Top > 00-W_土曜日氏_99
HTML convert time to 0.014 sec.


00-W_土曜日氏_99

Last-modified: 2009-04-19 (日) 16:10:38
 

♪不死が出た出た 不死が出た シュワシュワ
 ガンダム最終回の 中に出た
 あんまり展開が 凄いので
 さぞや視聴者 嬉しかろ イヤホイホイ

 

 一(ひと)落ち 二(ふた)落ち 三(み)落ち越え シュワシュワ
 気付けば未聞の 八回落ち
 何ぼ出番が 短いとて
 印象が強けりゃ 彼の勝ち イヤホイホイ

 

 コーラが本気で 慕うので シュワシュワ
 思い切ります 嫁ぎます
 カティ・マネキン 准将に
 なるけど 嫁ぎます イヤホイホイ♪

 
 

 はい、炭鉱不死
 二度同じネタを続けるとゲップが出るかもしれませんすいません。
 歌詞ネタは必殺ネタより引っ張れそうだけど、どこまでやら。

 

   ◆   ◆   ◆

 

 さて、幸せ家族計画パトリック・コーラサワーと、
 オタクの蒼き流星ミレイズナー、じゃないミレイナ・ヴァスティのトレカ対決である。
 コーラサワーの暇潰しがミレイナの暇潰しになり、トレーディングカードゲーム『Noir et blanc』で素人のコーラサワーを達人のミレイナがボコボコにしたのが前回までのお話。
 どれくらいボコボコかって言うと、旅立ったばかりの勇者をいきなりラスボスの魔王が襲うくらい。
 で、元来負けず嫌いで自称当方不敗のコーラサワーが我慢出来るはずもなく、一週間の特訓期間を経て再度決着をつけるためにガチンコ勝負となった次第である。
 やあ、今日も世界は平和でプリベンターも平和だね、と。

 
 

「ふっふっふ、とうとうこの日が来たな、オデコ娘三号」

 
 

 颯爽と青コーナー(ただの本部のドアである)から入場してきたのは、不死身と幸せが同居している男、魂がパンジャンドラム、パトリック・コーラサワー推定33歳。

 
 

「一週間程度頑張ったところでこのミレイナに勝てるとは思わないことですぅ、スペシャルさん」

 
 

 対して赤コーナー(そんなもんはナイ)に堂々と構えるのは、ツインロ○ルパンナちゃん、無重力空間であのミニスカは誘ってるとしか思えませんぞ、ミレイナ・ヴァスティ14歳。
 両者の間に横たわる年齢の大河、その幅実にほぼ20歳。
 下手すりゃ親子で通じる差であるが、外はともかく中はほとんど対等であるのだから恐ろしい。

 

「後で吠え面かくな、オデコ娘三号」
「そっくりそのまま返すですぅ、スペシャルさん」

 

 バチリ、と二人の周囲の空気が帯電する。
 超能力を持った人間がこの場にいたら、コーラサワーからもミレイナからも白いオーラが出ていたのが見えたことだろう。

 

「今日は逃げられないですよスペシャルさん、ミレイナ、お仕事はぜーんぶ終わらせてるですから憂いはありませんですぅ」
「おおよ、邪魔も入らねーぜ。何故なら他の連中は皆出張しているからな」

 

 レディ・アンの秘書としての今日の分の仕事を全部終わらせたミレイナ、そして本部に一人残されたコーラサワー。
 果たしてどちらが社会人として偉いのか、これは語るまでもないというか語ること自体が間違っているので敢えて語らない。

 

「ルールは公式のトーナメント基準でいきますぅ」
「おうよ!」
「自信満々ですけど、わかってるんですかぁ?」
「スタート時のフィールドはランダム! 場の上限コストは両者700! カードは最新拡張版まで対応!」
「へええ、バッチリ覚えてるですねえ」
「模擬戦2000回不敗、不死身のスペシャル様を舐めるんじゃねーぞ」
「ま、あんまり威張ることじゃないですけどー」

 
 

