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00-W_土曜日氏_35

Last-modified: 2008-10-12 (日) 17:13:15
 

「イィィィィィ、やっふぅぅぅぅぅぅ!」
「ううううううさぶさぶさぶさぶさぶ」
「寒いぜ! 凍えるぜ! 冷えるぜええええええ!」
「ううううううう死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ」

 

 南極大陸。
 それは地球という星の中で、最も南に位置する大陸。
 大陸全土のほぼ99%を氷と雪で覆われた極寒の地である。

 

「はーははっは、はははははは! なんじゃそりゃあああ! ってかー!」
「ううううううううしばしばしばしばしばしばれる」
「ははははは! 模擬戦の中に南極での戦闘プログラムはなかったなー! ははははは!」
「ううううううううかたかたかたかたかたまる」

 

 そんなところに、二人のバカがいた。
 正確には、置き去りにされていた。
 西暦2300年代のタロとジロ、その名前は――

 

「おらあアラスカ野! もっと陽気にいけ! でねぇと凍死すっぞ! バーロー!」
「おおおおお俺はアラスカ野ででではないないない、アラスカのジョシュアだだだだだ、うううさぶさぶさぶさぶ寒い」
「さっきからサブだのサムソンだの薔薇族だのわけのわかんないこと言いやがって! 心の火を燃やせ! 氷を溶かせ!」
「むむむ、無理無理無理、ぜぜぜ絶対無理」
「バカ野郎、俺とナポレオンの辞書に不可能という文字はねぇぇ! はーっくしょーい!」

 

 地球統合政府直属の組織、《火消しのプリベンター》。
 それに所属する、パトリック=コーラサワーとジョシュアである。

 

          *          *          *

 

 さて。
 それでは何故この二人が南極大陸でふたりぼっちなのか、それの説明をせねばなるまい。
 そもそもの発端は、プリベンターに届けられたあるひとつの情報による。
 曰く、『南極大陸のとある基地の地下に、かつて建造された恐るべきMSがほったらかしになっている』という。
 この情報、差出人もわからなければ差出場所もわからない、時代遅れの封書でプリベンター本部に届けられたもので、本来ならそんなイタズラまがいのことで軽々しく政府の下にある組織は動きはしないだろう。
 だがそこはプリベンター、万の亀の中に鶴一匹という失態を犯すわけにはいかない。
 どれだけアホウな情報でも、それを確かめる必要がある。
 些細なことに常に注意を払わなければ、世界の安全を守ることは出来ない。
 で、さっそく現地に滞在している環境保全員に調査を依頼したところ、なんとこれがドンピシャの確率変動大当たり。
 情報に示されていた、二世紀も昔に放置された観測基地の真下に、ドカンとサーペントが眠っていたのだ。
 またぞろデキム=バートンの置き土産か、とプリベンター一同は嘆息したものの、真実とわかった以上はほったらかしにしておくわけにはいかない。
 すわ、リーダーであるレディ=アンとその秘書的存在のシーリン=バフティヤール、そして本部連絡員のヒルデ=シュバイカーを残して、サリィ以下の実動部隊が南極へと飛び立つことになったのである。

 

「おうアラスカ野! いつまでもこうしていても埒があかねぇ、基地の中に入る手段を探せ!」
「ううううううう、さぶさぶさぶさぶさぶ」
「このヘタレ野郎! 震えとらんで探さんかー! コーラサワーパーンチッ!」
「へぐわぃし!」

 

 現地に到着したサリィたちは、まずその地下MS基地を調べることにした。
 保全員からの連絡で、それがかなりの規模であることは知っていたのだが、それでも破壊するなら破壊するで、基地やMSの状況を見ておかねばならなかったからだ。
 全員で突入してそこらに爆薬しかけてドッカン、とサ○ボーグ009みたいなことは出来はしない。
基地の構造、その頑強度、周辺の地理状況、MSの数等々、細かいことを押さえてはじめて、彼らの仕事は行われる。
 伊達じゃないのだ、火消しの名前は。

 

「通風口とかないか! ダストシュートとか!」
「ききき、極地の施設の外にそそそそんなものがついていていていてるわけわけがないないなない」
「減らず口きくな! まず動け! 頭で考えるのはその後だバーロー!」

