる。
いくら装甲が良かろうと動きを止めればこちらの勝ちだ …運が良ければ三時の紅茶に間に合うかもしれん。

 
 

「くそっ、何なんだよコイツ!!」

 

アウルの駆る『アビス』は砲撃戦と水中戦に特化した重戦闘MSであるが、機動性も並の機体を凌駕するポテンシャルを秘めている。
そのアビスが目の前の『戦車のようなMS』というより『立ち上がった戦車』に一発の砲弾も当てられないのだ。
特出した機動性を持つわけでもなく、此方のFCSのエラーでもない
……ただ攻撃が『当たらない』のだ。

 

「ちょこまかとっ!!」

 

アビスの肩のリニアキャノンが連続で火を噴く、『戦車モドキ』は足についたクローラーで滑るように避ける。
確実に当たると踏んで放った一撃も、スラスターと慣性を駆使して射線をずらされる……
まるで自分の頭の中を読まれているような錯覚を受けるほどの動きの正確さに、アウルはさらに苛立ちを募らせる。

 

「このっ、何でっ、当たらないんだっ!!」

 

その焦りが隙を生む…… そしてその隙を見逃す程の甘さを『戦車モドキ』のパイロットは持ち合わせていなかった。

 

「フォールディング・ソリッドカノン展開……」

 

一気に距離を詰めると、肩の砲身を展開、至近距離からリニア弾を叩き込んだ!!
いくら衝撃に対しての圧倒的な防御を誇るVPSアーマーでも至近距離からの大質量を高速で受ければたまったものではない。
機体の腹部、高出力ビーム砲の発射口を潰され、機体のあらゆる箇所から警告が出る。

 

「アウル、聞こえるか? 撤退だ!! これ以上はもたない」

 

スティングの切羽詰った声が聞こえる。朦朧とする意識の中、アウルはコロニーの外壁にその砲身を向けた……

 

「戦車モドキ…… 次は…… 僕が、この手で……」

 

トリガーを引く、アウルの意識は暗闇に引き込まれていった。

 

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