 さて、『Noir et blanc』の公式対戦ルールである。
 まず両者手持ちのデッキから一枚適当に引き、そのカードのレアリティが低い方が先行となる。
 対して、レアリティで負けた後攻のカードの属性がその場のフィールドとなる。
 ターンでいくと先行が有利だが、デッキによっては後攻めが強くなることもあるため、気を抜くことは出来ない。
 そしてフィールドが決まれば、次は手持ちカード10枚の選択に移る。
 双方デッキの中から所謂『スターティングメンバー』を決めるわけだ。
残りのカードはシャッフルして裏向きに伏せ、自分のターンで場に出したカードの分だけその山から引くことが出来る。
 場の上限コストを、場に出したカードの合計コストが越えてはならない。
 また、カードによっては相手の場の上限コストを減らすことが出来たり、自分の上限コストを増やすことも出来る。
 強力なカードはその分高コストなため、場の整理は大変重要になってくる。
 最終的に、相手のカードを全滅させる、もしくはカードが出せない(手持ちカードでは単体攻撃出来ない、または上限コストが手持ちカードコストより下)ようにすれば勝利となる。
 カードによっては単体より複合(コンボという)で使った方が強いもの、発動まで数ターン必要なもの、特定条件ではレア並の破壊力を持ったカードも存在する。
 出しどころ使いどころ、すなわち知略戦略をもって戦うことが、このゲームを制する秘訣である。
 デッキはゲーム開始時の手持ちと場の山を含めて50枚でプレイヤーが自由に組むことが出来るが、レアリティが10〜5の通称銀レア(レアリティ文字が銀色)は3枚まで、レアリティが4〜1の通称金レア(レアリティ文字が金色)は1枚だけしかセット出来ない。
 なお、普通に玩具店で購入するにあたって、銀レアは100枚に1枚、金レアは300枚に1枚の割合でしか袋(5枚入り)に入っていない。
 プレイヤー間の売買では、時に破格の値段をつけてしまうレアカードもある。
 ちなみにロッチ製は存在しない。

 

「スペシャルさん、デッキ組んできたんですかぁ?」
「もちろんだ、オトナの財力をバカにしてたら泣きを見るぜ!」

 

 つまり、オモチャ屋にいって買い占めた、と。
 箱買いまでならともかく、店の物を全部買っちゃうのは子供の敵以外のナニモノでもない。
 子供同士なら「アイツ、金持ちー」「アイツすげー」と羨望の眼差しが入るが、大人がそれをやると軽蔑の眼差ししか向けられないので要注意。

 
 

「じゃあ行くぜ、オデコ娘三号! 尻の毛まで毟り取って泣かしてやる!」
「スペシャルさん、きっと他意は無いと思うですけど、この御時世だと猥褻罪で逮捕されると思いますぅ」

 
 

 パトリック・コーラサワーとミレイナ・ヴァスティ、
 どちらもある意味天才にして超人である二人の戦いが今、幕を開けた―――

 

   ◆   ◆   ◆

 

「ミレイナのターンですぅ! 無属性『愛が憎しみに変わる世界(ウボァー・ワールド)』を使用! こちらの単体攻撃の効果を二倍に引き上げるですぅ!」
「俺のターン! 風属性『撃ち砕けないとは違うのだよ撃ち砕けないとは(ランバラル・クシェル)』! 受けたダメージの3/4を反撃で返す!」
「ミレイナのターンですぅ! 水属性『頼れる相棒(シャーネー・ナシャーネ)』を使用! 相手の反撃限定でその分をさらに反撃で返すですぅ!」
「俺のターン! 土属性『静かなる帰還(ヤーラ・レチャ・イマ・スター)』! 発動中の補助効果を両方とも全て解除する!」

 

 まさに一進一退の攻防。
 コーラサワーが攻めればミレイナが受け流し、ミレイナが寄ればコーラサワーがいなす。
 や、攻防とは言ったものの、何だかどっちも補助系しか使ってない気もするが、まぁ気のせいということで東シナ海に流しておこう。

 

「ミレイナのターンですぅ! 火属性『四番目の子馬(ステレオ・ポニー)』を召喚! 付帯効果でフィールドを荒野にチェンジですぅ!」
「げっ、いきなりかよ!」
「ここが攻めどころですぅ、双方、残りカード数から言ってここを攻め切った方が勝ちですぅ!」

 

