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00-W_土曜日氏_102

Last-modified: 2009-05-19 (火) 20:19:59
 

♪オー オー オー ダブルオー
 コーラサワー 123……2000回模擬戦だ
 アニメを揺るがす 超兵士コラ
 奇跡の戦士だ コーラサワー ブイ
 コーラサワースペシャル コーラサワー旋風 コーラサワーボイス
 見たかコーラの 必殺の技
 愛情込めて カティを呼ぶぜ
 我らの 我らの コーラサワー ブイ!♪
(原曲:コン・バ○ラーVのテーマ

 
 

 新たなる軌道エレベーターの建設、その予定地(海の上)にプリベンターは来ていた。
 アザディスタンの事件以降、通常の業務に明け暮れる彼らであったが、相変わらずコーラサワーはコーラサワーで結婚を控えている以外は特に変わりはない。
 変わりがあっては困るのだが、だいたい損な幹事、じゃないそんな感じである。
 はい、あらすじ終了。
 ん、誰だねあらすじになってないとか言っている人は。
 まぁとにかく、そこでコーラサワーは窮地、じゃない旧知の人物に会ったというわけですとさ。
 よほほい。

 

   ◆   ◆   ◆

 

「よー、久し振りだなー」
「あ……貴方は!?」

 

 調査隊というのは、そもそもがお偉いさんたち学者さんたちであるわけで、つまりはそれなりにお歳を召された方々である。
 最年少でもだいたい30過ぎ辺りだが、コーラサワーが声をかけたその人物は、明らかにその年齢に届いておらず、20を越えたちょっとの外見だった。
 つーか、男ではなかった。

 

「看護婦のねーちゃんじゃねーか。何でこんなところにいるんだ?」
「コ、コーラサワーさんこそ、ここで何をしておられるんですか……?」

 

 あ、もう答え出ちゃった。
 そう、コーラが見つけた知り合いとは、まだ一期の放映中の頃、ここの物語の中でちょいちょい出ていたあの『看護婦さん』だった。
 当時は事あるごとに入退院を繰り返していたコーラさんだが、現在はとんとご健康になられ、お怪我の一つもなされない日々であるからして、自然と出番がなくなってしまった彼女である。
 つーか勢いと展開の関係でポッと出し完全にオリジナルなキャラですしね、看護婦さん。
 かなり本編のキャラも引きずりこんできたことだし、そうそう出張らせるわけにもいかないわけです。

 

「何って、仕事だよ仕事、プリベンターの」
「そう言えば……プリベンターの皆さんが来てるんでしたね」

 

 思えば最後に彼女が出たのは果たしていつであったのか。
 一年以上前なのは確かだが、細かいことは遥か過去に流れた時の大河の中である。

 

「で、ねーちゃんは何でここに?」
「私もお仕事です」
「仕事? ねーちゃんも調査隊のメンバーなのか。看護師やめたのか?」
「いえ、そうじゃないです」

 

 看護婦のねーちゃん曰く。
 調査隊は当分の間現地(海の上のベース)に滞在するわけで、そうなると色々生活に関して専門スタッフが必要になってくる。
 体調管理のための医療メンバーは特に重要であり、それに自分が選ばれた次第である、とのこと。

 

「へぇ、すげーじゃねーか。選ばれるってことはそーゆーのに適性があるってことだろ?」
「……院長先生が、私を推薦したらしくて」
「すげーすげー」
「半分以上はコーラサワーさんのせいで……おかげだと思います」
「へ?」

 

 彼女はコーラサワーが最初に入院した時、就職したての若手中の若手だった。
 ほとんど人身御供的にコーラサワー番にされちゃったのだが、それ以降どうやら病院の方でイロモノ的仕事……もとい、幅の広い仕事に向いている人材とみなされたようで、コーラサワーが病院のお世話にならなくなった後も、問題のある患者の当番に回されたり、今回みたいに外に出されたりと、まぁ色々とご苦労なさっている様子。
 初めてうったパチスロが大量獲得ST機か裏モノでいきなりドハマリの末に天井に連れてかれてしかも単発REG、みたいな人生と表現してはちょっと可哀想過ぎだろうか。
 うむ、わからん人にはわからん例えであるな、失礼。

 

「はー、まぁとにかく医療スタッフとしてここに来たってことだな?」
「ええ、そうです」
「で、ねーちゃんが来てるなら医者も来てるはずだよな? 何処にいるんだ?」
「……私と一緒に来た医師は、船酔いでダウンしてます」
「ダメじゃねーか、おい」
「ダメだと思います、はい」

 

 何でも着くなりオエオエやってぶっ倒れてしまったとのこと。
 船の上ならともかく、ベースの上で酔うとなるともはやこれは揺れに弱いというレベルではない。
 彼女と違い、明らかに不適な人事であろう。

 

「しかしわかんねーもんだな、こーいうところで会うなんてよ」
「そうですね」

 

 クスリ、と看護婦は微笑んだ。
 ここで笑えるのは、彼女の中にある程度の余裕が生まれている証拠であろう。
 かつてはコーラサワーが入院する度にヒドイ目にあってぴぃぴぃ泣いていたわけだが、それらの日々は確実に彼女の糧になっていたわけだ。
 先程の例えの続きになるが、「最初がアレだからいくらハマリを喰らっても平気だぜ」というわけ……いや、糧じゃないなこれは。

 

「あ、そうだ」
「? 何です?」
「いや、ねーちゃんにも世話になったことだし、招待しねーといけないなと思ってな」
「招待……? お食事か何かですか?」
「いや、結婚式」
「けっこん、しき……?」
「そう、スペシャルな俺と、カティ・マネキン大佐の」

 

 ひゅう、と一陣の海風が二人を包むように吹いた。
 コーラサワーの前髪が揺らされ、彼はそれが目に入らないように、目蓋を瞑る。
 なので、彼は見なかった。
 結婚するという話を聞いた後の、前に立っている、ようやく少女の面影が取れつつある彼女の表情の一瞬の変化を。

 

「……おめでとう、ございます」
「おう、まったくおめでたいぜ!」
「式は、いつ……?」
「六月だ」
「そうですか……」

 

 また、風が吹いた。
 看護婦は頷いた。
 そして、笑った。

 

「申し訳ないですけど、多分出席出来ないと思います。六月いっぱい、別のお仕事でアフリカの方にいかなければならないので」
「そーか、そりゃ残念だな」
「ええ……。でも、本当におめでとうございます」

 

 ではお元気で、と頭を下げると、彼女はコーラサワーの前から離れた。
 いつの間にか、調査隊の列はベースの端の方へと移動していた。

 

「じゃーまたな、ねーちゃん!」

 

 コーラサワーの言葉に、彼女は立ち止まり、振り向くとまたペコリと頭を下げた。
 そして歩きだし、二度と振り返らなかった。

 

 これが、コーラサワーと彼女が、最後に対面した機会となった。
 この先、彼女は世界中の被災地、貧困地域を飛びまわって救済活動にあたり、『現代のナイチンゲール』と呼ばれるようになる。
 100歳を前に死の床を迎えた時、彼女は最後にこう呟いたという。

 
 

 神よ、このように素晴らしい人生をお与え下さったことに感謝します、と。
 私が関わった人たちが、その子供らが、孫らが、いつまでも元気でありますように、と。

 
 

 プリベンターとパトリック・コーラサワーの心の旅は続く―――

 

 

【あとがき】
 連休は体調崩して寝てましたコンバンハ。
 オリキャラはほったらかしで扱いが面倒になる前にスパッと消化サヨウナラ。
 忘れてたわけじゃないんですよ本当ですよ信じてくだ(ry

 
 

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