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Ace-Seed_626氏_第18B話

Last-modified: 2013-12-25 (水) 21:35:30

大気圏離脱用ブースターのGを耐えつつ、ラリー・フォルクはモニターに燃え盛るアカツキ島を映す。
その光景を眺めつつ呟く、

「なあ、"導師様"よ…あんたは何であんなものに括ったんだ?世界を救いたいってのは分かる……
 せめて狂人に殺された"やさしい導師様"のまま死んでくれ――失望をガキ共らに与えることなくな」

懺悔というべきものだろうか?その顔には復讐をなした達成者ではない、別の顔が写っていた――

――オーブ

アークエンジェルやミネルバの5〜6倍ほどのアンノンが突然現れ、アカツキ島を攻撃し始めた。
速やかにスクランブル機が発進して迎撃に当たったが、それは圧倒的な対空防御と護衛機によって守られ、
その下では、アカツキ島が地中貫通爆弾、デイジーカッター、燃料気化爆弾など破壊力に優れた爆弾で攻撃されていた。
核こそ使わないが、それでも島の存在を許さないほどの量を叩き込んでいる。

「アレを撃ち落せ!オーブが、平和の象徴のアカツキ島が焼かれているんだぞ!!」

元首が騒ぎ立てるが、いくら叫んでも状況報告から吉報はない

≪第五ムラサメ隊、俺を残して全機墜ち落とされた 増援を――≫
≪何でユーラシア・サピンの傭兵がここに!?≫
≪――ダメだ、あのスカイグラスパーとレイダーの二機が強い!!≫

「……アカツキ島は原型を残さぬほどに破壊されてしまいました カガリ様、御命令を――」

オペレーターが失望の色を浮かべながら、悲痛な報告をする
数日前、プラント評議会議長と共に戦争終結を宣言し、同時に記念碑と新たな決意を立てた場――
それが無残にも破壊されたのだから
崩れ落ちながら、鬼気迫る表情を浮かべる元首に、軍事責任者が声をかける

「――カガリ、僕が行くよ。もう、これ以上アレに好きなようにはさせない。オノゴロに来る前に僕が止める」

そういって格納庫に向かおうとしたところで、オペレーターがさらに状況の変化を報告する

「アンノウンから発進したスカイグラスパーとレイダーが本島上空に侵入、迎撃機がいま……え?なんだそれは!?」
「なんだ?どうした?」

実質的なオーブ軍参謀のレ二ドル・キサカが声を上げる

「紙をばら撒いているそうです。一体、何の意味が……」

司令部の時が止まる――敵のこの"攻撃"が一体何か。答えられる者がいないのだ。
これは『紙爆弾』『ビラ』『伝単』と、呼ばれ、戦時中において物理的な破壊よりもはるかに破壊力のある兵器だ。
実際にWW2など航空機が最も発展した戦争で使われた。いや、それから戦争の度に――

しかし、CE71の戦争および、つい先まで行なわれていた戦争、どちらでも使われることがない。
――むしろ、そういったプロパガンダはテレビ、ネット等の新技術のほうで行なわれていた。
それに目をつけ、原始的なこの兵器使用を決定したのは"国境なき世界"リーダー、アントン・カプチェンコだった。

これは極めて合理的なものになった。各国は自国のネットワークを堅牢なものにしていて進入するには手間がかかる。
さらにオーブには最強のハッカー、キラ・ヤマトがいる。これではすぐに握りつぶされる。
しかし、『ビラ』ならば最強の戦艦"フレスベルク"を用いて、場所に出向けばいいだけなのだから――
最新技術で守られた者たちの盲点を見事についていた

『ビラ』を撒き終えたエスパーダ隊を収容し、オーブを嘲笑うかのように"フレスベルク"は去っていった

ばら撒かれたビラにはこう書いてあった―――

先の戦争、今回の戦争、これらが何を残しただろうか?――残ったのはあいも変わらず

支配者と権力者、それに付随する欲の亡者のみである

今日(こんにち)の攻撃はその象徴たるものの破壊――

破壊という名の新たな創造は 正道な力を以って我々が行使する

領土 人民 権力 今そのすべてを開放する "国境なき世界"が創造する 新しき国家の姿だ

国籍や国家も意味を成さない その線引きは 今我々が消し去る

"国境なき世界"が 新しい物語を書き連ねる――世界は変わる

―――

大西洋連邦、あるいはユーラシア連邦ならば、即座に行動の意味を理解し、情報統制に入るだろう。
いい意味、悪い意味含めて、若すぎるオーブには分からない出来ない――
各国からそれについての情報統制を要求された時には時遅く、世界が彼らのことについて議論を始めていた

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