 コーラサワー、この一週間で集中特訓しただけあって、かなりの腕前に成長していた。
 達人クラスのミレイナとここまで丁々発止のドツキあいを繰り広げており、元エースの称号も伊達ではないことを改めて証明している(本当の意味でアタマが悪ければ、そもそもエースになれない)。
 まあ特訓相手が天才戦術予報士のカティ・マネキンだったわけだから、上達しないほうがおかしいっちゃおかしいのだが。
 はいそこ、何やってんだマネキンさんと突っ込まないように。
 ねえ、仲睦まじくていい話じゃない。
 推定33歳と推定37歳の結婚を控えた男女がカードゲームの練習だなんて。

 

「ちくしょう、有効な火属性のカードが手持ちにねーな……ならパスで一枚捨てて山から引くぞ……げっ、ダメだそれでも出せる札がねえ」
「んふふー、スペシャルさん、後手後手ですぅ」
「うるせーよオデコ娘三号、上限コストを考えると無駄にカード出せねーだろが」
「ま、それは正解だと思うですけれども、時には強引に打開策をうたないとダメなんですぅ」

 

 しかし、やはりそれでもミレイナに一日の長あり。
 トレーディングカードゲームに限らず、こういった類のゲームは何でもそうだが、経験者が持つ『流れを読む一種の勘』は非常に強力な武器である。
 敵の弱点がわかっても、それを衝くタイミングを計るのは、結局どれだけ場数を踏んできたかにかかってくる。
 コーラサワーも模擬戦2000回負けなしだから不足はないのだが、どうしてもMSのパイロットとカードゲームのプレイヤーでは勝手が違うのだ。

 

「ミレイナのターンですぅ! 闇属性『問うべき王の器(オーマ・エホードゥ・ノゥ・トコガ)』を使用! 以後3ターン、任意のキャラカードの攻撃を二回に増やすですぅ!」
「俺のターン! 無属性『苛立ちの返信(ナ・ヌ・ティトゥワノゥ・ティサーイ)』! 水・風・闇属性の攻撃を次のターン無効化!」
「ミレイナのターンですぅ! 土属性『求めた母性(ラスン・ワ・ティシノハー・ファーニナ)』を使用! 今までのターンで受けたダメージを半分回復するですぅ!」
「俺のターン! 光属性『ラ・ラ(オカサ・ララガ・ウーワ)』! 相手の場の無属性の単体キャラに一律50のダメージを与える!」
「ミレイナのターン! 水属性『メビウスの大車輪(ビヨンド・ザ・タイム)』を使用! 先のターンで回復した分をそのまま次のターンの攻撃に上乗せするですぅ!」

 

 ミレイナ、トドメに向けて着々と下準備中。
 コーラサワーもヤバイと感づいているが、今の時点では文字通りきれる手札がない。
 逆に言えば、ミレイナがコーラサワーをじりじりと追い込む、そういう戦い方をしてきたとも言える。

 

「くそー、俺のターン! 風属性『固き肌と近き耳(アンゼンセ・シューオンセ)』! 次のターン、一時的に場のカードの防御力を1.5倍に上げる!」

 

 攻撃も単発なら、守りもその場凌ぎ。
 パトリック・コーラサワー、敗色濃し。

 

「んっふっふ〜」
「な、何だよオデコ娘三号、気色悪い笑い方しやがって」
「スペシャルさん……チェックメイトですぅ」
「何ぃ!?」

 

 ミレイナは半目で薄く笑うと、手持ちのカードから一枚引き抜き、場にピシリと置いた。

 

「ミレイナのターンですぅ。火属性『猛き黒の翼(エムス・ワ・ドゥ)』を召喚。無理を道理で押し通す、相手の全てのカードに200ポイントの攻撃ですぅ!」
「なんだっとー!」
「しかもレアリティが7の銀レアですぅ。これにより通常数値の二倍の攻撃となるですぅ」
「ぬがー!」
「さっきの『問うべき王の器』の効果で攻撃回数が二回に増えて」
「そんなぁ!」
「さらに『求めた母性』で回復した分が『メビウスの大車輪』で上乗せされて」
「なんじゃあ!」

 

 これぞ、このゲームの特徴である『コンボ』。
 補助効果の上乗せで強烈無比な一撃を放つことが可能となる。
 無論、それだけに準備が相手にミエミエなわけで防がれることもあるが、それを簡単にさせないように場をコントロールするのが、このゲームの勝敗を分ける最大のキーなのだ。
 上級者ともなれば、一手目から十数手分のコンボを考えてプレイすることもある。
 無論、その途中でコンボが逸れることも十分考慮に入れて、だ。

