Top > Ace-Seed_626氏_第15話
HTML convert time to 0.004 sec.


Ace-Seed_626氏_第15話

Last-modified: 2013-12-25 (水) 21:22:45

――CE82 ある戦場の最前線

「ここまでが教科書に出てくるような…みんなが知っている戦争だよね。これで戦争は終わり――
 僕もあの頃、"箱庭の平和"の中にいたから…そう考えていたよ」

目の前の傭兵がインタビューを切り言ってくる
そう、その後だ…その後が分からないことだらけ…謎だらけだ――
プラント、ユーラシア連邦、果ては大西洋連邦までもが、ただ【残党テロリスト掃討作戦】と延べるのみ。
"片羽"によって撃ち落されてしまった俺は知ることが出来なかったが、

この謎に戦争でよく言われる話――

【誰もが正義となり 誰もが悪となる そして誰が被害者で 誰が加害者か 一体『平和』とは何か】

"謎"の中で目にする"円卓の鬼神"と呼ばれる男を追えば二つの戦争の本質に迫れるのではないか?
そう思い、多々の――出所不明ともいえる資料さえ集め、"彼"と戦ったとされるエースたちと会い、ここまで来た。

「ええ、俺もそう思っていました。けど"彼"のことが書かれている資料を調べる内に――」

次の言葉を吐こうとしたそのとき――外の壁を銃弾が叩く音がした
目の前の傭兵二人は瞬時に顔つきを変え、銃を取り、隠れながら周囲をうかがう

「――さて、今回のは傭兵として戦う"敵"とお前のおっかけ…どっちだと思う?」
「分かりません、どっちにしても追い払うだけでしょ?」
≪隊長、敵をそっちのポイントに送りました 始末お願いします≫

通信機から状況報告が届く――
すでにほかの者は交戦しているようで、二人はあたりの様子を伺うために耳を済ませた後

「――僕のお客さんみたいだ」

若い傭兵はしかめっ面をしながら答えた。

彼の聴力はかなり高いのだろうか?俺は跳弾の音しか聞こえない…その言葉を確認し"片羽"は俺と俺の連れに

「…そうか…お前はここにいろ。そっちは…以前ジャーナリストの皮をかぶってやってきた"連中"がいてな…
 素性について調べられたんで信用しているが、俺と似たようなお前は信用できない。――ついてきてもらうぞ」

そういって連れを引っ張っていてしまった…
しばらく銃撃戦の音がした後、三人が戻ってきた――その空気はひどく険悪なものだった

「おい、アレはなんなんだ!?あいつら
『キラ様を返せ!――キラ様、我々の下に戻ってきてください ラリー・フォルク!貴様には死を――』
 とか何とか物騒なことを言いながら撃ってきたぞ!?」

「……なるほど、その口ぶりからすると奴等のお仲間ではないようだな…。
 以前、"自称"ジャーナリストは、こっちの面を見たとたんにグレネードを放ってきたくらいだしな」

「そうですね。ずっと様子を伺ってたけど、そんなそぶりは見せませんでしたし…」

連れの質問に対し、二人は殺気だった台詞を有無を言わせない鋭い眼光を放ちつつ、言い放つ
彼ら二人はあの和気藹藹とした雰囲気の中、こちらを観察していたということ――
それを証明するかのように、連れは何箇所か怪我をしているが彼らは無傷。
連れは幸い銃弾を浴びたわけではないようで軽い手当てをした後、インタビューを再開する。

「……あなたの"お客さん"とは、先ほど"片羽"が言った"連中"のことでしょうか?」

その質問に若い傭兵が答える

「――そうです。彼らは…いえ、"彼女ら"といったほうが正しいですね」
「そして、たちの悪いストーカーみたいなもんだな。最近では減ったほうなんだがな…」

それに"片羽"が続ける――ここに至る過程を説明するために二人は先ほどの続きを語り始めた

――CE74年6月

終戦協定を結ぶために各国の首脳たちが集まっていた――場所はオーブ・アカツキ島
続々と集まってくる者たちをオーブ元首:カガリ・ユラ・アスハは希望を持った笑顔で出迎えている

だが、少し考えればその不自然さに気付いただろう…各国の代表の到着は1時間〜2時間おきに着いている…
彼らは、非公式で大西洋連邦ワシントンに集まり、一度、協定案を練り直した後に、それぞれの国に戻り来ているのだから――

国際会議の決議がその場のみで決まるわけがない。若い…いや、幼いオーブ、プラントの代表にはまだ分からない話だった。
プラントはバーネル・ジェセックが、何とかその会議に自らの腹心を送り込む。
だが、政治面に長けたセイランを失ったオーブに、そんな駆け引きに参加する発想などない…その存在を知ることもない。

