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00-W_模倣の人氏_24

Last-modified: 2009-07-11 (土) 20:53:17
 

「『もしプリベンターが兄弟だったら』とか考えると笑えるよな!」
「はいぃ?」

 

 今日も今日とてコーラサワーの突拍子のない発言が飛び出し、隣でデュオが素っ頓狂な声を上げる羽目になった。
 暇を持て余していたプリベンターの面々は、くだらないとは承知していてもその話題を聞きつけ寄り集まってくる。

 

「どうした、○○が兄弟だったら系のスレにでも感化されたか」
「いや、この前21世紀のドラマ映像を再生している姿を見ましたから、その影響ではないかと」
「ああ、アタシんちの……」
「くだらん、そんなありえない仮定をして何になるというんだ」
「あーやだやだ、ネタをネタとして楽しめない頭でっかちはこれだからよう。そんなんだからデコッパチなんだよ。まあ俺だって本当はお前らみたいな無愛想なガキじゃなくて可愛い女兄弟がいいんだけどな」
「ほう、どうやら死に急ぎたいようだな」
「駄目だって五飛、青竜刀しまって!」

 

 背中からぬらりと刀を取り出そうとするのをカトルが必死で宥めると、五飛は鼻息を荒くしながらもどうにか
踏みとどまった。
 ちなみに他の面子は五飛の殺気が膨れ上がった瞬間に退避済みである。
 自分勝手なのか統率が取れた行動といっていいのかは謎だが、とにかく要領はいいようだ。

 

「まあ、IFを考えるのは不毛とわかっていつつも楽しかったりするよな」

 

 場の空気が落ち着いたところで、ジョシュアが口を開いた。

 

「俺もユニオン時代はよく隊長の座に君臨する妄想をゲフゲフ」
「寂しいやっちゃなー」

 

 デュオが生暖かい憐憫のまなざしを向けると、ジョシュアは赤くなった顔を隠すように背を向けてしまった。

 

「しかし兄弟といっても」
「俺たち五人は皆同い年なわけだが」

 

 ヒイロとトロワが言うように、ガンダムパイロットの五人には年齢の上下がない。
 例え五つ子であったと仮定してもそこには必ず序列が存在するはずである。
 しかしコーラサワーは単純に答えた。

 

「そんなの昇順でいいだろ」

 

 周知のとおり、彼らの名は数字に対応している。即ち、

 

「認めん、俺が一番下などとは断じて認めんぞ!」
「ぎゃははは、五飛が末っ子! なんかウケる!」
「ほら五飛落ち着いて。僕たちのことをお兄ちゃんって呼んでくれていいんだよ?」
「誰が呼ぶか! そ、そうだ、俺たちよりも更に年下がいるだろう。ミレイナが……」

 

 きょろきょろと周囲に視線を巡らせるが、生憎今日はこちらには来ておらず、この場においては五飛が一番下となる事実は変わらなかった。
 必死の形相になる五飛の肩に、グラハムがぽんと手を置く。

 

「己よりも下の者を探すことは戦士のすることではないな」

 

 この言葉は五飛の自尊心を大層傷つけたらしく、彼は酷くおぼつかない足取りでふらふらと部屋の隅まで行くと、壁に額をつけて何事かを呟いた。

 

「俺は正義にはなれない……戦士失格だ、叱ってくれナタク……」

 

 彼のいる一角だけ恐ろしいほど陰鬱な気配が漂っている。
 デュオとカトルは弄りすぎたことに若干罪悪感を覚えつつ、ひとまず無視を決め込んだようだ。
 作り笑いで無理やり次の話題に移行させる。

 

「で、アラスカ野は何歳なんだ?」
「……」

 

 口をへの字に引き結んで立ち尽くすジョシュアの内心を、サーカスで動物とのコミュニケーションに慣れたトロワが代弁した。

 

「“なんで公式で設定してくれなかったんだ”だそうだ。ろくに設定をもらえなかったことを相当恨んでいるようだな」

 

 脇役だから仕方がないとはいえ、同じくちょい役であったハーキュリーにさえ年齢の設定があるのだからジョシュアの言い分もわからないではない。あちらにはセルゲイとの因縁があるからだとしても、本来なら彼にだってグラハムと何らかの因縁があったかもしれないのだ。

 

「いいんだ、どうせ俺なんて……」

 

 五飛と並んでどんよりと肩を落とす。陰鬱な影が強さを増したようだ。
 皆あえてそちらの方は見ようとせず、ヒイロが強制的に話を進めた。

 

「ではサリィが長女でヒルデが次女ということになるが、サリィは今何s」
「馬鹿、ヒイロ!」

 

 慌ててデュオがヒイロの口を塞ぎ、耳元で忠告を囁く。

 

(女性に年齢を訊くもんじゃないっつーのアホタレ!)
(む、そうなのか)

 
 

「ふ、ふふふ……」

 

 地を這うような低い笑い声が聞こえたかと思うと、空気が急速に冷え込んでいった。
 冷気の発生源はもちろんサリィ・ポォである。

 

「いいのよいいのよ、19歳説と29歳説があるけど、いずれにせよ貴方たちから見ればおばちゃんよね、ふふふ……っ」

 

 荒んだ目で少年たちを見渡してから、ふらふらと五飛やジョシュアがいる一角へ歩んでいった。
 そちらから漂う三人分のどす黒いオーラは尋常ではなく、肝が小さい者ではその場に立つことも敵わぬだろう。
 いくら数多の修羅場を潜り抜けてきた彼らであれ、流石にそろそろ無視を続けるのは苦しくなってきていた。

 

「……ところで、俺は今とても重大なことに気づいてしまった」
「どうしたんだいトロワ?」
「当然ながら最年長者が長男となるわけだが、我々の中でもっとも年嵩なのは誰だ?」

 

 少年たちの間に戦慄が走った。彼らの視線が一局に集中する。
 その視線の先には――

 

「あ、あれを兄と呼べというのか!?」
「あいつに『お兄ちゃん』って言ってる自分を想像して凄く鳥肌が立った!」
「そして次男はブシドー、か。……世知辛い世の中だな」
「個性的で楽しそうではありますけど、その……正直自分の兄弟だと思うとその……」

 

 で。

 

「皆一様に壁と対話するとは面妖な」
「おーい、なんでそんなに落ち込んでるんだー? 俺そんな暗くなるような話題出してねえぞー?」

 

 結果的に、事の発端であるコーラサワーと特に気にしないグラハムを残して全員が部屋の隅に蹲る事態と
なってしまったのだった。
 何故そこまで落ち込むのか理解できないコーラサワーが言う。

 

「なんつーか、たかがたとえ話でそこまで深刻に悩むって馬鹿みてえだな」
「馬鹿に馬鹿って言われたー!」

 

 とどめを刺された彼らは、立ち直るまで相当の時間を要したという。

 

 

【あとがき】
 ディ○ディアのシステムで00やWのキャラを戦わせたいです皆様ご機嫌麗しゅう。
 今回は番外ということで。前に書いてた話の続きはいずれ書きますいずれ。
 アタシんちのライダーは面白かったと思うのですが視聴率がアレで残念。それでは。

 
 

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