 

「スペシャルさん、『四番目の子馬』でフィールドチェンジされた時点で負けが半分決まってたですぅ」
「……」
「ついでに言えば、それまでにも布石は打っておいたですけどね。補助系乱発とか」
「げっ、まさか」
「そうですぅ、終盤に補助キャンセルを使わせないために、敢えて中盤までこちらも補助系を多用したですぅ」

 

 恐るべしミレイナ・ヴァスティ。
 やはり、カードゲーム勝負ではコーラサワーは勝ち目がないのか、そうなのか、どうするパトリック。

 

「『固き肌と近き耳』で防御上げても無駄無駄無駄ァーですぅ。場のスペシャルさんのカードは全てオーバーダメージですぅ」
「ぬ、ぐぐぐぐぐ」
「さて、場が全滅した場合にはペナルティがつくのは知ってるですよねー」
「……1ターン何も出来ない、ってか」
「その通りですぅ。で、ミレイナはその隙にこのカードを出しちゃうです」

 

 テーブルの上のコーラサワーのカード(今しがた全滅した)を押し退けて、ミレイナはまた一枚のカードを置いた。

 

「ミレイナのターン、闇属性『暴君の叱責(バンシー・ニア・タイ・スルー)』を召喚。スペシャルさんのターンをミレイナが3ターン分『前借り』するですぅ」
「なんじゃあああ、そりゃああああ」
「はいはい続いてミレイナのターンですぅ。風属性『超越兵士の夢想(アレ・ハーレー)』を使用、スペシャルさんの次回のターン、手持ちじゃなくて山から一枚強制的に場に出してもらうですぅ」
「なんなんじゃあああ、そりゃああああ」
「まだまだミレイナのターンですぅ。土属性『狙撃手の告白(アイシー・テンヨー)』を使用、次のスペシャルさんのターン、カードの補助使用を使用禁止ですぅ」
「なんなんなんじゃあああ、そりゃああああ」
「で、これでトドメですぅ」

 

 ニヤリ、とミレイナは笑った。
 そして彼女が出したカードとは。

 

「ミレイナの最後のターンですぅ。レアリティ3の金レア、無属性『酒豪の強行決議(ミッション・コンプリート)』を使用ですぅ!」
「ななななななななんじゃああああああああ、そりゃあああああああ」
「スペシャルさんの上限コストを1ターンだけ10にするですぅ!」
「むぐ、ぐ……」
「多少強引ですけど、これでデス・コンボ完成ですぅ。カードの単体での最低コストは20まで、補助系として使えないので絶対にそれ以下には下がらないですぅ」
「……」
「スペシャルさん、出せるものがないですぅ」
「……」
「で、『超越兵士の夢想』を使っているので、手持ちを一枚捨てて山から引いてもらった一枚を場に出してもらうですぅ」
「……」
「つまり、どのカード引いても上限コストで引っ掛かっちゃうので、スペシャルさん強制敗北ですぅ」

 

 すなわち、王手詰み。
 ミレイナの勝利宣言である。

 

「まあ、コストが0の超レアも存在するですけど、そんなの2000袋に1枚の確率でも出荷してないですぅ」

 

 ミレイナは笑みを浮かべると、足を組み替えて胸をそらした。
 ここまでやった以上、千を越えて万分の一でも敗北はない。
 なお、膝を組み替えた時にコーラサワーに下着がバッチリ見えちゃったわけだが、
 勝利の確信でそこまで気が回っていないミレイナさんである。

 

「……そうかよ、コスト0、な」
「な、何ですぅ?」
「オモチャ屋で売ってる5枚入りの袋、それが2000袋あってもまだ入ってないとびっきりのレア・カードってか」
「え、え?」
「ふ、ふっふっふっふ」

 

 ツインロールパンツ、もといツインロールパ○ナちゃんの心にさざ波が起こる。
 完全に追い込んだ、最早自身の勝利は動かないはず。
 それなのに、負けが決まっているこのスペシャル男は、何故笑うのか。

 