一方、プラントはラクス・クラインには内密でオーブに対する措置を黙認することに同意という形で、
大西洋連邦・大統領暗殺の件に関する賠償の猶予の獲得に成功した。
反対するなら議長の不信任案を可決するであろう覚悟を以ってしてだ――当然であろう。

友人というだけで身を削って他人を助ける人間などめったにいないように、国際社会においては自分の身は自分で守る。
守れない…守らないのはただの"無能"でしかないのだから……
唯一と言っていい友好国であるプラントにすら捨てられたオーブは"世界の孤児"となった。

しかし、ブレイク・ザ・ワールド、レクイエムなどの傷跡を残す各国が未だ強大な軍事力を持つオーブと
正面切って戦争を行なうのは得策ではない。そこで老獪な者たちが編み出した政略は――

――終戦協定会議場

「オーブが地球連合の宗主国?」

会議室の円卓――その議長を務めるオーブ元首が提案に対し質問を返す。
それに返す大西洋連邦の臨時大統領――

「そうです――我々、大西洋連邦をはじめ、地球連合各国はブレイク・ザ・ワールドから疲弊しきっている現状……。
 特にあの"デストロイ"の攻撃を受けたユーラシア連邦はひどいものです。
 ――もちろんロゴス討伐の戦場となったオーブもそうでしょう。
 …しかし我々はあなた方が取った"デストロイ"という絶対的な暴力に真っ先に立ち上がったあなた方に、
 今後の地球の舵取りをしてもらえるなら、これほど心強い物はない。」

こういわれて悪い気になる者などいない。まして父親から与えられた『平和こそ絶対的な正義』という理想
その正義を信じやってきた自分たちこそが、その役目にふさわしい。そういわれて拒否するだろうか?
これはカガリ・ユラ・アスハにとって何にも勝る名誉なことであった。――次の会議で彼女はそれを受けることとなる。

――全て調べ上げたうえのことだった。少女が父親から託された理想も正義も…
盲目なそれを利用した連合各国を卑怯を言うのは筋違いだろう。
同盟を結んでおきながら、その国家元首がテロ行為の先陣と立ち、妨害工作、破壊工作を行なっていたことを考えれば、
即時、国家主権を剥奪してもおかしくはないのだから……。

各国の戦災保障させるためにわざわざオーブを世界のトップに置き、その財力を各国の福祉に注がせ、同時に軍事力を削ぐ。
その後にどうとでも料理するという裏を持った提案であった。

さらに会議は続く…

「クライン議長のこの案はすばらしい――『各国代表の議会』ですか… 優先権などなく各国が一票一票の投票権――
 以前、置かれた"国際連合"は大国の拒否権で最後には機能しなくなったが、これならば民主的に決めることが出来ますな…」

アジア連合はプラントの議長が出した案をほめる…それにユーラシア連邦が続ける

「話しは変わりますが、われわれユーラシアはその国土面積から、最もあの隕石落しの被害を受け、
 さらにデストロイの攻撃により、どこよりも疲弊しているといってよいでしょう。
 そこで提案なのですが、プラントを含めた地球圏各国で一斉の軍縮を行なうのはいかがでしょうか?」

それに加え、再び大西洋連邦が発言をする

「議長、これらを吟味する前に、私はもうひとつ提案をしたいのだがよろしいかな?」
「なんでしょう?」
「実はジャンク屋ギルドの管理する"ジェネシス"が地球を攻撃する事件、
 また、ある傭兵が核機動MSを持ち、さらに陽電子砲で連合基地を攻撃するという事件が起きました。
 これを機に彼らの特権を見直すべきだと思うのですが、いかがでしょう?」
「――っ、そ…それは」

自分たちの影の戦力を削ぐという提案。だが、反対は出来ない。許されない物となっていた…。
それまで、各国の議案はすべて平和のためには必要な物で、歴史的に見ても効果が何かしらあったものだ。
被害が出たのだからそれを削ぐべきだという、至極もっともな…切実な意見を無碍にすることは出来ない。
何より、彼らは自分たちが、主導的立場で行なうことを世界各国が認めるといっているのだから、彼らとのかかわりをあからさまにすることは出来なかった。

8回ほどにわたる協議の結果、大雑把にこういった終戦協定が6月末、結ばれた――

1.オーブを地球連合宗主国とする

2.プラントを国家として正式に承認。農業プラントの建設許可

3.各国代表の議会設立――議決時2/3以上の賛成で強制力を持つ

4.各国の人口に応じた軍人・戦艦の削減

5.ジャンク屋の特権、傭兵の武装の見直し

この5つであった――

】【戻る】【