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00-W_土曜日氏_105

Last-modified: 2009-06-03 (水) 17:27:50
 

♪砂漠の空に 彼は何を見たのか
 届かぬ本部に 彼は何を聞くのか
 純粋なままで 生きているから
 その手で夢を 掴めるはずさ

 

 コーラサワー コーラサワー
 魂よ 魂よ イヤッフ弾けろよ
 コーラサワー コーラサワー
 そいつが 不死身の エースさ

 

 コーラサワー コーラサワー
 そいつが 幸せの エースさ♪
 (原曲:ザ・チ○ンバラ

 
 

 『天下の副将軍』って俗称で正式なものじゃないそうで。
 それでもまあ一般には通じていたようなので、つまりはコーラサワーの自称エースと似たようなもんかと。
 何だ、水戸○門ってコーラサワーなんだね!
 水戸○門は通算で1000話を超えて、コーラは模擬戦2000勝だ!
 凄いや!

 

 と、いうことにしておこう。
 反論は印籠の力で封殺です。
 控えおろうフラグ折ろう。

 

   ◆   ◆   ◆

 

「……さて、次の刀を見てもらおうか」
「いったい何本あるんだよ、おい」

 

 プリベンターは今日は暇ではなかった。
 いや、具体的な仕事がナイという意味では暇ではあるのだが、時間を持て余しているわけではなかった。
 何しろ。

 

「これぞ五郎入道正宗の作、セキガハラバトルでミナモトヨシツネが振るったという長刀だ」
「明らかに偽物と一発でわかるな」
「ヨシツネはこれを構え、襲ってくる敵をばったばったと八艘飛びで」
「八艘飛びというより発想飛びだ」

 

 仮面の天使、じゃない仮面の戦死ことミスター・ブシドー、
 つまりはグラハム・エーカーさんが所有している刀の自慢会を開いていたので。

 

 事の発端は今日の朝、出勤の時点にさかのぼる。
 はよーす、と皆が顔を合わせたところで、ブシドーエーカーさんがご自身の趣味の品を大量に持って参上仕った次第。
 それだけ。
 いや、本当に深い理由なんてないんですってば、あのブシドーグラハムさんですよ?
 持ってる刀について講釈したい、彼がそう思ったからであって、他に何ら事情があるわけおまへんがな。
 彼とコーラサワーに前フリなんて言葉は八割八分存在しません。
 見る前に飛べ、を常日頃から無意識に実践している二人であるからして、ハイ。
 迷わず行けよ行けばわかるさ、ってやつですな。
 何か違う気もしますが。

 

「その後、数多の武士、商人、政治家の手を経て、とある銀髪長髪の剣士の手に渡ったとされる」
「なんじゃそりゃ」
「そして今は私が所有している、といわけだ」
「胡散臭過ぎてどうツッコンだらいいかわからん」

 

 グラハム先生の私流刀剣教室を聴講しているのは、いつもの面子である。
 ヒイロ・ユイ、デュオ・マックスウェル、トロワ・バートン、カトル・ラバーバ・ウィナー、張五飛、そしてヒルデ・シュバイカー。
 レディ・アンは相変わらずいない。
 つーかあの人、自分の執務室ばっかりで本部の方にほとんど出てきやしない。
 最終回までに喋れるのかしら、あの人。

 

「そしてこれが、中曽根虎徹」
「……長曽禰じゃなくて?」
「本物の証明に、在銘品だ」
「ダメじゃん」

 

 虎徹はとても贋作が多いことで有名だそうな。
 銘があるものはほぼ十割パチモンで、刀剣商の間では「虎徹を見たら偽物と思え」という鉄則まであるらしい。

 

「しかも聞いて驚かないほしい。あの新撰組局長の近藤勇が持っていたものだと言われている」
「ますますダメじゃん」

 

 近藤勇の虎徹はニセ虎徹というのが通説である。
 それでも名工・源清麿の無銘刀という話もあるので、名刀っちゃ名刀には違いないらしい。
 まぁそんな博物館級のものがグラハム先生の手元に簡単にやってくるわけないし、しかも「これは近藤勇が使っていたものと言われていましてねイヒヒヒ」なんて売り文句、余程質の低い詐欺師でも使わないバッレバレのレッドな嘘であるからして、結論から言うとグラハム騙され過ぎ、と。

 

「別名、“月の輪の雷蔵”とも言われる一流の刀だ」
「それは虎徹じゃなくて小鉄だろ」

 

 トラのふんどしヒグマのパッチ。
 関西地区しかわかりませんかそうですか。

 

   ◆   ◆   ◆

 

 マイスター運送。
 ブラックキャットな宅○便などと違い、少数の職員で営まれているこの運送業者の知名度は高くはない。
 とは言え、小さなものから大きなものまで、受けた依頼に関してはミスのない優良な会社である。

 

「次、Y57ブロック三丁目のヤマダさん家へ向かう。お届けの品は田舎からのミカン一箱」
『刹那、交通事故が付近の道路で発生。まっすぐ向かうと渋滞に巻き込まれる恐れがあるわ』
「了解。代替ルートの情報を転送してくれ」

 

 刹那・F・セイエイ、彼はマイスター運送のドライバーの一人である。
 マイスター運送は優秀な運転手を抱えており、彼をはじめ、ロックオン・ストラトス(兄)、ロックオン・ストラトス(弟)、アレルヤ・ハプティズム、ティエリア・アーデといった面々は、その気になればF1だってサ○バーフォーミュラマシンだって軽々と操ることが出来るだろう。

