Top > 00-W_土曜日氏_68
HTML convert time to 0.006 sec.


00-W_土曜日氏_68

Last-modified: 2009-02-08 (日) 22:05:34
 

「ふはああ、ヒマだな」
「しみじみ言うな」

 

 カツオノエボシ事件から一週間。
 プリベンターは暇になっていた、また。

 

「オデコの姉ちゃんはどうした」
「レディ・アンやシーリンと一緒に安全保障会議を……」
「会議を?」
「開くための準備の会議だ」
「ややこしーもんだ」
「お前の頭ならそう感じるかもな」

 

 で、パトリック・コーラサワーとデュオ・マックスウェル。
 本部に残ってるのはやっぱりこの二人なのだった。

 

「前髪は?」
「サーカスの皆に会いに行った」
「坊ちゃんは?」
「ウィナー家の方に用事があるのでそっち」
「ちんちくりんは?」
「さあね、多分リリーナにでも会いに行ってるんじゃないの」
「五飛は?」
「会議の会議についていってる。護衛だな」
「ヒマな連中だな、皆」
「トンチンカン過ぎるぞお前」

 

 プリベンターのメンバーだって人間である。
 四六時中働いているってわけにもいかない。
 例のクラゲ事件が片付いたこともあるし、各々自分たちの時間を過ごしたって悪くはない。
 まぁプリベンターをまとめる立場のレディ・アンやサリィ、そしてお付きの五飛はお仕事なわけだが、これは立場の問題でしょうがないってやつである。

 

「ナルハム野郎はどうした?」
「骨董店に注文した品を取りに行くとか言ってたな」
「何だそりゃ」
「知るかよ、多分趣味のモンだろ」

 

 正解。
 何を買ったかは後々のお楽しみ。
 まあ皆さんの予想の範疇内とだけは言っておく。

 

「アラスカ野は?」
「帰郷中。鮭を釣りに行くんだとさ」
「河に落ちて溺死しなきゃいいがな」
セーヌ川で泳いだ奴に言われたらおしまいだな」

 

 ま、そんなわけでプリベンター本部にはこの二人、という次第である。
 いやまあ、やっぱり誰か詰めてないといけないので、そーなるとこの二人が自然と置いてかれるっつーか。
 ちなみにヒルデは現在お買い物中也。
 日雑と非常食を買い出しにちょこっとスーパーへ行っている。
 世界の平和を守る隠密組織にしてはメンバー自ら出向かねばならない辺り、なかなか寂しいものがあると言える。
 もともとレディ・アンが新政府にねじ込んで作った組織だしね、プリベンター。

 

          *          *          *

 

「はあああ、ヒマだなほんと」
「テレビでも見てろよ」
「見るような番組ねーんだよ」
「ならデートでもして来い、相手はぞろぞろいるんだろ」
「いいのか? 多分明日まで帰ってこないけど」
「前言撤回、ここでゴロゴロしてろ」

 

 まったく、歳が十以上離れている者同士の会話と思えないが、さてこれはコーラサワーの精神年齢が低いのか、それともデュオの精神年齢が大人なのか。
 どっちもじゃね、って感じもまぁしないでもないが。

 

「事件でも起こらねーかな」
「物騒なこと言うな」

 

 火消しのプリベンター、そのお仕事は世界平和の維持。
 紛争の火種を事前に消し、また起こってしまった事件は速やかに穏やかに解決する。
 つまりは忙しくない程世界は平穏なわけで、ヒマな方がいいっちゃいい。

 

「ヒマヒマ言うなら本でも読めよ」
「なら買ってきてくれ、キレイなねーちゃんのグラビア雑誌」
「全力で拒否する」
「わがままな奴だな」
「どっちがだよ」

 

 ほとんど漫才、コーラサワーとデュオの会話。
 もっともコーラサワーはボケてる自覚がないが。

 

「じゃあゲームでもやれよ」
「簡単過ぎんだよ」
「ほお、えらい自信だな」
「スペシャルで模擬戦二千回不敗のエース様だぞ、オモチャが相手になるか」
「どんな理屈だよ」
「正直、ゲームなんざガキの頃に卒業したんだよ」

 

 この時代、主流となっているゲーム機は二つある。
 ○ニーが開発しているプレイ○テーション256、通称ニゴロ。
 そしてセ○が開発している○ガマーク1919、通称イクイク。
 そう、この時代にもセ○は潰れず存続しているのだ。
 しかもハード業界にリターンしてきている、涙せよ○ガマニア、自虐の歴史に終止符だ。

 

「ほお、子供の頃に……ね」

 

 デュオの口調が少し変わる。
 ガンダムパイロットだった彼は、そういった遊びをほとんど経験してきていない。
 羨望とはさすがに言い過ぎだが、相手がコーラサワーといえども「普通の」少年時代を送っていたことに若干の羨みがあっても仕方がない。

 

「どんなゲームをしていたんだ?」
「あん、そうだな……結構普通だぞ」
「普通?」
「ああ、アダルトゲームは12歳までやらなかった
「はいはい違反違反」

 

 世に悪人の種が尽きないのと同様、下方面に訴えかける類のモノも絶えることはない。
 人間が人間である限り絶対に。

 

「有名なタイトルったら、うーん、『ドンゴラクエスト』とか『サイナラファンタジー』とかな」

 

 両者とも世界的に有名なタイトルである。
 300年以上の歴史を持つ有名なゲームだ。

 

「あと、『ボケモン』

 

 ポ○モンではない、ボケモンであるのであしからず。
 30過ぎて親のスネをかじっている主人公が家から「このボケモンがぁ!」と叩きだされ、職をゲットするために世界を旅するゲームである。

 

「他には『モリハン』

 

 モ○ハンではない、モリハンなのであしからず。
 伝説の大盛り飯を探して世界を旅するゲームである。

 

『その日暮らしが泣く頃に』とか『世界中の迷宮』とか『残酷無情』とか」

 

 その日暮らしが泣く頃にとは、文字通りその日暮らしを送っている男が事件に巻き込まれるアドベンチャーゲームである。
 選択肢がまったくなく、ただひたすらやりきれないストーリーを追うだけの内容で、そのシビアな展開が世のゲーマーの血涙を絞った。
 世界中の迷宮とは、文字通り世界中にある迷宮をことごとく探索しつくすゲームである。
オールクリアするのには十年かかると言われ、作った方もクリアした方も暇人として後世に名を残さざるを得ない一品だ。
 残酷無情とは、文字通り残酷で無情なゲームである。
 武器も持たずに戦場をひたすら逃げ回る内容で、攻撃手段がまったくないのでストレスゲームとして名高い。
 ああ石を投げないでもらいたい、書いててバカだと自分でも思うので。

 

「あとネトゲーもやったな、『売るヒマオンライン』
「ほほう」
「やあ今ヒマしてる? 俺と遊ばない? ちょっとホテルまでのミッションこなそうよ! ってな」
「そりゃ出会い系だろ!」

 

 売るヒマオンラインとは、ええと解説不要。
 しても意味ない。

 

「まったく……豊かな少年時代だな」
「そう誉めるなよ」
「誉めてない! 皮肉ってんだよ!」

 

 カツオノエボシ事件から一週間。
 プリベンターは暇になっていた、ホント暇に。

 
 

 プリベンターとパトリック・コーラサワーの心の旅はもうすぐ二期―――

 

 

【あとがき】
 コンバンハ。
 まとめありがとうございます、気付いたら二期まであと少しですねサヨウナラ。

 
 

 【前】 【戻る】 【次】