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556 ◆GHLUSNM8/A氏_外伝その三

Last-modified: 2011-09-22 (木) 02:25:37
 

外伝その三 「大運動大会だよ、みなさん!」

 

アスラン達の保護者がアムロ隊を視察していた期間は、三日間であった。
そしてこれは、最終日――――――――開戦前日の物語。

 

「我が部隊には先任のクルーゼが残した基礎体力訓練があります。
 内容は大幅に変更させていただきましたが」
「リフレッシュも兼ねているのかね?」
「もちろん体力の充実が第一目的ですが。
 そうですね、隊員の士気を保つためにも、レクリエーション的な項目があります」
「ならば私たちも参加しよう」
「………あの、アスランパパ。それは一体どういう意味ですか」
「そのままの意味だが?」

アムロの頭がさらに痛む。まるで無理にサイコミュを使わされているようだ………。

(正直に言ってしまいたい。あんたは馬鹿ですか?と)
「何か不満かね、アムロ隊長」
「………いいえ。国防委員長に言われては私に拒否権などありません。
 ――――――――――――――そういうことでしたら、お召し物を変えた方がよろしいかと」
「そうしよう。では皆さん」
「ええ、行きましょうか」
「年がいもなくワクワクしちゃいます」
「レノアさんは足腰が強そうですね」
(なんで誰も反対しない!?)

もはやアムロは諦めてしまった。この暴走する親バカ共はタチが悪すぎる。

 
 

「―――――――――――と、いうことで。今日の訓練は視察団も参加することとなった。
 よって内容に若干の変更を加え、今回はレクリエーションを中心に行う」
「やりぃ!今日は走らないで済むぜ!」
「母上も参加なさるんですか?」
「イザークママ………エザリアさんは驚くほど乗り気だよ。久々に君と遊べるのが嬉しいようだ」
「遊ぶなど…!これは訓練でしょうに(は、母上ぇぇぇぇ!!イザークは感涙です!!)」
「また父上が変な事を。アムロ隊長にはご迷惑をかけます」
「もう慣れたさ。それにたまにはこういうのも悪くない(と思わなければやってられん)」

 

アムロ達は一足早くグラウンドに集合していた。
あとは保護者達の着替えを待つだけだったのだが、どうやらこれに随分と時間がかかっているようだ。

「時間が押しているというのに………」
「来たみたいですよ!」
「ん、ありがとうニコル。では皆さん、早速ですが…って何ですか一体!?」

 

その絵面にはバァン!やらドォン!といった効果音がよく似合った。
そこには父たちと母たちが腰に手を当てて堂々と整列している。
しかし、それだけではアムロは驚かない。
そこには世界が知ればプラントの信用が地に落ちる光景が広がっていたのだ――――――――――――。

 

「ブ、ブルマと短パン………」

 

古き良き女子の最強装備・ブルマ。風に負けぬ少年の健康の証・短パン。
地球上から絶滅したはずの希少種が、コズミック・イラのプラントで再び産声を上げる。
ちなみに、なぜアムロがその存在を知っていたかは永遠の謎だ。

 

「は、母上ええええええええ!!!」
「大変だ兄貴!イザークが鼻血…じゃない!目から血を流してる!?」
「父上ならまだしも母上まで!?」
「あらアスラン、この服とっても動きやすいのよ?」
「………(こwwwれwwwはwww!!僕とした事が携帯を忘れちゃったよwwwww
      エヴィデンス01より衝撃だwwwww)」

アムロはパクパクと口を動かすだけで、何も言えなかった――――――――――――――。

 
 
 

夜―――――――――――――――――――――――――

「まったく、今日は何て日だったんだ………」

 

アムロは自室で椅子に深くもたれかかっている。彼の吐息からは疲れしか感じられない。
親たちは真性の馬鹿なのか?用意されていたとはいえあんな服を着るなんて…。
いや決して似合っていなかったわけではない。
エザリアの太ももは若々しく美しかったし、気の強そうな彼女の恥じらう表情は男の感覚を強く刺激した。
レノアの無邪気な笑顔はブルマという装飾品の魅力を最大に引き出していたし、
ロミナは母性とのちぐはぐな感じがチャーミングで………

 

「って、何を考えているんだ俺は!?――――――――――― ん、用意『されて』いた服?」

アムロは何かに思い当たったようで、その足を補給部隊の寝泊りする寮へ向けた。

 

