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Ace-Seed_626氏_第09話

Last-modified: 2013-12-25 (水) 21:02:07

――ヴァレー宙空基地

『みんなしてだましていたのか…お前は、それでも"弟"と呼んだ仲だ…何処かに行け。』
『…仮に戦争が起きてもお前のせいではない。ここにいていいんだぞ。』

悪夢を見た…6年前と5年前の別れ――そのふたつがリフレインした…

確か床に就くまでに先の二つの作戦報告と清算を済ませ、部屋に戻って眠り込んだ。
時間は――ベットに入って10時間経過していた…8時半前…疲れていたが眠りすぎた…

基地の連中との訓練は後3時間ほどあと…
早速、朝食をとり筋トレを始めとする日課を始めようかと思い、食堂に向かっていたところでPJがきた

「あ、サイファー呼びに行こうと思っていたんすよ」
「訓練か?気が早いな。」
「違いますよ。何でもプラントの議長が追悼声明をするとか何とかで、みんな娯楽室に集まってますよ。」
「――朝ごはん食べてからにする。食堂にもモニターはある。あるいは後でニュースでも見ればいい。」

そういって食堂に向かう
――はっきりいって昨日のヤツが頭について仕方がない…
確かにあの場所には恩はあるが、昨日の今日で同じプラントの者というのはなんとなく気に障って仕方がない
それに加え腹が減っているからささくれ立っている。

「じゃ、俺も一緒に行きますよ。朝飯まだだし…」

そういってPJはついてきた。――食堂もまた人でごった返していた。
モーニング定食セットを受け取り、席に着き、食事を始めた時ちょうど演説が始まった…

『今私の中にも皆さんと同様の悲しみ、そして怒りが渦巻いています。
 何故こんなことになってしまったのか。考えても既に―――』

追悼演説というより…終戦演説…か…どこか道化くさい物言いに煩わしさを感じるが、なんにせよ終戦――
傭兵というオレのいる場所がなくなるのは好ましい。
一般生活に戻る気はない。
どこかの紛争地帯にでも出向くか――あるいはまたジャンク屋でもやるのもいいかもしれない。

『――だからこそ今、敢えて私は申し上げたい。』

そう考えているとモニターに映るものは突然、その口調を変え言い始めた。
!?何を言うつもりだ。みな同じようにモニターに釘付けになる。

『――それによって人を知り、自分を知り、明日を知る。これこそが繰り返される悲劇を止める唯一の方法です。
 私は人類存亡を賭けた最後の防衛策としてデスティニープランの導入実行を、今ここに宣言いたします!』

モニターに映る者は、到底オレには、認めることは出来ないことを言い始めた。

――大西洋連邦・アルザッヘル月面基地

デュランダルの演説の終了後、コープランドは一人思案していた。
表情からは何を考えているかは分からない。
だが、超大国のリーダーは決して馬鹿ではない。しばらくそうしていると秘書官が部屋に入ってきた。
彼は早速もってきた情報を聞く。

「それでCIAおよびシンクタンクからの報告は?」
「はい、あのプランの推察ですが大統領のご想像通りのものでした。」

渡された書類に目を通し始める
1世紀単位で世界の覇者として君臨した実力はダテではない。
"国境なき世界"が集めた情報を彼らはその半分以下の時間で集め、同じ結論に達していた。

 ―――――

 ユニウスセブンの隕石落としにはじまったこの戦争。
 これがプラント評議会議長ギルバート・デュランダル氏の策謀と仮定するならば、その目的は先のプラン発表にある。

 ただし、プラン実行を実現しようとしても不可能と判断される。
 彼の研究チーム同僚から入手したデータ、過去に行われた実験、脳神経・精神・狼少年・果てはブースデットマン等、
 強化人間の事象をとって考察すれば薬・環境そういったもので人は変化するいえる。
 その理論の信憑性はあまりにも乏しい。

 では、何のためにプランを発表したか…これはデュランダル氏の経歴から推測されるものだが
 過去、メンデルの研究に関わった彼の本当の狙いは、
 マルキオを始めとする新興宗教家たちと同じ"SEEDを持つ者"――救世主の選定である――

 ―――――

「……補佐官、ダイダロス基地はどうなっている?ザフトは破壊したのか?それとも接収したのか?」
「接収したとの情報が入っております。」
「そうか、ではこの書類をユーラシアへ持っていき、副大統領に連絡して臨時大統領任命の準備をするよう言ってくれ」
「――大統領?なにをなさるおつもりですか?」

