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00-W_模倣の人氏_22

Last-modified: 2009-03-19 (木) 17:37:36
 

「うおおおお大佐その衣装は大胆すぎます、俺以外の男に太腿を晒すなんて! だが正直GJです!
 うおおおおときめきの導火線が身体中を走っていくうううううううううう!」

 

「バラバラにならないようにしっかりしろよー」
「それは何か元ネタがあるのかいデュオ?」
「で、あの男はまた何を騒いでいるんだ」
「やあ五飛。どうやらカティさんの新曲PVを見ているらしいよ」
「どれどれ? おお、随分と思い切ったミニスカだな。絶対領域が眩しいぜ」
「デュオ、発言に気をつけないと品性を疑われてしまいますよ」
「いやー、美人のミニスカは目の保養になるねえ。しかしあの年齢でこの格好ができるってのはホント凄いよな」
「カティさんじゅうにさい、でしたっけ?」
「む、カティさんじゅうななさい、ではなかったか」
「あれ、そういや本当の年齢は何歳なんだ? そこの馬鹿含む」
「んあ? なんか言ったか?」

 

 自分の話題が出たことに反応して、パトリック・コーラサワーが振り向いた。
 28歳だったかコーラさんじゅうさんさいだったか、実際の年齢がわからなくなって三人は首を捻ったが、結局何歳であろうとコーラサワーは(精神年齢が)永遠の少年であることに変わりはないので、気にするのはやめておくことにした。

 

「ところで、ビリーさん遅いですね」
「ヒイロとトロワが迎えに行ってるから、もうすぐ来るとは思うんだけどな」

 

 ビリー・カタギリ技術顧問。
 元ユニオン所属の技術者であり、プリベンターにも技術提供をしている天才メカニックである。
 彼の頭脳は今のプリベンターには必要不可欠であり、その功績と影響力は多大であると言えよう。
 その彼から、「内密に相談したいことがある」と持ちかけられたのは今朝方のことだ。
 通信では第三者に傍受される恐れもあるということで、プリベンター本部まで足を運んでもらうことになったのだった。
 迎えに出たヒイロとトロワを除いて、現在残りの面子は全員本部で待機の状態である。
 もうすぐ、というデュオの言葉は現実のものとなった。
 玄関の方で物音がしたかと思うと、途端に青年の絶叫が響き渡ったのだ。

 

「き、君は、いやお前はマイスター運送!
 警備Hey、警備Heeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeey!!」

 

 声の主は明らかに、ビリー・カタギリその人であった。

 

「どうしたカタギリ!」

 

 友人の叫びを聞きつけてグラハムが飛び出していく。
 仲間たちも後を追って玄関へと駆けつけた。
 そこにいたのはヒイロとトロワに連れられやってきたビリーの他に、対面に立つ浅黒い肌の青年が一人。

 

「あれ、あんたマイスター運送の」
「……刹那・F・セイエイだ」

 

 デュオの言葉に青年が返答する。
 何度かここへ配送に来たこともある上、外でも花見やらなにやらで同席したりと、プリベンターの面々とは顔見知りの関係であったが、ビリーは何故か彼を異様なまでに警戒していた。

 

「カタギリ、何があった?」
「マイスター運送には、あそこには……!」
「ああ、お前か。先日スメラギ・李・ノリエガに告白して振られた
「は、はっきり言うんじゃない! クジョウ君が、彼女があんな思わせぶりな態度さえ取らなければ僕だって!」

 

 大体の事情を飲み込んだプリベンター一同は、呆れ笑いを浮かべるしかなかった。
 ブシドーことグラハムですら、眉間に皺を寄せざるを得ない状況らしい。

 

「なんだ、女性の口説き方だったら俺に一言相談してくれりゃよかったのに」
「僕は誠実でありたいんだ。他人に頼らず自分の力で彼女を振り向かせたいんだよ」
「おっ、格好いいこと言うじゃねえか。そうそうその意気よその意気、ただしあんまりしつこくならないようにな」

 

 恋の百戦錬磨コーラサワーが、ビリーの肩を叩いてガハガハと笑う。
 取りとめのない空気になりかけたところで、刹那が咳払いをした。

 

「そろそろ話を進めたいんだが」
「あ、あらごめんなさい。今日は何の用かしら、集荷でも配達でもなさそうだけれど」
「我々はこれから重要な会議に入らねばならん。手短に頼む」

 

 サリィと五飛が先を促すと、刹那は一つ頷いて、おもむろに口を開いたのだった。

 
 

「とある企業が、モビルスーツを不正に製造している疑いがある」

 
 

(たぶん続く)

 
 

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