「ふ、フンですぅ。強がりのハッタリはやめるですぅ」
「……まず強制廃棄の一枚を捨てさせてもらうぜ。ルールに従ってな」
「も、持ってるわけないですぅ……! だ、だいたいそんなドえらいカードを持ってたら、スペシャルさんは絶対に顔に出るですぅ……!」
「ふん、一週間俺を鍛えてくれたのが誰だと思ってんだ? あのカティ・マネキン大佐だぞう?」
「な……んで、す……?」

 

 何だか少年誌のバトルマンガのような台詞を口にしてしまうミレイナ。
 彼女の視界の中では、コーラサワーが既に山から引いていた一枚のカードを持って構えている。

 

「確かに最後のターンになったぜ、オデコ娘三号」
「え……!?」
「俺のターン……レアリティ1、コスト0の金レアの無属性『泡沫世界の女神(シュワー・ザ・ワールド)』を召喚」

 

 コーラサワーはピッと、そのカードを場に滑らせた。
 レアリティの金の数字が、天井の照明に反射してキラリと光る。

 

「な……!」
「強制効果発動。今まで受けたダメージ及びコストダウン及び減退系の影響……つまり全部だな、それをひっくるめて一気に返す」
「なあっ!?」

 

 まさにこれは、九回裏の代打逆転満塁ホームラン。

 

「な、な」
「つまり、デス・コンボは裏返る。俺の勝ちだ」
「な、な、な、なんですぅーっ!?」
「……へっ、模擬戦2000回不敗、パトリック・コーラサワーをコケにすんな」

 
 

 パトリック・コーラサワー、カードゲームバトルにおいて、ミレイナ・ヴァスティを完全撃破せり。

 

   ◆   ◆   ◆

 

「……で、あの子が泣きながら出て行ったのはそういうワケがあったのか」
「おうよ、まだまだガキだな」

 

 ずずず、とパトリック・コーラサワーは緑茶をすすった。
 彼の目の前には、ミレイナ・ヴァスティではなくデュオ・マックスウェルが座っており、挟んでいる机の上は、トレーディングカードではなくお茶とお菓子が乗っている。

 

「もう少し早くお前らが帰ってきたら、この俺の華麗な大逆転が見られたのによ」
「いや、見てもしょーがねーし、そんなもん」

 

 コーラサワーが逆転のウルトライーグルパットを決めた数分後に、サリィ・ポォとガンダムパイロットたちがこのプリベンター本部に戻ってきた。
 そして、入れ違い的に大泣きのミレイナが自分のカードをかき集めて出て行った、というわけだった。

 

「この一週間、遅刻と早退を繰り返していたのはこのためだったのかよ」
「おうよ」
「……サリィに首が二周半するくらい殴られて来いよ」

 

 デュオは溜め息をついた。
 そして、テーブルの下に落ちていた紙の一枚のカードを拾い上げた。
「……無属性『永遠の円舞曲(エンドレス・ワルツ)』、なんだ? これは」
「ん、オデコ娘三号が忘れていきやがったな」
「ふーん」

 

 デュオはそのカードをテーブルにそっと置くと、自分も湯呑を手に取った。
 もう少し、あと一分もしないうちに、他の面子もこの部屋に茶を飲みにやってくるだろう。

 

「しかし、結局は運だけで勝つのな、お前は」
「運て言うな、実力だ、実力!」
「へいへい、運も実力のうちってね」

 

 ぐい、と湯呑を傾け、熱い液体を喉に流し込みつつ、デュオはさっきテーブルに置いたカードに視線を走らせた。
 そのカード、『永遠の円舞曲』には、効果の欄にこう書かれていた。

 
  『この混乱の円舞曲は、沈静効果のあるカードを出すまで永遠に場の属性を無効化し続ける』
 

「……つまり、つきあって踊り続けろ、ってか」
「ん? 何だよみつあみおさげ、俺の顔に何かついてるのか?」
「いや、別に」

 

 デュオは小さく苦笑すると、きゅうすを持つと、腰を上げてポットに近づいた。
 おそらく自分と同じ、コーラサワーの自慢話を聞かされるであろう後続のガンダムパイロットたちのために、お茶を淹れてやるために。

 
 

 プリベンターとパトリック・コーラサワーの心の旅は続く―――

 

 

【あとがき】
 コンバンハ。
 カードゲーム編駆け足で終了、さて次からまたどうしよサヨウナラ。

 
 

 【前】 【戻る】 【次】