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鉄《クロガネ》SEED_Another side

Last-modified: 2008-02-28 (木) 02:34:59

Another side

 

雷の舞う豪雨の中を鳥が飛んでいる……
神話の時代に棲むような巨大な鋼の鳥は背中に鋼鉄の騎兵を乗せたまま大洋も東へ渡ってゆく
その後方を二機の機体が追う…… 白い機体と青い機体の二人の巨人。
白い機体は空から、青い機体は海からそれぞれ巨鳥『ウィングガスト』を追い続ける……

 

「きゃあっ!!」

 

追ってからの攻撃と時折降りかかる稲光に身を竦める少女を後部シートに乗せたまま、イルムは鬱陶しいこの状況を神に感謝していた。

 

「やっぱりアレか? あの子と内緒でアドレス交換したのが良くなかったのか!?
 それともあっちの子と食事をしたからなのか? そうなのか!? リーン!!」
「何ぶつぶつ言ってるんですか!! それより如何にかしないと……」

 

機体の上に乗るダガーのコクピットからツッコミが入る。
彼のダガーはしばし後方を向いてライフルを撃つが、空中を自在に動き回る敵には余り有効打に至らない。

 

「くそっ!!見つからないように悪天候を飛んだのがアダになったか」

 

イルムは小さく舌打ちをすると、センサーがアラートを報告した。

 

「氷ぃ!?」
「ぶ、物理学的にありえませんよ!!」

 

見ると、白い機体の周囲から氷の塊が出来ている…… 摩訶不思議な現象にキラは半パニックに陥っている

 

「落ち着け、世界には馬に変形するロボットだって、居るんだぞぉぉぉ!!」

 

叫びと共に押し寄せる氷塊を超絶な軌道で避け続ける。
何とか抜けきった瞬間、今度は青い機体が海面から飛び上がり両手から赤い刀身を発露させ、ウィングガストの正面から切り込んできた。

 

「イルムさんっ!!」

 

ライフルを捨て青と金の装甲板を蹴る。
キラの紺色のMSが二機の間に割り込み刀身が機体に接触する直前に腰のビームサーベルを抜き放ち相手の刀身を受ける。

 

「このっ!!」

 

パワーは向かうが上だと判断したキラはとっさにダガーは敵の胴体に蹴りを入れる。
すかさずバランスを崩し、海面に叩き落される青い機体。
キラはブーストを吹かし再びウィングガストの上に乗る。

 

「畜生、これじゃあキリがねえ」
「イルムさん、僕に考えがあります……」

 

そう言うとキラは自機を後方に飛ばす。
ブーストしたまま後退させる。
直後に凄まじいスピードで後方から二機の追跡者が自分を追い越してゆく……
互いに音速に近い速度で鬼ごっこをしていたのだ、機体が後退すれば離される速度は速くなる!!

 

「「!!!」」

 

キラは意識を集中させる。
とたんに視界がクリアになり、敵と味方の位置、予想される進路、
そして「どこをどう撃てば確実に殺せるか」まではっきり理解できるようになった。
超絶な速さで敵を捕捉すると、腰部のホルスターからイングラムタイプの形状のビームマシンガンを2丁取り出しそれぞれフルオートで連射した。
虚を突かれた形の二機はビームの嵐をもろに受ける形となってしまったが……

 

「そんな…… あれだけのビームを受けて、ぜんぜん効いていないじゃないか!?」

 

すぐさま二機は同時に反撃に講じようとする、が

 

「ブゥゥゥストナッコォ!!」

 

またも後方から巨大な拳が襲った。
二機は空飛ぶ鉄拳をかわすと、その方向からウィングガストがを追い越しキラを回収すると、そのまま東へと飛び退っていった…

 
 

「逃げられたか……」

 

白い機体のパイロットは氷のような冷たく、美しい声で呟いた

 

「これがラストチャンスな訳じゃない、そう悔しがるな」

 

青い機体のパイロットはそんな相方を労るように応じる

 

「だが、再び合うことが確定されたわけでもな。なぜそんなに落ち着いていられるのだ?」
「何故だろうな…… 俺にも良くわからないが、彼らとはまたどこかで合間見えるような気がするんだ」

 

疑問を含んだ問いに男は悟るように言う

 

「ジョシュア…… 人間は不思議だ。不確定事項を何故そんなに信用できる?」
「ラキにもいつか解るようになるさ」
「そうか…… ジョシュアが言うのなら、きっとそうなのだろう」

 

それだけ言うと、二機はきびすを返し彼らとは異なる方向に飛んでいった。
雨はすっかり止み、雲間から太陽が顔を覗かせていた……

 

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