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00-W_土曜日氏_33

Last-modified: 2008-10-05 (日) 17:45:30
 

 ぽかぽかと心地よい陽気の昼下がり。
 季節は未だ冬だとは言え、日中に雲ひとつ、そして風がない空なら、日向はそれなりに温くなるものである。

 

「あー、暇だなオイ」
「俺たちの仕事が暇なら実にイイコトじゃねーかよ」
「なーに腑抜けたこと言ってんだよ、みつあみおさげ」
「脳みそが年がら年中日向ぼっこのお前が言うな」

 

 相も変わらずのパトリック=コーラサワーとデュオ=マックスウェルの掛け合い漫才。
 最早プリベンターの恒例行事になっている。

 

「……はー、つまんねえな」

 

 プリベンターの本部にいるのはコーラサワーとデュオの二人きり。
 サリィとヒルデ、シーリンはレディ=アンと一緒に別のお仕事で出張(今度はマスドライバーの開港式典)、五飛、トロワ、ヒイロはその護衛、カトルは何やら調べ物があるとかで実家に帰っており、グラハムは知人のお墓参りだとかで、これまた帰国中。
 何故コーラサワーとデュオが残留組かと言うと答は簡単。

 

 式典関係にコーラサワーなんぞを出席させられないし、デュオはそんな彼のお守役に最適だから。

 

          *          *          *

 

「まったく、これだからな……ブツブツ」
「あー? 何だよ、言いたいことあんならハッキリ言えよバーロー」
「言っていいのか?」

 

 ここで言葉を区切って、ズズズと梅昆布茶をすするデュオ。
 プリベンターのメンバーとして生活しているうちに、すっかり味覚が渋くなってしまった彼である。

 

「あっちのお前んとこの監督と脚本家、飛ばし過ぎだろ」
「知らねえよそんなこと!」

 

 実に平和な午後のひと時――

 

「つうかまた出番なかったな、お前」
「言うな! それを!」

 

 前回のなんじゃこりゃの時、そして今回の砂漠遭難、またしてもその後を描かれてないコーラサワー。
 ある意味出オチ男の面目躍如といったところではある。

 

「いいんだよ、もう俺はあんなキャラなんだよ、バーロー」
「三十路手前の男が不貞腐れる様は気色悪いぞ」
「うっせえ! てめーに俺の気持ちがわかるか!」

 

 とかく重苦しくなりがちなあっちの世界において、コーラサワーは彼本人の思惑と外れて一服の清涼剤になりつつある。
 文字通り、プシュっと炭酸、ガス抜きキャラなのかもしれない。

 

「だけど、こっから怒涛の展開がくるな」
「な、なんだと」
「俺にはわかる、俺もかつて体験したしな」

 

 ガンダムと名のつくアニメは初代から等しく、監督と脚本家(ついでに言うとスポンサーも)のトバシによってどえらい展開を見せてきた。
 抱腹絶倒、はたまた茫然自失、とにかく予想の斜め上をいく視聴者泣かせの番組なのである。

 

「くるぞー、こっからどすグローい展開がくるぞー」
「お、脅かすんじゃねえ!」
「フラグへし折る男とか言われてるけど、この分だとあっさりもありうるぞー」
「うわあああああああああああ」

 

 いつもの舌戦なら屁理屈満載でコーラサワーが逃げ切るのだが、今日に限ってはデュオの方にやや分がある。
 とにかく、今までが存外に名前ありキャラの死者が少なかった分、その反動が恐ろしいのは確かである。

 

「ば、バッカヤロー! 俺は簡単に死なんぞ! 模擬戦二千回でスペシャルでエースなんだ!」
「お前より実戦経験ありそうなエース格が片っ端から落ちてたけどな」
「うるせーうるせー! 連中は根性が足りねえんだ! 当たっても当たってないと思えば当たってない!」
「子供の言い訳かよ」
「殺されても死ななければ死んでないんだよぉぉぉお!」
「どこのゾンビだよ!」

 

 だんだん屁理屈ですらなくなってきたコーラサワー暫定29歳だが、実際の話、二度も至近にあった冥界への入り口を蹴り飛ばしたのもまた事実だったり。
 絶望ビームはかすっただけだが、赤黒ビームはどてっ腹に直撃したのに無傷、とにかく無傷。
 いくら安全性に優れたイナクトとはいえ、エース選り抜き部隊のオーバーフラッグスがぽんぽこ天に召されているのだから、やっぱり人智を超えた頑健さや強運がコーラサワーに宿っているとしか思えない。
 祖先の行いが良かったのか、よっぽどな守護天使が彼の背後に憑いているのだろう。
 ぜひとも一度オーラの泉にでも出てほしいものである。

 

          *          *          *

 

「今更ノコノコ出てきた新キャラごとき俺がみっくみくにしてやんよ! バーロー!」
「擬音間違ってるぞ」
「ギッタンギッタンだ! コラ! 俺は一話の冒頭から出てんだぞぉぉぉ、ちきしょおおお」
「一話からやられ役だったけどな」
「人をドロンボー一味みたいに言うんじゃねー!」
「ドロンボーに失礼だぞ、あっちはレギュラーだ」
「誰が準レギュラーだ! 俺は断じて二軍じゃねえ! スペシャル様なんだ!」
「一軍扱いの選手はキャンプ地に置き去りにされたりしないだろ」
「俺は帰ってきたろうが! 現に! こうして!」
「それはこっちの話。あっちじゃお前、助けられたのかそうでないのか、全然描写がないままだろうが」
「ぐはあああああああ」

 

 ぽかぽかと心地よい陽気の昼下がり。
 コーラサワーとデュオの漫才は終わらない。

 
 

 プリベンターとパトリック=コーラサワーの心の旅は続く――

 

 

【あとがき】
 いよいよ00が始まった臭くて怖いですコンバンハ。
 あの監督とあの脚本家、ほんと何しよるかわからんですサヨウナラ。

 
 

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