「おい、ロミナさんの写真も見せろよ」
「エザリア様に踏まれたい………」
「俺はレノアたんが人妻なんて信じらんねぇ!あれで一児の母かよ!?」
「楽しそうだな」
「「「アムロ隊長!?」」」

 

深夜の密会に参加していたのは、ざっと数えて20人。
中心には無数の写真が集められているようで、被写体はどうやら昼間の母たちらしい。
「これはその…!なんといったらいいか………」
「言い訳はいらない。彼女たちはとても魅力的だからな、
 君たちがあんな服を用意するとは思わなかったが………
 その気持ち、わからないとは言わない。僕も男だ」
「自分たちの任務は弾薬から生活必需品までの多岐に渡りますから。
 個人的趣味で用意したあれがこんな所で役立つとは思いませんでした」
「僕は決して褒めているわけじゃないぞ」

隊長になってからアムロは数分ごとにため息をついている気さえする。
額に手を当てながら心底呆れたようにアムロは言った。

「最高評議会議員のこのような写真が出回れば、プラントの信用はゼロになる。全て抹消するように」
「えぇ!?そ、そんなぁ」
「もしエザリアの写真を懐に入れようものなら、イザークを抑えられる自身が僕にはない」
「………了解しました」

アムロは踵を返す。処分をしないあたりつくづく甘いが、これは彼の良さでもあった。
自室に向かう途中、彼はふと疑問を浮かべる。

(個人的趣味、と言っていたが………。少年用の短パンになぜ需要が?)

よからぬ想像に身を震わせ、アムロは考えるのを止めた。
世の中には触れてはならない事もある。全てを振りきって、彼は深い眠りに就いた。

 
 
 

数ヵ月後・どこかの戦場―――――――――――――――――

「おい、煙草くれよ」
「あぁ?こんなクソみたいなトコで唯一の楽しみを奪う気か?」
「交換だ交換。いいもんやるからさ」
「なんだよ?」

 

彼らの中隊規模の部隊は孤立している。
MS部隊はすでに壊滅し、まわりは連合の歩兵一個大隊が包囲している。
砂塵の舞う名も知らぬ戦場。屈強なザフト歩兵でも、今はその地で最悪の状況に置かれていた。
しかしならず者のあつまりである彼らホーク隊は、決してその心を殺されてはいない。

 

「エザリア・ジュールのブルマ姿だ」
「ああ?んなもんあるわけねぇだろこの馬鹿」
「それがあるんだよ。ホーク隊長には内緒だぜ?ほら………」
「…?お、おおお!!こりゃマジじゃねぇか!」
「半端ねぇだろ、このフトモモ」
塹壕の中で交わされる秘密の会話。すぐそこに死があるというのに、彼らは今が全てだった。

 

「1箱だ。まるごとやるよ」
「へへ、恩に着るぜ」
一方は煙草に火を付け、その肺を紫煙で満たす。一方はエザリアの写真を大事そうにポケットにしまった。

「ふぃ〜、やっぱいいぜ。アメスピたぁお前も渋い」
「俺はプラントを愛してるが、やっぱ煙草は地球産に限る」
「違いねぇ。戦争がなけりゃユニウスセブンで煙草の葉っぱでも育てたのによ、チキショウ………」

迫撃砲が炸裂する音と機関銃の発砲音が断続的に響く。どうやら連合歩兵の突撃が始まったようだ。
塹壕の中の兵たちは強がりかもしくは諦めか、何かの感情から笑みを浮かべる。

 

「さぁて始まったみたいだな。敵さんおれらが美女にでも見えるみてぇだ。血相変えて走ってきやがる」
「お前に求婚するなんざ、さすが低脳なナチュラルだぜ」
「馬鹿抜かせ。ブーケの代わりに鉛玉くれてやる」
「まぁMSが早く救援に来る事を祈ろうや」
「銃にか?」
「いや女神にさ」

男は懐のポケットを服の上から触る。
お守りが小銃ともう一つ増えちまったみたいだな。頭の数cm上を弾丸が飛び去る。

 

「おい、隊長の小隊が外に出てるぞ!?横っ腹に風穴開けるつもりだ!」
「なんだってあの人はいつも馬鹿な真似を!!クソ、機関銃は援護に回せ!」
「娘さんのヴァージンロードで泣き崩れる隊長、見てぇ奴は撃ちまくれ!!
 死なねぇ程度に死にたがれよクソ虫ども!!」
「「「「しゃああああ!!!」」」」

 
 

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