 

 で、偵察の役目に選ばれたのが、この二人という次第である。
 何でこいつらなのか、それは天の神様に聞いてもらいたい。
 ぶっちゃけクジビキの結果なので。
 サリィ=ポォもこの選出になったことを後悔しないでもなかったが、まぁ偵察くらいなら何とかなるだろうと思って送り出したわけだが、はてさて、極地の天気はそれこそ本当に天の神様の気まぐれで決まる。
 衛星からの予報では当分この基地周囲に吹雪の気配などなかったのだが、どうだろう、コーラサワーとジョシュアが着いた途端にトーテムポールもはるか彼方に吹っ飛ぶ大嵐がやってきた。
 とまあ、普段の二人の行いが悪い、と断定してしまいたくなる展開なのだった。

 

「くそぉぉおお、印籠滅殺すれば黄門もまた意味なし! 吹雪なんぞ冷たかねえ! スペシャルな俺には通じねえ!」
「ううううううううう、死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ」
「こらぁてめぇわかってねぇだろ! あークソ、あのナルハム野郎! こいつのどこが使えんだよ! すげぇへたれじゃねーか!」
「ううううううううう、にんにんにんにん人間のげんげんげんげん限界、無理無理無理無理」
「だからーっ! 新党脱却だ! 寒いと思うな! 死ぬ気で耐えろ! 俺の辞書に無理という言葉などねー!」

 

 そりゃ落丁してんだ、という無粋なツッコミはさて置きつつ、実際二人の現状は果てしなく最悪に近い。
 乗ってきた雪上車はジョシュアが運転をミスって氷の中に半分車体を埋めてしまっているし、通信で助けを読んだもののこの吹雪では当分やってこれそうもない。
 寒さを凌ぐにも基地の入り口は固く閉ざされ、他に侵入するところもなし。
 ド○えもんもいないし超人○ックもいない。
 どう足掻いても進退窮まった状況なのである。

 

「そうだ! おしくらまんじゅうだ! おしくらまんじゅうをやって寒さをしのぐぞ!」
「おおおおおおお、おしくらまんまんまんまんじゅう?」
「おうよ! 行くぞ、おーしくーらまーんじゅーおーされーてなーくな、っと!」
「ふぎゃぎゅる!」
「おうこらアラスカ野、吹っ飛んでちゃ意味ねーじゃねーか」
「ぶぶぶぶ、おしくらまんじゅうでいきなりぶん殴る奴があるか!」
「おっ、元気出てきたじゃねーか、喋り方がまともになってきたぞ。ほぉれもう一発おーしくーらまーんじゅー」
「ざざざっ、ざけんなあ! これでもアラスカの大地で鮭を相手に鍛えた体! 貴様なんぞに! ジョシュアアッパーッ!」
「ぐほうっ!? ほ、ほうテメェ、なかなかいいモン持ってんじゃねえか。よっしゃ手加減なしだ、取っ組み合いだ!」
「バカめ! 四歳の頃町内会のレスリング大会で五位に入賞した俺の技術を見せてやる! とりゃーっ!」

 

 コーラサワーとジョシュア、上半身裸になって吹雪の中でくんずほぐれつバーリトゥード。
 一発とかいいモンとか取っ組み合いとか、それこそさ○でサ○ソンで薔○族な気もするが、まぁバカなんでそんなもんである。

 

「うぉぉりゃあああ、キャット空中三回転コーラサワーボディアターック!」
「なんの、ウルトラゴールデンローリングサンダージェットワンダフルジョシュアキーック!」

 

 なお、二人は決してウホッではない。
 何度も言うがバカなので、あしからず。

 

          *          *          *

 

 数時間後、吹雪も収まり、二人は迎えにきたガンダムパイロットによって救出された。
 ただちに後方に送られて即入院となったわけだが、不思議なことに二人は打撲傷こそあれ凍傷はひとつもなかったということである。

 
 

 プリベンターとパトリック=コーラサワーの心の旅は続く――

 

 

【あとがき】
 00、本格的に加速してまいりましたコンバンハ。
 この重ったるい流れに乗れないこと必定なコーラさんですがどうなることやら、とにかく来週絹江さんアリーから逃げてぇぇサヨウナラ。

 
 

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