 

『刹那、ヤマダさんの次はU79五丁目のカトーさんのところね?』
「そうだ」
『なら、そこから次の十字路を右折、南東からラフレシア・ロードに入ってF91ブロックの方へ向って』
「ラフレシア・ロードに?」
『ラフレシア・ロードは現在空いているし、そこからならUターンの必要がなくなって時間のロスが省けるから……』
「了解」

 

 刹那と通信しているのは、同僚のフェルト・グレイス。
 本来は会計担当なのだが、何分こじんまりとした会社ゆえ、色々な業務をこなさなければならない。
 で、こうしてドライバーたちに道路情報を教えるのも彼女の仕事の一つというわけだ。
 クリスティナ・シエラ、リヒテンダール・ツェーリといった面々も同様で、色々な業務を兼任している。

 

『……刹那、刹那?』
「何だ」
『ちょっと……緊急の用件が入ったみたい』
「緊急?」
『ええ、スメラギさんが戻ってこい、って』
「時間は?」
『一時間以内』
「了解。次の配達を終えたら帰社する」
『気をつけてね……』

 

 刹那はアクセルを踏む力をやや強くした。
 サイドプレートに表示されている情報の中に、《ラフレシア・ロードで警察が速度チェック中》という文字はない。

 

「緊急……?」

 

 どんな用件か、とは刹那はフェルトに問い返さなかった。
 マイスター運送の社長であるスメラギ・李・ノリエガは飲兵衛ではあるが、天才的な経営者である。
 彼女に従って、仕事で間違ったことはない。
 だから、どんな用事か聞く必要はないのだ。
 刹那が今するべきなのは、ヤマダさんとカトーさんへの配達を終え、会社へ急いで戻ることだ。

 

「……」

 

 刹那は感じていた。
 今までに緊急の事態とやらで呼び戻されることは幾度かあったが、今回は特別なもの、大変なことになりそうだ、と。
 ただの勘であり、理由はない。
 だが、彼は確信していた。

 

「ここを右折……」

 

 トラックはラフレシア・ロードへと入った。
 フェルトの情報通り、刹那の前に走る車は少なく、渋滞の気配は欠片もない。

 

「あとは直線」

 

 そして、ここでようやく正規のナビ・システムに交通事故の情報が入ってきた―――

 

   ◆   ◆   ◆

 

「あああああ、あああああああ」
「いや、悪気はなかったんだって」
「オガミイットーの胴田貫があああああ」

 

 プリベンター本部でのグラハム刀剣講座は、唐突に終わりを迎えることになった。
 小鉄、じゃない虎徹の次に彼が出した“かの有名な子連○狼が使っていた胴田貫”を披露している最中、コーラさんがこれを折っちゃったのだ。

 

「でもよう、床に落ちたくらいで折れるって、あまりに弱過ぎねえ?」
「天下の名刀があああ」

 

 皆が会議室に集まっている、とサリィ・ポォから聞いた(彼女は講義に参加していなかった)コーラさんは、
何やってんだ俺をほったらかしにしてーと勢い込んで会議室のドアを開け、中に飛び込んだ。
 で、その次の瞬間、ドアの前に立って高らかに胴田貫の解説をしていたグラハムに激突、押されたグラハムの手から胴田貫が床に落ち、そして折れて半分になっちゃったわけ。

 

「床に落ちて折れるって……土産物の薄い木刀でもそんなことないぞ」
「お菓子のポッキーみたいですね」
「ポッキーだけにポッキン、ってか?」
「つまらんぞデュオ」
「つまりは明らかに偽物ということだ」

 

 五飛は席から立ち上がると、首を左右に振ってコリを解した。
 中国武術に通じている彼は、当然武器にも詳しい。
 日本刀はやや彼の専門外だが、それでも真贋を見抜けぬ程ではない。
 つまりは最初から彼はグラハムの刀がパチモンだと気づいていたわけだが、それを指摘しなかったのは、彼の優しさ……ではなく意地悪さであろう。
 まぁ正味の話、知識は無くとも場の全員が偽物だとは思っていたけど。

 

「これら全て、いくらで購入したか知らないが、とんだ大損というわけだ」
「何とー! あの訪問販売は稀代の悪徳商人であったか! グラハム・エーカー、一生の不覚!」
「訪問販売なんか信用するからだ、ナルハム野郎」
「ぬううう、で、では、彼がイチオシしていたこの“切れぬものはこの世にない、隕石の欠片を鍛えて作った剣”も!」
「思いっきりウソモンだな」
「ならこの“刃が裏側にある不殺の剣”も、“あまりの軽さに二回攻撃になる剣”も!」
「エーカーさん……お気の毒ですが、全部ダメだと思います」
「何とォォォォオォ」

 

 コーラサワーとガンダムパイロットの容赦ない言葉に驚愕するしかないグラハム。
 その彼の向こう側では、ヒルデがテーブルの上の湯呑みを片づけ始めていた。
 無言で。

 
 

 プリベンターとパトリック・コーラサワーの心の剣優しさだよロンリーハートは続く―――

 

 

【あとがき】
 じんわりと大きな流れにシフトしていきまコンバンハ。
 模ナントカ氏、
 00-w_004.jpg ですサヨウナラ。

 
 

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