その質問に対し彼は少しの沈黙の後

「アルザッヘル基地の全戦艦を私のスイッチひとつで、発進出来る様にしたのち。全職員にこう伝えろ。
 『各員非常用宇宙服をつけ、小型艇および徒歩にてこの基地から出て10前幣紊呂覆譴蹇戮函帖
「まさか…大統領…」
「何、安いものだ。私の命とこの基地で統一された地球圏が達成されるのだから…。
 それと国民をジブリールのヤツにそそのかされて、戦争に落した償いだよ――」

そういいきった彼の威厳にはもはや誰も異を挟むことは出来なかった…

――L4はずれ"アヴァロン"

先の演説を見なおしている

『――それはいつになっても克服できない我等自身の無知と欲望だということを。』
「…自身の欲望に気付けない無知を自認しないお前が何を言うんだ?」

そう皮肉をもらす…やはりコイツとは同じ科学者ではあるが到底相容れない。
――自分の存在の証明のために、その研究成果を上げようなどと馬鹿この上ない

『人はその資質の全て、性格、知能、才能、また重篤な疾病原因の有無の情報も本来体内に持っています。
 まずそれを明確に知ることが――』

まったく、馬脚をあらわすとはこのことだ…自分でいっているではないか…"遺伝子で優秀な者を選別する"…と
性格、知能、才能とは笑わせる。それは成長過程・環境で作られるものだ
まともな軍隊に入った人間は3カ月もすれば変わるというのに――

これに反発するであろうクラインを筆頭とするものたちの作戦は上手くいくだろう。
当然だ、そうなる様にしているのだから――

その戦いで死ぬ者は気の毒だが静観させてもらう
内部通信でブリストーを呼び出す

「ブリストー、私はこれからメサイアに向かう、しばらくここの指揮を任せる」

そういって出かける…あの道化師の死は確認しておかなくてはなるまい

――"アヴァロン"通信室

"国境なき世界"メンバーにしか知らされていない秘匿コードで連絡を取っている
目の前のモニターにはかつての副官の姿が映っている

≪そっちから連絡とは――珍しいな、ブリストー隊長?デスティニープラン…どう思う?≫

「デスティニープラン?馬鹿くさい――才能を使うか使わないかは本人次第だ。
『鉄が使用せずして錆び、水がくさりまたは寒中に凍るように、才能も用いずしてはそこなわれる…。』
 不釣合いだが、ルネッサンスの天才:レオナルド・ダ・ヴィンチの言葉を、それの墓碑銘にくれてやる――
 ……無駄話しはナシだ。"妖術師"、お前たちの部隊は今どこにいる?」

≪……相変わらず辛辣な物言いだな…。俺達は大西洋連邦のL1基地周辺の警戒をしている≫
「そうか…アルザッヘルの少将クラスの人間を動かしてザフトにばれないように動け。――速やかにだ。」

その話を聞きモニターの向こうに映る者が少し沈黙したのち。

≪……了解。――そういいたいところだが、大統領が決断を下したそうだ。≫
「何?一体なんのだ?」
≪大統領自身とその他数名の決死スタッフを残してのアルザッヘル基地放棄だ≫

――つまり…レクイエムの復旧を知って、さらにこのプランの発表という流れから
デュランダルが今後どういった手段をとるのか分かったのだろう。
それを利用して自分を殺したプラントに対しての今後のアドバンテージが狙いとみるべきか…。

「なるほど、ただの昼行灯ではなかったということか…ばれる可能性は?」
≪小型艇と徒歩での脱出という話しだ。ザフトの奴らがいつも通り、
 諜報活動を行わない、レーダー・光学解析のみの観測というやり方をする限り問題はないだろう。
 …そろそろ我々もそっちに行っていいか?≫

「こっちに来る件だが、デュランダルを叩き潰してからだ。
 あと"鬼神"とオーブ軍の戦闘データをとってきてくれ。"啄木鳥"が気にしているからな。」
≪"啄木鳥"が?なるほど…分かった≫

通信を切り思考の海に入る。あの大統領が自分の命を今後の国のための駒とするか…たいした者だ
そこまで考え一人呟く…

「――どんな動きであれ結局、世界は利権のみが目的で変わらん。――"国境なき世界"が新しい物語を書き連ねる」

彼らの思惑はゆっくりと確実に、表で活躍する"純粋で真っ直ぐ"な想いの者たちを詰みはじめていた

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