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Ace-Seed_∞_第03話

Last-modified: 2013-12-26 (木) 02:10:48

っと、遅れてすまないな。政治家の秘書ってヤツも忙しくてさ。
で、ニコルからも聞いてたけどアイツの話……だったよな?
俺が関わったのはニコルが片足を失ったあの時までなんだけどよ。

そうだな……他のヤツらから散々聞いてるだろうけど、アイツは尋常なヤツじゃなかったよ。
あぁ、操縦の技術は上手かった。こちらの攻撃はさらっとかわすのに、あっちが撃つ弾はこっちに吸い込まれるようだった。
だがヤツの強さはそれだけじゃなかった、と俺は思うんだよな。
実際あのレベルとまではいかないが操縦技術が上手いヤツはZAFTには結構いるだろ?
だが、戦場はそれだけじゃ生き残れない。
俺が居たのは短い間だったが、弾が飛び交い、運が悪けりゃ流れ弾に被弾するような熾烈な場所だ。
洞察力や、カンの良さってヤツも必要だと思ってる。
ヤツはそう言ったモノもちゃんと持ち合わせてたんだ。
そう、それは……ニコルがやられる前、地球周辺に出る前のデブリベルトでの戦いだった。

当時の俺は後方に送られたミゲルの話を聞いた後、むしろ“樽野郎”に乗ってた時より弱くなってるんじゃないかと考えてたのさ。
確かに一撃必殺のビームも、実弾に対して高い耐性を持つPS装甲も“樽野郎”にゃない。
だがアレはガンバレルのスラスターと合わせて非常に高い最高速度を持つ上に、
アイツの操縦技術のおかげでMAの弱点だった小回りの悪ささえも克服した化け物だと考えたんだ。
それに比べれば今アイツが乗ってるのはMSだ。
実弾耐性のあるPS装甲は同じG相手じゃ大して意味がない。
最高速度も樽野郎に比べりゃ大きく劣るし、稼働時間だってPS装甲とビーム兵器のせいで短い。
そしてMSは帰る母艦がなきゃ遅かれ早かれ単なる屑鉄に変わる。
だから俺は一計を案じて、仲間と一緒に“足つき”に仕掛けた訳だ……。

俺が乗ってた機体は砲撃戦用に作られたみたいでな。
センサーと連結したライフルをフル稼働させりゃ、その射程は戦艦の主砲さえ上回ったんだ。
それを利用して、デブリのせいで満足に動けない足つきの横っ腹を相手のアウトレンジから撃つ。
だがそれだけじゃ向かって来たアイツにあっさりやられかねないから仲間の二機のGに守ってもらう。
両方ともアンチビームコートされた盾を持ってるから守りに徹すれば、アイツ相手でも何とか持つ。
そしてアイツがこっちに接近したならこっちの勝ち、そういう作戦だった。

砲撃を加え始めてすぐにアイツと“エンディミオンの鷹”が出てきた……だがその姿に俺は違和感を覚えたよ。
ヘリオポリス以来、アイツは赤い翼の……なんだっけな、そうそうエールストライカーってのを付けていた。
火力とかは二の次で機動力とかを重視したヤツだ。
だがその時アイツが装備していたのはこっちと同じような長い砲を背負ったヤツだったんだ。
おかしいとは思ったが、とりあえず誘き出そうと砲撃を続けたよ。
だがアイツは来ないんだ。ほんの少し……多分長筒の射程ギリギリまで前進して、こっちの砲撃をかわしつつ撃ち始めはした。
こっちに来る砲撃を二人に防いでもらってアイツに標的を変えて射撃を続けたが、違和感がますます強くなる。
何故こっちに来ないんだ?
そう思っていた時、指揮官用に作られたらしい同じ高性能のセンサーを積んだGに乗った仲間が声を掛けてきたんだ。

《……アイツ、何かを探してないか?》

慌ててセンサーを拡大して……確かにヤツのGが何かを探すようにカメラアイを動かしていたのが見えた。
そしてそれが“足つき”の彼方に目を向けた瞬間、俺は叫んでいたよ。

《ニコル、作戦は失敗だ! 逃げろ、アイツ気付いてやがる!》

そう……足つきには二コルが乗ったGがミラージュコロイドってステルスを起動して接近してたんだ。
砲撃でアイツを誘き出して、その間にニコルが足つきの艦橋を潰す。
足つきだってこっちが攻撃が届かない位置にいれば無駄撃ちはしないだろうから接近は容易だ。
何よりヘリオポリスから弾薬とかの補給を出来ないまま逃げている足つきは無駄撃ちもできないって踏んだのさ。
そしてアイツはこっちに接近してしまえば、最高速度でMAに劣るGでは足つきの救援にはいけない。
足つきが落ちれば後は終わり……そのはずだったんだがな。
ニコルが慌てて逃げ出して、俺たちはニコルが来るまでヤツの砲撃を耐える羽目になっちまった。
驕ったガキが考えた陳腐な作戦だったのかもしれないが、それでもあっさり看破されたのが信じられなくてさ。
その上、ニコルや大勢の仲間がその後の地球軌道上の会戦でやられたので弱っちまったんだろう。
俺は後方任務に志願した。
その時はニコルの仇を討ちたいって気持ちよりも、死にたくないって気持ちの方が強かったんだ。
前線から逃げるような事をする俺を、それでも仲間は批難しなかったよ。それが余計つらかったけど。

今俺は政治家だった親父の秘書をやってる。将来は議員になろうかと思ってさ。
もう戦争は嫌なんだ。戦争になるとアイツが出てきて大勢の仲間が死ぬと考えちまうとさ、やってらんないだろ?
だから議員になるのさ、戦争を起こさない為に真っ先に頑張れる仕事に。
……やべっ!? そろそろ時間だ。記者さん俺は失礼するぜ。

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