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天野平和科学研究所にて

Last-modified: 2014-02-19 (水) 23:56:55

「オーライ、オーライ! もうちょい右!」
崖の上からメガホン片手に誘導するケンタの声に従い、シンは慎重に操縦桿を動かしていた。こういった類の精密な操縦をするのは実は初めてだ。慣れない機体ということもあり、掌に汗が浮かんでいる。
トラックの中では頭から血を流している運転手が気絶している。早く救助しなければ命が危ない。
「シンさん、頑張るッス!」
「だ、大丈夫かな、アイツ…」
ロボット形態のエースバロン二号機は、引っかかった木から慎重にトラックを外す。
「よし……!」
そのままの体勢で、できるだけGがかからないように最小限のジェット噴射で空中に飛び上がると、制動をかけてゆっくりと崖の上の道路に着地する。
膝をついてそろりとトラックを下すと、待機していた国枝女医以下、救急隊員がトラックに駆け寄り、気絶している運転手を引っ張りだして担架に乗せる。
「大丈夫、今ならまだ助かるわ。
急いで病院へ!」
「はいっ!」
サイレンを鳴らして走り去る救急車を見送り、シンはホッと息を吐いた。
「シン兄ちゃん、ミラクル格好良かったよ!」
「そうか…? でも、助けられて良かった…」
一人の人間の命を守れた安堵感と充足感がシンを満たす。
「よーし、後はお前ら下がってろ。これから現場検証するからな」
「佐津田さん、交通事故も担当してるの?」
「何いっとる。俺は忙しいんだ。この先にある山荘に用があるんだよ。
おまえら、任せたぞ!」
佐津田は交通課の刑事達を振り返ると、自分はパトカーに乗り込んだ。ドアを閉める前にケンタを指でちょいちょいと呼ぶ。
「おい、あの火鳥とかはどうした? 今日あのロボットを操縦していたのはヤツじゃないのか?」
「火鳥兄ちゃんはまだ帰ってきてないよ。あの人はシン・アスカさんって言うんだ」
ケンタはちょっとだけ上を向いて鼻の下を指で擦った。
「うちのミラクル新人レスキュー隊員だよ」