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08MS-SEED_190_第02話

Last-modified: 2013-12-22 (日) 21:21:46

scene-2

「おい!何してんだ!」
 トールはおっかなびっくり及び腰で少年に声をかける。少年は手を止めてトールを一瞥するが、再び穴を堀り始める。
 バイザー越しで良くは見えないが、瞳の色は深く沈んでいるようであり、ぶつぶつと呟いている。
「穴を……掘ってる……皆をこのままにしておけないから……」
 ミリアリアは吐気を押さえながら、少年に近寄る。
「一体、何があったの?」
「……が攻めてきて……毒ガスで……皆を……皆を……殺したんだぁーっ!」
 少年は座り込み、大地を叩きながら慟哭する。
 少年の悪咽の混じった悲痛な叫びが周囲に響く。二人はただ呆然と立ち尽くすしか出来ない。
 ──こいつはこの地獄みたいな状況で、何かをしている。俺だったら何かができるのか──
 トールは自問する。しかし答えは返って来ない。手はブルブルと震え歯がカチカチと鳴っている。
 ──でも、何かをしたい。しなければ一生何も出来ないままだ──
 トールは少年の傍らに落ちているスコップを手に取り穴を堀り始める。
「少し休めよ……俺が掘ってやるから!ミリィ!そいつを頼む!ミリィが具合悪いのも解るけど、そいつはもっとヤバイ」
 ミリアリアは穴を掘るトールの背中を見て元気を出す。トールはやる時はやってくれる男だ。
 だからこそミリアリアはトールが好きなのだ。
「大丈夫?落ち着いてね。助けがくるから……もう恐く無いから……。貴方、名前は?」
「……シロー…アマダ……」
 少年は泣きじゃくりながら、自分の名前を口にする。ミリアリアは何も何も出来ない自分に苛立ちを覚えながら、シローの背中を撫で続けるしか出来なかった。

「あれは……味方なのか?」
 物陰に隠れながらナダ・チノミは現れたストライクを伺い見る。一つ目と戦った様ではあるが、敵の敵は味方であるという確証が持てないのだ。
「ナダ中尉!今の内に逃げましょう!」
ケイモス・サトがナダの手を引き逃げようとするが、ナダは手を振り払う。
「逃げてばっかじゃどうにもならねえだろ!」
「艦長〜っ」
 サトはイライザ・オロマに泣き付く。
「……そうだな、確かに逃げてばかりじゃどうにもならんか……。よし、生存者を探すぞ!僅かな可能性かも知れんが、生存者がいるのであれば助けなければならん。まずは、艦に残ったクルーと合流するぞ」
オロマは皆に呼び掛ける。軍人としての責務は全うしなければならないのだ。戦闘により艦を失った人間であっても、果たさねばならないものがある。それがオロマを突き動かすのだ。
「副長、構わんな?」
 ──フュゼ──副長は、隣のルナを気遣いながら頷く。
 ルナは戦闘の被害で酸素欠乏症になっており、恋人であるフュゼが面倒を見ている。
「ええ。自分も……ルナも構いません。任官してより覚悟は出来ていましたから」
一行は、ゆっくりと移動を始めた。艦のクルー、そして生存者の存在を信じ、ひたすらに真っ直ぐ前を見つめて。

「敵は2機で、1機は手負い……。やらないとこっちがやられる……」
 キラは状況を確認するように呟く。
 ストライクを前進させ、センサーを見つめて僅かな反応でも拾おうとする。が、それは彼にとって不幸を呼び込んだ。
 一歩進む度に訪れる違和感。そして不快感。それらがキラを酸の様に侵していく。
「……あ……ああ……」
気付けば、キラは無造作に転がっている遺体を踏みにじりながら進んでいた。機体越しに柔らかな肉の感触が伝わり、足元から何かが絡み付く様に感じられる。
 だらしなくヨダレを垂らし、涙を流して、キラは心を砕かれた。

 ストレットとエリザはコロニーを離脱し、母艦を探す。しかし、周囲はデブリだらけであり、母艦は見当たらない。
「……おかしいですね。先程とは全く違います」
「そうですか?私には分かりませんけど」
「エリザさん?周りを見て下さい。」
 ストレットはエリザの言葉に溜め息を吐く。
「良いですか?デブリの量が違いますし、月と地球の位置も違います。それに、ミノフスキー粒子が全く散布なされてません……」
「つまり、どういう事です?」
「さあ?全く分かりませんよ。いくつか検討はつける事が出来ますけど、口にするのはナンセンスですからね」
「ストレット小尉!なにか反応があります!あれは……敵艦ですか?」
 エリザはモニターを拡大し、反応した物を探す。
「少なくとも我が軍の物ではありませんね。そして、連邦のものでも無さそうです……!」

━━to be continued━━

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